イベントレポート

Intel X99 Expressや未発表マザーボードが各社から

~「Haswell-E」システムと見られるDDR4の実動デモも

会期:6月3日~7日(現地時間)

会場:Taipei World Trade Center Hall 1,3, NANGANG Exhibition Hall

Taipei International Convention Center

 今年のCOMPUTEXでは、マザーボードメーカーの多くがCOMPUTEX開催前にIntel 9シリーズなどの新チップセット搭載製品を発表し、会場ではそれら発表済み製品の展示がほとんどだった。しかし、MSIがIntel X99 Express搭載マザーボードを参考展示していたように、中にはCOMPUTEXに合わせて発表した製品や、未発表製品を展示するメーカーがいくつかあった。そこで本稿では、会場で見かけた未発表マザーボードを中心に紹介する。

MSI

970 Gaming

 チップセットにAMD 970を採用する、MSI初のSocket AM3+対応マザーボード。ゲーミング向けの製品。AMD製CPUに合わせ、電源部分のヒートシンクを大型のものとして、放熱性能を高めているとのこと。また、MSI独自の品質基準「ミリタリークラスIV」に対応するとともに、「OC Genie 4」や「Killer Ethernet」の搭載など、上位のゲーミングマザーボードと同等クラスの高品質設計となっている。メモリスロットは4本で、DDR3-2133(OC動作)に対応、最大32GBまで搭載可能。拡張スロットはPCI Express 2.0 x16が2本、PCI Express 2.0 x1が1本、PCIが2本。SATA 3.0を6ポート備える。日本での発売時期や価格などは未定とのことだ。

ECOシリーズ

 省電力を追求した仕様の「ECO」シリーズマザーボードをCOMPUTEXに合わせて発表。同シリーズには3製品が存在するが、「H97M ECO」はチップセットにIntel H97 Expressを採用する製品。豊富な機能は搭載せず、電源フェーズも最小限にするなど、まさに省電力に特化した設計となっている。

 H97M ECO以外には、チップセットにIntel B85 Expressを採用する「B85M ECO」と、チップセットにIntel H81M Expresを採用する「H81M ECO」をラインナップしている。なお、3製品ともフォームファクタはmicroATXとなる。

B85M ECO
H81M ECO

 ブースでのデモでは、B85M ECOを利用して、CPUにCore i7-4765T(2GHz)、メモリに4GBのKingston製DDR3L-1600モジュールを2枚、SSDにKingston製「KC300 SSDNow 120GB」を接続してWindows 8.1を動作。この状態で15.8Wと、ほぼ同じ構成のほかのマザーボードと比べて2W近い低消費電力となっていた。

 また、「Eco Center Pro」というユーティリティが付属し、マザーボードのオンボードデバイスの動作を制御できるようになっている。不要なデバイスをオフにすることで、とことんまで省電力を追求できるとのこと。オンボードデバイスを切るとさらに消費電力を落とせ、アイドル時で約40%の消費電力低減を実現できるとのことだ。

 これらECOシリーズは7月上旬頃に発売予定で、日本でも発売を予定している。価格は未定だが高くはならないそうだ。

B85M ECOを利用したシステムでデモを実施。CPUにCore i7-4765T、メモリに4GBのKingston製DDR3L-1600モジュールを2枚、SSDにKingston製KC300 SSDNow 120GBを接続した状態
動作時で15.8Wとなかなかの低消費電力となっている
ユーティリティ「Eco Center Pro」で不要なオンボードデバイスをオフにすると、さらに消費電力を減らせる

ASRock

 ASRockもIntel X99 Express搭載マザーボードを展示。こちらは2製品が展示されていた。また、Pentium20周年記念モデル「Pentium Anniversary Edition」向けのオーバークロック用マザーボードも展示していた。

X99 Extreme6

 Intel X99 Express搭載マザーボードの上位モデル。DDR4に対応したメモリスロットが8本用意され、クアッドチャネル動作をサポート。DDR4-2800(OC動作)に対応するという。12フェーズのDigiPower、XXLアルミニウム合金製ヒートシンク、日本製12Kプラチナコンデンサの採用や、デュアルスタックMOSFET、プラチナ・アロイ・チョークなど、高品質仕様も特徴。Intel製Gigabit Ethernetを2系統搭載。拡張スロットは、PCI Express 3.0 x16が3本とPCI Express 2.0 x1が2本。SATA 6Gbps×10ポート、mSATA×1、M.2(10Gbps)×1本も備える。発売時期や価格は未定だ。

