西川和久の不定期コラム

iiyama PC「TC8RA5.0」

~8型で約16,000円の安価なAndroidタブレット

 ユニットコムは9月18日、“iiyama PC”ブランドで8型と10型のAndroid搭載のタブレットを発表した。今回は8型の「TC8RA5.0」が編集部から送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。

税別で15,000円を切る安価な8型タブレット

 先月、税別店頭予想価格が17,000円前後の安価な7型Androidタブレットとして、Acer「Iconia One 7」をご紹介した。メーカー製としては安い方だと思ったが、今回は更に安価な8型Androidタブレットをご紹介したい。

 画面サイズ以外に大きな違いは、SoCがARMかIntelかと、ストレージのサイズが16GBか8GBか程度。にも関わらず税別で15,000円を切っている。主な仕様は以下の通り。

【表】iiyama PC「TC8RA5.0」の仕様
SoCAtom Z3735G(4コア/4スレッド、クロック1.33GHz/最大1.83GHz、キャッシュ2MB、SDP 2.2W)
グラフィックスIntel HD Graphics
メモリ1GB(DDR3L-RS 1333)
ストレージ8GB(eMMC)
OSAndroid 5.1.1(Lollipop)
ディスプレイ8型IPS式1,280×800ドット、タッチ対応
ネットワークIEEE802.11 b/g/n、Bluetooth 4.0
そのほかMicro USB、microSDカードスロット、30万画素前面カメラ/200万画素背面カメラ、音声入出力、ステレオスピーカー
センサーGPS、加速度
バッテリ駆動時間約4時間30分(3,900mAh)
サイズ/重量213×129×10mm(幅×奥行き×高さ)/約340g
通販価格14,980円(税別/送料込)

 SoCはWindowsタブレットでもお馴染みとなっているBay Trail-TのAtom Z3735G。4コア4スレッドでクロックは1.33GHzから最大1.83GHz。キャッシュは2MBでSDPは2.2Wだ。メモリは1GB/DDR3L-RS 1333。ストレージはeMMC 8GB。グラフィックスはIntel HD Graphics。ディスプレイは8型IPS式の1,280×800ドット。もちろんタッチ対応だ。ただしHDMIなど外部出力は装備していない。

 これからも分かるように、本製品ストレージさえ倍の16GBにすれば、32bit版Windows 10のシステム要件をクリアできるタブレットだが、あえて容量を抑えてAndroid 5.1.1をインストールした製品となる。

 ネットワークは、IEEE 802.11b/g/n。Bluetooth 4.0にも対応する。インターフェイスは、Micro USB、microSDカードスロット、30万画素前面カメラ/200万画素背面カメラ、音声入出力、ステレオスピーカー。センサーはGPS、加速度を搭載する。

 サイズ213×129×10mm(幅×奥行き×高さ)、重量約340g。バッテリ駆動時間は約4時間30分と、このクラスとしては短めだ。

 通販限定特価で14,980円(税別)。またほぼ同じ構成で(主にカメラの解像度が違う)10型の「TC10RA5.0」があり、こちらは通販限定特価19,980円(税別/送料込)となっている。

 少し前に1万円を切るスティックPCが出て話題になったが、ハードウェア的に大雑把に言えば、それにパネルとバッテリを搭載したと考えると、この価格はなかなか魅力的ではないだろうか。

左上に30万画素前面カメラ、左右にスピーカー。戻る/ホームボタンはソフトウェア式
背面中央付近の上にmicroSDカードスロット。右上に200万画素背面カメラ
上側面に音声出力とMicro USB。右側面に電源ボタンと音量±ボタン。下側面と左側面には何もない
付属品など。USBケーブルとUSB式のACアダプタ。出力5V/2A。サイズ約75×40×27mm(幅×奥行き×高さ、プラグなど突起物含まず)、重量54g
重量は実測で341g
Nexus 7(2013)/上との比較。たった1型の違いだが随分大きさが違う。扉の写真からも分かるように、片手で持つのは結構ギリギリ

 筐体は背面の部分は全て光沢ありのブラック、前面のパネルの外側、スピーカー用のメッシュ周辺と側面は光沢なしのブラックと使い分けられている。ただ少しチープな感じがしないでもないが、ここは妥協ポイントだろう。

