誰もが「軽ッ」と発するモバイルノート「dynabook SS RX2」 ~512GB SSDで格安と錯覚、夏モデルで消える |
品名 | dynabook SS RX2/W9WA | |
購入価格 | 249,800円(クーポン使用) | |
購入日 | 2010年4月17日 | |
使用期間 | 約2カ月 |
「買い物山脈」は、編集部員やライター氏などが実際に購入したもの、使ってみたものについて、語るコーナーです。 |
ついに買った。あらゆる要因が積み重なって片想いを続けていたモバイルノートPCの購入に至った。
手に入れたのは東芝の12.1型モバイル「dynabook SS RX2」シリーズ。初代の発表からこれまでずっと、ものすごく評価していたマシンだったが、高価だったことや、希望のスペックで無かったこともあって踏ん切りが付かなかった。それがいよいよ年貢の納め時となった。
国内モバイルノートの主力は12型前後。モバイルノートシェア1位のパナソニックは「Let'snote S/N」シリーズ、以前は4:3液晶の「Let'snote W/T」シリーズ、レノボ(旧IBM)は「ThinkPad X」シリーズ、NECは「LaVie J」や「VersaPro UltraLite タイプVC」、富士通は「LOOX R」シリーズ、ソニーは12型ではないが、11.1型の「VAIO type T」や「VAIO X」、13.1型の「VAIO Z」シリーズ。有名どころがズラリと揃っている。
東芝「dynabook SS RX2」もこのクラスに当てはまる。12.1型ワイド液晶搭載として世界最軽量を誇るモバイルノートPCだ。初代のdynabook SS RX1がその“世界一”を携えて登場したのが2007年5月のこと。丸3年が経過した2010年6月時点でも、未だにその称号を守り続け、製品情報には「世界一」の文字がそこかしこに見られる。
当時は「世界初」の文字も至る所に使われ、7mm厚のDVDスーパーマルチドライブ、屋外の視認性を確保した半透過型TFT液晶ディスプレイなどなど。色々な新技術を盛り込み、ノートPCのパイオニアとして歩んできた東芝の技術の結晶というのも頷ける。
RX1の後継となるRX2は、Centrino2に刷新、筐体も重量を変えずに剛性の必要な箇所を強化するといった改良を施し、その後もCPUやストレージなどのマイナーチェンジを行なってきた。
2010年春モデルのdynabook SS RX2/T9Lにしても、軽量バッテリ搭載時858gで世界一。NECのVersaPro UltraLite タイプVCも最軽量時868gと軽いのだが、光学ドライブが無かったり、無線LANモジュールなどの各種オプションが入っていない状態。dynabook SS RX2/T9Lは店頭モデルなので、DVDスーパーマルチドライブを含めて色々と組み込んだ状態でこの重量なのだから恐れ入る。軽さに関しては、初代の時点で素晴らしい完成度だったと言っても差し支えないだろう。
軽さとともに、国内メーカーのモバイルノートでは当然になった堅牢性もしっかり確保。100kgf面加圧、75cm落下、100cc浸水の各テストをクリアしている。公式サイトのdynabook.comにはテストの様子の動画も公開されている。
●圧倒的な性能と価格だった512GB SSD搭載の直販モデル大きなインパクトだったのが、2009年5月に登場した容量512GBのSSDを搭載した直販専用のハイエンドモデルだ。512GBのSSD搭載ノートPCはもちろん「世界初」の称号付き。
当時の価格は398,000円。WiMAXとOffice Personal 2007 with PowerPoint 2007搭載の全部入りモデルも登場したが、こちらは438,000円だった。ハッキリ言って手を出せる価格ではない。
それでも、レビュー用に貸し出していただいた実際のブツを触ると、Windows Vista搭載ノートPCとは思えないレスポンスの良さに驚く。もちろん、軽さにも驚く。このときから、東芝製SSD「HG2」シリーズとdynabook SS RX2の組み合わせに対して「すごいなー、憧れちゃうなー」状態。でも高くて買えない。SSDも単品で売ってない。
