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エプソン、写真印刷の品質や楽しさをアピールした新カラリオ発表会

~AKB48の渡辺麻友さんを起用して“センター”を狙う

 エプソンは2日に発表した家庭向けインクジェット複合機「カラリオ」シリーズの新製品発表会を開催。2014年モデルの製品戦略などを説明したほか、新CMキャラクターに起用されたAKB48の渡辺麻友さんが出演する新CMを披露した。

エプソン販売株式会社 代表取締役社長の佐伯直幸氏

 発表会の冒頭で挨拶に立ったエプソン販売株式会社 代表取締役社長の佐伯直幸氏は、2014年のカラリオ新製品について、「お客さんが一巡して買い換え需要になっている中、さらに家庭での印刷利用拡大を訴求するために、どのような製品、ソフトが必要かを考えて練り上げた」製品であると紹介。

 また、エプソン全体として、精密加工技術、TFT液晶パネル、インクジェットのプリントヘッドといったコア技術をベースに、印刷やビジュアルコミュニケーション、生活の質の向上、ものづくりの確信といったテーマに沿って、今後も製品、アプリを提供し、「世の中を大きく変えていきたい」と意欲を示した。

 続いて、新製品の紹介をセイコーエプソン株式会社 取締役 プリンター事業部長の久保田孝一氏、製品の販売戦略をエプソン販売株式会社 取締役 販売推進本部長 鈴村文徳氏が紹介。

セイコーエプソン株式会社 取締役 プリンター事業部長の久保田孝一氏
エプソン販売株式会社 取締役 販売推進本部長 鈴村文徳氏
カラリオ2014年モデルの製品戦略
家庭向けのインクジェットラインナップ
ビジネス向けのインクジェットラインナップ
新モデル発売日と価格の一覧

 まず久保田氏は2014年新モデルの戦略として、「使いやすさとデザインの両立」、「さまざまな写真価値の提供」、「簡単に繋げて、どこからでも印刷できる」の3点を挙げた。

 エプソンでは2013年にコンパクトモデルの全方位展開を行なっているが、2014年はコンパクトさに加えて、高級感や使いやすさに配慮。最上位のA3対応機「EP-977A3」に光沢感のあるEPSONロゴを採用したほか、3色のカラーバリエーションを持つ主力機の「EP-807A」シリーズでは液晶デザインにもカラーバリエーションを反映させるなどデザインをリニューアルした。

 鈴村氏は、顧客が製品を検討するの決め手として、プリンタのサイズを重視する傾向が年々強まっているというデータを紹介。実際にコンパクトモデルの全方位展開を行なった2013年モデルは、プリンタのサイズに対するユーザー満足度がいずれの機種でも90%を超えており、「市場での競争力の源になっている」とした。

上位モデルでデザインをリニューアルし、小型筐体はそのままに、使いやすさや高級感を付与した
プリンタ選択の決め手として、本体サイズの重要度が増していることを示す調査結果
同社の2013年モデルは、サイズについてのユーザー満足度が非常に高かったと言う

 EP-977A3とEP-807Aシリーズでは、電源の自動オン機能、排紙トレイの自動開閉機能を搭載することで、印刷フローの一連の動作を自動化。なお、この機能についてはWi-Fi(Wi-Fi Direct含む)、USB接続でも利用できる、PCからの印刷についても自動電源オンからオフまでの自動処理が可能となっている。

 操作パネルでセットした用紙の種類やサイズを本体側に登録する機能も搭載する。メモリカードからのダイレクト印刷やスマートフォンアプリの「iPrint」を利用したときの印刷に反映されるほか、プリンタドライバからの印刷命令で指定された用紙と本体の用紙が異なっているときにエラーで知らせることもでき、トレイにセットした用紙を確認しなくても用紙間違いの印刷ミスをなくすことができる。

 さらに、EP-977A3では、用紙搬送の最適化によってA3印刷速度を向上。従来機から約1.5倍の速度となり、2分を切る約115秒でA3写真印刷を行なえるようになった。ちなみにA3印刷ができるプリンタの市場は2011年から比べるとほぼ2倍になっており、A3印刷の需要掘り起こしが市場拡大に繋がっているとした。

