イベントレポート
【Intel基調講演編】新しい2-in-1 PCをもたらす22nmプロセッサを紹介
~Intel LTEモデム搭載Atomタブレットで4K出力をデモ
(2013/6/5 00:00)
- 会期:6月4日~8日(現地時間)
- 会場:
- Taipei World Trade Center NANGANG Exhibition Hall
- Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1
- Taipei World Trade Center Exhibition Hall 3
- Taipei International Convention Center
米Intelは4日(台湾時間)、COMPUTEX TAIPEI 2013の開幕に合わせ、主席副社長のトム・キルロイ氏による基調講演を開催。キルロイ氏は、同日付けで発表した「Haswell」こと第4世代Coreプロセッサや、今後登場予定の次期Atom「Silvermont」がもたらす、新しいPC像を紹介した。
キルロイ氏は冒頭、「我々は2000年から13年間、開幕の基調講演を行なっているが、決してそれは偶然ではない。Intelの成功は、台湾のパートナーとともに築かれたからだ」と述べるとともに、直近のPC業界の流れについて振り返った。
1980年代にPCが登場し、1990年にはノートPCが普及し始め、2000年にはノートPCが主流になるというように、PCは10年毎に大きな変革を経てきた。だが、その変化の流れは、現在、激しく急な物になっており、生き馬の目を抜く対応が求められるという。例えば、タブレットのOSを見ると、2012年の第2四半期まではiOSが3分の2を占め、残りがAndroidだったものが、2013年の第1四半期には、Androidが過半数を超え、Windowsもこの市場で頭角を現わし始めた。また、同じく2012年第2四半期は、タブレットは4分の3が9型以上だったのが、2013年第1四半期には半数以上が7型になり、一方でスマートフォンは徐々に大型化し始めているといった具合だ。また、液晶一体型も伸びを見せている。
コンテンツに目を向けると、デジタル化とネット利用はますます進んでいる。2008年の北京オリンピックと2012年のロンドンオリンピックを比較すると、全視聴者数は変わっていないが、オンライン視聴者数は2倍になり、オンラインでのライブ視聴者数は4倍に増えた。また、毎日全世界で、SNSのステータスは5億回更新され、映画は劇場よりHuluで見る人が3倍になり、撮影される写真をプリントすると、その厚みは台北の101ビルの100個分より高くなるという。
そういった状況の中、Intelが満を持して投入するのが、22nmプロセスルールで製造される次期Atom「Silvermont」と、第4世代Coreプロセッサ「Haswell」だ。
PC市場では王者としての地位を不動のものにしてきたIntelだが、携帯電話などのモバイル端末では苦戦を強いられてきた。しかし、ここへ来てスマートフォンやタブレットにおいてAtomの採用例が増え始めてきた。
その次世代となるSilvermontでは、最新の22nmプロセスを採用し、ピーク性能を3倍に伸ばし、消費電力は5分の1に減らすなど、大きな飛躍を遂げる。Silvermontの派生品として、スマートフォンには「Merrifield」を、タブレットには「Bay Trail」を投入する。
また、Bay Trailはタブレットに留まらず、エントリー向けの2-in-1や、ノートPC、そして液晶一体型にも展開を図る。ここで言う2-in-1とは、液晶着脱式やコンバーチブル式で、タブレットにもクラムシェルにもなるPCを指す。
Merrifield端末は2014年第1四半期、Bay Trail端末は2013年の10月~11月のタイミングで登場予定だが、キルロイ氏はMerrifield端末のプロトタイプを壇上で披露した。
また、Bay Trail端末のデモも行なった。デモの1つはグラフィック性能に関するもの。Bay TrailはWindowsとAndroidの2つのプラットフォームに対応し、Androidでは1080p動画がスムーズに再生され、Windowsでは3Dゲームが快適に動作することが紹介された。それに加え、4K映像の出力デモも行なわれたのだが、これはローカルデータでも、Wi-Fiからのストリーミングデータでもなく、Intelが開発したLTEモデムによるストリーミングであることを明かした。このデモは台湾の携帯電話キャリアである遠傳電信(Far Eastone)との協力により行なわれたもので、いよいよIntelだけのコンポーネントでSoCとLTEモデムが実現間近となったことを印象づけた。
なお、クアッドコアのCore搭載ノートはすでに販売が開始されているが、モバイル向けのデュアルコアとなるU/Yプロセッサ搭載機は9月から10月頃の出荷予定という。
続いて、キルロイ氏は話題をHaswellに転じた。HaswellはUltrabookのために一から開発されたCPUで、一部モデルでIrisブランドの高性能グラフィックスを搭載し、一方で消費電力を大幅に低減し、過去のIntel製品の中で、世代間での性能の飛躍が最も大きいという。
Intelは、今後Ultrabookの中でも2-in-1型に注力する方針で、今回の基調講演のスライドでもUltrabookという単語はほとんど見られず、終始2-in-1が強調された。
2-in-1は、先述の通り、クラムシェルPCとタブレットの両方のスタイルを採るものだが、これは外見だけではなく、フルWindows PCとしての性能や生産性の高さと、タブレットとしての可搬性やタッチによる扱いやすさを両立するものを意味する。
2-in-1について、Intelは2013年初頭から説明を繰り返しているのだが、今回のデモで1つ象徴的だったのは、デモで取り上げられた格闘ゲームが、タブレットスタイルでは、タッチ操作で、クラムシェルスタイルにすると、キーボード操作にシームレスに変わっていた点。これは、ソフトがPCのスタイルを検知してインターフェイスを変更しているのではなく、最初からどちらもサポートしているものだと思われるが、今後はこういった、両方のスタイルを想定したソフトも増えていくものと思われる。
最後にキルロイ氏は、このような革新をもたらした「魔法の種」は、Intelの持つシリコン、トランジスタ、アーキテクチャ、そしてソフトウェアの技術であるが、それを成功する製品に導く魔法の種は、パートナー各社のデザインや、優れた製造能力、そしてスケーラビリティにあると、改めて台湾パートナー各社に協力を求め、講演を締めくくった。