西川和久の不定期コラム

“ゴッキュパ”のTSUKUMO製Core i搭載15.6型ノート

N1501K-310/T

 TSUKUMOは11月25日、15.6型フルHDでSSDとDVDドライブを搭載した低価格ノートPCを3モデル発表した。今回は中位モデルの「N1501K-310/T」を試用する機会を得たのでレビューをお届けしたい。

Core i3を搭載したオーソドックスな15.6型2スピンドル

 最近光学ドライブを搭載したノートPCがめっきり減ってきたような気がするが、これはヒンジが360度回転するタイプなどの2in1がトレンドになっていることや、もちろん薄型・軽量化の影響も考えられる。またインターネットを使ったプログラムや映像配信など、光学メディアの必要性が以前よりかなり下がったこともあるだろう。

 とは言え、依然2スピンドルのスタンダートノートPCも根強い需要があり、今回ご紹介する「N1501K-310/T」もこのタイプだ。

 ただ2スピンドルと言っても、光学ドライブは回転するが、メインのストレージはSSDが主流になったこともあり、ドライブ的には回転軸はない。昔の名残でこのカテゴリ名となっているのはちょっと時代を感じる(笑)。

 同社の「N1501K」シリーズは冒頭で書いた通り、下位、中位、上位と3モデルあり、今回手元に届いたのは、中位モデルとなる。主な仕様は以下の通り。

【表】TSUKUMO「N1501K-310/T」の仕様
プロセッサCore i3-6100U(2コア/4スレッド、2.3GHz、キャッシュ3MB、TDP 15W)
メモリPC3-12800 DDR3L SO-DIMM 4GB(2スロット空き1)、最大16GB
ストレージSSD 250GB(Samsung製)
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ
OSWindows 10 Home(64bit)
ディスプレイ15.6型(非光沢)、フルHD(1,920x1,080ドット)、タッチ非対応
グラフィックスプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 520
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE 802.11ac無線LAN 、Bluetooth 4.2
インターフェイスUSB 2.0×2、USB 3.0×2、HD Webカメラ、マルチカードリーダ、HDMI出力、ミニD-Sub15ピン、音声入出力
サイズ/重量374×259×12~24.7mm(幅×奥行き×高さ)/約2.1kg
税別直販価格59,800円

 プロセッサはCore i3-6100U。2コア4スレッドでクロックは2.3GHz。キャッシュは3MB、TDPは15W。Skylake世代となる。i3なのでTurbo Boostには非対応であるが、2.3GHzなのでモバイル用としてはそれなりに速いSKUだ。OSは64bit版のWindows 10 Home。

 メモリはPC3-12800 DDR3L SO-DIMMで4GB×1。2スロットあり空きは1。最大16GBまで対応している。ストレージはSamsung製のSSD 250GB。デバイスマネージャーの情報によると「SSD 750 EVO」が使われていることが判明した。光学ドライブはDVDスーパーマルチドライブを搭載。

 ディスプレイはこのクラスとしては珍しく非光沢を採用。15.6型フルHD(1,920×1,080ドット)で、タッチには非対応だ。外部接続用として、HDMI出力とミニD-Sub15ピンを備えている。グラフィックスはCPU内蔵のIntel HD Graphics 520。

 ネットワークは、有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11ac対応。Bluetooth 4.2も搭載している。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×2、USB 2.0×2、HD Webカメラ、マルチカードリーダ、音声入出力と標準的な構成となる。

 本体サイズは374×259x12~24.7mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.1kg。バッテリ駆動時間は仕様になく不明。後半のBBenchで検証したい。価格は税別で59,800円。この構成で中位モデルとなる。内容を考えるとコストパフォーマンスは高い。

 加えて、下位の「N1501K-100/T」は、Pentium 4405U/4GB/SSD 240GB(Sandisk製)/15.6型1,366×768ドットで税別価格49,800円。上位の「N1501K-520/T」は、Core i5-6200U/8GB/SSD 240GB(Sandisk製)/15.6型1920x1080ドットで税別価格69,800円。

