西川和久の不定期コラム
日本エイサー「Iconia One 7」
~17,000円前後の安価な7型Android 5.0タブレット
(2015/9/30 06:00)
日本エイサーは9月16日、7型でAndroid 5.0を搭載したタブレットを発表、18日から販売を開始する。税別価格が17,000円前後と気軽に購入できるタブレットだ。編集部から実機が送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。
安価な7型タブレット
筆者はAndroidタブレットに関しては、相変わらず7型のNexus 7(2013)を使っている。品番からも分かるように発売は2013年(8月)。SoCにSnapdragon S4 Pro APQ8064(Snapdragon 600のダウンクロック版)を搭載し、解像度は1,920x1,200ドット、メモリ2GB、ストレージは16GBである。
ほぼ2年前のモデルだが、仕事が終わりPCをオフにした後は、これかiPhone 6 Plusで過ごしていることが多い。もともとAndroid 4.3でリリースされたが、現在は5.1.1となり、物凄く速いわけではないものの、普通に使えるレベルなので、現在も利用中だ。
今回届いた日本エイサー「Iconia One 7」は、Nexus 7(2013)を少しダウングレードした雰囲気のタブレットだ。仕様的にはNexus 7(2012)により近く、ハイスペックを追及せず、安価で広く一般をターゲットにしたモデルと言えよう。主な仕様は以下の通り。
【表】日本エイサー「Iconia One 7」の仕様 | ||
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SoC | MediaTek MT8127(クアッドコア/1.3GHz) | |
メモリ | 1GB | |
ストレージ | 16GB(eMMC) | |
OS | Android 5.0 | |
ディスプレイ | 7型IPS式1,280×720ドット、タッチ対応 | |
ネットワーク | IEEE802.11 b/g/n、Bluetooth 4.0 | |
その他 | Micro USB、microSDカードスロット、30万画素前面/200万画素背面カメラ、音声入出力 | |
センサー | GPS、加速度 | |
バッテリ駆動時間 | 約9時間(1セルリチウムポリマー/3,520mAh) | |
サイズ/重量 | 107×193×9.9mm(幅×奥行き×高さ)/約285g | |
税別店頭予想価格 | 17,000円前後 |
SoCはMediaTek MT8127。クアッドコアでクロックは1.3GHz。後述するAnTuTu BenchmarkによるとGPUはMali-450MPとなっている。このSoC自体は、2014年6月に発表され、当時としてはミッドレンジモデル用の位置付けだ。この名前で検索すると多くのタブレットに採用されており、実績があるのが分かる。メモリは1GB/DDR3L、ストレージは16GBのeMMC。OSは32bit版のAndroid 5.0を採用している。
ディスプレイは、光沢ありの7型IPS式1,280×720ドット。もちろんタッチ対応だ。外部出力は非搭載。解像度が1,280×800ドットではなく1,280×720ドットと言うのが少し微妙かもしれないが、この点はコストとの兼ね合いもあるだろうが、少し幅が狭くなるので持ちやすいという側面もある。
インターフェイスは、IEEE802.11 b/g/n、Bluetooth 4.0、Micro USB、microSDカードスロット、30万画素前面/200万画素背面カメラ、音声入出力。センサーはGPS、加速度を搭載する。カメラの解像度がどちらもかなり低いが、経験上、スマートフォンがある場合、このクラスのタブレットでカメラを使うことはまずないので実用上問題はないだろう。
バッテリは1セルの1セルリチウムポリマー/3,520mAhで、駆動時間は最大9時間。サイズは107×193×9.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約285g。7型だけにさすがに小さくて軽い。カバンなどへ入れても邪魔にならずどこへでも持ち運べる。
