イベントレポート
展示ホールレポート、iOS編
~ 高い人気が続くカメラ関連製品と、世界中で利用可能なSIM
(2013/2/4 00:20)
Macworld | iWorldの詳報はiOS関連の製品から紹介する。2001年に初代iPodが発表されてからは、Macworldの展示会場内でもじわじわとiPod関連製品の展示は増えていたが、2007年のiPhoneと翌2008年のiPhone 3G以降はケースを初めとするさまざまな関連製品が爆発的に増加していった。今やiOSに関連する展示は、ホール全体の3分の2ほどにあたるかも知れない。2012年の開催からはイベント名称に“iWorld”が加わって、名が実にようやく追いついたという感もある。
展示会開催のタイミングが似ていることもあり、筆者もたびたびInternational CESとの違いについては言及させてもらっているが、やはりMacworld | iWorldは、エンドユーザーをターゲットにした展示会というイメージが強い。出展者側の企業スケールには個人レベルの企業からワールドワイドに事業を展開する大企業まで幅広い。しかし、設けられている展示ブースとしては、最小レベルの1小間に対してもっとも大きなブースでも6小間分にとどまり、言うなれば程よい感じで出展者と来場者がコミュニケーションできる感覚だ。アクセサリー大手のBelkinやScoscheそしてOWCなど、International CESとMacworld | iWorldの両方に出展している企業もあるが、展示内容を上手に切り替えている様子もみてとれる。
充実のカメラ関連アクセサリ
昨年(2012年)のレポートと同様にカメラ関係から紹介していこう。言うまでもなくiPhone人気の下支えの1つとなっているのがカメラ機能だ。数あるスマートフォンの中でも比較的綺麗な写真が簡単に撮れる上、カメラ関連APIの公開で写真関連のアプリが続々と登場したことと、SNSの普及を背景に投稿や共有の容易さが結びついて、カメラ単体では実現できなかった楽しみ方が生み出された。最近はその逆をいく形で、コンデジにSNS連携などの機能がフィードバックされていることからも、ニーズの高さがうかがえる。
2012年のレポートでは独Schneider OpticsによるiPhone 4/4S対応の「The iPro Lens」システムを紹介している。掲載当時は参考出展だった2倍テレコンも、その後製品化された。2012年9月に独ケルンで開催された「Photokina 2012」はAppleによるiPhone 5の発表直後ということもあって、Photokinaにおける同社ブースでiPhone 5への対応を尋ねてみたところ「対応を目指すが、iPhone 5に搭載されるカメラ機能の特性がわかってから検討する」という、老舗のレンズメーカーらしい慎重な回答だった。明けて2013年、Macworld | iWorldの会場でiPhone 5対応に加えて、さらに追加のコンバージョンレンズがアナウンスされた。
iPro Lensシステムは、ケースにマウントのネジを切ってあるので、まずiPhone 5対応のケースが必要になる。新しいケースは2つのパーツで構成されていて、従来より本体への付け外しが容易になっているのが特徴だ。既存のユーザーはiPhone 5対応のケースを入手することで、従来のコンバージョンレンズを継続利用できる。また、従来製品のコンポーネントだった魚眼コンバータ、ワイドコンバータはそれぞれリニューアルされて、Series 2の「Fisheye」、「Wide .65」となる。
加えて、新しいコンバージョンレンズとして、Series 2の「Macro」(マクロ)、「Ultra Wide .45」(ウルトラワイド)が紹介された。前述のiPhone 5用のケースにはSeries 1用とSeries 2用があって、4/4Sのシステムに付属するレンズを利用する場合はSeries 1、今回アナウンスされたSeries 2用のレンズを使う場合はSeries 2のケースを使うことになる。Series 2のレンズはiPhone 4/4Sでも利用できるが、iPhone 5で最高のパフォーマンスが得られるように設計されているとのこと。iPhone 5対応のケースは2013年3月の出荷を見込んでおり、各種コンバージョンレンズも順次出荷となる見通し。
iPro Lensシステムはかなりの本格派だが、もう少し手軽なコンバータはInternational CESレポートとMacworld | iWorldの速報でも紹介した「olloclip」。iPhone 5に対応する挟み込み型の魚眼/ワイド/マクロのコンバータ。直販価格は69.99ドルだが、会場内ではShow SpecialとしてTシャツとセット価格の70ドル。従来のiPhone 4/4S向け製品も継続販売され、第4世代iPod touchに対応させるアダプターが同梱される。直販価格は69.99ドル。第5世代iPod touch用のアダプタは、CESに引き続いて参考出展。
