イベントレポート
ハイブリッドPC改め2-in-1デバイスで市場を拡大するIntel
~Bay Trail-D/Mのブランド名はPentiumとCeleronに
(2013/6/5 08:55)
- 会期:6月4日~8日(現地時間)
- 会場:
- Taipei World Trade Center NANGANG Exhibition Hall
- Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1
- Taipei World Trade Center Exhibition Hall 3
- Taipei International Convention Center
IntelはCOMPUTEX TAIPEIが開催されている会場近くのホテルで記者会見を開催し、第4世代Coreプロセッサなどに関する発表を行なった。この中でIntel 副社長兼PCクライアント事業本部 本部長 カーク・スコーゲン氏は、第4世代Coreプロセッサを搭載した未発表のスライド型VAIOなどUltrabookを多数紹介したほか、SDPで6Wと低消費電力を実現したYプロセッサを搭載したHPのファンレスタブレットなどを紹介して、大きな注目を集めた。
また、スコーゲン氏は「2014年後半に、Ultrabookに組み込むことができる3Dカメラをリファレンスデザインとして開発し、顧客に対して提供する予定だ」と述べ、Intelが“Perceptual Computing”という名前で推進している身振りや手振りを利用したユーザーインターフェイスの実装を進めていくと強調した。
さらに、Intelが2013年の年末商戦のタイミングで投入することを計画しているBay Trailについても触れ、同社が低価格向けのデスクトップPC向けに開発しているBay Trail-D、低価格のハイブリッドPC向けに計画しているBay Trail-Mの2つのブランド名に、PentiumとCeleronを利用する計画であることも併せて明らかにした。
ハイブリッドPCは“2-in-1デバイス”としてコンシューマ向けにマーケティング
今回のスコーゲン氏の記者会見は、COMPUTEXのIntel 主席副社長兼セールス・マーケティング事業本部 本部長 トム・キルロイ氏の講演(別記事参照)の後に行なわれたもので、基本的には第4世代Coreプロセッサの発表の場として利用されたキルロイ氏の講演を受けての内容となっている。
冒頭でスコーゲン氏は「以前はPCはコンテンツ作成のデバイス、スマートフォンやタブレットはコンテンツを消費するデバイスという使いわけ方がされていた。しかし、それが今大きく変わろうとしている」と述べ、Intelが6月4日に正式に発表した第4世代Coreプロセッサの登場により市場に変化が生まれる認識を示した。
「今回の第4世代Coreプロセッサでは、Intelの歴史上で最も大きなバッテリ駆動時間の向上を実現した。また、SoC版も用意されており、2-in-1デバイスを設計することも可能になる」と述べ、実際に第4世代Coreプロセッサを利用して設計されたハイブリッドPCを紹介した。
なおIntelでは今回のCOMPUTEXから、コンバーチブル、脱着式(英語でデタッチャブル)、ヨガ(LenovoのIdeaPad Yoga 13が最初の例だったためこう呼ばれる、液晶が360度回転するタイプ)、スライダーなどさまざまな呼び方で呼ばれているハイブリッドPCのことを“2-in-1デバイス”という呼び方に統一し、Intelの幹部はそのメッセージを前面に押し出している。
スコーゲン氏が紹介したのは、Dell、HP、Lenovo、パナソニック、Acer、ASUSなどの製品で、いずれも従来製品よりもバッテリ駆動時間が延びていたり、薄型軽量化が実現された製品となる。中でも焦点が当てられて紹介されたのが、Dellの未発表の360度液晶が回転する形のノートPCと、Acerの脱着型タブレットPCなどで、同氏が手に持って薄さ、軽さを強調した。
「我々の調査では、エンドユーザーはPCやタブレット単体よりも、2-in-1デバイスが欲しいという結果が出ている。2-in-1デバイスを利用するとユーザーはコンテンツ作成だけでなく、コンテンツ消費にもPCを利用できるようになる。今後2-in-1デバイスはさらに価格のレンジを広げていき、今年(2013年)の年末商戦にはBay Trail-Mをベースにした399ドルクラスの2-in-1デバイスが登場することになる。今年の初めには5つ程度の製品しか無かったが、今年の年末商戦にはその10倍の50近い製品が登場することになる」と述べ、第4世代Coreプロセッサを搭載した2-in-1デバイスの成功に自信を示した。
