西川和久の不定期コラム

ドスパラ「Diginnos Tablet DG-D10IW3SL」

~税別3万円切りでWUXGA 10.1型/4GB/64GBなWindowsタブレット!

Diginnos Tablet DG-D10IW3SL

 5月12日サードウェーブデジノスは、10.1型で税別3万円を切るWindowsタブレット「Diginnos Tablet DG-D10IW3SL」を発表した。安価とは言え、1,920×1,200ドットで4GB/64GBと、一般的なこのクラスより高スペックなモデルだ。編集部から実機が送られて来たので試用レポートをお届けしたい。

Atom x5だがメモリとストレージを増量したタブレット

 以前からこのクラスのタブレットや2in1をご紹介しているが、搭載しているプロセッサは相変わらずAtom x5。これはIntelがAtomの次プロセッサを予定していないだけにどうにもならない部分だ。Atom x7だともう少し性能がいいのだが、これを搭載しているデバイスはかなり少ない。何か理由があるのだろうか。

 今年(2017年)に入ってから、プロセッサが変わらない分、当初よりメモリやストレージのコストが下がったのか、2GB/32GBから4GB/64GBへと容量を倍増し、価格据え置きなものが増えてきた。加えてパネルのクオリティも若干アップしたものが多い。

 今回ご紹介するドスパラ「Diginnos Tablet DG-D10IW3SL」は、まさにこのトレンド(?)に乗った1台となる。主な仕様は以下の通り。

ドスパラ「Diginnos Tablet DG-D10IW3SL」の仕様
プロセッサAtom x5-Z8350(4コア4スレッド、クロック1.44GHz/1.92GHz、キャッシュ 2MB、SDP 2W)
メモリ4GB
ストレージ64GB
OSWindows 10 Home(64bit)
グラフィックスプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 400、Mini HDMI
ディスプレイ10.1型1,920×1,200ドット(光沢あり)/10点タッチ
ネットワークIEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.0
インターフェイスUSB 3.0×1、Micro USB(給電用)、200万/500万画素Webカメラ、microSDカードスロット、音声入出力
センサー加速度センサー、GPS
サイズ/重量260×168×9.6mm(幅×奥行き×高さ)/約590g(単体)
価格29,800円(税別)/キーボード一体型保護ケースセット31,800円(税別)

 プロセッサはAtom x5-Z8350。4コア4スレッドでクロックは1.44GHzから最大1.92GHz。キャッシュは2MBでSDPは2Wだ。メモリは4GB。このクラスのタブレットでも4GB搭載だと、動きに余裕が出るためポイントが高い。ストーレージはeMMCで64GB。これも一般的なタブレットより余裕がある。OSは64bit版Windows 10 Home。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 400。外部出力用としてMini HDMIを備えている。ディスプレイは、光沢ありの10.1型1,920×1,200ドット。フルHDより少し縦(短辺)が広くなっている。10点タッチ対応だ。

 ネットワークはIEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.0。有線LANは非搭載。その他のインターフェイスは、USB 3.0×1、Micro USB(給電用)、200万/500万画素Webカメラ、microSDカードスロット、音声入出力。USB 3.0が1つ、そして給電用にUSBが1つと扱いやすい。センサーは、加速度センサーとGPSを搭載。

 サイズは260×168×9.6mm(幅×奥行き×高さ)、重量約590g(単体)。このクラスとしては平均的だろうか。価格は本体のみで29,800円(税別)。扉の写真にあるキーボード一体型保護ケースとセットで31,800円(税別) 。Atom x5、4GB/64GB/1,920×1,200ドットなど、内容を考慮すると、リーズナブルだろう。

