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日本マイクロソフト、平野拓也社長の社長室を公開。スタンディングデスクでの立ち会議が基本
~品川オフィス ファミリーデー 2017で同社内部も披露
2017年8月21日 18:58
日本マイクロソフトは8月21日、東京・品川の同社本社において、同社社員および家族を対象にした「品川オフィス ファミリーデー 2017」を開催した。
昨年(2016年)は、8月22日の開催を予定していたが、台風9号が関東に上陸した影響で、開催当日の午前8時前に中止が決定。今回は2年ぶりの開催となった。
6回目となる今年(2017年)のファミリーデーには、約400家族、約1,400人が参加。午前中は一時雨に降られたが、正午前から雨も上がり、多くの家族が日本マイクロソフト本社を訪れた。
日本マイクロソフトの平野拓也社長は、「最初にファミリーデーを開催したのは2011年。小さかった子供が大きくなり、ファミリーデーへの参加を卒業する一方で、新たな社員の子供たちや、次の世代の子供たちが参加してくれている。また、両親を連れてくる社員も増えている。自分の子供がどんなところで働いているのかを見たいといったケースも増えている」とし、「家族がどんなところで働いているのかを知り、Microsoftという会社を知ってもらうという点でファミリーデーは意味があるイベントだ」と述べた。
品川本社の応接フロアとなっている31階および30階に加えて、社員食堂の「One Microsoft Cafe」がある19階フロアのほか、社員が働いているオフィスの様子も公開。社員のアイデアによって用意された各種イベントを楽しんだり、子供や家族と食事をしたりといった光景が、本社内のあちこちで見られた。
例年ならば、午前10時から午後5時までの開催だったが、今年は正午から午後5時までの開催。「これまでは本社勤務の社員だけが対象だったが、地方の営業拠点の社員も対象にしており、地方からも参加しやすいように正午からの開催にした」という。
また、Microsoftという企業をわかりやすく紹介した小冊子を新たに制作し、社員の家族に事前に配布。「ファミリーデーに参加できない家族にも、Microsoftのことを知ってもらえるようにした。これは初めての試みになる」(日本マイクロソフトの平野拓也社長)という。
小冊子には、米本社の写真なども数多く掲載。公式写真だけでなく、米本社に勤務する日本人社員が撮影したオリジナルの写真も掲載したという力の入れようだ。
ファミリーデーは、回を重ねるごとに新たなアイデアの企画が行なわれており、多くの家族にMicrosoftを知ってもらおうという意識が高まっているのに加えて、昨年のファミリーデーが天候の影響で中止になったことで、より多くの社員や家族に参加してもらったり、楽しんでもらおうという思いが強く感じられたイベントになった。
12時20分からは、19階のOne Microsoft Cafeで、社員と家族を前に、平野社長が挨拶。「日本マイクロソフトのビジネスが大きく成長しているのは、日頃、一緒に働いている社員のおかげである。家族に感謝したい。今回のファミリーデーには、約1,400人が参加している。Microsoftは、Windowsの会社から、クラウド、AIの会社に大きく変貌を遂げ、さまざまなサービスを提供している。今日のファミリーデーでは、それらの一部を体験してもらえる。ぜひ、楽しんでほしい」とした。
19階のOne Microsoft Cafeでは、この日のために、子供向けやファミリー向けの特別食事メニューを用意。普段はないキッズラーメンセットや、家族が一緒に食べられるファミリーパックを注文することができた。
さらに、華道部やクライミング部、農業クラブといった社内クラブ活動の紹介やクイックマッサージ体験、レインボーブレスレットコーナーや塗り絵コーナーを用意。
また、昨年のファミリーデーでは、コグニティブサービスを活用したイベントとして、年齢を推測する「How Old Do I Look?」を体験するコーナーを用意したが、今年は、犬種を当てる「What-Dog.net」を活用。その機能を用いて、参加者の顔がどの犬に似ているかを表示するイベントに仕立てた。
31階では、HoloLens映像体験コーナーが人気。キティちゃんのアプリを使って、HoloLensにバーチャルで表示されるキティちゃんと一緒に映った映像を画面に表示。ミックスドリアリティの世界を体験することができた。
Xbox OneやWindowsでのゲーム体験コーナーでは、「FRUIT NINJA KINECT2」を使用したり、お絵書きソフトなどを活用。ジェスチャーやタッチ、ペンでプレイできるゲームの数々に、子供たちが長い列を作っていた。
