イベントレポート

GIGABYTE、メモリ4.5GHzの世界記録を実現したOC専用マザーボード

端午の節句を記念したコスプレ(?)など、祝日感満載の発表会に
会期:6月3日~7日

会場:Taipei World Trade Center Hall 1,3, NANGANG Exhibition Hall

Taipei International Convention Center

 台湾GIGABYTE Technology(以下GIGABYTE)は、COMPUTEX TAIPEI 2014開幕前日の6月2日(現地時間)、台北で記者会見を開催し、Intelが5月下旬に発表した新チップセット「Intel 9シリーズ・チップセット」を搭載したマザーボードのお披露目を行なった。

 すでに5月のIntelの発表に合わせて明らかにされていた製品群に加え、同社のオーバークロック担当者がDDR3メモリを4.5GHzという世界新記録で動かすことに成功したオーバークロック専用の特別版マザーボード「Z97X-SOC FORCE LN2」を発表した。

 また、記者会見には、Intel副社長兼PCクライアント事業本部デスクトップクライアント事業部 部長のリサ・グラフ氏も登場し「3月に計画を発表したDevil's Canyon(デビルスキャニオン)など4つの新製品は近日中に投入することになると思う」と、COMPUTEXでの発表を示唆した。

“非常に近い未来に”Devil's Canyonなどを含めた新デスクトップCPUを発表

 今年のCOMPUTEX TAIPEIは異例のスケジュールで、各社の記者会見が開催される開幕前日(6月2日の月曜日)が台湾の祝日に当たる。旧暦では端午の節句(英語ではDragon Boat Festival)に相当し、台湾での祝日となっているのだ。このため、一般の台湾人は3連休で観光などに出かけしまっており、台北市内も通常よりも交通量が少ないなど、例年とはやや違った趣になっている。

 ただ、COMPUTEXそのものは国際的なイベントなので、記者会見などは例年のスケジュール通りに行なわれている。そうした祝日に行なわれたGIGABYTEの記者会見は、端午の節句を祝ったコスプレーヤーなどが参加するお祝い気分で行なわれており、冒頭でも砂を利用したパフォーマンスが行なわれるなど、祝日感たっぷりの中で行なわれた。

砂でGIGABYTEの製品などを紹介するパフォーマンスが行なわれる
GIGABYTE TECHNOLOGY マザーボード事業部担当副社長 ヘンリー・カオ氏
Intel 副社長兼PCクライアント事業本部デスクトップクライアント事業部 部長 リサ・グラフ氏

 GIGABYTE Technologyマザーボード事業部担当副社長ヘンリー・カオ氏は冒頭で挨拶に立ち、「PC業界そのものは厳しいと言われ続けているが、弊社に関してはそんなことはなく、マザーボードビジネスはむしろ成長し、安定している」とアピール。市場環境そのものには問題がなく、より魅力的な製品を出し続けていくことでさらなる成長を目指したいとした。

 引き続きゲストとして登場したIntel副社長兼PCクライアント事業本部デスクトップクライアント事業部 部長リサ・グラフ氏は「Intelは今、自作PC関連の投資をむしろ増やしており、本当にすぐに4つの新しい製品を投入する。ハイエンド、エクストリーム、Devil's Canyonの開発コードネームで知られる“-K”のSKU、ローコスト向けのPentium記念モデル、さらにはBroadwellの“-K”のSKUなどが続々と投入される」と述べ、具体的な日付は明言しなかったものの、非常に近い未来(very very soon)という言葉を使って、新しいデスクトップPC向けプロセッサを発表し投入することを示唆した。なお、明日(現地時間6月3日)には、Intel社長のレネイ・ジェームス氏がCOMPUTEX TAIPEIの基調講演に登場する予定になっており、その中でなんらかの発表があることに期待したい。

メモリ4.5GHzを実現した「Z97-SOC FORCE LN2」を特別版としてリリース

 今回GIGABYTEが製品として特に取り上げたのはIntel 9シリーズ・チップセットを搭載したマザーボードで、いずれの製品もすでに5月に発表されている製品だ。それらの製品については既報の通りなので、別記事を参照されたい。

 そして、今回のCOMPUTEXで発表されたのが、オーバークロック(OC)用として販売されているマザーボード「Z97X-SOC FORCE」の特別版として投入される、「Z97-SOC FORCE LN2」だ。

 大きな特徴は2つあり、1つはCPUファンを取り付ける穴がなく、その部分の基板スペースをメモリ配線に利用しているので、より安定したメモリの動作を期待できる点。もう1つは、通常、このクラスのマザーボードではメモリスロットが4本あるが、それを2本に減らすことで、やはり安定性を引き上げることが可能になっている。こうした改良により、メモリをオーバークロックしやすくなっているのが最大のメリットになる。

 GIGABYTEのオーバークロッキングチームはこのZ97-SOC FORCE LN2を利用して、DDR3メモリモジュールを4.5GHzまでオーバークロックすることに成功したという。これは従来の世界記録だった4.4GHzを0.1GHz上回る世界新記録であることがアピールされた。

製品を紹介したGIGABYTE TECHNOLOGY マザーボード事業部技術マーケティング部長 コリン・ブリックス氏
GIGABYTEのIntel 9シリーズ・チップセット向けの製品はUltraDurable、PCゲーミング、オーバークロック、ブラックエディションという4つのシリーズがある。詳しくは別記事参照
5月に発表されたIntel 9シリーズ・チップセットを搭載したマザーボードも紹介された
今回発表されたZ97-SOC FORCE LN2はCPUファンを取り付ける穴がなく、メモリも2スロットしかない
Z97-SOC FORCE LN2で世界新記録4.5GHzを実現
Z97-SOC FORCE LN2で4.5GHz(2.25GHzの倍速)を実現しているCPU-Z表示
Z97-SOC FORCE LN2。確かにCPUの周りにCPUファンを取り付けるための穴が空いていない、メモリはシングルチャネルの2スロット

(笠原 一輝)