イベントレポート

展示ホールレポート、iOS編

〜 高い人気が続くカメラ関連製品と、世界中で利用可能なSIM

会期:1月31日〜2月2日(現地時間)

会場:米国カリフォルニア州サンフランシスコ Moscone Center West

1月31日に開幕した2013年のMacworld | iWorld。展示会場はMoscone Center Westの一階にあるホールのほぼ全域が使われている。正面に見えるゼンハイザーのブースなどが最大規模の6小間を使っている

 Macworld | iWorldの詳報はiOS関連の製品から紹介する。2001年に初代iPodが発表されてからは、Macworldの展示会場内でもじわじわとiPod関連製品の展示は増えていたが、2007年のiPhoneと翌2008年のiPhone 3G以降はケースを初めとするさまざまな関連製品が爆発的に増加していった。今やiOSに関連する展示は、ホール全体の3分の2ほどにあたるかも知れない。2012年の開催からはイベント名称に“iWorld”が加わって、名が実にようやく追いついたという感もある。

 展示会開催のタイミングが似ていることもあり、筆者もたびたびInternational CESとの違いについては言及させてもらっているが、やはりMacworld | iWorldは、エンドユーザーをターゲットにした展示会というイメージが強い。出展者側の企業スケールには個人レベルの企業からワールドワイドに事業を展開する大企業まで幅広い。しかし、設けられている展示ブースとしては、最小レベルの1小間に対してもっとも大きなブースでも6小間分にとどまり、言うなれば程よい感じで出展者と来場者がコミュニケーションできる感覚だ。アクセサリー大手のBelkinやScoscheそしてOWCなど、International CESとMacworld | iWorldの両方に出展している企業もあるが、展示内容を上手に切り替えている様子もみてとれる。

充実のカメラ関連アクセサリ

 昨年(2012年)のレポートと同様にカメラ関係から紹介していこう。言うまでもなくiPhone人気の下支えの1つとなっているのがカメラ機能だ。数あるスマートフォンの中でも比較的綺麗な写真が簡単に撮れる上、カメラ関連APIの公開で写真関連のアプリが続々と登場したことと、SNSの普及を背景に投稿や共有の容易さが結びついて、カメラ単体では実現できなかった楽しみ方が生み出された。最近はその逆をいく形で、コンデジにSNS連携などの機能がフィードバックされていることからも、ニーズの高さがうかがえる。

独Schneider Opticsのブース。スペースとしてはわずか2小間だが、いつも来場者でいっぱいだった

 2012年のレポートでは独Schneider OpticsによるiPhone 4/4S対応の「The iPro Lens」システムを紹介している。掲載当時は参考出展だった2倍テレコンも、その後製品化された。2012年9月に独ケルンで開催された「Photokina 2012」はAppleによるiPhone 5の発表直後ということもあって、Photokinaにおける同社ブースでiPhone 5への対応を尋ねてみたところ「対応を目指すが、iPhone 5に搭載されるカメラ機能の特性がわかってから検討する」という、老舗のレンズメーカーらしい慎重な回答だった。明けて2013年、Macworld | iWorldの会場でiPhone 5対応に加えて、さらに追加のコンバージョンレンズがアナウンスされた。

 iPro Lensシステムは、ケースにマウントのネジを切ってあるので、まずiPhone 5対応のケースが必要になる。新しいケースは2つのパーツで構成されていて、従来より本体への付け外しが容易になっているのが特徴だ。既存のユーザーはiPhone 5対応のケースを入手することで、従来のコンバージョンレンズを継続利用できる。また、従来製品のコンポーネントだった魚眼コンバータ、ワイドコンバータはそれぞれリニューアルされて、Series 2の「Fisheye」、「Wide .65」となる。

 加えて、新しいコンバージョンレンズとして、Series 2の「Macro」(マクロ)、「Ultra Wide .45」(ウルトラワイド)が紹介された。前述のiPhone 5用のケースにはSeries 1用とSeries 2用があって、4/4Sのシステムに付属するレンズを利用する場合はSeries 1、今回アナウンスされたSeries 2用のレンズを使う場合はSeries 2のケースを使うことになる。Series 2のレンズはiPhone 4/4Sでも利用できるが、iPhone 5で最高のパフォーマンスが得られるように設計されているとのこと。iPhone 5対応のケースは2013年3月の出荷を見込んでおり、各種コンバージョンレンズも順次出荷となる見通し。

