最新液晶ディスプレイ ピックアップ

デル「U2311H」
~3万円を切るフルHD IPS液晶



U2311H
液晶サイズ23型
パネル方式e-IPS方式
表示解像度1,920×1,080ドット
アスペクト比16:9
画素ピッチ0.265mm×0.265mm
表面処理ノングレア
バックライト方式冷陰極管
応答速度8ms(中間色)
コントラスト比標準1,000:1、ダイナミックコントラスト 10,000:1
視野角水平178度/垂直178度
輝度300cd/平方m
表示色1,670万色
走査周波数水平:30kHz~83kHz
垂直:56~75Hz
チルト角度下4度、上21度
高さ調節100mm
スイベル左45度、右45度
ピボット機能あり
入力端子DVI-D(HDCP対応)×1
DisplayPort×1
ミニD-Sub 15ピン×1
USB 2.0アップストリームポート×1
出力端子USB 2.0ダウンストリームポート×4
デル サウンドバー用DC電源コネクタ端子×1
スピーカーなし
VESAマウント対応
電源内蔵
消費電力標準33W
付属品DVI-Dケーブル
ミニD-Sub15ピンケーブル×1
USBケーブル×1
電源ケーブル
ドライバ&ドキュメントCD-ROM
本体サイズ幅547.97mm×高さ356.16~456.16mm×奥行き184.1mm
重量約6.45kg(スタンド含む)

 デルの液晶ディスプレイの中で、表示品質に優れた「デジタルハイエンドシリーズ」に属するモデル。上位に位置する「UltraSharp」シリーズに採用されている広色域パネルには劣るものの、sRGBカバー率100%の広色域e-IPSパネルを採用しており、十分に優れた表示品質を備えている。販売価格は27,800円(6月23日現在の特別価格)。

●本体デザイン

 本体デザインは、他のデジタルハイエンドシリーズ同様に直線的なデザインを採用している。目立つ部分と言えば、液晶下部のDELLロゴとスタンドアームのシルバー部分ぐらいで、全体的には非常に落ち着いた印象となっている。

 本体サイズは、547.97×184.1×356.16~456.16mm(幅×奥行き×高さ)。液晶ベゼルは十分に狭額で、23型ワイド液晶ディスプレイとしては標準的なサイズとなっている。

 台座は、他のデジタルハイエンドシリーズとほぼ同じ仕様のものが採用されている。液晶面のチルト角度は、下4度から上21度の範囲内で調節可能。高さは100mmの範囲内で調節可能。また、左右それぞれ45度のスイーベル機構と、右90度のピボット機能も備えており、台座の機能性はかなり優れている。ピボット機構を備えるものの、液晶面のぐらつきはほとんどなく、安定して利用可能。また、チルト角や高さ調節も、それほど強い力を必要としない。

 電源ボタンおよびOSD操作用ボタンは、液晶ベゼル右下に配置されている。デジタルハイエンドシリーズではタッチセンサー式のボタンを採用するモデルが多いものの、U2311Hでは物理的なボタンが採用されており、確実な操作が可能だ。

●液晶パネル

 1,920×1,080ドット表示対応の、23型ワイド液晶を搭載。パネルの方式はe-IPS方式を採用。応答速度は、中間色で8msとIPSとしては標準的だ。視野角は、水平・垂直とも178度で、多少画面を見る角度が変化しても、色合いの変化は全くと言っていいほど感じられない。バックライト輝度は300cd/平方m。パネル表面は非光沢処理が施されている。

●接続端子

 映像入力端子は、ミニD-Sub15ピン×1系統、DVI-D(HDCP対応)×1系統、DisplayPort×1系統の計3系統を用意。DisplayPortを標準で用意しているのに対し、HDMI入力が用意されていないことからも、どちらかというとビジネス向けといった印象が強い。また、スピーカーも搭載されていない。ちなみに、本体下部には、オプションで用意されているスピーカーユニット「Dell AX510」を固定するためのネジ穴と、スピーカーユニット用の電源出力が用意されているが、ディスプレイ自体には音声入力および音声出力端子は用意されていない。

 映像や音声関連以外の接続端子としては、USB 2.0アップストリームポートが1ポートと、USB 2.0ダウンストリームポートが4ポート(底面に2ポート、左側面に2ポート)用意されている。

●OSD

 OSDメニューの構成は、他のデル製液晶ディスプレイに採用されているものとほぼ同じだ。ただ、デジタルハイエンドシリーズに属する上位モデルの製品では、6軸カラー調整が行なえるなど、かなり充実した設定項目が用意されているが、それに比べると設定項目は少なく、全体的に簡略化されている。それでも、必要な項目はほぼ網羅されており、実際に使用する上で不便に感じることはないだろう。

 OSDメニューの操作は、右側面ベゼルに縦に並ぶ4個のボタンを利用して行なう。OSDメニューを呼び出すと、ボタン横の画面に操作ガイドが表示されるため、操作に戸惑うこともない。

●画質

 「U2410」などの、デジタルハイエンドシリーズに属する上位モデルの「UltraSharp」シリーズでは、sRGBカバー率100%、AdobeRGBカバー率96%の広色域パネルを採用し、プロ用途にも対応できる優れた表示品質を実現している点が大きな特徴となっている。それに対しU2311Hは、UltraSharpシリーズに採用されているものと比較すると若干劣るものの、それでもsRGBカバー率100%の広色域パネルが採用されていることもあり、発色は非常に鮮やかだ。また、e-IPSパネルを採用しているため、多少視野角がずれても、色合いの変化が非常に少なく、広範囲から鮮やかな発色が視認できる。このあたりは、TNパネルを採用する低価格液晶ディスプレイに対する大きな優位点と言える。

 応答速度は、中間色で8msと、IPS液晶としてほぼ標準的な数字となっており、動きの速いゲーム画像や動画を表示させた場合などに若干の残像が感じられる。とはいえ、それほど気になるものではなく、よほどシビアに動画などを表示させる必要がある場合を除いて、ほぼ問題ないと言えるレベルだ。

 U2311Hは、UltraSharpシリーズには若干劣るものの、デジタルハイエンドシリーズというシリーズ名に恥じない表示品質が実現されている。プロのグラフィックス用途に対応するには、画質関連の設定項目がもう少し充実していた方がいいと思うが、一般ビジネス用途や個人レベルでの利用であれば、その点も問題がない。しかも、高さや角度調節、スイベルはもちろん、ピボット機構まで備えた高機能スタンドが標準添付されており、使い勝手の面でも優れている。HDMI端子がなく、応答速度もやや弱いため、AV用途には少々活用しづらいが、2万円台と安価に販売されている液晶ディスプレイの中では、表示品質、機能性ともに他の製品を圧倒していると言っていいだろう。安価ながら表示品質に優れる液晶ディスプレイを探している人にオススメしたい製品だ。

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(2010年 6月 25日)

[Text by 平澤 寿康]