西川和久の不定期コラム

日本エイサー「Aspire S3-951-F74U」
〜国内初発表の13.3型HD解像度のUltrabook



 日本エイサー株式会社は11月2日、Ultrabook「Aspire S3」シリーズの下位モデルを11月10日より、上位モデルを12月中旬以降より発売すると発表。価格も事前に説明があった9月末の時点より1万円安くなり購入しやすくなった。編集部から上位モデルが送られてきたので、試用レポートをお届けする。

●同社初のUltrabook

 もともと日本エイサーは、9月27日にこのUltrabook、「Aspire S3」シリーズを11月中旬以降発売することを発表していた。このタイミングでは国内初のUltrabookだ。スペックはこれからご紹介する内容と同じだったものの、価格は上位モデルが15万円前後、下位モデルが9万円前後(オープンプライス)。そして11月2日に正確な発売日と共に価格を訂正し、冒頭に書いた様に、それぞれ1万円ずつ安くなり14万円前後と8万円前後となった。

 下位モデル「Aspire S3-951-F34C」の発売日は11月10日で既に出荷済み。そして今回ご紹介する上位モデル「Aspire S3-951-F74U」は12月中旬以降の発売となる。主な仕様は以下の通り。

【表】日本エイサー「Aspire S3-951-F74U」の仕様
CPU Core i7-2637M
(2コア/4スレッド、1.7GHz/TB2.8GHz、
キャッシュ4MB、TDP17W)
チップセット Intel UM67 Express
メモリ 4GB
SSD 256GB
OS Windows 7 Home Premium(64bit)SP1
ディスプレイ 13.3型液晶ディスプレイ(光沢)、1,366×768ドット
グラフィックス CPU内蔵Intel HD Graphics 3000、HDMI出力
ネットワーク IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0+LE
その他 USB 2.0×2、音声入出力、130万画素Webカメラ、SDカードスロット
サイズ/重量 323×218.5×13.1〜17.5mm(幅×高さ×奥行き)/約1.4kg
バッテリ駆動時間 最大約7時間
店頭予想価格 14万円前後

 プロセッサはIntel Core i7-2637M。2コア、4スレッドでクロックは1.7GHz。TurboBoost時に2.8GHzまで上昇する。キャッシュは4MBでTDPは17Wだ。チップセットは消費電力の最適化を行なったIntel UM67 ExpressでTDPは最大3.4W。どちらも長時間のバッテリ駆動には欠かせないユニットと言えよう。

 メモリは4GBを搭載し、グラフィックスはメインメモリ共有型のCPU内蔵Intel HD Graphics 3000。ディスクリートGPUほどパワーは無いものの、普段使いなら十分なパフォーマンスを持っている。ストレージは256GBのSSDだ。

 液晶ディスプレイは光沢式の13.3型HD解像度(1,366×768ドット)。外部出力としてHDMIを持っている。ネットワークに関しては、有線LANには対応せず、IEEE 802.11b/g/nの無線LANのみ。そしてBluetooth 4.0+LEを搭載している。NASなどをヘビーに使う場合は、Wi-Fiだけだと少しつらいが、この辺りは用途にもよるだろう。

 その他のインターフェイスは、USB 2.0×2、音声入出力、130万画素Webカメラ、SDカードスロット。無難な構成だができればUSB 3.0も欲しかったところか。

 サイズは323×218.5×13.1〜17.5mm(幅×高さ×奥行き)、重量約1.4kg。これまでUltrabookとしては、ASUS ZENBOOK(11.6型)とLenovo IdeaPad U300s(13.3型)を扱ったが、前者の様に先端が極端に薄いわけでもなく、と言って後者ほど均一でもなく、若干先端が薄く、後ろに行くほど厚みが増すタイプだ。バッテリ駆動時間は最大7時間。取り外しはできず本体に固定されている。

 なお下位モデルは、プロセッサをCore i3-2367M(1.4GHz)に、ストレージを320GB HDDに変更、バッテリ駆動時間約6時間の「S3-951-F34C」も用意され、店頭予想価格は8万円前後となっている。あまりバッテリ駆動時間を重視せず、ストレージ容量、そして価格を優先するなら、下位モデルの選択肢も十分に考えられる。