前面。パネル中央上に200万画素カメラ。中央下にWindowsボタン。少しフチが広め
背面。左上に500万画素カメラ。左端に各コネクタなどのアイコン。色はつや消しのブラック。上下シルバーのラインがアクセントになっている
キーボード一体型保護ケースへ本体をセットしたところ。この連載で何度かご紹介しているケースを折ってスタンドにするパターン
右/下側面。右側面にUSB 3.0、Mini HDMI、Micro USB(給電用)、音声入出力、microSDカードスロット。下側面にキーボード一体型保護ケース用のコネクタ
左/上側面。左側面上下のスリットにスピーカー(ステレオ)。上側面に電源ボタンと音量±ボタン
キーボード。アイソレーションタイプでテンキーなし。主要キーのキーピッチは約18mm。タッチパッドは2ボタン式
付属のACアダプタなど。ACアダプタのサイズは35×35×40mm(幅×奥行き×高さ)、重量52g。出力5V/2A。プラグの部分が折り畳める
重量(本体)。実測で580g
重量(キーボード)。実測で337g
キーボードをカバーとして閉じたところ。フェルトな質感で色はグレー。斜めのラインがスタンド化する時に折り畳む部分
背面500万画素カメラで撮影。結構寄れ解像感も高めだが、若干グリーン被りしている(AWBで撮影)

 筐体は少しフチが広めだが一般的な10.1型。実測で580gと軽く、キーボード一体型保護ケースを加えても917gと1kgを切っており、ノートPC替わりに持ち歩くにも手ごろだ。厚みは9.6mm。写真からも分かるように、USB 3.0コネクタの厚み+α程度となる。

 前面はパネル中央上に200万画素カメラ、下にWindowsボタン。左右のフチは先に書いたように少し広め。背面は、つや消し黒で上下にシルバーのラインがワンポイント。左上に500万画素カメラ。左端に各コネクタのアイコンが書かれている。

 右側面にUSB 3.0、Mini HDMI、Micro USB(給電用)、音声入出力、microSDカードスロット。左側面にステレオスピーカー。上側面に電源ボタンと音量±ボタン。下側面にキーボード一体型保護ケース用のコネクタを配置。付属のACアダプタのサイズは3.5×3.5×4cm、重量52g。出力5V/2A。プラグの部分が折り畳める。

 10.1型光沢ありのパネルは1,920×1,200ドットと高めのppi、発色、コントラスト、明るさ、視野角も良好。数年前とは違ってこのクラスで採用するパネルも随分良くなったものだ。ただ輝度を0%にするとかなり暗い。

 ノイズや振動は皆無。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると、右半分が暖かくなるが、試用した限り許容範囲だろう。

 サウンドは音が横に抜けてしまうのでそのままだと非力。手などで反射するように持つと量感が増す。ただステレオだが短辺に左右を配置している関係で縦位置にしないとステレオにならない上、幅があまり取れないため、ステレオ感も乏しい。縦位置で使うことを想定しているのだろうか(当初場所が場所なだけにモノラルかと思ったが、設定でR/Lの音量を調整できることを確認)。

 500万画素の背面カメラを軽く試したところ最短撮影距離は短めで、マクロっぽい撮影は容易だ。解像感もそれなりにある。AFも遅くない。AWBは今回のケースでは少しグリーン被りしているが、これは主光源の種類にもよると思われる。

 キーボード一体型保護ケースは、本体とは専用のコネクタと磁石で合体/固定する。スタンドは最近よく見かける三角形に折り畳むタイプだ。角度は固定になるものの、ある程度安定して本体を置くことができる。

 キーボード自体はテンキーなしのアイソレーションタイプ。主要キーのキーピッチは約18mm。いびつな並びはないものの、右側のキーは一部ピッチが狭くなっている。キーボード部分が宙に浮くタイプではなく、机などにぺったり置くタイプなので、強めに押してもたわむこともない。タッチパッドは2ボタン式。パームレストの部分も含め、あまり広くないが普通に操作可能だ。

クラス的には標準的な速度だが4GB/64GBで余裕あり

 OSは64bit版のWindows 10 Home。初期起動時のスタート画面(タブレットモード)とデスクトップはWindows 10標準のまま。メモリ4GBなので複数のアプリを起動したり、Edgeでタブを多めに開いても余裕がある。

