西川和久の不定期コラム
マウスコンピューター「MB-V800S-SH」
~新世代CPUとGPUを搭載した15.6型ノート
(2013/6/10 00:00)
マウスコンピューターは6月2日、Core i7-4700MQとGeForce GTX 765Mを搭載した15.6型2スピンドルのノートPC「MB-V800S-SH」を発表した。編集部から実機が送られて来たので試用レポートをお届けする。CPUとGPUどちらも筆者が扱うのは初と言うこともあり楽しみながらテストだ。
Core i7-4700MQとGeForce GTX 765Mを搭載し、初が2つの15.6型2スピンドル
本機の最大の特徴は、CPUに6月2日にIntelが発売したばかりの、コードネームHaswellとして呼ばれていた第4世代のIntel Core i7-4700MQを採用する点だ。4コア8スレッドで、クロックは2.4GHz。Turbo Boost時に3.4GHzまで上昇する。
チップセットはHaswellをサポートするIntel HM86 Expressを採用。Intel HM76 Expressと比較すると、SATA 6Gbpsサポートのポート数が2基から4基に増え、TDPが4.1Wから2.7Wに低下しているのがトピックだと言える。メモリは4GB×2の計8GB搭載。スロットは2つで空きは0となる。OSは64bit版Windows 8。
ストレージは、SSDにSamsung SSD 840シリーズの120GB、HDDは1TBを搭載している。システムの高速性とデータ領域の大容量性を両立させた形だ。光学ドライブはDVDスーパーマルチドライブを装備している。主な仕様は以下の通り。
プロセッサ | Core i7-4700MQ (4コア/8スレッド、2.4GHz/ Turbo Boost:3.4GHz、 キャッシュ6MB、TDP 47W) |
---|---|
メモリ | 8GB DDR3L-1600 (4GB×2) |
チップセット | Intel HM86 Express |
ストレージ | HDD 1TB+SSD 128GB(Samsung SSD 840 シリーズ) |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
OS | Windows 8(64bit) |
ディスプレイ | 15.6型液晶ディスプレイ(非光沢)、 1,920×1,080ドット、ミニD-sub15ピン、HDMI出力 |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4600、 NVIDIA GeForce GTX 765M/2GB |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、 Bluetooth 4.0+LE |
その他 | USB 3.0×2、USB 2.0×1、 USB 2.0/eSATAコンボ×1、Webカメラ、 カードスロット、音声入出力 |
サイズ/重量 | 374×250×16.3~42.7mm(幅×奥行き×高さ)/約2.8kg |
バッテリ駆動時間 | 最大約4.6時間 |
直販価格 | 119,700円 |
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4600と、NVIDIA GeForce GTX 765M/2GBを搭載し、Optimus Technologyによってシームレスに切り替わる。外部出力はミニD-Sub15ピン、HDMI出力を装備する。
Intel HD Graphics 4600は、第4世代プロセッサに内蔵している新タイプだが、GeForce GTX 765Mも5月30日に発表されたばかりのモバイル向け上位GPUだ。SP数768基、コアクロック最大850MHz、メモリは128bit接続のGDDR5、最大クロック4,000MHzとなる。上位にはGTX 780M/GTX 770M、下位にはGTX 760Mのラインナップもある。
液晶パネルは15.6型非光沢で、解像度は1,920×1,080ドットのフルHD。ただしタッチには対応していない。
ネットワークは有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11b/g/n。Bluetooth 4.0+LEも搭載する。その他のインターフェイスは、USB 3.0×2、USB 2.0×1、USB 2.0/eSATAコンボ×1、Webカメラ、カードスロット、音声入出力。USB 3.0が2つある上にeSATAもあるので、外部に高速なHDDを増設するのは容易だ。
サイズは374×250×16.3~42.7mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.8kg。バッテリ駆動時間は最4.6時間。HaswellはIvy Bridgeと比較すると50%ほどバッテリ駆動時間が延びるとされているので、この点については、後半のベンチマークテストで検証してみたい。
価格は119,700円と10万円を少しオーバーしているものの、内容を考えるとなかなか魅力的と言えよう。
トップカバーはヘアライン仕上げのダークブラウン。筐体も液晶パネルのフチ、キーボード、裏以外の部分で同じ色が使われている。15.6型2スピンドルと言うことでそれなりの大きさと重さだ。
