西川和久の不定期コラム
マウスコンピューター「m-Tab iCE1000WN-BG」
~BTキーボード付き10.1型Windows 2-in-1
(2014/9/6 00:30)
8月27日マウスコンピューターは、Bluetoothキーボード付属で59,800円(税別)10.1型Windows 2-in-1タブレットを発表、即日販売を開始した。編集部から実機が送られてきたので試用レポートをお届けしたい。
SoCはBay Trail-MのCeleron N2807を採用
実機が届いたときの第一印象は「どこかで見たような……」。調べたところ、4月に掲載したiiyama PC「10P1000-C-VG」とキーボードも含めそっくり。スペック上はSoCがCeleron N2807かCeleron N2806かが唯一の違いだ。
当時の記事は「Build 2014で、IoT用のWindowsと9型未満の画面を持つデバイスに関しては、OEMのライセンス料を0円にするという発表があった。(中略)今回ご紹介する「10P1000-C-VG」は、残念ながらこれには該当せず、パネルサイズは10.1型……」と書いていたが、結局Windows 8.1 with Bingという形で10型クラスにも0円モデルが適用されるにいたり、m-Tab iCE1000WN-BGはその恩恵にあずかっている。主な仕様は以下の通り。
マウスコンピューター「m-Tab iCE1000WN-BG」の仕様 | |
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プロセッサ | Celeron N2807(2コア2スレッド、クロック1.58GHz/バースト時2.16GHz、キャッシュ1MB、SDP 2.5W) |
メモリ | 2GB(PC3-10600 DDR3L) |
ストレージ | eMMC 64GB |
OS | Windows 8.1 with Bing(64bit) |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics、Micro HDMI |
ディスプレイ | 光沢タイプ10.1型(1,280×800ドット)、10点タッチ対応 |
ネットワーク | IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0+LE |
インターフェイス | Micro USB2.0(充電用兼)、microSDカードリーダ、音声入出力、前面100万画素/背面500万画素カメラ |
センサー | 環境光センサー、電子コンパス、加速度センサー、ジャイロスコープ |
サイズ/重量 | 約258×172.6×10.9mm(幅×奥行き×高さ)/約690g |
バッテリ駆動時間 | 約4.5時間 |
その他 | Bluetoothキーボード付属、Office Home and Business 2013搭載 |
価格 | 59,800円(税別) |
SoCは先に書いた通りBay Tail-MのCeleron N2807。2コア2スレッドでクロックは1.58GHz。バースト時2.16GHzまで上昇する。キャッシュは1MB、SDPは2.5W。
メモリは2GB、ストレージはeMMCで64GB搭載。OSは64bit版のWindows 8.1 with Bingだ。
グラフィックスはSoC内蔵のIntel HD Graphics。外部出力用にMicro HDMIも装備。ディスプレイは、光沢タイプの10.1型、解像度は1,280×800ドットで、10点マルチタッチにも対応。
インターフェイスは、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0+LE、Micro USB2.0(充電用兼)、microSDカードリーダ、音声入出力、前面100万画素/背面カメラ500万画素カメラ。センサーは環境光センサー、電子コンパス、加速度センサ、ジャイロスコープを内蔵している。
サイズは約258×172.6×10.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約690g。バッテリ駆動時間は約4.5時間とこの手の製品としてはやや短い。この点は後半のベンチマークテストで検証してみたい。
このほかBluetoothキーボードが付属し、Office Home and Business 2013を搭載して、価格は59,800円(税別)だ。キーボード込みの10.1型Windowsタブレットがこの価格はなかなか魅力的だろう。
筐体は厚みや重量も含め一般的な10.1型タブレットと言った感じで特に良くも悪くも無い。前面中央上部に100万画素の前面カメラ、下にWindowsボタン。左側面に音量±ボタン、音声入出力、Micro USB、Micro HDMIを装備。Micro USBは充電用を兼ねており、ホストモード変換ケーブルやUSB Hub接続すると充電できない。右と下側面には何もなく、上側面に電源ボタンを配置。
背面は中央上やや右寄りに500万画素背面カメラ、右下にmicroSDカードスロット、左下のメッシュの部分にスピーカーがある。これからも分かるようにサウンドはモノラル。最近では7~8型のタブレットでもステレオになっているので惜しいところか。
USB式のACアダプタはサイズ約43×43×26mm(プラグ含まず)、重量47g。PCなど一般的なUSBポートからでも充電可能なため、いざとなればどこでも充電可能だ。
10.1型1,280×800ドットの液晶パネルは、発色/コントラストは良好だが最大輝度は若干暗いように思える。視野角はやや広め。少し角度があっても普通に見ることができる。画素密度が149.45ppiなので文字などはそれなりにジャギーが出る。
