西川和久の不定期コラム
LTE付きで2万円台前半のファーウェイ「MediaPad T3 10」
~9.6型のAndroid搭載タブレット
2017年6月26日 06:00
ファーウェイ・ジャパンは、6月9日より9.6型Androidタブレット「MediaPad T3 10」の販売を開始した。Wi-Fiモデルが税別店頭予想価格で18,800円前後、LTEモデルでさえも同22,800円と非常に購入しやすい価格帯を実現している。今回はLTEモデル試用レポートをお届けしたい。
Snapdragon 425/2GB/16GBのタブレット
5月30日の「MediaPad T3 10」の発表時には、上位(エンターテイメント重視)モデルの「MediaPad M3 Lite 10」も合わせてリリースされており、今回紹介する「MediaPad T3 10」は、同シリーズのエントリーモデルとなる。
「MediaPad M3 Lite 10」と「MediaPad T3 10」との違いは、SoC、メモリ、ストレージ、パネルサイズ/解像度、カメラ、サウンド、センサーなど。それぞれ構成するパーツはほぼワンランク異なる。価格差は約1.3万円だ。
主な仕様は以下のとおり。
MediaPad T3 10 | |
---|---|
SoC | Snapdragon 425 MSM8917(1.4GHz) |
メモリ | 2GB |
ストレージ | 16GB |
OS | Android 7.0 |
ディスプレイ | 9.6型IPS式1,280×800ドット、タッチ対応 |
ネットワーク | IEEE 802.11 a/b/g/n対応、Bluetooth 4.1 |
その他 | Micro USB(充電用兼)、microSDカードスロット、前面200万画素/背面500万画素カメラ、音声入出力、Nano SIM(LTEモデル) |
対応バンド | FDD-LTE: 1/3/5/7/8/19/20、TDD-LTE: 38/39/40/41、W-CDMA: 1/2/5/6/8/19、GSM: 2/3/5/8 |
バッテリ | 4,800mAh |
サイズ | 約229.8×159.8×7.95mm(幅×奥行き×高さ) |
重量 | 約460g |
税別店頭予想価格 | 18,800円前後(Wi-Fiモデル) 22,800円前後(LTEモデル) |
SoCはSnapdragon 425で、4コア最大クロック1.4GHz、GPUにAdreno 308を内包し、メモリはLPDDR3 667MHzに対応。昨年(2016年)後半にSnapdragon 410を搭載したWindows 10 Mobileデバイスが数多く登場したが、この425はアップグレード版に相当する。メモリは2GB、ストレージはeMMCで16GB。OSはAndroid 7.0を搭載。
ディスプレイは9.6型IPS式1,280×800ドット。外部出力用のHDMIなどはなく、必要に応じてChromecastなどを使用することになる。
インターフェイスは、IEEE 802.11 a/b/g/n対応、Bluetooth 4.1、Micro USB(充電用兼)、microSDカードスロット、前面200万画素/背面500万画素カメラ、音声入出力。スピーカーはモノラルだ。無線LANが11ac対応でないのが少し残念なところか。
加えてLTEモデルはNano SIMスロットがあり、対応バンドはFDD-LTE: 1/3/5/7/8/19/20、TDD-LTE: 38/39/40/41、W-CDMA: 1/2/5/6/8/19、GSM: 2/3/5/8となっている(下り最大150Mbps、上り最大50Mbps)。
サイズは約229.8×159.8×7.95mm(幅×奥行き×高さ)、重量約460g。4,800mAhのバッテリを内蔵。
税別店頭予想価格はWi-Fiモデル18,800円前後、LTEモデル22,800円前後とかなり安い。余談になるが、筆者は元々テザリング派(通信系のコストは1カ所にまとめたい派)で、タブレットなどを屋外で使用するときはスマートフォンをテザリングモードにしてWi-Fi接続していた。