 主にプロセッサ、メモリ容量、SSDのメーカー/モデル、液晶の解像度などが異なっている。予算や用途に応じて中位モデル±1万円の幅があるのは嬉しいポイントだろう。

前面のパネル中央上にHD Webカメラ、正面側面左側にステータスLED
底面。手前側左右のスリットにスピーカー、また左側にマルチカードリーダ。メモリやストレージにアクセスできる小さいパネルはない
左側面。電源入力、Ethernet、ミニD-Sub15ピン、HDMI、USB 3.0×2
右側面。ロックポート、DVDスーパーマルチドライブ、USB 2.0×2、音声入出力
キーボードは10キー付きのアイソレーションタイプ。タッチバッドは2ボタン式
キーピッチは主要なキーは実測約19mm。右側手前が若干狭くなっているものの、いびつな並びなどはない
斜め後ろから。ロゴなどもなく非常にシンプル。着脱式のバッテリもあまり目立たない
付属のACアダプタとバッテリ。ACアダプタのサイズは約90×35×25mm(同)、重量151gと比較的コンパクト

 筐体はほぼプラスチック製で、多くの部分が暗めのシルバー、キーボードと裏側がブラックとなっている。質感は価格なりだが、このクラスとしては最薄部12mm、重量2.1kgなので、結構スリムと言える。

 前面は、パネル中央上にHD Webカメラ、正面側面左側にステータスLED。左側面に電源入力、Gigabit Ethernet、ミニD-Sub15ピン、HDMI、USB 3.0×2。右側面にロックポート、DVDスーパーマルチドライブ、USB 2.0×2、音声入出力を配置。USBとHDMIが手前にあるので、ケーブル接続時は少し邪魔になるかもしれない。

 天板はロゴなどがなくシンプル。裏は手前両側面のスリットにスピーカー。また左側にマルチカードリーダがある。メモリやストレージにアクセスできる小さいパネルはなく、バッテリは着脱式だ。付属のACアダプタは、サイズ約90×35×25mm(同)、重量151gと比較的コンパクト。

 ディスプレイは15.6型。非光沢なので映り込みが少なく非常に見やすい。解像度はこのサイズでは一般的なフルHD。視野角は広くないが、明るさ、コントラスト、発色は、価格帯を考えればまずまずの品質だ。

 キーボードは10キー付きのアイソレーションタイプ。キーピッチは右手前が少し狭いが、概ね約19mm確保されている。昔のように強く押した時にたわむこともなく、気持ちよく入力可能だ。タッチパッドは2ボタン型。15.6型とフットプリントが広いため、パームレストも含め十分な面積が確保されている。

 試用した範囲では、振動やノイズは問題ないレベル。発熱はベンチマークテスト中に左側面のスリットから若干生暖かい風が出るものの許容範囲だろう。サウンドは、スピーカーが裏にあるため、机などに反射して音が手前に届く。左右の幅が確保されているのでステレオ感はあるものの、パワーも帯域もクラス相応と言ったところか。

 総じてコストを考慮しつつ、うまくまとめられており、特に不満や不都合などはなかった。ある意味完成度の高いモデルだ。

Core i3とSamsung SSD 750 EVOで必要十分な性能

 OSは64bit版のWindows 10 Home。Anniversary Update適応済のみRD1になっていた。Core i3でメモリ4GB、SSDの構成ということもあり、Atom/Braswellクラスとは明らかに異なるサクサク感だ。ここ最近は、Atomでイチキュッパ、Braswellでサンキュッパ、そして今回のCore i3でゴッキュッパ……と、安価なノートPCを試用することが多いが、やはりCore iになると俄然使用感が変わってくる。

