西川和久の不定期コラム

ドスパラ「Note GALLERIA GM7970M」

~Radeon HD 7970M CrossFireX搭載のゲーミングノート

 ドスパラは5月16日、17.3型のゲーミングノートPCを発売開始した。Core i7とGPU 2基をCrossFireX接続で搭載したパワフルなゲーミングノートだ。編集部から実機が送られて来たので試用レポートをお届けする。

AMD Radeon HD7970M 2機をCrossFireX接続したパワフルなノートPC

 今回発表されたのは、「Note GALLERIA GM7970M」、「Note GALLERIA GM7970M Core i7-3840QM搭載」、「Note GALLERIA GM7970M Core i7-3940XM 搭載」、「Note GALLERIA GM7970M Windows8 インストールモデル」の4モデル。

 ベーシックな「Note GALLERIA GM7970M」は、239,980円で、プロセッサがCore i7-3630QM、メモリ4GB×2の計8GB、ストレージは500GBのHDDの構成だ。64bit版Windows 7 Home Premium、ディスプレイサイズ・解像度、GPUなどの仕様は全モデル共通となる。一番最後の「Note GALLERIA GM7970M Windows8 インストールモデル」は、OSをWindows 7からWindows 8へ変更したもの。

 編集部から届いたのは中でも一番ハイエンドのCore i7-3940XMを搭載したモデルだ。主な仕様は以下の通り。

ドスパラ「Note GALLERIA GM7970M」の仕様
プロセッサCore i7-3940XM(4コア/8スレッド、3.0GHz/Turbo Boost:3.9GHz、キャッシュ8MB、TDP 55W)
メモリ16GB(8GB×2/PC3-12800 DDR3 SODIMM)、4スロット(空き2)、最大16GB
チップセットIntel HM77 Express
SDD256GB
HDD1TB(5,400rpm)
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ
OSWindows 7 Home Premium(64bit)
ディスプレイ17.3型液晶ディスプレイ(非光沢)、1,920×1,080ドット、HDMI×1、DisplayPort×1
グラフィックスAMD Radeon HD7970M(2GB)×2(CrossFireX接続)
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0
その他USB 3.0×4、USB 2.0/eSATA×1、200万画素Webカメラ、マルチカードリーダ、音声入出力
サイズ/重量419×293×49.7mm(幅×奥行き×高さ)/約4.28kg
バッテリ駆動時間最大約2.5時間
価格389,980円

 プロセッサはCore i7-3940XM。4コア8スレッドでクロックは3.0GHz。Turbo Boost時3.9GHzまで上昇する。キャッシュは8MB、TDP 55Wと、ノートPC用としては同社のハイエンドとなる。チップセットはIntel HM77 Express。メモリスロットは2つあり、8GB×2の計16GBを搭載する。デュアルチャネル作動になるためシステムの高速化が期待できる。OSは64bit版のWindows 7 Home Premiumだ。

 ディスプレイは17.3型非光沢で解像度は1,920×1,080ドット。外部出力用としてHDMI×1、DisplayPort×1を備える。

 ストレージは256GB SSDと5,400rpmのHDD、光学ドライブはDVDスーパーマルチドライブを搭載。SSDはHDDのキャッシュではなく、システムにSSD、データ用としてHDDの2ドライブ構成だ。

 ネットワークは有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11b/g/n。Bluetooth 4.0にも対応。その他のインターフェースは、USB 3.0×4、USB 2.0/eSATA×1、200万画素Webカメラ、マルチカードリーダ、音声入出力。USB 3.0を4ポート搭載する上に、USB 2.0とeSATAコンボのポートが1つ。拡張性は十分以上と言えよう。

 サイズは419×293×49.7mm(幅×奥行き×高さ)、重量約4.28kg。17.3型のパネルを搭載しているだけに大きく重いのは仕方ないところ。その分、ちょっとしたデスクトップよりも高速なシステムに仕上がっている。