電源オン、トレイ開閉、電源オフまでの一連の動作を全て自動的に実行できる
セットした用紙を本体側に登録することで、印刷ミスを防ぐ機能を搭載
A3対応機のEP-977A3は、印刷速度を従来機から約1.5倍に高め、A3写真印刷が2分を切る
A3/A3ノビ対応プリンタの市場が伸長

 さまざまな写真価値を提供する戦略の上では、まず、新コンセプトの小型プリンタ「PF-70」を紹介。久保田氏は「(女性向けプリンタの)E-100を発表してから10年。次世代のコンパクトプリンタのあるべき姿を求めて、再度原点から商品企画したもの」と紹介。20~40代の女性が印刷したいシーンを検討したものという。

 鈴村氏も「男性は印刷して終わりという人が多いが、私の妻を見ていると、写真を印刷したあとに切ったり貼ったりする。例えば、チラシのキャラクターを切り抜いて写真の周りに貼ったりなどして、それで家の中がちょっと華やかになる。生活を写真で彩るというのは女性ならではの感性ではないか」とし、女性が“やりたいコトを実現できる”製品として訴求していくとした。

 そうしたことを実現するためにPF-70では、「無駄なく印刷できるロールシール」、「継ぎ足しできるアルバムプリント」、「カードからA5まで印刷できる用紙サポート」、そしてそれらを「簡単操作のスマホアプリ」という要素を盛り込んだ製品となった。

 小型で縦置きでき、片手でも持ちやすいサイズが大きな特徴で、その実現のため、A4機よりも小径の紙送りローラーや給紙ローラー、センサーを採用。センサーは小型化の一方で検知能力は高解像度化させている。これらを3次元的に隙間なく実装している。また、USBやWi-Fi、赤外線、カードリーダからの直接印刷など、多様なデバイスから利用できることも製品の特徴として挙げている。

 さらに付属のロール紙ユニットを利用することで、写真を織り込んださまざまなシールを作れる点や、継ぎ足しできるA5サイズのフォトブックの作成も可能。そのための用紙も新たに発売する。

 なお、フォトアルバムはEP-977A3/907F/807Aシリーズでも作成可能。さらに、A4機では写真を用紙上に割り付けてストーリー性を持たせた作品を制作できるテーマレイアウト機能を利用できるほか、EP-977A3ではA3の写真入りカレンダーを作成することもできる。

PF-70の開発に当たっては、2004年発表のE-100から10年が経過し、再度、20~40代の女性が印刷したいシーンを検討した
その結果、見えてきたニーズと、PF-70へ盛り込まれた機能
PF-70の製品概要
小型で縦置きが可能、片手でも持ちやすい製品
小型化のため、内部のユニットを小型化し、3次元的に高密度レイアウトした
インターフェイスを豊富にし、さまざまなデバイスから接続できる
専用のロール紙とアプリで、「写真シール」や「お名前シール」などを作成可能
アプリにA5サイズのフォトブックの作成機能を搭載。専用の用紙セットも発売する
FP-70向けに提供される用紙の一覧
会場で展示された「FP-70」
ロール印刷の例
背面に取り付けるロール紙用の給紙ユニット
操作部と対応用紙のガイド
SDカードスロット
手づくりフォトブック用紙は、表紙などと6枚の写真用紙がセットになったパッケージと、継ぎ足し用の追加写真用紙が発売される
写真を繋ぎ合わせてストーリー性を持たせた作品を作れるテーマレイアウト機能
EP-977A3では、A3サイズのオリジナルカレンダーを本体のみで制作可能

 スマートフォンからの印刷機能については、アプリ、プリンタともに親和性を強化したと紹介。

 プリンタをルーターに接続した状態のまま、Wi-Fi Directで最大4台を接続できるようにしたほか、Google Cloud Printからの印刷にも対応。スマートフォンアプリも「3DフレームPrint」が文字入力に対応した。

