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インテル、3Dカメラ内蔵PCを今年後半より市場投入
~自然なUI実現に向け「RealSense」ブランドで訴求
(2014/6/25 15:10)
- 6月25日 実施
インテル株式会社は、より自然なユーザーインターフェイスを提供するために近年取り組んでいる「パーセプチャル・コンピューティング」改め「RealSense」テクノロジに関する記者会見を実施した。
これまでインテルでは、ジェスチャーや音声認識、視線の認識など、人々の五感に近い、より自然な形でコンピュータを操作する仕組みを、パーセプチャル・コンピューティングと称して訴求してきた。今後は「RealSense」というブランドが冠せられ、同様に取り組みが進められていく。
説明を行なったインテル アジア・パシフィック・ジャパン UXプロダクト・マーケティング・マネージャーの岩本由香里氏は、2013年はタッチや音声認識などが普及し、Ultrabookではデュアルマイク付きが登場するといった実績を紹介。さらに、「2013年は外付けの3Dカメラを出したが、今年は満を持して内蔵型になっている」と、OEM向けに3DカメラモジュールをIntelが提供することを明らかにした。
このRealSenseカメラモジュールについては、すでにASUS、Acer、NEC、Dell、Hewlett-Packard、富士通、LenovoといったOEMメーカーから賛同を得て、早ければ今年の後半にも3Dカメラ搭載PCが市場に登場する見込みだ。また、外付けカメラとしても2015年に発売を予定するほか、それに先立って開発者向けのキットも販売される。
仕様については限定的な情報公開に留まったが、赤外線プロジェクタ、2Dカメラ、赤外線カメラ、RGBカメラで構成されており、必要なベゼル幅は10円玉の半分~3分の2程度になっている。
RealSenseモジュールは3種類の提供が予定されている。今回の会見で披露されたカメラモジュールは、PCの内側に搭載し、リアルタイムに処理することを目的としたカメラで「F200」と呼ばれるもの。このほかに、PCの天板側やタブレットの背面側に取り付けリアルタイム処理を行なうための「R200」、スマートフォン背面に取り付けられ、レタッチ段階で合焦点を調整するなどポストプロセスを前提とした小型モジュール「R100」が提供される。各モジュールの差異について詳細は明らかにされなかったが、深度(奥行き)情報の取得手法などが異なると言う。
開発者向けには、これまでパーセプチャル・コンピューティングSDKとしてツールやAPIが提供されてきたが、機能を強化した「RealSenseソフトウェア開発キット」が提供される。これはWindows版パブリックベータが第3四半期に提供開始予定。また、現在はWindows向けのSDKのみの提供となるが、今後はAndroid対応のSDKの提供も検討していると言う。
2013年版のSDKに比べ、手や指のトラッキング点数が片手で10点から22点へ増加し指の関節1つ1つを認識できるようになったほか、顔のトラッキング点数が7点から78点へ大幅に増加し、顔の輪郭や目、眉の動きなどをトラッキングできる。さらにSDKには感情を読み取る機能が含まれており、この表情のデータから感情を特定できるほか、カメラが高性能化したことで皮下血管の動きも読み取ることができ、脈拍測定や感情判定に使えると言う。
このほか、2つのワードを組み合わせた独自の音声認識コマンド作成、プログラマによるオリジナルジェスチャーの定義が可能になるなどの強化が行なわれている。
3Dカメラに対応したソフトウェアも40社以上が製品を発売予定で、日本の開発会社を含め、まだ公表できないソフトウェアメーカーからも登場する見込みとしている。
インテルはRealSenseのアプリケーション開発コンテストも実施。現在、アイデアを募集しており、その選考に残ったチームには先述の開発者向けキットが提供され、実際にアプリケーションを開発を行なってもらう。そこからグランプリを決めていく流れになる。2013年に実施した同様のコンテストであるPerceptual Computing Challengeでは、日本の株式会社しくみデザインでグランプリを受賞。「今年も日本が世界を驚かせてほしい」(インテル 戦略事業企画室 ディレクターの亀井慎一朗氏)と期待と寄せている。
実際に、このカメラを利用したデモも披露された。
1つ目は、絵本をかざしてPC上に仮想現実を作るもので、手を振って風を起こしたり、手を横に動かして物体を回転させたりといったデモが行なわれた。こうした仮想現実は、これまで本に書かれた2次元のマーカーを元にしてきたが、RealSenseでは絵本に書かれた絵を解析して仮想現実と関連付けられる。これにより、すでに世の中にあるアイテムを元に仮想現実を後付けできる。
2つ目は、カメラで撮影した自分の顔を立体撮影し、用意された衣装を着せてフィギュアを作成する3D Systemsの「3DMe」というサービス。RealSenseカメラに、顔の正面、左右、上下を読み取らせることで、顔の立体モデルを作成。それを3DMeに受け渡して、戦士の衣装と合成するデモが行なわれた。
3つ目はタブレット内蔵の3Dカメラを用いたもので、机の上にジャケットや段ボール箱などを置き、3Dスキャンで高低を認識したフィールドを作成。そのフィールド上でロボットを動かした。カメラの視点を移動させることで、ロボットが立体物の影に隠れるなどの表現も可能となっている。この技法により、LEGOなどで作った環境が、そのままデジタルの世界で利用できるようになるという。