■西川和久の不定期コラム■
マウスコンピューターの15.6型スタンダードノートPC、「LuvBook T」シリーズがIvy Bridge搭載となった。4モデルある中、クアッドコアCPUを搭載した上位の「LuvBook LB-T510S」の実機が編集部から届いたので、試用レポートをお届けする。
●Ivy Bridgeを搭載した15.6型スタンダードノートPC
この「LuvBook T」シリーズは、仕様の違いで下位から順にCore i3-2350M/メモリ4GB/320GB HDD、Core i5-3210M/メモリ8GB/500GB HDD、Core i7-3610QM/メモリ8GB/500GB HDD、Core i7-3720QM/メモリ16GB/500GB HDDを搭載した4モデルがあり、エントリークラスのCore i3以外は、第3世代Coreプロセッサとなる。
CPU、メモリ、ストレージの容量が異なるものの、基本仕様は1,366×768ドット表示対応15.6型の液晶パネル、DVDスーパードライブ、そしてCPU内蔵グラフィックスに加え、ディスクリートGPUとしてNVIDIA GeForce GT 640Mを搭載しているのが特徴のスタンダードノートPCだ。
今回送られてきたのは、Core i7-3610QMプロセッサを搭載したタイプの「LuvBook LB-T510S」。主な仕様は以下の通り。
【表】マウスコンピューター「LuvBook LB-T510S」の仕様CPU | Core i7-3610QM(4コア/8スレッド、2.3GHz/TB3.3GHz、 キャッシュ6MB、TDP 45W) |
チップセット | Intel HM76 Express |
メモリ | 8GB(2スロット/空き0)、最大16GB |
HDD | 500GB |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
OS | Windows 7 Home Premium(64bit)SP1 |
ディスプレイ | 15.6型液晶ディスプレイ(光沢)、1,366×768ドット |
グラフィックス | CPU内蔵Intel HD Graphics 4000/GeForce GT 640M(1GB)、 HDMI出力、ミニD-Sub15ピン |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0+LE |
その他 | USB 3.0×2、USB 2.0×2、マルチカードリーダ、 音声入出力、130万画素Webカメラ |
サイズ/重量 | 376×252×34.9mm(幅×奥行き×高さ)/約2.56kg |
バッテリ駆動時間 | 最大約4.75時間 |
価格 | 79,800円(Web限定価格69,930円) |
プロセッサはCore i7-3610QM。4コア8スレッドでクロックは2.3GHz。Turbo Boost時3.3GHzまで上昇する。キャッシュは6MB、TDPは45Wとなる。チップセットは、Intel HM76 Express。メモリスロットは2つあり、4GB×2の計8GBが実装済だ。ストレージは5400rpmの500GBと、光学ドライブとしてDVDスーパーマルチドライブを装備する。
液晶パネルは光沢タイプの15.6型。HD解像度の1,366×768ドットだ。グラフィックスは、プロセッサ内蔵のIntel HD Graphics 4000に加え、ディスクリートGPUとしてGeForce GT 640M(1GB)も搭載。このGeForce GT 640Mは、ノートPC用としてはミドルクラスのGT 650Mに次ぐモデルだ。NVIDIA Optimusで必要に応じ、シームレスにそして自動的にGPUを切替える。外部出力としては、HDMI出力とミニD-Sub15ピンの2系統を持つ。
ネットワークは有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11b/g/n、そしてBluetooth 4.0+LEにも対応している。その他のインターフェイスは、USB 3.0×2、USB 2.0×2、マルチカードリーダ、音声入出力、130万画素Webカメラ。Ivy Bridgeになって必ずUSB 3.0のポートがあるのは、外付けのストレージなどの転送速度が向上するので、嬉しい限りだ。
サイズは376×252×34.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.56kg。バッテリ駆動は最大4.75時間。
価格は通常79,800円だが、この原稿を書いている最中はWeb限定特別価格があり、69,930円となっている。Core i7、GeForce GT 640Mを搭載した2スピンドルノートPCが7万円を切るとは、かなりお買い得と言えるだろう。他の3タイプは、下位から順に59,850円、66,990円、97,860円となっている。
BTOにより、メモリ、HDDやSSD、BDドライブ、Windows 7の各エディション、そしてプリインストールソフトウェアなどを選べ、柔軟な構成にも対応している。
筐体は、15.6型の2スピンドルノートPCということもあり、ノートPCとしては大きめで、重量も2.5kgを超えずっしり重い。外出時の持ち歩き用ではなく、デスクトップPC替りに室内で使うのが主な用途だと思われる。