 ストレージはeMMC 64GBの「Toshiba 064G80」。C:ドライブのみの1パーティションで約57.7GBが割り当てられ空き40GB。またBitLockerで暗号化されている。Wi-Fiは「Intel Dual Band Wireless-AC 3165」、BluetoothもIntel製だ。

 Atom x5とは言え、メモリ4GB、ストレージ64GBだと、Mini HDMIへ外部ディスプレイ、USBやBluetoothでHIDデバイスを接続し、薄型デスクトップとしても十分機能する。

スタート画面(タブレットモード)。Windows 10標準
起動時のデスクトップ。壁紙もそのままWindows 10標準
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージはeMMC 64GBの「Toshiba 064G80」。Wi-Fiは「Intel Dual Band Wireless-AC 3165」、BluetoothもIntel製
eMMCのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約57.7GBが割り当てられ、BitLockerで暗号化されている

 プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリはなし。デスクトップアプリは「マカフィー リブセーフ」のみ。そのほかはIntelなどデバイスのツール系と、ほぼ素のWindows 10 Homeとなる。ストレージの空き容量が40GBなので、プリインストールでいろいろ入っているよりは、この方が扱いやすいだろう。

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home(accelerated)、BBench。CrystalDiskMarkの結果を見たい。参考までにCrystalMark(4コア4スレッドで条件的に問題ない)のスコアも掲載した。

 winsat formalの結果は、総合 4。プロセッサ 6.1、メモリ 5.9、グラフィックス 4、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 6.65。64bitでメモリ4GBなのでメモリのスコアはリミッターがかかっている。バンド幅は9614.30180MB/s。

 PCMark 8 バージョン2のHome(accelerated)は1242。CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 Read 146.4/Write 70.02、4K Q32T1 Read 29.87/Write 33.33、Seq Read 105.1/Write 49.49、4K Read 14.55/Write 10.14(MB/s)。CrystalMarkは、ALU 22273、FPU 18216、MEM 17948、HDD 13188、GDI 3641、D2D 2848、OGL 3039。eMMCなのでストレージはあまり速くないことが分かる。

 ここのところAtom x5搭載のタブレット/2in1を数台ご紹介しているが、スコア的にはほぼ同じレベルだ。

 BBenchは、バッテリー節約機能/オン、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果は、バッテリの残2%で36,856秒/10時間。何時もの残5%で9.6時間。先に書いたように輝度0%だと暗くてほとんど何も見えないため、実際はもう少し短くなるだろうか。

winsat formalコマンドの実行結果。総合 4。プロセッサ 6.1、メモリ 5.9、グラフィックス 4、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 6.65
PCMark 8 バージョン2/Home(accelerated)。1242
PCMark 8 バージョン2のHome(accelerated)/詳細。クロックは500MHz辺りから最大の1.92Hz。温度は約60度からほぼ80度と少し高め
BBench。バッテリー節約機能/オン、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果は、バッテリの残2%で36,856秒/10時間
CrystalDiskMark。Seq Q32T1 Read 146.4/Write 70.02、4K Q32T1 Read 29.87/Write 33.33、Seq Read 105.1/Write 49.49、4K Read 14.55/Write 10.14(MB/s)
CrystalMark。ALU 22273、FPU 18216、MEM 17948、HDD 13188、GDI 3641、D2D 2848、OGL 3039

 以上のようにDiginnos Tablet DG-D10IW3SLは、Atom x5、4GB/64GB、10.1型1,920×1,200ドットのパネルを搭載したWindowsタブレットだ。キーボード一体型保護ケースを使えば2in1にもなる。メモリもストレージも多めなので、ある程度余裕のあるオペレーションが可能だ。

 ステレオスピーカーの位置が少しはてなだが、仕様上、特に気になる部分もなく、購入しやすい価格帯&ライトな用途以上でタブレットや2in1を使いたいユーザーにお勧めの1台と言えるだろう。