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インテル、第4世代Coreプロセッサを正式発表

~新省電力機能を搭載し、モバイル向けはチップセットも1チップ化

LGA1150のHaswell
6月4日 発表

 インテル株式会社は4日、コードネーム「Haswell」こと、第4世代Coreプロセッサを正式発表した。すでに一部のCPUやチップセットは解禁されており、販売も開始されているが、この正式発表で、モバイル向けのプロセッサも追加発表されている。

 Haswellは、第3世代のIvy Bridgeと同じ22nmプロセスを採用し、CPUとGPUコアの基本設計も踏襲するが、CPUではバッファの増量や最適化、GPUについても実行ユニット(EU)の増量、最適化を図ったほか、同社製CPUで初めて電圧レギュレータをパッケージに載せることで、より細かな電力制御を可能にしており、特にグラフィックス性能を向上させながら、システムレベルで徹底的な省電力化を図った。

 また、型番末尾がYとUの製品では、CPUとチップセットまでを初めて1チップ化する。ダイ自体はCPUとチップセットで分離されているが、1つのBGAチップに両者を封止。これにより、従来17W(Uプロセッサ)+3W(チップセット)だったTDPが15Wに、7W(Yプロセッサ)+3Wが6Wに引き下げられる。

 CPU4コア+GT2 GPUコアのモデルで、ダイサイズは177平方mmで、トランジスタ数は14億。

Haswellのダイ
省電力化とグラフィックス性能向上を両立
Y/Uプロセッサはチップセットもチップ上に搭載

 省電力化の要素の1つが、新しいCステートの追加。CPUの稼働/アイドル状況を示すCステートは、従来プロセッサではC0からC6までの段階があったが、新たにほとんどの内部クロックと電圧レールの電源をオフにし、アーキテクチャステートはダイ上に保持、L3キャッシュをフラッシュ、Pcodeを停止、入力電圧を1.6V以下にするC7を追加。

 さらにY/Uプロセッサについては、C8/C9/C10のステートも追加。C8では、C7の状態に加え、残りの内部レールの電源をオフにし、入力電圧は1.2V以下に、PLL電源を完全にシャットダウンし、クリティカルクロック(24MHzクリスタル)で稼働という状態。C9では、C8に加え、入力電圧を0Vに。C10では、C9に加え、入力電圧レギュレータを無効化する。

 より深いCステートに移行すると、復帰にかかる時間も延びるが、マイクロ秒、ミリ秒のレベルであるため、ユーザーがその遅延を体感することはほとんどないという。

 しかし、CPUでここまで徹底した省電力化を行なっても、システムでは他のデバイスが消費する電力の影響が大きいため、思ったほどバッテリ駆動時間が延びない。そこで、インテルでは「パワー・オプティマイザー」と呼ばれる電源管理の新しいフレームワークを導入した。

 これを利用することで、これまで、CPU、メモリ、各種コントローラ、クロックなどデバイスごとの割り込み、スヌープなどのレイテンシ許容値を特定し、その限界値でウォームアップ・ウインドウの時間を決定する。これにより、デバイスごとにばらばらにアクティブ-アイドルの遷移をしていたものを、同じタイミングで行なわせ、システムがより長時間深いアイドルステートを維持できるようにする。

 これらにより、Officeアプリ利用時のバッテリ駆動時間はIvy Bridgeシステムの6.1時間から8.3時間(1.35倍)に、HD動画再生時は6時間から9.1時間(1.5倍)に引き延ばされるという。

C7~C10までの新しいステートを追加
パワー・オプティマイザーを導入し、各デバイスの割り込みを同期させる
これにより、大幅に電力を削減
ノートPCではバッテリ駆動時間が最大5割延びる

