■西川和久の不定期コラム■
製品写真 |
日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は1月19日、13.3型のUltrabook「Folio 13-1000」を発表、2月初旬から直販サイトで販売する。Core i5とSSD 128GBを搭載して価格は79,800円から。なかなか魅力的なUltrabookだ。早速編集部から量産試作機が送られてきたので試用レポートをお届けする
●うまくまとまったハードウェア
このFolio 13-1000は、米国では2011年11月17日に発表済みのモデルで、日本市場への投入が期待されていた。筆者としては「ZENBOOK UX21E」、「IdeaPad U300s」、「Aspire S3-951-F74U」に次ぐ、4台目のUltrabookのレビューとなる。
Ultrabookと言えば、何か先進的なイメージがあるものの、この「Folio 13-1000」は、同社の従来のノートPCのイメージをそのままUltrabook化したようなモデルとなっている。主な仕様は以下の通り。
CPU | Intel Core i5-2467M(2コア/4スレッド、1.6GHz/TB2.3GHz、キャッシュ3MB、TDP17W) |
チップセット | Intel HM65 Express |
メモリ | 4GB(1スロット/空き0) |
SSD | 128GB |
OS | Windows 7 Home Premium (64bit SP1) |
ディスプレイ | 13.3型光沢1,366×768ドット |
グラフィックス | CPU内蔵Intel HD Graphics 3000、HDMI出力 |
ネットワーク | IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0、Gigabit Ethernet |
その他 | USB 3.0×1、USB 2.0×1、2in1メモリカードスロット、音声入出力、92万画素Webカメラ |
サイズ/重量 | 318.5×220.2×18~20.3mm(幅×高さ×奥行き)/約1.5kg |
バッテリ駆動時間 | 最大約9時間(6セル) |
直販価格 | 79,800円から |
CPUはIntel Core i5-2467M。2コア4スレッドでクロックは1.6GHz。Turbo Boost時には2.3GHzまで上昇する。キャッシュは3MBでTDPは17Wだ。これまで触ってきたUltrabookの中では一番遅いCPUだが、普段使いならまず問題無い。
チップセットはIntel HM65 Express。メモリは1スロットで4GB搭載している。ストレージは128GBのSSD。ドライブを調べたところ「Samsung MZMPA128HMFU-000」が使われており、インターフェイスはmSATAとなる。
ディスプレイは13.3型の光沢タイプで解像度は1,366×768ドット。個人的には13.3型はもう一回り高い解像度が欲しいものの、ノートPCも含め多くのマシンがこの解像度であり、コストなどを考えると仕方ない部分だろう。グラフィックスはIntel HD Graphics 3000。外部出力としてHDMIを装備。この時の最大解像度は1,920x1,200ドットとなる。
ネットワークは、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0、そしてGigabit Ethernetを搭載している。これまで評価した3台のUltrabookは全て有線LANについては非搭載だったこともあり、ポイントは高い。その他のインターフェイスは、USB 3.0×1、USB 2.0×1、2in1メモリカードスロット、音声入出力、92万画素Webカメラ。USB 3.0も含め、必要最小限のものはキッチリ対応している。
何より評価できるのは、Gigabit Ethernetも含め全インターフェイスのコネクタが標準のものだということだ。Ultrabookの場合、どうしても薄型の形状に拘り、その結果、標準コネクタが使えなくなるケースがある。本製品のアプローチは「IdeaPad U300s」と同じで、外見は普通のノートPCっぽくなるが、実際使い出すと、操作性と言う意味ではこの方が扱いやすい。
サイズは318.5×220.2×18~20.3mm(幅×高さ×奥行き)。極端に薄くはないものの、Ultrabookとしての定義の範囲には収まっている。スペック上からは分からないが、ディスプレイ部の厚みは約5.4mmと結構薄い。ただ重量約1.5kgは、他の3機種が1.4kg以下なので、もう一頑張りして欲しいところか。
価格は79,800円。プロセッサがCore i5と言うこともありかなり安い。個人的にはこのクラスのノートPCで行なう処理で2コアタイプのCore i7には魅力を感じないため、Core i5にして価格が下がる方がありがたい。「79,800円から」となっているものの、今のところ本体の構成が変更できるわけではなく、オプションでDVDスーパーマルチドライブの追加が出来るだけとなっている。
ヘアライン加工されたアルミとマグネシウムを主とする筐体は、天板に模様なども無く非常にシンプル。光の当たり方によってはシルバーにも見えるが、実際は真鋳のような少し黄色っぽい色となる。液晶パネルのフチ、筐体の周囲、そして裏はマットなブラックで、指紋などは付き難い。
13.3型の液晶パネルは光沢タイプで十分明るい。ただ少し色が薄めでコントラストが低いだろうか。視野角は左右は広めで上下が若干狭い。