トップカバーと背面。ヘアライン仕上げでメタリックな感じだ。背面に電源入力、HDMI、USB 2.0×2がある 正面には何も無く、液晶パネルの下に電源スイッチ、HDDアクセスLEDなどが並ぶ 底面。ネジを外せば全体のパネルが開きそうだが、今回は試していない
左側面。音声入出力を装備 アイソレーションタイプのキーボード。右側の[Enter]や[カーソル]キー、[|\]キーなどのキーピッチが気になるところ 右側面。SDカードスロットを備える
キーピッチのほとんどの部分は実測で約19mm ACアダプタのコネクタはミッキータイプ。バッテリは本体内蔵だ 重量は実測で1,353g

 トップカバーは、アルミニウム合金が用いられ薄めのヘアライン仕上げが施されている。パームレストは、マグネシウム合金を採用。液晶パネルのフチ、そして裏もシルバー、液晶パネルと本体の間のみブラックと、全体的にクールなイメージにまとまっている。

 これまで筆者がレビューにしたUltrabookと少し違う部分は、左右と後ろのレイアウトで、左には音声入出力のみ、右にはSDカードスロットのみ。他のコネクタ関連(電源入力、HDMI、USB 2.0×2)は後ろにあることだ。電源入力とHDMIはこの位置の方が使いやすいが、USB関連の接続を頻繁に行なう場合は少し面倒かも知れない。

 液晶パネルは13.3型の光沢式。最大輝度は十分明るく、最小にしても画面の内容が見えるため、バッテリ駆動時には省エネ運用可能だ。視野角は上下左右共に良好。発色は派手過ぎず地味過ぎず、割とニュートラル。ただ液晶パネルを固定しているヒンジが弱いのか、パネル部分が重たいのか、パネル自体がちょっとした振動で微妙に揺れ続ける。特に光沢タイプで背景が映り込んでいるいる関係で、この微妙な揺れがかなり気になる。

 パームレストとタッチパッドは十分な大きさが確保され非常に使いやすい。タッチパッドはパネル一枚で物理的なボタンは無く、手前が左右に傾いてボタン替りになるタイプだ。ドライバは「ELANスマートパッド」を使用。指1〜4本のマルチタッチにも対応している。

 キーボードはアイソレーションタイプ。主なキーのキーピッチは約19mm確保されている。ほとんどたわまないのでこの点は良いのだが、ストロークが短く、場合によっては慣れるのに少し時間がかかる。また、キーボードの右側、[Enter]や[カーソル]キー、[|\]キーなどのキーピッチが狭く、そして[|][}][_]キーが妙に横のキーにくっつき、入力しにくい。11.6型でもここまで妙なレイアウトになっているものはこれまで見たことがない。スペースに余裕がある13.3型なのだから改善を望みたい。

 試した範囲では振動や熱、ノイズなどは無く、非常に快適。同社の説明によると、廃熱はキーボードの下から奥に向かって流れるようになっており、パームレストは通常利用時27℃以下、高負荷時でも34℃以下になっている。後ろ側に廃熱用のスリットがあるのもこのためだろう。

 サウンドは後述する「DOLBY HOME THEATER V4」に対応するなど、ファンクション的には十分なのだが、いかんせん最大出力と低音不足で今一つ迫力に欠けるのが残念なところか。

●スリープ/休止状態からの復帰が速いUltrabook

 OSは64bit版のWindows 7 Home Premium(64bit)SP1。メモリ4GB搭載なので、一般的な用途であればメモリ不足になることは無いだろう。デスクトップは若干のショートカットが並ぶだけでシンプルな構成。

 ストレージは「C400-MTFDDAK256MAM」。MicronのSATA6G対応モデルだ。C:ドライブのみの1パーティションで217.67GB割り当てられ、初期起動時約198GBの空きがある。Wi-Fiモジュールは「Atheros AR5BWB225」を搭載。

 本機固有のものとして「Instant On」、「Instant Connect」という2つの独自技術を搭載している。前者は専用のフラッシュメモリへ情報を保持し、スリープから1.5秒、休止状態から6秒で復帰できる特徴を持つ。後者は、復帰後Wi-Fiを利用できる時間を短縮する。これら2つの組合せによって、実際スタンバイから高速復帰後、即Wi-Fiが使える状態で従来のノートPCとは一味違う高レスポンスを体験できる。