 GPUについては、既報の通り、Intel HD Graphics 4000シリーズ、同5000シリーズ、そしてIntel Iris Graphics 5100とIntel Iris Pro Graphics 5200というブランドのDirecX 11.1対応コアが採用。実行ユニットを増やしたほか、最上位のIris Pro Graphics 5200では、eDRAMをパッケージ上に搭載しバンド幅を向上。これにより、前世代から2倍の性能向上を果たした。なお、Iris Pro Graphics 5200搭載製品は、デスクトップCPUもLGA1150ではなく、BGAパッケージとなり単体では販売されない。

 このほか、複数ディスプレイを1台として扱うコラージュ機能、4K外部出力、DisplayPort 1.2への対応、Quick Sync Videoの』高速化、JPEGとMPEGデコードの高速化、DirectX 11.1/OpenCL 1.2/OpenGL 4.0への対応などが追加されている。

新しい内蔵グラフィックスの特徴
デスクトッププロセッサでは3D性能が最大3倍伸びる

 第4世代Coreプロセッサは6月2日に多くの製品が公開されているが、今回の正式発表に併せて、Irs Pro Graphics 5200搭載の上位モデルや、Y/Uプロセッサが追加で公開された。主な仕様は下表の通り。


i7-4770R
コア/スレッド数4/8
CPUベース周波数3.2GHz
最大Turbo周波数3.9GHz
対応DDR31333/1600
L3キャッシュ6MB
Intel HD GraphicsIris Pro Graphics 5200
GPU最大ダイナミック周波数1,300MHz
TDP65W
Wi-Di
AVX
Quick Syncビデオ
vPro/TXT/VT-d/SIPP×
VT
単価303ドル

i7-4950HQi7-4850HQi7-4750HQ
コア/スレッド数4/84/84/8
CPUベース周波数2.4GHz2.3GHz2GHz
シングル最大Turbo周波数3.6GHz3.5GHz3.2GHz
デュアル最大Turbo周波数3.5GHz3.4GHz3.1GHz
クアッド最大Turbo周波数3.4GHz3.3GHz3GHz
対応DDR3/DDR3L160016001600
L3キャッシュ6MB6MB6MB
Intel HD GraphicsIris Pro Graphics 5200Iris Pro Graphics 5200Iris Pro Graphics 5200
GPU最大周波数1,300MHz1,300MHz1,200MHz
TDP47W47W47W
vPro
TXT×
VT-d×
VT-x
AES-NI
単価657ドル468ドルn/a

i7-4650Ui7-4550Ui7-4500Ui5-4350Ui5-4250U
コア/スレッド数2/42/42/42/42/4
CPUベース周波数1.7GHz1.5GHz1.8GHz1.4GHz1.3GHz
シングル最大Turbo周波数3.3GHz3GHz3GHz2.9GHz2.6GHz
デュアル最大Turbo周波数2.9GHz2.7GHz2.7GHz2.7GHz2.3GHz
対応DDR3/DDR3L16001600160016001600
L3キャッシュ4MB4MB4MB3MB3MB
Intel HD Graphics50005000440050005000
GPU最大周波数1,100MHz1,100MHz1,100MHz1,100MHz1,000MHz
TDP15W15W15W15W15W
vPro×××
TXT×××
VT-d×
VT-x
AES-NI
単価454ドルn/an/a342ドルn/a

i5-4200Ui3-4100Ui3-4010Ui5-4200Yi3-4010Y
コア/スレッド数2/42/42/42/42/4
CPUベース周波数1.6GHz1.8GHz1.7GHz1.4GHz1.3GHz
シングル最大Turbo周波数2.6GHz1.8GHz1.7GHz1.9GHz1.3GHz
デュアル最大Turbo周波数2.3GHz1.8GHz1.7GHz1.6GHz1.3GHz
対応DDR3/DDR3L16001600160016001600
L3キャッシュ3MB3MB3MB3MB3MB
Intel HD Graphics44004400440044004200
GPU最大周波数1,000MHz1,000MHz1,000MHz850MHz850MHz
TDP15W15W15W11.5W11.5W
vPro×××××
TXT×××××
VT-d×××
VT-x
AES-NI
単価n/an/an/an/an/a

(若杉 紀彦)