西川和久の不定期コラム

東芝「dynabook T95/T」

~4K IPS液晶とSkylakeを搭載した15.6型ノート

「dynabook T95/T」

 東芝は9月3日、「dynabook」ブランドとして、Windows 10 Homeを搭載したPCを計14モデル発表、順次販売を開始した。今回はその中からノートPCとしてはハイエンドの「dynabook T95/T」が編集部より送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。

4K IPS液晶とSkylakeを搭載

 この日発表された「dynabook」は、液晶一体型5機種、スタンダードノートPC 6機種、モバイルノートPC 1機種、タブレット 2機種の計14機種。全てWindows 10搭載機だ。サイズも10.1型から21.5型までと盛り沢山。プロセッサは用途や価格帯に応じて、それぞれAtomやCeleronといったローエンドから、Core iのハイエンドまで、機種ごとに使い分けられている。

 その中で唯一Skylakeを搭載したのが、今回ご紹介する「dynabook T95/T」となる。主な仕様は以下の通りだ。

東芝「dynabook T95/T」の仕様
プロセッサIntel Core i7-6700HQ(4コア8スレッド、2.6GHz~3.5GHz、キャッシュ6MB、TDP 45W)
チップセットIntel HM170
メモリ8GB(PC3L-12800)、2スロット、最大16GB
ストレージSSHD 1TB(5,400rpm HDD+NAND型フラッシュメモリ)
光学ドライブBDXLドライブ
OSWindows 10 Home
グラフィックスIntel HD Graphics 530
ディスプレイ15.6型IPS式3,840×2,160ドット/282ppi(光沢あり)、10点タッチ対応、HDMI 2.0(最大3,840×2,160ドット/60Hz対応)
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.0
インターフェイス約92万画素Webカメラ、USB 3.0×4、ブリッジメディアスロット、音声入出力、harman/kardonステレオスピーカー、デュアルマイク、ワイヤレスマウス
サイズ/重量380.0×259.9×24.5mm(幅×奥行×高さ)/約2.4kg
バッテリ駆動時間約3.5時間
その他Office Home & Business Premium プラス Office 365サービス
税別店頭想定価格235,000円前後

 プロセッサはSkylake世代のCore i7-6700HQ。4コア8スレッドでクロックは2.6GHzから最大3.5GHz。キャッシュは6MBでTDPは45W。最近省エネ化が進んでいるノートPCだが、TDP 45Wは結構パワフルなSKUとなる。チップセットはIntel HM170。

 メモリはプロセッサの仕様上DDR4-2133/LPDDR3-1866/DDR3L-1600に対応しているが、「dynabook T95/T」では一般的なPC3L-12800を採用し、4GB×2の計8GBを搭載している。メモリスロットは2つなので空きは0。OSは64bit版のWindows 10 Homeとなる。

 ストレージは1TBのSSHD、光学ドライブはBDXLドライブを搭載。プロセッサがハイスペックなだけに、5,400rpm HDD+NAND型フラッシュメモリのSSHDは物足りない感じがするが、個人向けモデルなだけに容量を優先した形だと思われる。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 530。外部出力用にHDMIを装備している。この時の最大解像度は最大3,840×2,160ドット。ディスプレイは光沢ありの15.6型IPS式液晶パネルで、解像度は何と4Kの3,840×2,160ドットでタッチ対応だ。昨今じわじわ4K化が進んでいるのを実感する。製造ラインで1台1台カラーキャリブレーションを行ない出荷されるので色について信頼が置ける。

 ネットワークは、Gigabit EthernetとIEEE 802.11a/b/g/n/ac。Bluetooth 4.0にも対応している。その他のインターフェイスは、約92万画素Webカメラ、USB 3.0×4、ブリッジメディアスロット、音声入出力、harman/kardonステレオスピーカー、デュアルマイク、ワイヤレスマウス。このクラスになるとUSB 3.1(Type-C)が1つ欲しいところか。

 サイズは380.0×259.9×24.5mm(幅×奥行×高さ)、重量約2.4kg。バッテリ駆動時間は約3.5時間。さすがにTDP 45Wのプロセッサ、2スピンドル、4Kパネルとなると、長時間駆動は難しいようだ。

 税別店頭想定価格は、Office Home & Business Premium プラス Office 365サービス付きで235,000円前後だ。

 なお掲載した写真は、筐体の周囲にある細い保護シートを外すと元に戻すのが難しそうだったため、付けたまま撮影している。予めご了承いただきたい。

前面。液晶パネル中央上に約92万画素Webカメラ。正面側面右側にステータスLED
裏面。ネジ1本外すとメモリへ簡単にアクセスできる
左側面。電源入力、Ethernet、USB 3.0×2、BDXLドライブ
右側面。ロックポート、HDMI、USB 3.0×2、ブリッジメディアスロット
キーボードはテンキー付きJIS配列準拠106キーのアイソレーションタイプ。15.6型とフットプリントに余裕がある割に、[Enter]キー付近のキーピッチが狭くなっている
背面。色は薄目の真鍮色。ヘアライン加工などは無く、手触りはツルツルしている
斜め後ろから。15.6型としては、全体的に薄目なのが分かる
キーピッチは実測で約19mm。仕様上はキーピッチ19mm、キーストローク1.5mm
付属のACアダプタとワイヤレスマウス。ACアダプタは実測で約120×50×30mm、重量282g