X99 Extreme4

 こちらは下位モデルとなるIntel X99 Express搭載マザーボード。DDR4対応のメモリスロットを8本備え、。DDR4-2800(OC動作)に対応する点や、12フェーズのDigiPowerやXXLアルミニウム合金製ヒートシンク、日本製12Kプラチナコンデンサの採用といった点など、基本的な仕様はX99 Extreme6と大きく変わらない。ただし、展示されている基板を見ると、mSATAが省かれていたり、Gigabit Ethernetポートが1ポートのみになっているといった違いが見られた。こちらも発売時期や価格は未定。

Z97 Anniversary

 Pentium20周年を記念して発売される「Pentium Anniversary Edition」に最適というマザーボード「Z97 Anniversary」。クロック倍率ロックフリーなPentium Anniversary Editionで手軽にOCを楽しめるというコンセプトで開発されたとのこと。“低価格なPentium Anniversary Editionを使ってOCを楽しむなら、やっぱりマザーボードも低価格な方がいいのでは”、というところから企画されたという。価格は北米市場で80ドル前後を予定しているそうで、Pentium Anniversary Editionと合わせても安価にOCを楽しめると言える。

 価格が安価なこともあって仕様面はかなり簡略化されており、OC向けとはいっても見た目はメインストリーム向けの製品といった印象。チップセットはIntel Z97 Expressを採用し、メモリスロットは4本。拡張スロットはPCI Express 3.0 x16スロット×1本、PCI Express 2.0 x1スロット×3本、PCI×2本。SATA 6Gbpsは6ポート備える。Pentium Anniversary Editionの登場に合わせて発売を予定しており、日本でも発売予定とのことだ。

Z97M Anniversary

 こちらは、Pentium Anniversary Edition対応モデルのmicroATXバージョンとなる「Z97M Anniversary」。こちらもコンセプトはZ97 Anniversaryと同じで、安価にPentium Anniversary Editionを使ってOCを楽しめるというもの。仕様はZ97 Anniversaryとほぼ同等だが、microATXのため拡張スロットがPCI Express 3.0 x16スロット×1本、PCI Express 2.0 x1スロット×2本となる。こちらも価格は北米市場で80ドル前後、日本での発売も予定している。

ASUS

 ASUSブースでは、USB 3.1に対応する未発表マザーボードを展示していた。型番はもとより詳しい仕様も公開されていないが、USB 3.1コントローラチップを搭載したATX仕様のマザーボードとmicroATX仕様のマザーボードの2製品。搭載するUSB 3.1コントローラチップは双方ともASMedia製。データ転送速度は10Gbpsに対応するとともに、最大10Wの電力供給にも対応としている。USB 3.1対応マザーボードの登場時期などは現時点では未定とのことだが、すでに対応は完了しており、将来発売されるマザーボードで積極的に採用していきたいとのことだ。

ADATA

 ADATAはマザーボードは扱っていないものの、DDR4メモリモジュールを発表し、ブースで実際にDDR4メモリの動作デモを行なっていた。デモ用のPCに接続されたディスプレイにはCPU-Zのメモリの項目が表示されていたが、それを見てもDDR4と確認できる。ただし、この動作システムについての詳細は一切非公開。利用しているCPUについても公開されておらず、マザーボードもメーカーや型番が隠されて全く分からない状態であった。

 とはいえ、DDR4に対応するCPUはHaswell-Eしかなく、CPUクーラーにもIntelの表記が見えることから、このシステムはIntel X99 Express搭載マザーボードを利用し、Haswell-Eを搭載して動作させているのは間違いないだろう。

ADATAブースで、DDR4メモリの実動デモを実施していた
利用するマザーボードやCPUなどの情報は非公開。ただし、DDR4が動作することなどから、Haswell-Eのシステムで動作させているものと思われる
CPU-Zの情報からも、DDR4が動作していることが分かる

(平澤 寿康)