速報で紹介した「DAYLIGHT VIEWFINDER」。陽射しの強い屋外や、逆光などカメラのライブビュー画面が見にくい状況で効果のあるファインダー。専用アプリケーションを起動することで、全画面プレビューがサークル内に縮小表示される。ガイドラインに沿ってファインダーを取り付けて、つまみをひねることで吸着する。ファインダー部分は前後するので、目視で画面とピントが合う位置にあわせれば良い。
ファインダー外の部分にはフラッシュのオン/オフ、カメラモードの切り替えなどのボタンのほか、もう1つのプレビューが表示される。フォーカスエリアは、こちらのプレビューをタッチすることで設定が可能。デジタルズームは画面のピンチのほか、ボリュームボタンでも行なうことができる。右下のボタンにタッチするとカメラロールモードに入り、ファインダーをのぞいたままで、撮影した写真の確認が可能。
世界中のモバイル通信を1枚のSIMカードで
Gigskyが展示していたのが「Global SIM」というサービス。これはiPhoneに限った話ではないが、スマートフォンなどモバイル端末のデータローミング料金を一元化するソリューションだ。米国が基準の話にはなるが、まず20ドルで同社がMVNOとして発行するSIMカードを購入する。これをアクティベーションすることで料金支払い設定が行なわれ、電話番号が手に入る。これをSIMロックフリーのグローバル端末に入れて利用する。
旅行先でデータ通信を行なう場合、例えば海外パケホーダイのようなデータローミングを利用するか、SIMロックフリーのグローバル端末に現地で購入したプリペイド支払いのSIMカードを入れて利用するのが一般的だ。しかし「Global SIM」の場合は、渡航先で提携するキャリアのデータ通信を通信容量単位で購入することができる。SIMを差し替えることなく電話番号も変わらないまま、現地価格に近い料金でモバイルデータ通信が行なえるという仕組みである。
設定はアプリケーションベースで、各国のキャリアを選び、通信容量のキャップと料金から選択する。同社では各国に提携先を求め、適切な料金プランを提供したいとしている。紹介された提携の交渉先にはNTTドコモの名もあった。サービスインはしばらく先の話で、3月頃にはクローズドでベータテストをはじめたいとしている。まずサンプルとして挙げてデモを見せてくれたのがインドのVodafone Indiaだったので、おそらくこうした途上国から交渉を始めているものと推測される。
実際にアプリケーションを操作させてもらったが、提携先、料金プランなどはほとんどダミーのデータが入っているとのこと。実際、NTTドコモのプランも非現実的な内容だった。実用的なサービスになるかどうかは、やはりその内容次第だろう。日本から海外に旅行する場合は、スマートフォンで海外パケホーダイのようなサービスが利用できるので、通信量によってはこうした無制限プランの方が有利な場合もある。
一方、用途を限れば現地のデータプランの方がお得な場合も多い。一例を挙げれば、米国でiPadをデータ用に利用する場合にはAT&TやVerizonで2GBの容量制限で30ドルのプランがある。現在、海外パケホーダイ系のサービスは上限が2,980円/日の場合が多いので、仮に滞在期間中のモバイルデータ通信量が2GBに収まるのであれば、こうした現地プランのほうがはるかにお得というわけだ。こうしたプランを手間なく渡航先別にモバイル端末から購入できるのであれば、確かに便利なサービスになる可能性はある。
その他のユニークなiOS関連機器やアプリケーション
前日レポートの中でも紹介した「Mauz」。iOSデバイスに取り付けるアダプタで、iOSデバイスを2ボタン+スクロールホイールのマウス、トラックパッド、そして3Dマウス化するアダプタだ。3Dマウスとしては、ジェスチャーによってPCやスマートTVのメニュー画面をコントロールすることができる。加えて、机に置いた状態のままかざした手を左右に振ることで、Webページの進む/戻る、などの操作が行なえる。
現在、クラウドファウンディングの「Kick Starter」で資金を募集しており、目標額は15万ドル。2月3日(現地時間)現在で2万ドルほど出資されているようだ。成立すれば、30ピンDockコネクタに対応する製品を6月にも出荷する見通し。Lightningコネクタに対応する製品もAppleとMFiプログラムを進行させて実現したいとしている。前日レポートに加えて、追加の動画を掲載する。会場内は多数の無線LANが飛んでいる関係からか、前日レポートに比べるとやや反応が鈍かったり、反応しなかったりする。