既存のiPhone 4/4S用「iPro Lens」システム。グリップに使用しないコンバージョンレンズを収納できるのも特徴
iPhone 5に対応した新しいケースに2倍のテレコンバータを付けた様子
iPhone 5対応のSedries 2ケース。2つのパーツで構成され、着脱が容易になった
今回アナウンスされた各種コンバージョンレンズなど
追加されるマクロレンズ「iPro Macro」
Series 2の「iPro Fisheye」は、前面180度の撮影ができる魚眼コンバータ
iPhone 4/4SとiPhone 5では若干画角が異なるが、65%広角化されるワイドコンバータ「iPro Wide .65」
「iPro Ultra Wide .45」は、標準ワイド以上に広角となる
プロトタイプとして紹介された、第3/4世代iPadに対応するアダプタ。外側のiSightカメラ、内側のFaceTimeカメラの双方にマウントがある。インカメラ側にワイドコンバータを利用することで、家族でのビデオチャットなどに便利とのこと
参考出展されていた同社B+WフィルターのiPhone対応バージョン

 iPro Lensシステムはかなりの本格派だが、もう少し手軽なコンバータはInternational CESレポートとMacworld | iWorldの速報でも紹介した「olloclip」。iPhone 5に対応する挟み込み型の魚眼/ワイド/マクロのコンバータ。直販価格は69.99ドルだが、会場内ではShow SpecialとしてTシャツとセット価格の70ドル。従来のiPhone 4/4S向け製品も継続販売され、第4世代iPod touchに対応させるアダプターが同梱される。直販価格は69.99ドル。第5世代iPod touch用のアダプタは、CESに引き続いて参考出展。

2012年はわずか1小間の出展だったと記憶しているが、4/4S対応製品のヒットを受けてブース面積が4倍へと広がった「olloclip」。iOS向けの専用アプリケーションも今後発表するとしている

 速報で紹介した「DAYLIGHT VIEWFINDER」。陽射しの強い屋外や、逆光などカメラのライブビュー画面が見にくい状況で効果のあるファインダー。専用アプリケーションを起動することで、全画面プレビューがサークル内に縮小表示される。ガイドラインに沿ってファインダーを取り付けて、つまみをひねることで吸着する。ファインダー部分は前後するので、目視で画面とピントが合う位置にあわせれば良い。

 ファインダー外の部分にはフラッシュのオン/オフ、カメラモードの切り替えなどのボタンのほか、もう1つのプレビューが表示される。フォーカスエリアは、こちらのプレビューをタッチすることで設定が可能。デジタルズームは画面のピンチのほか、ボリュームボタンでも行なうことができる。右下のボタンにタッチするとカメラロールモードに入り、ファインダーをのぞいたままで、撮影した写真の確認が可能。

アナログなアダプタと専用アプリケーションの組み合わせ。ファインダーをのぞき慣れたユーザーには意外に使い勝手の良さそうな「DAYLIGHT VIEWFINDER」。Show Specialでは25ドル(税込み)で販売。通常価格は29.99ドルとのこと
International CESのレポートでも紹介した自走するiPadスタンド、Double Roboticsの「Double」は、展示ホール内でもやはり注目を集めていた。予約価格は1,999ドル
【動画】Doubleの走行
速報でも紹介した「CamRanger」。デジタル一眼レフカメラのUSBポートに接続して利用するユニット。このユニットとiOSデバイスをWi-Fi接続することで、iOSデバイス側からカメラの各種コントロールが行なえる。ライブビュー表示やリモートシャッターをはじめ、シャッタースピード、絞り、露出補正、ISO感度の変更など。フォーカス設定や、タイムラプス撮影も行なえる。ニコンおよびキヤノンの各種デジタル一眼レフカメラに対応。製品ごとに制御できる機能は異なり、専用サイトで、対応機能一覧が紹介されている。直販価格は299ドルから。会場ではShow Specialとして税込み275ドルで販売されていた