しかしLTEモデルのSurface 3を使い出してからは、状況に応じてシームレスにWi-FiとLTEが切り替わる便利さによってテザリングしなくなった経緯がある。最近ではMVNOのコストも下がっており、この便利さを知ってしまうとLTEモデルがほしいところ。Wi-Fiモデルとの価格差もたった数千円であり、「MediaPad T3 10」はLTEモデルの安さもまた大きなの魅力と言えよう。
筐体は航空機グレードを謳うアルミ合金を採用。写真からもわかるようにチープな感じは一切なく、とても2万円前後には見えないルックスだ。重量460g、厚みは7.95mmの薄型。片手でも楽々持ち上がる。
前面はパネル中央上に200万画素前面カメラ。「戻る」、「ホーム」などのボタンはソフトウェア式だ。背面は右上に500万画素背面カメラ。左側面に音声入出力、microSDカード/SIMスロット、Micro USB。下側面にモノラルスピーカー。右側面に音量±ボタンと電源ボタンを配置。microSDカード/SIMスロットは写真からもわかるように、手前がmicroSD、奥がNano SIMとなる。
付属品は、USBケーブルとイジェクトピン。USB式ACアダプタのサイズは約40×35×20mm(幅×奥行き×高さ、プラグ含まず)、重量25g。出力5v/1A。一般的なものなので、充電に困ることもないだろう。
9.6型IPS式1,280×800ドットのディスプレイは、かなり明るく、発色、視野角、コントラストなども良好。とてもこの価格帯のパネルとは思えないクオリティだ(とはいえ、ハイエンドと比較すると少しギラギラした感じで落ち着いた雰囲気ではない)。フルHDでないのは残念だが、ここはコストとの兼ね合いだろう。タッチの反応もよい。
振動やノイズは当然なく、発熱も試した範囲ではまったく問題ないレベルに収まっている。サウンドは、スピーカーがモノラル、加えてパワーもあまりなく、取りあえず鳴っていると言ったところ。しかしイヤフォンを接続したところ、パワーも十分、切れも良く、低音もドッシリした感じで十分楽しめるレベルだった。
総じて約2万円と考えるとスピーカー出力以外はハイレベルにまとまっており、逆にこの価格でこれならと、税別店頭予想価格35,800円でLTE付きの上位モデル「MediaPad M3 Lite 10」(10.1型/1,920×1,200ドット、ハーマンカードンによるサウンドチューニングで4スピーカー)がどんなものなのかと気になってしまった。
Snapdragon 4xx系でパワーはそれなり
セットアップはNano SIM未実装、Wi-Fi接続の状態で行なった。完了までの画面数は12。Google以外のアカウント設定や、ボーナス的なアプリなどの選択画面などもなく、スッキリしている。独自のEMUI(Emotion UI)は、一見素のAndroidとあまり変わらないので違和感なく操作できる。
初回起動時のホーム画面は3画面。標準アプリも含めプリインストールアプリをすべて綺麗に配置している。フォルダは「Google」、「ツール」、「おすすめ」、「マイクロソフト」の4つ。IMEは「iWnn IME」がインストールされていた。
ストレージは空き約7.5GB(ただし初期設定の画面キャプチャで少し消費している)。動画や音楽などのデータはmicroSDカードへ逃がすることになるだろう。
Androidのバージョンは7.0、EMUIのバージョンは5.1。手元に届いたタイミングではシステム更新はなかった。Android 7.xから対応となった画面スプリットも問題なく作動するが、パネルがHD解像度なので少し物足りない感じがする。
独自機能としては「テーマ」、「端末管理」、「キッズモード」などがあげられる。「テーマ」は4つが設定済。好みに応じて即切替できる。
「端末管理」は、画面からもわかるように、「クリーンアップ」(メモリ、キャッシュなど不要な部分のクリア)、「モバイルデータ通信」(アプリ毎の通信量)、「ブロックリスト」(メッセージ/通話のブロック)、「電池」(電力モードなどの設定)、「ウイルススキャン」、「権限」(アプリの権限)、「ドロップゾーン管理」、「アプリのロック」、「ロック画面のクリーンアップ」、そして「最適化」に対応する管理画面的な存在だ。
