やじうまミニレビュー
往年の名機を彷彿とさせるテックウインドの「キーボードPC」
~一応PC-8001mkIIと比較もしてみた
(2016/2/11 06:00)
尖ったPCが少なくなったとの嘆きの声も多くなりつつあるPC業界において、突如ダークホースとして登場し、話題をかっさらったのがテックウインドの「キーボードPC」だ。その名の通り、キーボード型のPCで、「MSXやPC8001シリーズの再来!?」などと、特に古くからのPCユーザーにウケが良かったようだ。そのキーボードPCを一般出荷に先立って試用する機会を得たので、簡単なレビューをお届けする。
なんと言っても特徴はその外観に尽きる。ぱっと見はコンパクトタイプの日本語キーボードだ。しかし、裏面を見ると、電源ボタン、ヘッドフォン端子、ミニD-Sub15ピン、Ethernet、USB 2.0×2、HDMI出力、電源端子、microSDカードスロットなど、普通のキーボードにはない端子類が並ぶ。
本体サイズは287×125×26.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約288gで、やはりコンパクトキーボードと変わらない。よくこのサイズにPCを入れ込んだものと感心するが、昨今登場したスティックPCとほぼ同様のハードウェア仕様であることを考えれば、むしろ内部には余裕すらあるのだと思われる(筐体ははめ殺しとなっており、メーカー貸出品だったので、今回分解はできなかった)。
たまたま手元に1983年発売の「PC-8001mkII」があったので、比較してみた。
PC-8001mkII | キーボードPC | |
---|---|---|
CPUクロック | 4MHz | 1,330MHz |
メモリ | 64KB | 2,097,152KB |
ストレージ | なし | eMMC 32GB |
最大表示解像度 | 640×200ドット | 1,920×1,080ドット(HDMI時) |
最大表示色数 | 8色 | 1,677万色 |
サイズ(幅×奥行き×高さ) | 440×295×96mm | 287×125×26.5mm |
重量 | 4kg | 約288g |
価格 | 123,000円 | 21,000円前後 |
こうして比較すると、30年の進化をまざまざと見せつけられる。
ネタはこれくらいにして、レビューに戻ろう。キーボード面に目をやると、左半分は一般的なキーボードとほぼ同じ。一方右半分はややキー配列が異なる。まず、スペースバーの右横には小さいながらもタッチパッドがある。これにより、別途マウスを用意する必要がないのだが、普通のキーボードにある、変換、カタカナ/ひらがな、右Ctrlなどのキーがない。また、タッチパッドの真上にある「ね」、「る」、「め」のキーは縦幅が他のキーの半分程度に圧縮されており、右Shiftの場所に「ろ」キーがある。変換キーを使う人や、かな入力の人はちょっと困るかもしれない。「\」キーも通常より一段上に押しやられており、それに伴い、F11とF12はFn+F1/F2で代用することとなる。
キータッチはやや固めで、打鍵時はカチャカチャという安っぽい音がするものの、特に不都合はなく文章入力できる。
タッチパッドはタップ操作で、左クリック、右クリック(2本指のタップ)もできるが、ボタンにはなっていないため、ドラッグアンドドロップなどの操作はやりにくい(ダブルタップ+ホールド操作によるドラッグは可能)。そこで、Fn+Altに左クリック、Fn+カタカナ/ひらがなに右クリックが割り当てられており、両手を使ってうまく操作できるようになっている。
ハードウェアの仕様は、Atom Z3735F(1.33GHz)、メモリ2GB、eMMC 32GB、Windows 10 Homeを搭載する。画面出力解像度はHDMIならフルHD(1,920×1,080ドット)、ミニD-Sub15ピンならHD(1,366×768ドット)をサポート。有線だけでなくIEEE 802.11b/g/n無線LANとBluetooth 4.0も搭載。マイクも内蔵しているので、Windows 10のCortanaの音声操作も利用できる。
参考までに簡単にいくつかのベンチマークも測定した。1世代前のAtomなので、3Dゲームなどは厳しいが、2Dベースならあまり不自由は感じない程度と言える。
スティックPC同様、電源を繋ぎ、HDMIでディスプレイと接続すれば、あとは何もいらない。実売価格は21,000円前後と、スティックPCの2倍ほどするが、おもちゃとして購入できる範囲の価格、そして本体サイズと言える。これがUSBキーボードとしても機能するとさらに面白かったのだが、手持ちのディスプレイのHDMI入力に空きがあるなら、キーボードPCを持っておくと、使いでのあるサブ機になるのではないだろうか。