世界中のモバイル通信を1枚のSIMカードで

Gigskyの展示。本社の所在地はカリフォルニア州パロアルト。公式サイトはこちら

 Gigskyが展示していたのが「Global SIM」というサービス。これはiPhoneに限った話ではないが、スマートフォンなどモバイル端末のデータローミング料金を一元化するソリューションだ。米国が基準の話にはなるが、まず20ドルで同社がMVNOとして発行するSIMカードを購入する。これをアクティベーションすることで料金支払い設定が行なわれ、電話番号が手に入る。これをSIMロックフリーのグローバル端末に入れて利用する。

 旅行先でデータ通信を行なう場合、例えば海外パケホーダイのようなデータローミングを利用するか、SIMロックフリーのグローバル端末に現地で購入したプリペイド支払いのSIMカードを入れて利用するのが一般的だ。しかし「Global SIM」の場合は、渡航先で提携するキャリアのデータ通信を通信容量単位で購入することができる。SIMを差し替えることなく電話番号も変わらないまま、現地価格に近い料金でモバイルデータ通信が行なえるという仕組みである。

 設定はアプリケーションベースで、各国のキャリアを選び、通信容量のキャップと料金から選択する。同社では各国に提携先を求め、適切な料金プランを提供したいとしている。紹介された提携の交渉先にはNTTドコモの名もあった。サービスインはしばらく先の話で、3月頃にはクローズドでベータテストをはじめたいとしている。まずサンプルとして挙げてデモを見せてくれたのがインドのVodafone Indiaだったので、おそらくこうした途上国から交渉を始めているものと推測される。

 実際にアプリケーションを操作させてもらったが、提携先、料金プランなどはほとんどダミーのデータが入っているとのこと。実際、NTTドコモのプランも非現実的な内容だった。実用的なサービスになるかどうかは、やはりその内容次第だろう。日本から海外に旅行する場合は、スマートフォンで海外パケホーダイのようなサービスが利用できるので、通信量によってはこうした無制限プランの方が有利な場合もある。

 一方、用途を限れば現地のデータプランの方がお得な場合も多い。一例を挙げれば、米国でiPadをデータ用に利用する場合にはAT&TやVerizonで2GBの容量制限で30ドルのプランがある。現在、海外パケホーダイ系のサービスは上限が2,980円/日の場合が多いので、仮に滞在期間中のモバイルデータ通信量が2GBに収まるのであれば、こうした現地プランのほうがはるかにお得というわけだ。こうしたプランを手間なく渡航先別にモバイル端末から購入できるのであれば、確かに便利なサービスになる可能性はある。

同社が発行するという「Global SIM」。これ1枚で提携先のモバイルデータ通信が利用できるという
ボードに掲示されていた世界のカバレッジエリアと主な提携先。韓国が含まれていないことなどからW-CDMAに対応する国と地域が中心の様子
専用アプリケーション「eMarketplace App」のホーム画面。接続中のキャリアと、購入できるプランが表示される
検索で「Japan」を入力すると、「NTTドコモ」と「ソフトバンクモバイル」が表示される
NTTドコモをタップして選択。内容はダミーということで、非現実的な料金が表示されている。提携自体も交渉の途上にあるという
インドのVodafone India。筆者は今米国でT-Mobileの1日あたりの高速通信が200MBまで3ドルのプランを使っているので、1GB/日が10ドルなら現実的とも言える

その他のユニークなiOS関連機器やアプリケーション

 前日レポートの中でも紹介した「Mauz」。iOSデバイスに取り付けるアダプタで、iOSデバイスを2ボタン+スクロールホイールのマウス、トラックパッド、そして3Dマウス化するアダプタだ。3Dマウスとしては、ジェスチャーによってPCやスマートTVのメニュー画面をコントロールすることができる。加えて、机に置いた状態のままかざした手を左右に振ることで、Webページの進む/戻る、などの操作が行なえる。