 普段iPhoneやiPadなどを使っていると、ノートPCのスタンバイからの復帰の遅さにはイライラするのだが、このAspire S3はかなり優秀。同等までは行かないものの、確実にストレスは無くなる。

左側に若干ショートカットが並ぶシンプルなデスクトップだ SSDは「C400-MTFDDAK256MAM」。MicronのSATA 6Gbps対応モデルだ。Wi-Fiモジュールは「Atheros AR5BWB225」 SSDはC:ドライブ1パーティション。217.67GB割り当てられている

 プリインストールされているソフトウェアは、同社製としては「Launch Manager」、「Acer Registration」、「Acer ScreenSaver」、「Welcome Center」、「Identity Card」、「Acer VCM」、「Sleep Memory Optimizer」、「Acer ePower Management」、「Acer Deep Sleep Settings」、「Acer Updater」。

 他社製としては、「clear.fi」、「Acer Crystal Eye Webcam(CyberLink製)」、「Dolby Home Theater v4」、「MyWinLocker Suite」、「newsXpresso」、「McAfee Internet Security Suite」、「Windows Live Essentials 2011」、「Acer Backup Manager(NTI製)」、「Skype」、「Norton Online Backup」など。

 主に設定関連やツール系などが多く入っている。表計算やワープロ系が無いのは珍しいところか。多くは名前からおおよその見当が付くと思うが、分かりにくいものだけ簡単に説明すると、「clear.fi」はDLNAに準拠したクライアント&サーバーで、Acer Media ConsoleとよばれるフルスクリーンUIを使って相互間で音楽、動画、写真へ簡単にアクセスできる。Aspire S3だけなく同社のタブレットなどにも内蔵され、いろいろなデバイス間でコンテンツを共有可能だ。

 「newsXpresso」は、Flipboardの様なRSSリーダー。「Launch Manager」はWi-FiとBluetoothをそれぞれ個別にON/OFFできる簡単な設定パネル。「Acer VCM」はビデオ会議マネージャとなっている。

clear.fi Acer Backup Manager Acer Updater
DOLBY HOME THEATER V4 Welcome Center Acer VCM(Video Conference Manager)

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとCrystalMark、BBenchの結果を見たい。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 4.6。プロセッサ 6.9、メモリ 5.9、グラフィックス 4.9、ゲーム用グラフィックス 6.1、プライマリハードディスク 7.9。Intel HD Graphics 3000が総合スコアを下げているのはいつものことだ、Core i7、そしてSSDも高速で使用感は快適だ。

 CrystalMarkは、ALU 36181、FPU 37339、MEM 23131、HDD 38850、GDI 12802、D2D 2630、OGL 3928。SSDが4万近い値であり、ブートが速くアプリケーションなどもサクサク動く。グラフィックス関連が全体的に低いものの、ネットやオフィス系アプリケーション、動画再生など通常使用において特に問題になることは無い。

 BBenchは、省エネモード、バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON、Bluetooth/OFFでの結果。バッテリの残5%で14,571秒/4.0時間。最大7時間には届かなかった。ほぼ同タイプのLenovo IdeaPad U300sが4.7時間だったので、現時点でこのクラスのBBenchの結果は4〜5時間程度なのかも知れない。

 画面キャプチャにあるAcer Deep Sleep Settings」は、スリープに入ってからディープスリープ状態に入る時間を120分後か480分後かに設定できる。

Windows エクスペリエンス インデックスは総合 4.6。プロセッサ 6.9、メモリ 5.9、グラフィックス 4.9、ゲーム用グラフィックス 6.1、プライマリハードディスク 7.9 CrystalMarkはALU 36181、FPU 37339、MEM 23131、HDD 38850、GDI 12802、D2D 2630、OGL 3928 BBenchは省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON、Bluetooth/OFFでの結果だ。バッテリの残5%で14,571秒/4.0時間

 以上のようにAcer「Aspire S3-951-F74U」は、「Instant On」、「Instant Connect」と言った独自技術を搭載し、スタンバイや休止状態からの復帰後、Wi-Fiも含め使用可能になる時間が非常に短いのが特徴のUltrabookだ。Core i3とHDD搭載で安価に設定されている下位モデルも用途によっては魅力的だろう。

 USB 3.0非搭載やキーボードの右側一部のキーピッチ・レイアウトが気になるもののUltrabookを購入するにあたって候補になりえる1台だ。