第4世代Coreプロセッサは1TFLOPSからファンレスまで幅広くサポート
続いて、第4世代Coreプロセッサのやや技術寄りな説明を行なった。スコーゲン氏は「Intelはここ数年プロセッサの消費電力の削減に取り組んできた。その成果として第4世代Coreプロセッサでは、SDPで6Wを実現することができた。その一方、内蔵GPUは年々性能を上げ、最上位SKUでの処理能力は1TFLOPSに達しており、1TFLOPSからファンレスの2-in-1までをカバーできるのが特徴だ」と述べ、パッケージ上に一種のキャッシュとして利用できるように統合されているeDRAM採用した製品となるIris Pro Graphics 5200(GT3e)のパッケージを公開し、実際GT3eを搭載したMSIのゲーミングノートPCを公開した。さらにSDP6WとなるYプロセッサを搭載したファンレスタブレットの製品例として、今年後半にHPが投入を予定しているスレート型のタブレットを公開した。
また、28WのUプロセッサには、Intel Iris Pro Graphics 5100が内蔵されているが、その内蔵GPUでも、単体型GPU(GeForce 710M)と遜色ないどころかむしろ上回る表示品質が実現できるということを、横に並べてデモして見せた。
このほか、第4世代Coreプロセッサを搭載したUltrabookや2-in-1デバイスのユースケースのデモを行ない、未発表のUltrabookや2-in-1などのデモを行ない、パナソニックのLet'snoteシリーズ(別記事参照)や、ソニーの「VAIO Duo 11」に似たスライダー型のPCなどが紹介された。
ソニーのVAIO Duoに似たPCは、11型液晶を搭載したVAIO Duo 11に比べるとやや液晶の縁が小さく、裏側のヒンジ部分が中央だけになるなど、VAIO Duo 11とは違うと言うことが確認できた。スコーゲン氏は「このVAIOは明日発表されるだろう」と述べたので、台湾時間の6月5日にソニーから何らかの発表がある可能性が高い。
このほかにも、WiDiの略称で知られるIntel Wireless Displayの受信部をSamsung Electronicsが、今年の後半から出荷するTVの多くに搭載することが発表された。
Bay Trail-D/Mのブランド名はAtomからPentium/Celeronへと変更される
記者会見の最後に、スコーゲン氏はIntelが最近盛んにアピールを続けている“Perceptual Computing”(ジェスチャーを利用したUI)についての進展について語った。スコーゲン氏は「我々は昨年の9月のIDFでPerceptual ComputingのSDKをリリースするなど、Perceptual Computingについての取り組みを進めてきた。そうした取り組みの新しい成果として、パートナーとなるCreativeがPerceptual Computingに対応した3Dカメラをエンドユーザー向けに販売することを発表したい」と述べ、Perceptual Computing SDKでプログラマが作ったプログラムを利用するために必要な3DカメラがCreativeから今年の第3四半期に販売開始されることを明らかにした。
「Intelの投資部門は今後も積極的参入し、総額で1億ドルをPerceptual Computingを開発する企業などに投資をしていく」と述べ、今後もPerceptual Computingへの取り組みを強めていくと表明した。そしてそうした機能をUltrabookの標準機能とするため、Intelが液晶のベゼルに組み込むことができる小型の3Dカメラを開発したことを明らかにし、「2014年後半にOEMメーカーに対して提供していく」と述べ、今後もUltrabookや2-in-1デバイスのユーザー体験を改善し続けていく強い意思を表明した。
なお、講演終了後の質疑応答の中で、Bay Trail-DとBay Trail-Mのブランドについて聞かれたスコーゲン氏は「タブレット用となるBay Trail-Tに関しては5日の記者会見で別途発表があると思う。ローエンドのAIO向けとなるBayTrail-Dと、ローエンドの2-in-1デバイス用となるBay Trail-Mに関しては、SATAなどのPCライクな機能をもった製品になる。PentiumやCeleronのブランド名を関することになる」と述べ、Bay Trail-D/Mに関してはPentiumとCeleronブランドが利用され、Atomブランドではないことが正式に発表された。