左サイドにはロックポート、USB 2.0×1、音声入出力、DVDスーパーマルチドライブ。右サイドにはGigabit Ethernet、HDMI出力、USB 2.0/eSATAコンボ×1、USB 3.0×2、カードスロット。背面に電源入力とミニD-Sub15ピンを配置。
裏は大小2つのパネルを外すと、簡単にストレージやメモリへアクセス可能だ。このためメンテナンス性は良い。ACアダプタのサイズは70×145×25mm(同)、重量466g。コネクタはミッキータイプになっている。結構重量があるため、持ち運びには適さないだろう。
15.6型の液晶ディスプレイは非光沢で写り込みが無く非常に見やすい。視野角は一般的だが、十分明るくコントラストも高い。また色域が広いのか良い意味で全体的に彩度が高めだ。ただWindows 8搭載ノートPCを使っているとついついパネルをタッチしてしまうのだが、非対応なのが残念なところ。
キーボードはアイソレーションタイプのテンキー付き。中央を強く押すと若干たわむものの、気になるほどでもない。タッチパッドはボタンが物理的に分離しており、一本バータイプとなっている。またキーボード右上にある[飛行機]と[VGA]ボタンは、機内モード(Wi-Fi OFF)と、iGPU(Intel HD Graphics 4600)とdGPU(GeForce GTX 765M)を明示的に切替えるボタンとなっている。
試用した範囲で、振動は全体的に少しあり、発熱はリアとキーボード右側に若干。ノイズは特に無しと言った感じだ。システムの内容を考えると許容範囲内だろう。
スピーカーはキーボード上のメッシュの部分に埋め込まれ、サウンドの出力は十分あるものの、中高域寄りのバランスで低域が不足気味か。
第4世代Core i7とGeForce GTX 765Mでハイパフォーマンス
起動時のスタート画面は、1画面+2アプリ。フルHDの解像度なので余裕がある。デスクトップは、左側に少しのショートカットと、同社オリジナルの壁紙と、シンプルな構成だ。メモリを8GB搭載しているので動きも余裕がある。
SSDは「Samsung SSD 840 Series」の120GB、HDDは1TBで5,400rpm、キャッシュ8MBの「TOSHIBA MQ01ABD100」が使われていた。それぞれC:ドライブとD:ドライブになっており、C:ドライブは初期起動時、約96.5GB割り当てられ空き66GB。
グラフィックスは、Optimus Technologyに対応しており、Intel HD Graphics 4600と、NVIDIA GeForce GTX 765Mが2つともデバイスマネージャで見えている。Gigabit EthernetとWi-FiはRealtek製だ。
プリインストール済みのアプリケーションは、Windowsストアアプリは、「Abilie」、「Fresh Paint」、「Hulu」、「NAVITIME」、「Skype」、「SUUMO」、「Yahoo!オークション」、「クックパッド」、「じゃらん」、「ホットペッパー グルメ」、「ポンパレ」、「ムビチケ」、「楽天gateway」など、サービス系が主になっている。
デスクトップアプリは、「Sound Blaster Cinema」、「CyberLink Media Suite」、「CyberLink PhotoDirector 3」、IntelやVIA、NVIDIAなどのシステムツール系と「Control Center」。Control Center以外は特に本機固有のものは無い。
ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックス、PCMark 7とBBenchの結果を見たい。CrystalMarkの結果も掲載した(4コア8スレッドなので条件的に問題があり参考まで)。Optimus Technologyの設定は自動のまま測定した。
Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 5.9。プロセッサ 7.8、メモリ 7.8、グラフィックス 5.9、ゲーム用グラフィックス 6.7、プライマリハードディスク 7.9。PCMark 7は5728 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 70760、FPU 64021、MEM 71883、HDD 34388、GDI 20545、D2D 8171、OGL 41667。プロセッサとチップセットGPUが影響しそうな部分は、前世代よりも向上しているのが分かる。
BBenchは、省電力、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で18,581秒/5.2時間。バッテリ駆動時間は、プロセッサやチップセット以外のコンポーネントの消費電力もかなりの割合を占めるため、Haswellになったからと言って大幅に伸びるものでもないが、それでも15.6型クラスで公称値を超える5時間超えは立派な結果だと言えるだろう。
以上のようにマウスコンピューター「MB-V800S-SH」は、第4世代Core i7プロセッサとNVIDIA GeForce GTX 765Mを搭載した15.6型2スピンドルノートPCだ。ベンチマークテストから分かるようにパフォーマンスもなかなか。インターフェイスも全部入りと扱いやすい。
振動と熱が若干あるものの、そのほかは特に気になる部分も無い。最新アーキテクチャに興味のある人にお勧めしたい1台と言えよう。