 さらに、スマートフォン内蔵のカメラで撮影した原稿/書類を、4隅を指定しての台形補正、影除去を行なった上で印刷する「カメラでコピー」アプリも新たに提供する。

スマートフォン連携の新機能をまとめたスライド
新たに提供されるスマートフォン向けアプリや、既存アプリのアップデート内容
3DフレームPrintは、浮かび上がる文字の入力に対応する
書類を写真で撮影し、台形補正と影除去をして印刷する「カメラでコピー」
ルーター接続とWi-Fi Directを共存して利用できる
スマートフォンとプリンタを接続する専用アイコンなど、接続プロセスも改善

 7型の液晶とキーボードを備え、PCレスで印刷ができる「E-850」は、素材を追加。特に、宛名面の飾り付けを行なうテンプレート74種類を新たに用意。はがきテンプレート1,511種類との組み合わせで、11万通り以上の選択肢が作れることをアピールした。

 ビジネスインクジェットは、4色顔料インクを用いる「PX-M650」シリーズを発売。FAX搭載の「PX-M650F」が、1回線で電話とFAXを自動切り替えする機能やFAXの無鳴動着信機能、「見てからファックス受信/印刷」機能を搭載することを紹介した。

「E-850」はディズニーテンプレート20種類増など、1,117種類の素材追加を行なった
宛名面を飾り付けできるテンプレートも新たに用意
同社は2014年にビジネスインクジェット関連で3度の発表会を開催しているが、さらに2機種を追加
上位モデルで採用されているFAX機能の拡充が主な強化点

 発表会では、写真愛好家やプロ/アマ写真家をターゲットにする「プロセレクション」にラインナップされる新機種「SC-PX5V II」も紹介。新たに採用したUltraChrome K3インクの採用で黒濃度を増し、他社用紙でも黒濃度が向上することを数値で示した。

 SC-PX5V II用のアプリケーションとして用意される、レイアウト印刷やモノクロプレビュー、カスタムメディア(用紙)登録を行なえるAdobe Photoshop/Lightroom用プラグイン「Print Layout」、設置環境などに起因する色味の変化を測色機によるデータによって補正する「ColorBase 2」なども紹介している。

写真印刷向けのA3ノビ対応プリンタ「SC-PX5V II」
黒濃度を示すDmax値が従来機と比べて向上。他社用紙でも濃度が向上する
SC-PX5V II用に提供されるアプリケーション
無線LANやUSBに加え、有線LAN接続にも対応する
フィルムスキャンに対応するフラットベッドスキャナ2機種も発売される
レーザープリンタも9月下旬より新機種を発売

新CMキャラクターにAKB48の渡辺麻友さんを起用

 カラリオのTV CMでは、新たにAKB48の渡辺麻友さんを起用。2013年より登場している「エイさん」と「ちいサメ」とともに、「6色インクで写真をキレイに」をコンセプトに、6色インク機であることを示す新たなロゴも作成し写真画質を訴求する。

 鈴村氏は渡辺麻友さんの起用について、「“センターポジション”をしっかり取りたいという意気込みを込めている。楽しいプロモーションを展開していきたい」とコメントした。

 新TV CMは、渡辺麻友さんとエイさん、ちいサメが「Rock Shock」というロックバンドを結成し、A3での写真印刷、コンパクトだが写真印刷はキレイ、といったカラリオの特徴をライブのトークコーナーの中で伝えるといったもの。Rock Shockは「6色」に掛けている。

新TV CMに出演するAKB48の渡辺麻友さん
新TV CMは、エイさん、ちいサメとともに「Rock Shock」(6色)というバンドを組んだ渡辺麻友さんが写真印刷を訴求するもの
渡辺麻友さんとエイさん、ちいサメ
2013年に引き続きA3印刷を訴求する「エイさん」
同じくコンパクトサイズを訴求する「ちいサメ」
「Rock Shock」の決めポーズ

(多和田 新也)