ノイズや振動は皆無。発熱は長時間使っていると左側が若干暖かくなるものの、熱いというレベルではないので気にならないだろう。サウンドは先に書いた通り、スピーカーがモノラルと言うこともあり、とりあえず鳴るレベル。本格的に楽しむならBluetooth接続などの外部スピーカーが欲しいところだ。
500万画素の背面カメラのサンプルを1枚掲載した。カメラアプリの機能としては、露出補正とタイマーのみとシンプルだが、ご覧のように意外とマクロに強い。ただしこれだけ明るくても、手ぶれ補正がなく、加えて筐体が大きいため、手ぶれしやすい。メインカメラとして使うのは難しいだろう。
付属のBluetoothキーボードは重量414g。本体の678gに対して比率的に重く、2つ合わせると1kgを超えてしまう。バッテリ内蔵型で、左側面にあるMicro USBポートから充電する。キーピッチは主要キーで約18mmだが、重い分しっかり作られており、たわむようなことはない。タッチパッドは、1枚板タイプで、感度も良く使いやすい。ペアリングしたところデバイス名は「KT-1332 Bluetooth Keyboard」となっていた。
普段はキーボードカバー、折り畳むとスタンドになる仕掛けは面白いものの、角度が固定される上、本体のキーボード手前からスタンドの端までで約32cmと、奥行きが結構あり、例えば新幹線のテーブルなど奥行があまりないところだと(調べたところN700系は約24cm)使いにくいかも知れない。
ライトな用途ならパフォーマンス的に不満無し
OSは64bit版のWindows 8.1 with Bing。少し前からBay Trail-Tに関しては64bit版でもInstantGoが使えるようになったが、Bay Trail-Mに関してはまだなのだろうか、InstantGoには非対応だ。
スタート画面は2面。楽天gateway以降がプリインストールアプリとなる。Huluの下の橙色のボックスは、Office Home and Business 2013のセットアッププログラムだ。初期起動時のデスクトップは同社お馴染みの壁紙。左側に6つショートカットが並んでいる。タスクトレイに常駐しているのは、Control Center、VIA HD VDeck、Intel HD Graphics Control Panelといったツール系となる。
ストレージはHynix HCG8e。実質1パーティションでC:ドライブに約42.93GB割り当てられ、空きは27.2GB。回復パーティションに14.65GBも割当てられているのは、容量が少ないだけに痛いところ。Wi-FiとBluetoothデバイスは、どちらもRealtek製が使われていた。
インストール済みのソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「Fresh Paint」、「Hulu」、「LINE」、「NAVITIME」、「OneNote」、「R25 for Windows 8」、「Yahoo!天気・災害」、「じゃらん」、「ホットペッパーグルメ」、「ムビチケ」、「楽天gateway」。特徴的なアプリが無いため画面キャプチャは掲載していない。
デスクトップアプリは、「楽しもうフォトウィザード」と、IntelやVIAのツール類となる。先に書いたように、Officeはインストールされておらず、セットアッププログラムを使ってユーザーがインストールする仕様だ。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2、BBenchの結果を見たい。CrystalMarkのスコアも掲載した(2コア2スレッドで条件的には問題ない)。Celeron N2806を搭載したiiyama「10P1000-C-VG」のスコアを括弧内に並記している。
winsat formalの結果は、総合 3.3(3.3)。プロセッサ 4.7(4.4)、メモリ 5.5(5.5)、グラフィックス 3.3(3.3)、ゲーム用グラフィックス 3.6(3.6)、プライマリハードディスク 6.9(6.6)。PCMark 8 バージョン2は1076(822)。CrystalMarkは、ALU 12586、FPU 12268、MEM 15528、HDD 21179、GDI 4905、D2D 1815、OGL 3299。参考までにGoogle Octance(デスクトップ版IE)は4231(3873)となった。
Clelron N2807とN2806の違いは、winsatを見る限り、プロセッサのみ+0.3。ストレージを除き他は全く同じだ。PCMark 8 バージョン2とGoogle Octanceも若干上がっている。バースト周波数が2.16GHzか2GHzの違いがそのまま出ているようだ。
実際の使用感は、IEなどのレンダリング速度は不満なく、Windowsストアアプリも表示が主なものに関してはストレスなく扱える。筆者が普段使っているSurface 2(Google Octance 3640)より若干速い感じだ。
BBenchは省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、WiFi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で19,560秒/5.4時間。スペック上の最大約4.5時間より約1時間長い結果となった。ただバックライト最少は暗いので、実際はもう少し短くなると思われる。いずれにしても1日使うのは厳しそうだ。
以上のようにm-Tab iCE1000WN-BGは、10.1型1,280×800ドットのパネルを搭載したWindowsタブレットだ。SoCがBay Tail-MのCeleron N2807なのであまり性能は高くないものの、カジュアルな用途では問題無く、加えてSurface 2のWindows RTとは違いフルのWindowsが使える意味は大きい。
バッテリ駆動時間がBBenchで5.4時間と短いのは気になるが、安価にOfficeが使える10型のタブレットを探しているユーザーの候補となりえる1台だ。