 背面は中央付近の上にmicroSDカードスロット、右上に200万画素背面カメラを装備。前面は左上に30万画素前面カメラ、左右にスピーカー。戻る/ホームボタンはソフトウェア式だ。上側面に音声出力とMicro USB、右側面に電源ボタンと音量±ボタンを配置。下側面と左側面には何もない。

 Nexus 7(2013)との比較写真からも分かるように、たった1型違いでもその差は結構あり、片手で持つにはギリギリのサイズ。重量も実測で341gと少し重い印象を受ける。

 USB式のACアダプタは、入力100~240v、50/60Hz。出力は5V/2A。サイズ約75×40×27mm(同、プラグなど突起物含まず)、重量54gと、少し大きめだろうか。USBケーブルが付属し、一般的なUSBからも充電可能だ。

 ディスプレイは8型IPS式1,280×800ドット。解像度は価格相応なら仕方ない……となるが、明るさコントラスト、発色、視野角も予想以上の品質。パネルの色温度も高過ぎず低過ぎず、写真も動画も自然だ。タッチもスムーズに反応する。

 カメラに関しては、30万画素前面カメラ/200万画素背面カメラということもあり、今回は評価の対象にしていない。試したものの積極的に使う画質ではなかった。カメラアプリもAndroid標準のものなので多機能ではない。スマホで撮影しクラウド経由で流用した方がより実用的だろう。

 サウンドは左右にスピーカーがあり、また前面に付いているため音がダイレクトに耳に届きクリアだ。低音が出ないのでシャリシャリした音だが、パワーは十分あり、これだけ音量のあるタブレットは珍しい。ただ音声出力にイヤフォンを接続した時はもう一歩パワーが欲しいところだが、これはないものネダリかも知れない。

 振動やノイズはもちろん皆無。発熱は左半分(前面カメラ側)が、動画を連続再生した時に結構熱を持ったが、これは許容範囲内だろう。筐体の質感や主要部分の仕様はそれなりだが、パネルやスピーカーなど、抑えるところはきっちり抑えているのは好感が持てる。

標準アプリのみで構成されたタブレット

 Androidのバージョンは5.1.1。現在、最新版はAndroid 6.0(Marshmallow)となるが、対応しているのはNexusシリーズのみと限定されるので、そういった意味では最新版である。

 8GBのeMMCは、初期起動時約4GBの空きがある。microSDカードスロットと併用すれば、ヘビーな使い方さえしなければ何とかなると思われる。

 セットアップはメーカー固有のアカウントなどを作成する必要はなく、Android素のまま。Wi-Fiの設定とGoogleアカウントさえ入力すれば即使える状態になる。全画面キャプチャを掲載したが、ご覧のように非常にシンプルだ。

ようこそ
Wi-Fiネットワークの選択
日付と時刻
名前
タブレットの保護
Googleサービス
データレポート
ようこそ

 初期起動時のホーム画面は1画面。Googleフォルダ、Createフォルダ、Playフォルダ、「Playストア」が並び、Dockには「ハングアウト」、「Gmail」、「Chrome」、「YouTube」、「フォト」、「カメラ」を配置。これまでいろいろなAndroidタブレットを試用したが、ここまでシンプルな構成は初めてだ。あれこれない分、逆に初心者にも分かりやすいような気がする。

ホーム画面。Dockにハングアウト、Gmail、Chrome、YouTube、フォト、カメラ
Googleフォルダ。Google、マップ、Google+、連絡先、カレンダー、ニュースと天気
Createフォルダ。ドキュメント、スプレッドシート、スライド、ドライブ、Keep
Playフォルダ。Playゲーム、Playムービー、Playミュージック、Playブックス、Playニューススタンド
通知エリア。Wi-Fi/Bluetooth/機内モード/自動回転/現在地/画面のキャストのON/OFF
設定/ストレージ。空き容量約4GB
設定/タブレット情報。Androidのバージョンは5.1.1
アプリ一覧。一画面に収まっている
背景長押しでウィジェット設定。ここで壁紙の変更、ウィジェットの配置などが行なえる

 プリインストールのソフトウェアは、「カメラ」、「カレンダー」、「スプレッドシート」、「スライド」、「ダウンロード」、「ドキュメント」、「ドライブ」、「ニュースと天気」、「ハングアウト」、「フォト」、「マップ」、「時計」、「設定」、「電卓」、「連絡先」、「Chrome」、「Gmail」、「Google」、「Google+」、「Google設定」、「Keek」、「Playゲーム」、「Playニューススタンド」、「Playストア」、「Playブックス」、「Playミュージック」、「Playムービー」、「Wallet」、「YouTube」。

