西川和久の不定期コラム
SSD容量倍増でも驚異のコスパ。マウスの税別39,800円15.6型ノートPC
2016年12月6日 06:00
今年(2016年)7月に1つ前のモデルに相当する「m-Book B501E」を”自作するより安い”とご紹介したが、今回レビューする「m-Book B502E」はさらにSSDの容量を倍増、2万台限定ではあるが、価格据え置きにしたモデルとなる。試用レポートをお届けしたい。
「m-Book B501E」にSSDを倍増し価格据え置き
少し前にご紹介したドン・キホーテ「ジブン専用PC&タブレット」もそうだが、今年に入ってPCがハイエンドと真ん中なしでローエンドといったように完全に二極化してきた雰囲気だ。
値段感としては高いのは軽く10万円(それどころか20万円)オーバー、安いのは5万円未満といったところか。ハイエンドは性能はもちろん、ルックスや機能面もかなりこだわったものが多い。逆にローエンドは見た目はともかく実用的に使える仕様、という落としどころになっている。
そのような中、今回ご紹介する「m-Book B502E」のキャッチコピーは”4コアCPU・高速240GB SSDなど基本性能をおさえた15.6型ノートを3万円台で”。税別39,800円なので正確には4万円台なのだが、それにしてもこれから挙げる内容を考えるとかなり安い。
実用面では一時期、Celeron N3150/4GB/SSDで仕事用マシンとして使っていた頃があり(OS XのVMから引っ越し)、ネットやOfficeはもちろん、軽いRAW現像ならPhotoshopも普通に使える環境だった。もちろん速ければ速い方がいいのだが、と言ってイライラするレベルでもなく、数カ月はこの環境で仕事していた(その後Pentium N3700を経てSkylake世代のCore i5へ)。
従ってBraswell世代のCeleronやPentiumは体で速度を覚えてるだけに、ちょっとした親近感がある。主な仕様は以下の通り。
【表】m-Book B502Eの仕様 | |
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プロセッサ | Celeron N3160(4コア/4スレッド、1.6~2.24GHz、TDP 6W) |
メモリ | 4GB PC3-12800 DDR3L SO-DIMM(2スロット空き1)、最大8GB |
ストレージ | SSD 240GB |
OS | Windows 10 Home |
ディスプレイ | 15.6型光沢、1,366×768ドット、タッチ非対応 |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 400 |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11ac/a/b/g/n 、Bluetooth 4.2 |
インターフェイス | USB 2.0×2、USB 3.0×2、100万画素Webカメラ、microSDカードリーダ、HDMI、ミニD-Sub15ピン、音声入出力 |
バッテリ駆動時間 | 最大約5.4時間 |
サイズ | 377×259×22.8mm(幅×奥行き×高さ) |
重量 | 約2.2kg |
税別直販価格 | 39,800円(2万台限定) |
プロセッサはCeleron N3160。Braswell世代で4コア/4スレッド、クロックは1.6GHzから最大2.24GHz。キャッシュは2MB、TDP/SDPはそれぞれ6W/4Wとなる。N3150からプロセッサー・ナンバーが変わり、最大クロックが2.08GHzから2.24GHzへ向上している。
メモリはDDR3L-1600MHzの4GB。2スロットあり、最大8GBまで増設可能だ(4GB×1か4GB×2のみ対応)。そしてストレージがSSD 120GBから倍増の240GBになった。120GBだと少し心もとないものの、240GBあれば、大容量のデータを扱わない限り安心して運用できる。OSは64bit版Windows 10 Home。Anniversary Update適応済みのRD1となっている。
ディスプレイは光沢ありの15.6型1,366×768ドット。タッチには非対応。外部出力用としてHDMI出力とミニD-Sub15ピンを備えている。GPUはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 400。
ネットワークは有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11ac対応。Bluetooth 4.2も搭載している。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×2、USB 2.0×2、100万画素Webカメラ、microSDカードリーダ、音声入出力。Gigabit EthernetとIEEE 802.11acのネットワーク機能も含め、安価なモデルとは言え、フル装備だ。
サイズは377×259×22.8mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.2kg。バッテリは着脱可能で駆動時間は約5.4時間。そして価格は2万台限定だが39,800円(税別)。以前の記事にも書いたが、これだと同じプロセッサを使った場合、自作するより安く、パネルを閉めたままで薄型&バッテリ駆動可能なデスクトップPCとして利用するのもありだろう。