 そして最大の特徴は、AMD Radeon HD7970M(2GB)を2機搭載し、CrossFireX接続していることだ。AMD Radeonシリーズは、8000M/7000M/6000Mと大きく別けて3タイプあり、7970Mは最上位に相当する。単体でも強力なGPUをデュアルで使うのだから、かなりのパフォーマンスが期待できる。また、液晶パネル、HDMI、DisplayPortの3つ同時出力も可能だ。

 価格はこのモデルで389,980円。17.3型のパネル、プロセッサやグラフィックス、SSD+HDDなど、構成を考えると特別高価と言うわけでもない。カスタマイズで、メモリやストレージ、BDドライブなどの変更も可能になっている。

正面側。右側に各種ステータスLED。画面中央にWebカメラ
背面にはHDMI出力、DisplayPort、電源入力、USB 3.0を搭載
大小2枚のパネルがあり、前者はメモリ、後者はHDDにアクセスできる。右側にサブウーファー。3つのファンが大迫力だ
左側面。ロックポート、Gigabit Ethernet、マルチカードリーダ、各種音声入出力(左から2番目は光デジタル出力)
キーボードはテンキー付き。刻印などがブルーに光る。右側は指紋センサー
右側面USB 3.0×3、USB 2.0/eSATAコンボ、光学ドライブが見える
キーピッチは実測で約19mm
ACアダプタは205×110×55mm/約1.6kgと巨大だ
斜め後ろから。トップカバーはマットな感じのブラック。左右のフレームはスピーカーではなくデザイン的なもの

 天板はマットなブラック。周囲も含め素材は違うが同じトーンで揃えられている。下は大小2枚の板で覆われ、外せばメモリやストレージにアクセス可能。バッテリは下側に付けるタイプとなっている。また右側にサブウーファーがある。

 サイズ419×293×49.7mm(同)、重量約4.28kgと言うこともあり、持ち上げるとかなり重く、ノートPCと言うよりはトランスポータブルに近い。しかしながらデスクトップPCのように本体からケーブルがいろいろ出ていることもなく、さっと室内で移動するには便利だ。

 ACアダプタはサイズ205×110×55mm(同)、重量約1.6kgと巨大。ほとんどデスクトップPC向け並みだ。これだけのスペックのPCを駆動するのだから仕方ないところだろう。

 フロントは正面右側面に各種ステータスLED。左側面は、ロックポート、Gigabit Ethernet、マルチカードリーダ、各種音声入出力。音声入出力の左から2番目は光デジタルアウト。右側面は、USB 3.0×3、USB 2.0/eSATAコンボ、光学ドライブ。そしてリアには、HDMI出力、DisplayPort、電源、USB 3.0がある。

 17.3型の液晶パネルは非光沢で派手さはないが落ち着いた発色だ。明るさは最大輝度でも若干抑え目。視野角はあまり広くない。

 キーボードはテンキー付きで、刻印がブルーに光るバックライトを搭載している。キーストロークは少し深めで、ふらつかずしっかりしており、入力しやすい。タッチパッドやパームレストは、本体が大きい分、十分確保されている。タッチパッドは1枚板でボタンの換わりに左右に傾くタイプだ。

 ノイズや振動、発熱に関しては、スペックがスペック、そしてファンが3つもあるので、少々煩く熱いのではと思っていたが、試用した範囲では全く気にならなかった。ファンの回転音も筐体に耳を当てると低い音でブーンとやっと聞こえる程度。これなら深夜使っても問題にならないだろう。

 サウンドはサブウーファー付きの2.1チャンネル。THX TruStudio PROを搭載しているので好みに応じて調整可能。最大出力も十分あり、ゲームはもちろん、音楽や動画も楽しめる。ただサブウーファーが右側に付いており、カットオフ周波数が高いのか、低音が右に偏って聞こえるのが残念なところだ。

ハイパフォーマンスで飛ぶように動くベンチマークテストに驚き

 OSは64bit版Windows 7 Home Premium。起動時のデスクトップは、左側に若干ショートカットが追加されているものの、ほぼ素のWindows 7だ。

