西川和久の不定期コラム

レノボ・ジャパン「IdeaPad U300s」
~Lenovo初の13.3型Ultrabook



 レノボ・ジャパン株式会社は11月15日、13.3型Ultrabook「IdeaPad U300s」を発表し、12月2日から出荷開始する。早速編集部から実機が送られてきたので、試用レポートをお届けする。

【11月22日訂正】記事初出自、11月25日出荷としておりましたが、レノボより発売日が延期されました。
●Lenovo初のUltrabook

 パッケージが届き、実機を取り出したところ、非常に薄く、確かにUltrabookなのだが、メタリックな感じでワンピース構成。「どこかで見たような……」と思ったところ、今年6月に掲載した18mm厚の「IdeaPad U260」と非常に良く似ており、更に薄くした感じのボディだったのだ。U260自体は第1世代のCore iプロセッサ搭載など、スペック的にはかなり差があるものの、Ultrabookの布石になっていたかも知れないと思った次第だ。

 そして同社初のUltrabookは、カラーバリエーションやストレージ容量、プロセッサなどは固定の1モデルのみ。主な仕様は以下の通りだ。

【表】「IdeaPad U300s」の仕様
CPUIntel Core i7-2677M(2コア/4スレッド、
1.8GHz/TB2.9GHz、キャッシュ4MB、TDP17W)
チップセットIntel QS67 Express
メモリ4GB
SSD256GB
OSWindows 7 Home Premium(64bit)SP1
ディスプレイ13.3型液晶ディスプレイ(光沢)、1,366×768ドット
グラフィックスIntel HD Graphics 3000、HDMI出力
ネットワークIEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 3.0
その他USB 2.0×1、USB 3.0×1、音声入出力、
130万画素Webカメラ
サイズ/重量324×216×14.9mm(幅×奥行き×高さ)/約1.32kg
バッテリ駆動時間最大約7.4時間(4セル)
店頭予想価格15万円前後

 プロセッサはIntel Core i7-2677M。2コア4スレッド、クロック1.8GHzでTurboBoost時2.9GHzまで上昇する。キャッシュはCore i5より多い4MB。TDPは17Wとなっている。チップセットは、Intel QS67 Express。メモリは4GB固定で増設はできない。SSDは256GB。

 グラフィックスはCPU内蔵のIntel HD Graphics 3000。HDMI出力を搭載する。液晶パネルは、光沢タイプの13.3型HD解像度/1,366×768ドットだ。個人的にはこのサイズの液晶パネルであれば、もう一回り高い解像度が欲しいところ。OSは64bit版Windows 7 Home Premium SP1。

 ネットワークは無線LANのIEEE 802.11b/g/nのみで有線LANは無い。その他のインターフェイスは、Bluetooth 3.0、USB 2.0×1、USB 3.0×1、音声入出力、130万画素Webカメラ。Gigabit Ethernetが無いのはNASへ接続するなどの用途で不利になるものの、USB 3.0が1ポートあるので、外部に大容量のHDDを置き、高速にアクセスすることは可能だ。この辺りは使い方にもよるので、評価ポイントに関しては個人差もあるだろう。

 サイズは324×216×14.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.32kg。少し前に掲載したASUSのUltrabook、「ZENBOOK」の厚みは11.6型モデルで3~17mm。同じUltrabookでも結構見た目の雰囲気が違い、IdeaPad U300sの方がどちらかと言えばスタンダードノートPCをギュッと厚みだけ圧縮したように見える。

 バッテリは4セルを内蔵し交換はできない。駆動時間は最大7.4時間。IdeaPadのUlrtabookとしては無いものの11.6型か13.3型か、Ultrabookはバッテリが(今のところ)固定で駆動時間が筐体のサイズに直結するだけに、機動性をとるか、駆動時間をとるか悩ましい部分となる。

 店頭予想価格は15万円前後。ASUS ZENBOOK 13.3型(1,600×900ドット)/SSD 256GBモデルの129,800円と比較すると若干高めだ。

天板。カラーバリエーションは「クレメンタインオレン」のみ。メタリックな感じでチープさは皆無正面。ASUSTeKのZENBOOKのように側面が極薄にはなっていないが、それでも十分薄い。左側面にパワーLEDなどを配置底面もトップカバーと色と質感が同じ。メモリやSSD、そしてバッテリは交換できない
左側面。USB 2.0を装備。パネルはこの角度が最大キーボードはアイソレーションタイプ。ファンクションキーはそのまま押すと機能キー、[Fn]キーとのコンビネーションでファンクションキーとなる右側面。電源コネクタ、HDMI出力、USB 3.0、音声入出力を備える
キーピッチは実測で約19mmACアダプタのコネクタはメガネタイプ。長辺約10cmと結構小さい。パッケージの中に小箱があり、簡易マニュアルなどが入っている重量は実測で1,341g

 天板はメタリックな質感の「クレメンタインオレン」。裏側も同じものが使われている。他の部分は非光沢ブラックで指紋などが目立ち難い。色の好みはあるかも知れないが、写真からも分かるように、非常にクールで美しいデザインだ。持った時のバランスも良い。

 13.3型の液晶パネルは光沢タイプで十分明るく、色乗りも良く、ハイコントラスト。視野角もそれなりに広い。5万円前後の安価なノートPCに搭載しているものより、明らかにランクは上だ。

 キーボードはアイソレーションタイプ。ストロークは浅めだが、しっかりクリック感があり、快適に操作できる。中央を強く押すと若干たわむが筆者的には許容範囲。ただ、ファンクションキーは、そのまま押すと、輝度や音量調整など機能キーとなり、[Fn]キーとのコンビネーションで従来のファンクションキーとなる。アプリケーションなどで頻繁にファンクションキーを操作する様な使い方をする場合は、少し面倒かも知れない。