 初回起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面。特にグループなど追加されておらず標準のまま。デスクトップは、壁紙の変更とCyberLink系とカスペルスキー系のショートカットが配置されている。コルクボードのような壁紙はその昔(Windows 3.1の頃)はやったものの、久々に見た感じで懐かしい。

 ストレージは「Samsung SSD 750 EVO」の250GB。C:ドライブのみの1パーティションで約232.22GB割り当てられており、空きは214GB。DVDスーパーマルチドライブは日立LGの「HL-DT-ST DVDRAM GUD0N」を搭載。有線LANはRealtek製、Wi-FiとBluetoothはIntel製だ。

スタート画面(タブレットモード)。特にグループなど追加されておらず標準のまま
起動時のデスクトップ。壁紙の変更とCyberLink系とカスペルスキー系のショートカットを配置
デバイスマネージャーで見えるストレージは「Samsung SSD 750 EVO」の250GB。DVDスーパーマルチドライブは日立LGの「HL-DT-ST DVDRAM GUD0N」。有線LANはRealtek製、Wi-FiとBluetoothはIntel製
SSDのパーティションはC:ドライブのみの1パーティションで約232.22GB割り当てられている

プリインストールされているソフトウェアは、Windowsストアアプリは特になく、デスクトップアプリは、「CyberLink Media Suite」、「カスペルスキー インターネット セキュリティ」、「カスペルスキー セキュアコネクション」、「CONTROL CENTER」。

 DVDスーパーマルチドライブを搭載しているのでマルチメディア系があり、加えてセキュリティ系、そしてシステムコントロール系と、必要最低限のアプリがインストールされている。

 CONTROL CENTERは最近割とよく見かけるシステム系のソフトウェア。また、カスペルスキーのソフトウェアは、筆者が扱ったPCの中でインストールされているケースは珍しい(マイナーと言う意味ではない)。

CONTROL CENTER
カスペルスキー インターネット セキュリティ

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home accelerated。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(2コア4スレッドと条件的に問題ない)。

 winsat formalの結果は、総合 4.5。プロセッサ 7.4、メモリ 5.9、グラフィックス 4.5、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.2。メモリが4GBなのでスコアが5.9に制限されているものの、メモリのバンド幅は16,722.44193MB/sある。PCMark 8 バージョ2/Home acceleratedは2,756。CrystalMarkは、ALU 36,996、FPU 36,909、MEM 31,745、HDD 42,523、GDI 9,345、D2D n/a、OGL 9,756。

 全体的にCore i3搭載機としては標準的であるが、ストレージはSamsung SSD 750 EVOと言うこともあり少し速めだ。

 BBenchは、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残10%で21,104秒/5.9時間。10%で落ちてしまったが、いつもの5%だと推定6時間というところか。

 さすがにAtomやBraswell搭載機と比較すると作動時間は短い。またバックライト最小だと暗いので、実用レベルまで明るくすると、もう少し短くなると思われる。

winsat formalコマンド結果。総合 4.5。プロセッサ 7.4、メモリ 5.9、グラフィックス 4.5、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.2
PCMark 8 バージョン2/Home accelerated「2,756」
PCMark 8 バージョン2/Home accelerated(詳細)。CPUクロックは600MHz辺りから定格の2.3Hzと結構激しく上下している。温度は44℃から最高でも56℃程度と低め
BBenchの結果。バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残10%で21,104秒/5.9時間。
CrystalMark。ALU 36,996、FPU 36,909、MEM 31,745、HDD 42,523、GDI 9,345、D2D n/a、OGL 9,756

 以上のようにTSUKUMO「N1501K-310/T」は、非光沢15.6型フルHDのパネルを採用し、Core i3とSamsung SSD 750 EVOのコンビネーションで、必要十分な性能を得られる2スピンドルスタンダードノートPCだ。

 試用上、特に気になる部分もなく、安価なモデルが欲しいが、Atom/Braswell搭載機より数万円高くなってもいいので、中程度の性能のマシンが欲しいユーザーにお勧めの1台と言えよう。