 SSDは仕様上はIntel 335シリーズ/240GBとなっているが、試作機のため256GBの「TOSHIBA THNSNH256GCST」が使われていた。HDDは1TB/5,400rpm/キャッシュ8MB/SATA 6Gbpsの「WD WD10JPVX」。C:ドライブのみの1パーティション。238GBが割当てられ、初期起動時の空きは195GBだ。

 光学ドライブは「TSSTcorp CDDVDW SN-208AB」、有線LAN、無線LANともにRealtek製が使われている。デバイスマネージャに見える2つの「AMD Radeon HD7970M」はある意味大迫力だ。

起動時のデスクトップ。左側に若干ショートカットが追加されているものの、ほぼ素のWindows 7
デバイスマネージャ/主要なデバイス。SSDは「TOSHIBA THNSNH256GCST」、HDDは「WD WD10JPVX」、光学ドライブは「TSSTcorp CDDVDW SN-208AB」。有線LAN無線LAN共にRealtek製
SSDのパーティション。C:ドライブのみの1パーティション。238GBが割当てられている

 プリインストールされているアプリケーションは、CyberLink Media Suite、PC-Doctor、THX TruStudio PROなど以外は、AMD CatalystやSynaptics Pointing Device Driverなど、各デバイス用のドライバやユーティリティとなる。基本的にゲーミングノートPCということもあり、シンプルな構成になっているのだろう。

AMD Catalyst Control Center/AMD CrossFireX
THX TruStudio PROとSoundBlaster Panel
PC-Doctor

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックス、PCMark 7とBBenchの結果を見たい。CrystalMarkは4コア/8スレッドで条件的に問題があるものの、参考までに掲載した。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 7.1。プロセッサ 7.7、メモリ 7.7、グラフィックス 7.1、ゲーム用グラフィックス 7.1、プライマリハードディスク 7.9。PCMark 7は5315 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 82830、FPU 68499、MEM 72130、HDD 43093、GDI 20218、D2D 4335、OGL 53760。

 Windows 7のWindows エクスペリエンス インデックスは最大7.9なのでかなりの高スコアだ。OGLの値は5万越えと圧巻だ。これだけのスコアを出すにはデスクトップPCでも結構ハイエンドが必要になる。

 余談になるがCrystalMarkのOGLでプロセッサが3次元的に飛んでくるシーンがある。数が少ない時、物凄い勢いで動いていた。長年このテストを行なっているが、これだけの動きはノートPCで見たことがなかったので驚いた。

 BBenchは省電力モード、バックライト最小、キーボードバックライト/オン、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で11,145秒/3.1時間。仕様上は最大約2.5時間なので30分ほど長く作動した。室内のちょっとした移動程度なら全く問題にならないだろう。

Windows エクスペリエンス インデックスは総合 7.1。プロセッサ 7.7、メモリ 7.7、グラフィックス 7.1、ゲーム用グラフィックス 7.1、プライマリハードディスク 7.9
PCMark 7は5315 PCMarks
BBench。省電力モード、バックライト最小、キーボードバックライト/オン、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果。バッテリの残5%で11,145秒/3.1時間
CrystalMarkはALU 82830、FPU 68499、MEM 72130、HDD 43093、GDI 20218、D2D 4335、OGL 53760

 以上のようにNote GALLERIA GM7970Mは、4コア8スレッドタイプのCore i7と、AMD Radeon HD7970M(2GB)2機をCrossFireX接続し、17.3型の液晶パネルを搭載したゲーミングノートPCだ。

 サイズ、重量、そして価格は、一般的なノートPCからはかけ離れているものの、パフォーマンスはノートPCの域を超えて、ハイエンドなデスクトップPCにも引けをとらない。その基本性能の高さは、ゲーム用に限らず、ハイエンドPCとしても使いたい人にお勧めしたい逸品と言えよう。

(西川 和久http://www.iwh12.jp/blog/