 パームレスト、タッチパッドに関しては13.3型と筐体に余裕がある分、十分広い。物理的なボタンは無く、タッチパッドの手前が左右に傾く形でボタン替りになっている。Ultrabookの場合、物理的なボタンを置くと厚みが増す可能性があるので、他社も含め、この形式が増えそうな感じだ。

 ACアダプタは約10×7.5×1.5cmと小型のものが付属し、本体と一緒に持ち歩く時も邪魔にならない。ただ使用中熱を持つのが気になった。

 側面にあるUSB 2.0とUSB 3.0はもちろん、HDMI出力は標準サイズで、特殊な変換アダプタは必要無く、利便性は高い。欲を言えば、まだスペースがあるだけにSDカードリーダーがあればベストか。

 サウンドは、最大出力が十分あり音楽や映像を楽しめる。音質は中域を中心とした割とナローレンジだがバランスは悪くない。後述する「SRS Premium Sound」でいろいろ傾向を変えれるので、好みに合わすといいだろう。

 熱や振動、ノイズに関しては皆無。全体的にうまくまとまったUltrabookで、特に不満点も無く、ルックスも良好。物欲を刺激する1台だが、できればCore i5プロセッサでSSDの容量が小さい安価な下位モデル(もしくはBTO)があればベストだっただろう。

●Core i7とSSDで快適な環境

 OSは64bit版Windows 7 Home Premium SP1。グラフィックスがメモリ共有タイプなので、4GBは用途によってはメモリ不足気味になる可能性はあるものの、一般的な使い方なら大丈夫だろう。初期起動時のデスクトップは左側にショートカットが若干並ぶ以外、特別なものも無くシンプルだ。

 SSDは256GBの「JMicron 616」。コントローラ「JMF616」を採用しており、高パフォーマンスが期待できる。パーティションは4つで、ユーザーが利用できるのは実質C:ドライブの約194GB。176GB空きとなっている。

 USB 3.0ホストコントローラはルネサス製。Wi-FiユニットとBluetoothはIntel製。その他に関しては、Intel QS67 Expressを搭載したノートPCとして標準的な構成だ。

 OSの起動やスタンバイ/復帰もなかなか速く、快適に操作することができる。この使用感はUltrabookならではと言えよう。

起動時のデスクトップ。左側にショートカットが並ぶ程度で、特殊なウィジェットやアプリケーション・ランチャーなどは無いデバイスドライバ/主要なデバイス。SSDはJMicron 616。Wi-FiユニットとBluetoothはIntel製SSDのパーティション。C:ドライブ約194GB、D:ドライブ約23GBの2パーティションだが、実際にユーザーが使えるのはC:ドライブのみ

 プリインストールされているアプリケーションは、「KINGSOFT Office 2010 30日体験版」と、同社の「Lenovo YouCam」や「Lenovo Energy Management」、「OneKey Recovery」など、御馴染みのユーティリティ。割とあっさりした内容だ。セキュリティソフトに「Microsoft Security Essentials」を使っているのが少し珍しいところ。

 これまで筆者が見かけなかったものとして「Absolute Data Protect 無償期間限定版」が挙げられる。これはコンピュータを紛失した場合、リモートで個人データを削除したり、コンピュータをロックする機能を持つ。このクラスのPCを紛失すると、ショックは大きいが、個人情報の流失は食い止めることができる。

USB 3.0ホストコントローラ情報SRS Premium SoundIntel WiDi
Absolute Data ProtectOneKey Recovery 7.0Cypress TrackPad

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとCrystalMark、BBenchの結果を見たい。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 4.7。プロセッサ 6.8、メモリ 5.9、グラフィックス 4.7、ゲーム用グラフィックス 5.9、プライマリハードディスク 7.0。Core i7を搭載したノートPCとしては一般的なスコアだが、SSDだけはさすがに速い。しかし毎回思うのだが、Intel HD Graphics 3000のスコアが全体の足を引っ張っているのは、せっかく高速なプロセッサを搭載してもバランスを崩しており気になるところだ。

 CrystalMarkは、ALU 35922、FPU 38497、MEM 24091、HDD 29887、GDI 12838、D2D 2650、OGL 4062。SSDは3万近くと高速だ。

 BBenchは、Lenovo Energy Management/スーパー省エネルギー、バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、WiFi/ON、Bluetooth/OFFでの結果。バッテリの残1%で17,123秒/4.7時間。最大約7.4時間にはかなり差があるが、表示しているWebページにはFlashを使った広告が入っていたのも原因の1つだと思われる。

Windows エクスペリエンス インデックスは総合 4.7。プロセッサ 6.8、メモリ 5.9、グラフィックス 4.7、ゲーム用グラフィックス 5.9、プライマリハードディスク 7.0CrystalMarkの結果。ALU 35922、FPU 38497、MEM 24091、HDD 29887、GDI 12838、D2D 2650、OGL 4062BBench。Lenovo Energy Management/スーパー省エネルギー、バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON、Bluetooth/OFFでの結果だ。バッテリの残1%で17,123秒/4.7時間

 以上のようにLenovo「IdeaPad U300s」は、13.3型の液晶パネル、HDMI出力、USB 3.0を備えたUltrabookだ。13.3型でHD解像度、仕様的にCore i7とSSD 256GBを搭載した1モデルのみなので店頭予想価格15万円前後と、少し残念な部分はあるにはあるが、全体的にしっかり作られており好印象。魅力的なUltrabookと言えるだろう。