筐体は見る限り「m-Book B501E」と同じで、天板とキーボード周辺がダークブラウン、ほかはブラック。プラスチック製なので、高級感はないものの、価格相応だろうか。安価な15.6型としては薄型で持った時のバランスも良い。重さ2.2kgはこのクラスとしては平均的。
前面のパネル中央上にWebカメラ、正面側面左側に各種ステータスLED。左側面にロックポート、電源入力、HDMI、USB 3.0×2、音声入出力。右側面にEthernet、ミニD-Sub15ピン、microSDカードリーダ、USB 2.0×2を配置。裏は手前の左右にスピーカー用のスリットがあるものの、メモリやストレージにアクセスできる小さいパネルはない。付属のACアダプタは約85×35×25mm(同)、重量148gとコンパクトだ。
15.6型の光沢パネルはコストに影響するため品質はあまり高くない。視野角も狭く、明るさ、コントラスト、発色もそれなり。また15.6型で1,366×768ドットは、さすがに荒く見える。この部分が一番意見の分かれるところだろう。パネルを傾けると下側が机などに当たり、足の替わりになっており、キーボード部分が結構傾き、入力しやすくなる。
キーボードはアイソレーション式のテンキー付き。右側の手前一部が若干キーピッチが狭くなっているものの、概ね約19mmを確保している。タッチパッドはボタンが2つあるタイプで可もなく不可もなく普通に操作可能だ。パームレストはフットプリントが広い分、十分確保されており扱いやすい。
発熱やノイズ、振動は試用した範囲で特に気にならないレベルだった。サウンドはそれなりの幅に左右にスピーカーがあるため、ステレオ感はあるものの、低音やパワーも不足しており迫力がない。取りあえず鳴っているレベルだ。
このように、パネルの品質は仕方ないものの、ほかはおおむね実用レベルであり、これで“サンキュッパ”なのだから驚くべきコストパフォーマンスと言えよう。
普段使いなら十分な性能
OSは64bit版のWindows 10 Home。Anniversary Update適応済になっている。初回起動時のスタート画面(タブレットモード)は、ユーザーサポート・グループが加わっており、「Windows 10ユーザーガイド」と「ハードウェアマニュアル」、取説系のPDFが2つ設定されている。デスクトップは壁紙だけの変更とシンプルだ。
動作は、メモリ4GB、最大クロック2GHzオーバーに加え、ストレージがこのクラスでありがちなeMMCではなくSSDなので爆速ではないものの、起動は速く、また全体的にキレが良い印象だ。
ストレージはSSD 240GBの「ADATA SP550」。C:ドライブのみの1パーティションで約222.86GB割り当てられ空き約206GB。Gigabit EthernetはRealtek製、Wi-FiとBluetoothはIntel製だ。
プリインストールされているアプリは、Windowsストアアプリは特になし。デスクトップアプリは、「マカフィーリブセーフ」と「CONTROL CENTER」程度とほとんど何も入っていない状態だ。逆にこの方が不要なアプリなどを削除する手間が省け、カスタマイズしやすいので、個人的には好みと言える。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home accelerated。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(4コア4スレッドと条件的に問題ない)。
winsat formalの結果は、総合 4.2。プロセッサ 6.7、メモリ 5.9、グラフィックス 4.2、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.15。メモリのバンド幅は9,924.54849MB/s。PCMark 8 バージョ2は1,783。CrystalMarkは、ALU 29,499、FPU 241,961、MEM 20,642、HDD 41,544、GDI 4,163、D2D 3,314、OGL 3,398。
クリエイティブな用途には厳しいかもしれないが、冒頭で書いたようにネットやOfficeなど、通常用途であれば難なくこなせるレベルになっている。
また、メモリ4GBではシングルチャネル作動なので、できれば4GB×2の8GBとして、デュアルチャネル作動にすれば、メモリアクセスとグラフィックの性能が向上する。冒頭に書いたCeleron N3150マシンで結構効果があったので、ぜひ8GBでの使用をお勧めしたい。
BBenchは、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残4%で26,715秒/7.4時間。
仕様上、最大約5.4時間なので、2時間ほど長く作動した。ただバックライト最小では暗く、明るくするともう少し短くなると思われる。いずれにしても15.6型でこれだけ持てば特に問題ないだろう。
以上のように「m-Book B502E」は、基本的に従来モデル「m-Book B501E」のSSDを120GBから240GBへ倍増し、2万台限定とは言え、価格据え置きの39,800円としたモデルだ。同じプロセッサで自作するより安価なのは驚くばかり。性能はCore iほどではないが、普段使いなら問題ないレベルだ。
パネルの品質は価格なりで仕方ないものの、気楽に15.6型のノートPCが欲しいユーザーはもちろん、パネルを閉じて薄型デスクトップとして使うことも考えられるお勧めな製品と言えよう。