株式会社ロジクールは、ソファやベッドなどでくつろぎながら使うのに好適なマウス「ワイヤレスマウスM515」(以下、M515)を3月4日より発売する。価格はオープンプライスで、直販価格は4,980円。対応OSは、Windows XP/Vista/7、Mac OS X 10.5以降。
近年、一般家庭への無線LAN対応ノートPCやタブレットPCなどの普及により、机の上ではなく、ソファやベッドなどの上でリラックスしながら使うという利用形態が増えてきている。M515は、こうした利用法に合わせて開発された。
1つ目の特徴が、静電センサーを内蔵し、手に握った時だけ操作が可能になる点。例えば、ソファに座って、体の横にマウスを置いて操作する際、従来だと体を動かした弾みでマウスまで動いてしまい、意図せずカーソルが動くことがあった。M515では、握っていない時はアイドル状態となるなので、マウスが動いてしまっても、カーソルが動くことはない。また、その仕様上、こまめにアイドル状態になるので、電池の消費が少なく、単3形乾電池2本で最大2年間動作する。
もう1つの特徴は、底面から凹凸をなくした点。通常のマウスは、光の照射とセンサーでの読み取りのための穴があるが、本製品はここが平らになっている。内蔵するLEDは一般的なものだが、特殊なレンズを用い、かつ底面を透過性のあるプラスチック状の素材で覆うことで、穴が無い状態でも読み取りができるようにした。また、その周囲も、摩擦が少ない特殊な部材を用い、角を落としたデザインとした。これらにより、起毛した絨毯などの上でも、引っかかることなく使うことができ、埃や毛などがセンサー部に侵入することもない。
握った時だけ動作 | 底面のセンサー部周辺は真っ平ら | 実物の底面。周辺のグレーの部分も低摩擦の特殊な素材 |
このほか、家庭ユーザーのPCの用途の6割がWebブラウジングということを考慮し、比較的上位モデルでの採用が多い、高速回転対応のスクロールホイールを搭載。ホイール手前のボタンの押下で、ホイールのクリック感ありと、クリック感のない高速回転モードを切り替えられる。また、左右のチルトにはデフォルトでブラウザの進む/戻る機能を割り当てた。
そのほかの主な仕様は、解像度が1,000dpi、スピード性能が20インチ/sec。ボタン数は5。無線は同社がアドバンスト2.4GHz帯と呼ぶデジタル方式で、操作距離は約10m。USBレシーバは小型のNanoタイプで、他の同社製製品を6台まで登録/通信できるUnifyingに対応する。
本体サイズは59.4×104.7×38.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量は134.6g(電池含む)、レシーバのサイズは14.4×18.7×6.1mm(同)。本体色はダークシルバー、ブルー、レッドの3モデルが用意される。
レッドモデル。ホイールの手前にあるのは、高速回転モードの切り替えスイッチ | シルバーとブルーモデルも用意 |
17日には、都内で製品発表会が開催。同社担当者によると、今回の光学センサー周りの開発には1年の年月がかかったという。質疑応答では、使っているうちに読み取り部付近に傷ができて、性能が劣化するのではとの質問が出たが、本製品は3年間の保証があり、少なくともその期間は問題なく利用できるだけの品質を確保しているという。
竹田芳浩社長 |
また、発表会では同社代表取締役社長の竹田芳浩氏が同社の沿革について説明した。
同社親会社のLogitech Internationalは1981年にスイスで設立。日本法人は1988年に設立されたが、すでに日本にはロジテックという別の会社が存在していたため、当初はLogitech Pacificという社名にしていたが、その後まもなく現在のロジクールに変更した。
同社は2008年に通算10億台を発売したマウスで有名だが、現在ではPC周辺機器に留まらず、イヤフォンなどオーディオ製品のほか、2010年にはGoogleと協業し、Google TV向けのSTBを世界で初めて発売したりと、ビジネスの領域を拡大している。
昨年の2010年には、同社共同創業者であるダニエル・ボレル氏の母校であるスイス連邦工科大学ローザンヌ校のキャンパス内に新しい研究開発施設を開設。今回の新製品もここで開発された。
同社が初めてマウス製品を世に送り出したのは1982年。以降、この業界でさまざまな世界初をもたらしてきた。それについても改めて説明があったので、以下に写真で紹介する。
(2011年 2月 17日)
[Reported by 若杉 紀彦]