 天板とパームレストは薄い真鍮色。同社の表記では「サテンゴールド」となっている。ヘアライン仕上げや細かいドットなどは無く、手触りはツルツルした感じだ。さすがに15.6型で2スピンドル、重量は約2.4kgと言うことで、持ち上げるとそれなりに重い。バッテリは固定で着脱できない。

 前面は、液晶パネル中央上に約92万画素Webカメラ。正面側面右側にステータスLED。裏はプラスティック製でネジ1つ外すとメモリにアクセスできる小さいパネルがある。左側面に電源入力、Ethernet、USB 3.0×2、BDXLドライブ。右側面にロックポート、HDMI、USB 3.0×2、ブリッジメディアスロットを配置。

 付属のACアダプタは実測で約120×50×30mm、重量282gと、このクラスとしては小さい方かも知れない。マウスはBluetoothではなく無線式だ。Blue LEDを搭載し、単3型電池1本で作動する。

 ディスプレイは15.6型で、IPS式ということもあり、発色、明るさコントラスト、視野角も良好。高品質なパネルが使われている。特に赤が映える。後述するカラーマネージメントアプリ「Chroma Tune」も搭載しており、sRGBやNativeなど、用途に応じて設定できるのも魅力的。10点タッチもスムーズだ。

 15.6型で4Kなのでかなりの精細さを想像しがちだが実際は282ppi。5型フルHDのスマートフォン(440ppi)などには及ばない。MacのRetinaディスプレイより少し高い(機種による)程度となる。

 キーボードはテンキー付きJIS配列準拠106キーのアイソレーションタイプだ。キーピッチは主要部分で実測約19mm(仕様上はキーピッチ19mm、キーストローク1.5mm)。たわみなどはないものの、15.6型でフットプリントに余裕がある割りに、[Enter]キー付近でピッチが狭くなっているキーがあるのが気になる部分。また個人差もあると思うが、これだけのサイズになると、キーボードが傾かず水平なのは入力しにくい。

 タッチパッドは物理的なボタンがない1枚プレートタイプを採用している。ストロークは深めで、押すと「ゴトゴト」といった感じの小さい音がする。タッチにも対応しているし、状況に応じて使い分ける感じだろうか。

 ノイズや発熱、振動は2スピンドルの割りに筐体に余裕があるためか十分許容範囲だ。パームレストも部分的に暖かくなったりせず良好。

 サウンドは「harman/kardonステレオスピーカー」とあるだけに、一般的な15.6型とはレベルが違う。中域中心のバランスだが、パワーも十分あり、音楽も映像も楽しめる。DTS Soundで好みのサウンドに調整可能だ。またスピーカーは、キーボード上の黒いメッシュ部分に埋め込まれていることもあり、ダイレクトに音が耳に届くため、いろいろな意味でクリアーだ。

Core i7で十分なパワーだがSSDが欲しいところ

 OSは64bit版Windows 10 Home。初期起動時のスタート画面(タブレットモード)は一画面とあっさりしている。ゲームとエンターテイメントまでが標準、以降がプリインストールだ。同社オリジナルと、一般的なストアアプリが並んでいる。

 一方デスクトップは国産機らしく賑やか。24個ものショートカットが所狭しと並び、加えて、ウィジェットの「Toshiba Places」が画面右側に配置。壁紙も高品質なパネルと分かるようなものを採用している。

 ストレージがSSHDなので、あまり期待していなかったが、SSDと同じとは言わないまでも、プロセッサの性能にも助けられ結構サクサク作動する。容量1TB/5400rpmの「TOSHIBA MQ02ABD100H」。キャッシュとしてMLC 8GBを搭載している。C:ドライブのみの1パーティションで約918.69GBが割り当てられ空きは875GB。BDXLドライブは「MATSHITA BD-MLT UJ272」。

 Wi-FiとBluetoothはIntel製で、Gigabit EthernetはRealtek製だ。TPM 2.0も搭載している。デバイスマネージャを見る限り、非常にオーソドックスな構成になっているのが分かる。

 また15.6型で解像度4Kと超解像度と言うこともあり、設定 > システム > ディスプレイの「テキスト、アプリ、その他の項目のサイズを変更する」が250%になっている。

スタート画面(タブレットモード)。ゲームとエンターテイメントまでが標準、以降がプリインストール
起動時のデスクトップ。壁紙は4Kでハイクオリティなパネルが分かるようなデザイン。ショートカットは国内メーカー製らしく24個も並ぶ
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージはSSHDで1TB/5400rpmの「TOSHIBA MQ02ABD100H」。BDXLドライブは「MATSHITA BD-MLT UJ272」。Wi-FiとBluetoothはIntel製、Gigabit EthernetはRealtek製
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約918.69GBが割り当てられている
テキスト、アプリなどのサイズ。通常、設定 > システム > ディスプレイの「テキスト、アプリ、その他の項目のサイズを変更する」は100%なのだが、4Kに合わせ250%になっている