 ストレージの容量を考慮し標準アプリのみで構成されたのだろうが、他社製のプリインストールは一切ない。多くのAndroidタブレットは、標準アプリに加え、多くのプリインストールアプリがあり、機能的に重複するなどある意味“カオス”になっている。そういった意味では個人的にはこちらの方が好み。自分が使いたいアプリだけPlayストアからインストールすれば済むからだ。

ウィジェット1/5
ウィジェット2/5
ウィジェット3/5
ウィジェット4/5
ウィジェット5/5

 ウィジェットは、「アナログ時計」、「おすすめのコンテンツを楽しむ」、「カレンダー」、「サウンド検索」、「デジタルクロック」、「ドライブ」、「ドライブのショートカット」、「ドライブのスキャン」、「ニュースと天気×4」、「ハングアウト」、「ブックマーク×2」、「ミュージックプレイリスト」、「経路を検索」、「書籍」、「設定をショートカットとする」、「Gmail」、「Gmailのラベル」、「Google Keep×2」、「Google Now」、「Google Playニューススタンド」、「Google Playブックス」、「Google Playミュージック×2」、「Google+ユーザーの場所」、「Google+投稿」、「Play-マイライブラリ」。

 普段の原稿であれば、これ以降は、機種固有のアプリなどを挙げるのだが、この「TC8RA5.0」には先に書いた通り、一切プリインストールされていない。ハードウェアも含め、かなり割り切った(振り切った)仕様だ。

Nexus 7(2013)より速く十分実用的

 ベンチマークテストは、AnTuTuベンチマークの結果を掲載した(カッコ内はNexus 7(2013)/5.1.1)。

 結果は、総合 31026(27409)。Multitask 4390(4313)、Dalvik 3728(2858)、CPU Int 3044(2382)、CPU Float 3099(2503)、CPU Single-thread Int 1631(1686)、CPU Single-thread-Float 1820(1533)、RAM Operation 2204(1319)、RAM Speed 2196(997)、2D 1436(1647)、3D 5878(6696)、I/O Storage 935(835)、I/O Database 665(640)。

 CPU Single-thread Intとグラフィックス以外はNexus 7(2013)より速いという結果となった。とは言え、RAMスピードが倍近く違うこともあり、実際操作した感じは明らかに1ランク上のクラスだ。

 参考までにGoogle Octance 2.0の結果は5820。Nexus 7(2013)が3256。これは一般的なAtom搭載Windowsタブレット(対IE比)よりも速く、JavaScriptを多用する今時のサイトも問題なくアクセスできる。

AnTuTuベンチマーク1/2。総合 31026。Multitask 4390、Dalvik 3728、CPU Int 3044、CPU Float 3099、CPU Single-thread Int 1631、CPU Single-thread-Float 1820、RAM Operation 2204、RAM Speed 2196、2D 1436、3D 5878、I/O Storage 935、I/O Database 665
AnTuTuベンチマーク2/2。ランキングとしては最下位
Google Octane 2.0は5820

 バッテリ駆動時間は、音量・輝度50%に設定し、Wi-Fiを使いYouTubeを全画面で連続再生したところ、4時間50分で電源が落ちた。若干長めだが、ほぼ仕様通りだと言って良い。

 同クラスと比較して短いものの、音量・輝度50%の状態は、結構明るく、またシャリシャリしている音だが、手に持って観れる位置からだと音量は十分あるため、実際使った時も同じ程度の駆動が可能だ。

 以上のようにiiyama「TC8RA5.0」は、8型IPS式1,280×800ドット、Atom Z3735G/1GBメモリ/8GBストレージを搭載したAndroid 5.1.1タブレットだ。AnTuTuベンチマーク上は、最近の機種と比較して最下位になっているものの、Nexus 7(2013)よりは速く、実用的な速度は十分確保されている。またシャリシャリ鳴るとは言え、フロントに設置されたステレオスピーカーや、パネルの品質も魅力的だ。

 バッテリ駆動時間が短めなのは気になるが、仕様内で欠点らしい欠点も見当たらない。安価で実用的なAndroidタブレットを探しているユーザーにお勧めの1台と言えよう。

(西川 和久http://www.iwh12.jp/blog/