キーボードは10キー無しのアイソレーションタイプ。キーピッチは19mm、ストロークは1.7mm。強く押すと少したわむが、個人的には許容範囲でキータッチのフィーリングも悪くない。これまで触ったUltrabookの中だと、「IdeaPad U300s」に近い感じだ。配列などに関しては非常にオーソドックスで破綻しているキーは無く、ストレスを感じず入力できる。
タッチパッドは物理的なボタンが無い1枚板のタイプだ。左上の四角いドットをタップすると、タッチパッド機能のオン/オフとなる。タッチパッドのドライバはマルチタッチに対応したSynaptics ClickPad v8.1。キーボードやパームレストも含め、13.3型の筐体の中にうまくレイアウトされ使いやすいものに仕上がっている。
サウンドはまず音の抜けが良い。初めて電源ONにしてWindowsの起動音を聞いた時に驚いた部分だ。最大出力も十分。加えて「DOLBY ADVANCED AUDIO V2」を搭載していることもあり十分楽しめる。ただ、スピーカーのサイズが小さいので、低音はあまり出ない。
熱や振動、ノイズに関しては皆無で、全体的にUltrabookとしてうまくまとまっている。ただ見た目のインパクトがあまり無いため、そう言った意味からは少し損していると思う。
●Core i5だが十分な性能OSは、64bit版Windows 7 Home Premium SP1。Ultrabookと言うこともあり、起動やスリープからの復帰が一般的なノートPCより速めで、起動13秒、終了7秒、スリープからの復帰は瞬時となかなか快適に操作できる。
工場出荷時のデスクトップは写真のようにいたってシンプル。ほぼ何も無い状態だ。この時、常駐しているソフトウェアは、HP CoolSense、HP Launch Box、Norton Internet Securityなどとなる。
SSDのパーティションは、5パーティションがあるものの、実質C:ドライブのみの約104GB。初期起動時84.8GBの空きだ。BluetoothとWi-Fiモジュールは、Broadcom製。そしてUSB 3.0のコントローラはこれまで筆者としては見たことの無い「Fresco Logic USB 3.0 Host Controller」を搭載していた。
起動時のデスクトップ。ショートカットも含め、ほとんど何も無く非常にシンプル | デバイスドライバ/主要なデバイス。SSDは「Samsung MZMPA128HMFU-000」。調べたところmSATAのようだ。BluetoothとWi-Fiモジュールは、Broadcom製 | SSDのパーティション。5パーティションあるが、実質ユーザーが使えるのはCドライブの約104GBのみ |
インストール済みのアプリケーションは、同社製としては、HP Documentation、HP Security Assistant、HP SimplePass PE 2012、HP CoolSense、HP Quick Launch、HP Support Assistant、HP Setup Manager、HP Launch Box、HP Power Manager。これらのベースにHP Software Frameworkが使われており、見た目や操作性などに一貫性がある。
その他、CyberLink YouCam、CyberLink PowerDVD、Evernote、Windows Live Essentials 2011、Skype、Norton Internet Security、そして各種ドライバに対応するツール系など。一部セットアッププログラムのみがインストールされているもの含まれる。Office系のアプリケーションは搭載していない。
HP HP Launch Box | HP CoolSense | HP Power Manager |
HP Setup Manager | HP Security Assistant | DOLBY ADVANCED AUDIO V2 |
ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとCrystalMark、BBenchの結果を見たい。
Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 4.7。プロセッサ 6.3、メモリ 7.2、グラフィックス 4.7、ゲーム用グラフィックス 6.2、プライマリハードディスク 7.5。総合が低いのはIntel HD Graphics 3000なので仕方ないとして、メモリの7.2は異様に速い(過去試したUltrabookは5.9)。プライマリハードディスクはSSDなだけあって7を超える。
CrystalMarkは、ALU 26519、FPU 28892、MEM 23313、HDD 30672、GDI 10820、D2D 2160、OGL 3126。Windows エクスペリエンス インデックスでは速かったメモリに関して、こちらでは普通の結果となっている。HDDは3万以上と良好だ。
BBenchは、省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、WiFi/ON、Bluetooth/OFFでの結果。バッテリの残5%で18,527秒(5.1時間)。これまで評価したUltrabookの中では一番の長時間駆動となった。また液晶パネルの輝度を最小にしても表示は見えるため、今回の結果は実際の運用に近い数値と思われる。
以上のようにHP「Folio 13-1000」は、特に突き抜けた部分は無いものの、USB 3.0やGigabit Ethernetなどをコネクタサイズの変更をせずそのまま搭載し、13.3型としてデザインも含めうまくまとめられたUltrabookだ。Core i5に128GBのSSD構成で、価格が8万円以下になっているのも嬉しいポイント。重量が約1.5kgあるのは惜しい部分であるが、万人にお勧めできる1台と言えよう。