さらに、毎年好評のMicrosoft IDカード製作コーナーは、今年も終日、列ができるほどの人気ぶりで、お父さんやお母さんが持つ社員証(IDカード)と同じく、顔写真と名前が入った自分の社員証を作り、子供たちは首からぶら下げて社内を回っていた。
意外な人気を集めていたのが、書道アプリの体験コーナー。Surfaceで文字を書くこのコーナーには、30分待ちの列ができており、Surfaceならではの滑らかなペン入力を楽しんでいた。
今年の目玉企画として、micro:bit互換の「chibi:bit(チビビット)」を使ったプログラミング教室を開催。LEDを光らせるプログラミングを行なった。小学校4年生以上が推奨としたが、小さな子供たちもプログラミングに積極的に挑戦していたのが印象深かった。
平野社長の社長室が公開
一方で、ファミリーデーにあわせて、日本マイクロソフトの平野社長の社長室が、報道関係者に特別に公開された。
もともとペーパーレスを実践している平野社長だけに、社長室のなかにはPCやディスプレイ以外は、なにもないというのが社長就任以来の姿だったが、3年目に入ってもその状況は変わらない。むしろ、棚が撤去されるなど、さらに、「殺風景」になったとも言える。「撮影する場所がなくてすみません」と、報道陣に謝る始末だ。
その社長室に、平野社長の肝入りで、2016年8月に導入したのが、「スタンディングデスク」である。導入からちょうど1年を経過したところだ。
ミーティング用の机は、上下に昇降する2つの机を組み合わせており、通常は、立ったまま会議を行なう高さに設定されている。つまり、社長室での会議は、基本は立ったまま行なうスタイルになっている。
平野社長によると、立ったままの会議スタイルを導入して以降、会議中に内職する人がいなくなり、全員参加型の会議が実現。「あの人が話しているので、私は聞いていよう、ということがなくなった」という。
また、ミーティング中に人が動くようになり、Surface Hubやボードの前に人が動き、説明したり、意見を言うことが増えたという。議論が活発になりながらも、会議が短時間で終わるようになったメリットもある。
そして、「立っているときのほうが、座っているときよりも、カロリーの消費量が高く。運動不足の解消にもなる」と笑う。
もう1つ、平野社長がこだわったのが、机の後ろに貼られた3枚の絵だ。これは、絵本作家のドクター・スース氏によるものだ。
同氏の絵本『Oh, the Places You'll Go!』のなかから2点、それとは別に同氏の作品から1点の絵を選んで、社長室に飾っている。
「スース氏の絵本は、米国では多くの子供がふれている。私も幼稚園のときに、この絵本に出会った。スース氏が書き溜めてきた『自分にとって大切な言葉や、人生にとって大切なこと』を表現したものであり、本質的な意味を考えれば、子供向けというよりも、大人にとって大切なことが込められている」とする。
一番左の絵は、「There's so so much to read!」。「学ぶことはいくらでもあり、『つねに学ぶ』ことの大切さを教えてくれる」というメッセージが込められている。
真んなかの絵は、子供が大きな山を引っ張っている様子を描いた「Kid, You'll move Mountains!」であり、「子供でも山を動かせるということを表現した絵。『信じること、自信を持つこと、そして大きな夢を持つこと』の大切さを訴えたもの」だという。
そして、一番右は、「They've proved they are persons, No matter how small!」。これは、『Oh, the Places You'll Go!』には収録されていない作品だが、絵のなかでは、小さな花のなかに人が住んでいる世界があり、象以外の周りの者たちは「そんなことはない」と信じていない様子が描かれている。象だけが「このなかに人が住んでいるから絶対に守る」と言い、花を守り続けている様子を描いたものだ。
この最後の絵は、スース氏が戦後に日本を訪れて、貧しいなかでも小学生たちが規律正しく生活していることに感動し、どんな状況においても小さい子供たちががんばっている姿を表現。「人の大切さを示している」という。
「これらの絵は、私の生き方、考え方のベースになっており、自分が持つ価値観とも合っている。それでいて、絵が可愛く、元気で楽しい絵になっている」というのが、平野社長が社長室に飾った理由だ。「この絵本を読むと勇気をもらえる」と語る平野社長にとって欠かすことができない絵となっている。
「それぞれの絵に示されたメッセージが、今の日本マイクロソフトにとって必要なこと」と平野社長。社長室に入ってきた社員に元気を与えるとともに、日本マイクロソフトにとって大切なメッセージを社員に伝える役割をはたしている。