標準搭載のアプリは、「Playストア」、「端末管理」、「設定」、「テーマ」、「カレンダー」、「Playムービー&TV」、「メール」、「Chrome」、「カメラ」、「ギャラリー」、「メモ帳」、「ファイル」、「Google」、「Gmail」、「マップ」、「YouTube」、「ドライブ」、「Duo」、「フォト」、「Google+」、「Playブックス」、「Playニューススタンド」、「Playゲーム」、「天気」、「電卓」、「音声レコーダー」、「時計」、「連絡先」、「電話」、「メッセージ」、「音楽」、「HiCare」、「バックアップ」、「ダウンロード」、「ビデオ」、「キッズモード」、「Word」、「Excel」、「PowerPoint」、「Outlook」。標準アプリ+α程度で、多過ぎず、少な過ぎず、わかりやすい構成になっている。
ウィジェットは、壁紙長押しで設定モードになる。「Google Playストア」、「オプティマイザ」、「カレンダー」、「ギャラリー」、「連絡先」、「時計」、「ドライブ」×2、「Googleアプリ」、「メール」、「メモ帳」、「マップ」、「音楽」、「画面ロック」、「書籍」、「設定のショートカット」、「天気」、「電源管理」、「Chromeのブックマーク」、「Gmail」、「Gmailのラベル」、「Google Playニューススタンド」、「Google Playブックス」、「Google Play Music」、「Google+」、「Musicプレイリスト」、「Outlook」。
初期セットアップ後、Nano SIMを挿入。入れたタイミングでAPNの選択リストが表示される。有名どころMVNOも含めある程度入っているので、一覧から選ぶだけで簡単に設定できる。先にも書いたが、約2万円ほどのタブレットでLTE接続できるのが「MediaPad T3 10」の最大の魅力と言えよう。
カメラの撮影モードは、写真、動画、HDR、コマ抜き、音声写真、文章スキャン、その他。設定は、解像度:5M/3.1M/2.1M/1.4M/0.9M、GPSタグ、カメラグリッド、タイマー、音声シャッター、タップして撮影、スマイルキャプチャ、シャッターボタン長押し、音量ボタンの機能、ホワイトバランス:自動/白熱灯/昼光/蛍光灯/曇り、画像調整:サイド/コントラスト/明るさ。撮影中にカラーフィルタとビューティーモードも選択できる。ピンチによるデジタルズームにも対応。
AF作動後露出補正も可能だが、ISO感度やシャッタースピードなどをマニュアルで調整できるProモード的な機能はない。
画質に関してはご覧のように、最近数台扱ったWindows 10タブレットで500万画素カメラ搭載機と同レベルと思われる。したがって最近のスマートフォンを持っていれば積極的に使う理由はなさそうだ。
1世代前のQualcomm Snapdragon 410より性能向上
ベンチマークテストは、AnTuTuベンチマークとGoogle Octane 2.0の結果を掲載した。結果は、総合 37541。3D 2448、UX 17015、CPU 13201、RAM 4877。Google Octane 2.0は3362。
一世代前のQualcomm Snapdragon 410/2GBを搭載したNEC「LAVIE Tab TE507/FAW」の結果は、総合 28,508。3D 249、UX 12,752、CPU 11,534、RAM 3,973。Google Octane 2.0は2,944。すべてにおいて上回っているのがわかる。ただしSoCがSocなだけに、AnTuTuベンチマークは最下位となっているがこれは仕方ないところ。
Snapdragonは4xx系の上に、8xx系、6xx系があり、これらのスコアからもわかるように爆速ではなく、ハイエンド好きから見ると物足らないものの、普段使いとしては問題ないレベルにある。
バッテリ駆動時間は、音量・輝度50%音量50%に設定し、Wi-Fi接続でYouTubeの動画を全画面で繰り返し再生したところ、約10時間で電源が落ちた。10型前後のクラスのタブレットとしては一般的だと思われる。
以上のように「MediaPad T3 10」は、9.6型IPS式1,280×800ドット、Snapdragon 425、2GB、16GBを搭載したAndroidタブレットだ。SoCのパワーはそれなりだが、約2万円でルックスも良く、Wi-Fiモデルはもちろん、LTEモデルまであるのが最大の魅力。
総合的に完成度が高い中、スピーカー出力だけ残念ではあるが、安価で機動力のあるAndroidタブレットを探しているユーザーにお勧めしたい。