税別価格は17,000円前後。これらのスペックからも分かるように、広く一般に向けての製品だ。スペックを語ったり、ベンチマークテストを競うモデルではない。
筐体はオールブラック。背面に荒いメッシュが入っている。プラスチック製なので、高級感は乏しいものの、多くの7型タブレットと同レベルだ。Nexus 7(2013)との比較写真をご覧になって欲しいが、幅/奥行共に1cm近く差があり、片手扱うのは本機の方が楽だろう。
同社の製品ページには前面がホワイト、背面がシアンの写真もあるが、カラーバリエーションはブラックのみとなる。写真にあるモデルも可愛い感じなので、ラインナップとしては欲しいところか。
上側面にMicro USBと音声出力、右側面に電源ボタンと音量±ボタンを配置。左側面と下側面には何も無い。付属のUSB式ACアダプタは、サイズ約35×35×25mm(幅×奥行き×高さ)、重量31gと非常にコンパクトだ。
7型IPS式のパネルは明るさ、コントラスト、視野角共に良好。特に赤が綺麗で、このクラスの液晶パネルも随分良くなったと感心するほど。タッチもスムーズ。また思ったほど文字のジャギーも目立たない。タブレットに限らないが、いくら高性能でもパネルのクオリティが低いと使う意欲が一気に低下する。このパネルなら十分以上で、写真も映像も楽しめる。
前面30万画素/背面200万画素のカメラは、設定でコラージュ画像/撮影モード/シーン/エフェクト/ホワイトバランス/タイマー/EV/ISO/測定モード/画像調整/スケール/解像度/シャッターをタッチなど細かく調整可能にはなっているものの、いかんせんメインの背面カメラでさえも200万画素と言うこともあり、今回は作例を掲載していない。
振動やノイズはもちろん皆無。発熱は縦位置で上付近が少し暖かくなる程度だ。サウンドは、スピーカー出力は取りあえず鳴るレベル。音声出力にイヤフォンを接続してもパワー不足でレンジも狭い。この点はNexus 7(2013)でも同じなので、特別音質に特化したデバイスでない限りおおむね同じ傾向だろう。
以上のように、価格を考えると、カメラ以外は十分納得できる内容であり完成度は高い。カメラは他のタブレットでも書いているが、スマートフォンのカメラの方が全般的に扱いやすく、また性能がいいため、あえてタブレットで撮影する必要もなく、個人的にはマイナスポイントとは思っていない。
癖のないAndroid 5.0搭載機
Androidのバージョンは5.0(正確には5.0.1)。16GBのeMMCは、合計容量11.78GBあり、初期起動時約10GBの空きがある。microSDカードスロットもあるので併用すれば、容量的に困ることはないだろう。
セットアップ時の画面を掲載したので参考にして欲しいが、サインインでAcer IDの項目が出る以外は素のAndroid 5.0とあまり変わりはない。
初期起動時のホーム画面は2画面。結構あっさりしている。ドックには「Playストア」、「カレンダー」」、「Gmail」、「ギャラリー」、「カメラ」、「Chrome。1画面目に設定」、「YouTube」、「システムドクター」、「日本エイサー BYOCフォルダ」、「Iconia Suiteフォルダ」、「Googleフォルダ」、「2画面目にBooking.com」、「Evernote」、「Dropbox」、「Games」を配置。若干素のAndroidとは動きが違う部分もあるが、あまり癖も無く、素直に扱える環境だ。
プリインストールのソフトウェアは、「カメラ」、「カレンダー」、「ギャラリー」、「システムドクター」、「ダウンロード」、「ドライブ」、「ハングアウト」、「フォト」、「マップ」、「メール」、「音声検索」、「時計」、「設定」、「電卓」、「翻訳」、「連作先」、「abFiles」、「abMusic」、「abPhoto」、「日本エイサー Portal」、「ASTRO」、「Booking.com」、「Chrome」、「Dropbox」、「Evernote」、「EZ Gadget」、「EZ Note」、「EZ Snap」、「Games」、「Gmail」、「Google」、「Google+」、「Google設定」、「McAfee Security」、「OfficeSuite」、「Playゲーム」、「Playニュース」、「Playストア」、「Playブックス」、「Playミュージック」、「Playムービー」、「YouTube」だ。