トップカバーとパームレストなどはダークブラウン。どちらも質感は異なるが、細かいメッシュがあり指紋が付き難い。液晶パネルの周辺は光沢ブラック、その他の部分は非光沢のブラックと、飽きが来ないデザインでまとめられている。裏の大小のパネルは恐らくゴム足の下にネジがあり、それを外すとメモリやHDDにアクセスできそうだが、今回は行なわなかった。色に関してはこの1色のみでカラーバリエーションは無い。
液晶パネルは光沢タイプで映り込みがあり、発色は派手でもなく地味でもなく、ニュートラル。最大輝度は十分明るいものの、若干暗めか。視野角はクラスとしては標準的だ。
左側面には、電源入力、ミニD-Sub15ピン、Gigabit Ethernet、HDMI出力、USB 3.0×2。右側面には、DVDスーパーマルチドライブとUSB 2.0×2、音声入出力を配置。左右でUSBの3.0と2.0が分かれているので、使い分けは容易だろう。手前の側面、左側にはマルチカードリーダがある。
キーボードはアイソレーションタイプのテンキー付きだ。強く押すと若干たわむが、通常は問題無い。気になるのはスペースキーがタッチパッドの真上になく、左側にズレていること。慣れの問題だとは思うが、筆者的には使い難かった。パームレストは15.6型なので十分広い。タッチパッドのボタンは一見、パネルと一体型に見えるが、分かれており、1本のバー式となっている。
サウンドは、中域を中心とした音質で聴き易いものの、筐体サイズの割には迫力不足。最大出力も抑え目だ。もうひと頑張り欲しいところか。
●普段使いには十分な性能OSは64bit版Windows 7 Home Premium SP1。メモリ8GBに加え、ディスクリートGPUもあるため、ソフトウェアが使えるメモリ領域は結構多い。デスクトップの左側にあるショートカットは下3つがサポート系のものだ。
HDDは、500GB/5,400rpm/キャッシュ8MB/SATA 3Gbpsの「MK5059GSXP」、DVDスーパーマルチドライブは「HL-DT-ST DVDRAM GT60N」が使われていた。HDDはC:ドライブのみの1パーティションで約465GBが割当てられ、初期起動時の空きは433GB。
Wi-FiとBluetoothはいずれもRealtek製で、EthernetはAtheos製だ。その他、ディスプレイアダプターにIntel HD Graphics 4000とGeForce GT 640Mが見えている以外は、標準的なIntel HM76 Expressの構成となっている。
起動時のデスクトップ。デスクトップの左側にあるショートカットは下3つがサポート系 | デバイスドライバ/主要なデバイス。HDDは「MK5059GSXP」、DVDスーパーマルチドライブは「HL-DT-ST DVDRAM GT60N」 | C:ドライブのみの1パーティションで約465GBが割当てられている。 |
プリンストールされているアプリケーションは、「CyberLink Media Suite」、「マカフィーインターネットセキュリティ」、「Windows Live Essentials 2011」、その他デバイス用のサポートドライバ・ツールとあっさりしている。BTOでMicrosoft Office 2010、Kingsoft Office 2012も選択可能だ。
サプリメントディスクバックアップ(CyberLink ISOビューアー) | CyberLink Media Suite | NVIDIAコントロールパネル(3D設定/システム情報) |
ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとCrystalMark、BBenchの結果を見たい。
Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 5.9。プロセッサ 7.6、メモリ 7.9、グラフィックス 6.9、ゲーム用グラフィックス 6.9、プライマリハードディスク 5.9。HDDは5,400rpmなので5.9は仕方ないものの、他のスコアはなかなか良い。普段使いであれば十分な性能だ。
CrystalMarkは、ALU 70209、FPU 57755、MEM 59731、HDD 7761、GDI 17808、D2D n/a、OGL 32237。NVIDIA Optimusに対応した他社製品も同じだったが、D2Dはブラックアウトし、正常に計れていない。現ドライバとの相性だと思われる。他の部分に関しては、Windows エクスペリエンス インデックスと同じ傾向で、HDD以外は価格を考えると、コストパフォーマンス抜群。できればSSDへ変更して、更に高速化したいところ。
BBenchは、省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON、Bluetooth/OFFでの結果だ。バッテリの残5%で11,986秒/3.3時間。最大約4.75時間には届かなかったが、それでも3時間を越えた。室内での移動程度であれば全く問題無いレベルと言えよう。
以上のようにマウスコンピューター「LuvBook LB-T510S」は、15.6型の液晶パネルに、Core i7とGeForce GT640M、メモリ8GB/HDD 500GB/DVDスーパーマルチドライブを搭載した2スピンドルノートPCだ。ベンチマークテストの結果を見る限り普段使いには十分なパワーを持っている。しかもWeb限定価格は7万円未満とコストパフォーマンスは抜群。
あまりコストをかけずに何にでも使えるIvy BridgeなスタンダードノートPCを探しているユーザーの候補になりえる1台ではないだろうか。