 プリインストールソフトウェアは、ストアアプリが、「ぱらちゃんカフェ」、「楽天gateway」、「思い出フォトビューア」、「思い出フォトビューア クッキングプラス」、「TOSHIBA Media Player by sMedio TrueLink+」、「TripAdvisor Hotels Flights Restaurants」、「TruRecorder」、「TVコネクトスイート」、「シュフーチラシアプリ」、「あんしんWeb by Internet SagiWall」、「サポートに問い合わせる」など。TOSHIBA Media Player by sMedio TrueLink+はハイレゾ音源、超解像技術「レゾリューションプラス」にも対応している。

ぱらちゃんカフェ
TVコネクトスイート
TruRecorder

 デスクトップアプリは、「Corel PaintShop Pro X7」、「Corel VideoStudio X7」、「CyberLink Power2Go 8」、「CyberLink SeeQVault Player」、「DTS Sound」、「i-フィルター 6.0」、「LoiLoScope 2」、「Chroma Tune」、「SmartAudio」、「WinZip」、「ウィルスバスタークラウド」、「筆ぐるめ 22」。

 TOSHIBAフォルダに、「Bluetoothリンク」、「PCあんしん点検ユーティリティ」、「PCヘルスモニタ」、「Service Station」、「Speech Synthesis Settings」、「TOSHIBA Blu-ray Disc Player」、「ecoユーティリティ」、「システムセッティング」、「スクリーンミラーリング」、「パスワードユーティリティ」、「ペアリングツール」、「リカバリメディア作成ツール」、「画面設定ユーティリティ」。

 その他同社系は、「東芝お助けナビ」、「東芝お客様登録」、「東芝プレイスガジェット」、「動画で学ぶシリーズ」、「PC引越ナビ」、「ぱそこんで見るマニュアル」、「バックアップナビクラウド」、「ぱらちゃん」、「楽しもうフォトウィザード」、「アプリケーションの再インストール」。

 ご覧のように、スタートメニューから書き出すのも大変なほど満載だ。個人的には多過ぎる気がする。ちなみに、「ぱらちゃん」は昔からのマスコットで、いろいろなアプリに登場する。

PCあんしん点検ユーティリティ
PCヘルスモニタ
Chroma Tune
ぱらちゃんと東芝プレイスガジェット
動画で学ぶシリーズ
PC引越ナビ

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2、BBenchの結果を見たい。CrystalMark(4コア8スレッドで条件的には問題があるため参考まで)のスコアも掲載した。

 winsat formalの結果は、総合 5.5。プロセッサ 8.2、メモリ 8.2、グラフィックス 5.5、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 5.9。メモリのバンド幅は17385.33613MB/sと、DDR4ほどは出ていない。

 PCMark 8 バージョン2のHome(accelerated)2767。CrystalMarkは、ALU 74162、FPU 68016、MEM 54241、HDD 11574、GDI 15478、D2D n/a、OGL 13129。参考までにGoogle Octane 2.0は36,246(Edge)。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵なのでこれ以上にはならないものの、さすがにストレージでこの値は、4コア8スレッドのCore i7には惜しい感じだ。

 BBenchは、キーボードを付けた状態で電源オプション:バランス、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果は、バッテリの残5%で15,110秒/4.2時間。仕様では約3.5時間なので超えた形となる。ただ実際はパネルを少し明るくするので、3.5時間前後に収まるのだろう。

winsat formalコマンドの実行結果。総合 5.5。プロセッサ 8.2、メモリ 8.2、グラフィックス 5.5、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 5.9
PCMark 8 バージョン2のHome(accelerated)。2767
PCMark 8 バージョン2のHome(accelerated)/詳細。プロセッサの温度は50~80℃程度。クロックは800MHz辺りから最大の3,5GHz。意外とWritingの負荷が高い。解像度の影響だろうか
BBench。キーボードを付けた状態で電源オプション:バランス、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果。バッテリの残5%で15,110秒/4.2時間
CrystalMark。ALU 74162、FPU 68016、MEM 54241、HDD 11574、GDI 15478、D2D n/a、OGL 13129

 以上のようにdynabook T95/Tは、4K IPS液晶とSkylakeを搭載した15.6型スタンダードノートPCだ。これだけの構成でストレージがSSHDなのが惜しく、SATA SSDかM.2 SSD+大容量HDDが欲しいところだが、プロセッサの性能、ディスプレイの綺麗さ、サウンド、どれをとってもハイクオリティ。用途を問わず何にでも使えるノートPCと言える。大手メーカー製の15.6型で4K対応のスタンダードノートPCを探しているユーザーの候補になる1台だろう。

(西川 和久http://www.iwh12.jp/blog/