Android標準アプリを除くと、あまりアプリが入っていない方だろうか。abPhotoなどab系アプリは、Acer IDもしくはFacebookやGoogleアカウントでログインするクラウド対応のアプリ群だ。PCにも対応しているので便利にデータを共有できる。
ウィジェットは、「アナログ時計」、「おすすめのコンテンツを楽しむ」、「カレンダー」、「デジタルクロック」、「ドライブ」、「ドライブのショートカット」、「ドライブのスキャン」、「ハングアウト」、「フォトギャラリー」、「ブックマーク×2」、「ミュージックプレイリスト」、「メール」、「メールフォルダ」、「経路を検索」、「書籍」、「設定をショートカットとする」、「電源管理」、「翻訳」、「連絡先」、「abMusic」、「ASTROファイルマネージャ」、「Booking.com」、「Dropboxフォルダ」、「Evernoteのショートカット」、「Gmail」、「Gmailのラベル」、「Google Now」、「Google Playニューススタンド」、「Google Playブックス」、「Google Playミュージック×2」、「Google+ユーザーの場所」、「Google+投稿」、「Googleアプリ」、「OfficeSuite最近の履歴」、「Playマイライブラリ」、「Playストア」。
システムドクターは、システム分析をしてメモリの空き容量やストレージの空き容量などを増やすツール。EZ NoteはEvernote的なアプリと書けば分かりやすいだろうか。EZ Snapは、指3本使ってのジェスチャーで画面キャプチャが撮影できるツール(電源と音量-ボタンでも撮影可能)、EZ WakeUpは2スリープから2回タップで復帰や定義したアプリを起動できる。
EZ Gadgetは、ウィジェット感覚でカレンダー/ブラウザ/電卓/メモを使えるアプリだ。ただ、先のab系アプリやEZ Noteなども含め、ウィジェットやGoogle、Evernoteなど機能的に重複するアプリがあり、個人的にはスッキリしない。このカオス感がAndroid的とも言えるのだが……。
Nexus 7(2013)より少し劣る性能か
ベンチマークテストは、AnTuTuベンチマークの結果を掲載した。カッコ内はNexus 7(2013)/5.1.1の結果で、こちらも合わせて参照されたい。
結果は、総合 22461(27409)。Multitask 2887(4313)、Dalvik 2075(2858)、CPU Int 1668(2382)、CPU Float 1648(2503)、CPU Single-thread Int 1187(1686)、CPU Single-thread-Float 1000(1533)、RAM Operation 1146(1319)、RAM Speed 1765(997)、2D 1766(1647)、3D 5791(6696)、I/O Storage 879(835)、I/O Database 650(640)。参考までにGoogle Octance 2.0の結果は2472。Nexus 7(2013)が3256。
ほとんどの項目でNexus 7(2013)には負けているものの、RAM Speedや2D、I/O Storage、、I/O Databaseは若干速い。実際操作してもNexus 7(2013)より大幅に遅いイメージはなく、普通に使うことができる。Nexus 7(2013)比でザックリ約80%程度の能力だろうか。ネットや写真、動画を観る的な用途であればストレスもなく扱えるだろう。
バッテリ駆動時間は、輝度50%/音量50%に設定し、ローカルのHD動画を繰り返し再生したところ、ちょうど9時間で電源が落ちた。仕様通りだ。
以上のように日本エイサー「Iconia One 7」は、7型IPS式1,280×720ドットのパネルを採用し、MediaTek MT8127を搭載したAndroid 5.0タブレットだ。特筆する部分はないものの、仕様内でうまくまとめられている。
安価で気軽に持ち運べるAndroidタブレットを探しているユーザーの候補になりうる1台と言えよう。