 現在、クラウドファウンディングの「Kick Starter」で資金を募集しており、目標額は15万ドル。2月3日(現地時間)現在で2万ドルほど出資されているようだ。成立すれば、30ピンDockコネクタに対応する製品を6月にも出荷する見通し。Lightningコネクタに対応する製品もAppleとMFiプログラムを進行させて実現したいとしている。前日レポートに加えて、追加の動画を掲載する。会場内は多数の無線LANが飛んでいる関係からか、前日レポートに比べるとやや反応が鈍かったり、反応しなかったりする。

「Mauz」を使ったマウス画面。左右クリックとスクロールホイールが利用できる
こちらはトラックパッドの画面。トラックパッドでも左右クリックが行なえる
開発元はSpiceboxというカリフォルニア州サニーベールに本社を持つベンチャー。実は昨年紹介した栓抜きカウンター付きiPhoneケース&アプリケーションも同社によるもの。他にスマートタグなどの開発も行なっている
【動画】Mauzの利用
Starfishがブースで紹介している新製品。Blurtooth接続でiOSデバイスをミラーリングして、通話や音楽再生などiPhoneの基本機能のいくつかを腕時計型のデバイスで行なえるとのこと。Androidでは似たコンセプトの製品をソニーエリクソン(当時)が製品化していた。近日中に出荷と話しているが、ブースには稼働するプロトタイプは無かった
ボーカルマイクとギターの入力を備えたミキサー兼アンプの「iTrack Solo」。背面のUSBポートにMac/PC/iPadを接続してGarageBandなどを使ったミキシングが可能。近日中に出荷予定で、価格は159ドル
BelkinのiPad用モバイルオーディオシステム「THUNDERSTORM」。Audifiの技術を採用し、究極のハンドヘルドホームシアターシステムと紹介されている。ブースに防音室を設置してデモンストレーションしていた。30ピンDockコネクタ対応の製品は出荷を始めており199.99ドル。Show Specialは20ドル引き。数カ月後にはLightningコネクタ対応製品も予定しているとのこと
台湾のAtech Totalsolutionのデモンストレーション。電動アシスト自転車のアシスト機能とiOSデバイスをBlutoothで接続。GPSデータなどを元にしたサイクルコンピュータをクラウド連携して、電動アシスト機能を制御する。取得した走行量やアシストの有無を競ったり、ゲームに応用したりするとのこと
台湾のEsoterismによるiPadスタンド「Coherence Stand」。純正のACアダプタとケーブルがスタンド内におさまる構造
リモートデスクトップソフト「Splashtop2」。Ver.2になって各種操作のレイヤー表示に対応。例えばMediaPlayerでは再生、停止ボタンなどをリモート画面の操作ではなく、独自に配置して操作することができるようになる
業務用のiPad充電ステーション。スタンド型やロッカー型はこれまでにもあったが、壁面設置型は珍しい。最大10台を同時に充電可能。ERGOTRONの製品
Kanexの「DoubleUp」。2台のiPadを同時に充電可能な21W(5V 2.1A×2)の出力をもつウォールアダプタ。価格は49ドル
こちらも20Wの出力をもつBelkinの2ポートUSBカーチャージャー。シガーソケットに差して利用する。ちなみに、Belkinのこの展示はすべて裏側で配線されており、実際にiPhone 5やiPadなどを接続すると充電が可能だった
クラフトマンシップが漂うMadsonLineによる充電&同期ドック。4ポートで2つの30ピンコネクタと2つのLightningコネクタの「C4 iChargers」は260ドル。Lightningコネクタ×1、30ピンコネクタ×1の「C3 iChargers」は195ドル
「GEKO Stand」は1.0 Innovationsの出展。現在は純正DockがないiPhone向けスタンド。スリップ防止効果のある素材が底面とiOSデバイス取り付け面に付いている。ケーブルを通すスリットがあるのが特徴
クレジットカードの決済ソリューション「Flint」。カード番号の読み取りをiOSデバイスの内蔵カメラで一部をマスクしたまま撮影してOCRする。撮影データは保存せず番号のみを入力できる。有効期限は手入力。磁気読み取り装置が不要なのがセールスポイント
Square Jellyfishのイヤフォン収納ケース兼スタンド。Apple純正のイヤフォン3種類に対応する。イヤフォン部分を納めて周囲にケーブルを巻いて収納する。会場価格は5ドル

(矢作 晃)