そんな欲しい欲しいという気持ちを持ち続けて約半年。2009年10月の冬モデルはWindows 7に刷新され、WiMAXモデルの直販価格は334,800円に下がった。それでもまだまだ高価で手が出せなかった。ストレージは小容量でいいから、もっと安いモデルも出して欲しかった。それなら店頭モデルでいいじゃないか、ということになるが、Bluetoothと3年保証は譲れなかった。
その頃にはHG2シリーズ採用の製品が周辺機器/パーツメーカーから店頭販売されるようになり、11月にアイ・オー・データ機器から発売になった「SSDN-ST64B」(64GB)をWindows 7 Professional(64bit)DSP版と合わせて購入し、自宅のデスクトップPCを刷新した。これで目的の1つだったHG2シリーズは入手できた。Windows 7にも慣れつつあった。ちなみにこの頃の512GBモデル(Super Talentが販売)は、2.5インチのストレージではちょっと考えられない18万円前後の価格だった。
●2010年に買いたくなる錯覚を起こすその後、2010年1月に新モデルが投入されたこともあり、直販のクーポンの額面が徐々に増えていた。2010年は、定期的に更新されるクーポンをチェックする簡単なお仕事を欠かさなかった。
そして2010年4月、クーポンが85,000円になり、適用すると25万円を割った。当時、HG2シリーズの512GBモデルが最安で15万円を超えていたため、「dynabook SS RX2本体が9万台!?」というおかしな錯覚に陥り、購入を本気で検討するようになった。
加えて、Intelのモバイル系がCalpellaプラットフォームに移っていたことも影響した。というのも、Calpellaを採用したメーカーから一様に「平均消費電力が増えた」と伺っていたからだ。バッテリ駆動時間に影響する平均消費電力が、Montevinaプラットフォーム(Centrino2)から増加しているのは、実際の製品でも明らかになった。顕著な例として、16時間駆動で話題になったパナソニックのLet'snote S8/N8が、CalpellaのLet'snote S9/N9では14時間に減っていたのだ。Calpellaになって伸びた性能とのトレードオフとは言え、平均消費電力を増やすあたりが米国らしいというか、オレゴンっぽいというか、個人的に気に入らないので、Montevinaマシンが手に入る間に欲しくなった。
さらに、半透過型TFT液晶の供給元である東芝モバイルディスプレイ(旧・東芝松下ディスプレイ)が、PC液晶から撤退することになった。東芝は2010年春モデルの下位機種として、RX2Lと「L」が付く名称で通常の液晶ディスプレイ(LEDバックライト)を搭載した製品を投入。重量も約1.2kgと重くなってしまっている。この時点でイヤな予感はしていたのだが、2カ月後「やはりこうなってしまったね」という事態に。dynabook SS RX2のアイデンティティとも言える半透過型TFT液晶も、手に入らなくなるかもしれない。ベジータ王子の「早くしろ! 間に合わなくなっても知らんぞ!」の1コマが頭をよぎった。
屋外でバックライトON(輝度最大)の状態 | 屋外でバックライトをOFFにした状態。日光によってきちんと見える |
そんな状況が積み重なって、必要なものはクレジットカードのショッピング枠の拡大だけになった。もはやポチる気マンマン。プランBで行くぞ。
●導き出される選択肢は1つだったここで改めて自分のモバイルノートPCの選び方を整理してみた。
まずスペック面。最重要点は軽量であること、2番目にバッテリ駆動時間。厚さは鞄に入ればいいのであまり気にしない。できればデュアルコアCPU、Bluetooth内蔵。無線LANは今時のノートPCなら間違いなく入っているので問題ではないが、WiMAXは無線LANモジュールにオマケで付いきたらイイナ! といったところ。ディスプレイ解像度と視認性も重要で、縦の解像度が欲しい。
重さとバッテリ駆動時間に関しては、モバイルノートに必須と言われるものなので割愛。軽ければ軽いほど嬉しいので、1kg前後で境界線を作った。作業はそこまでヘビーでも無いので、CPU性能は不満のない程度あれば良い。BluetoothはケータイとDUNで接続して、ネットワークがないところで緊急時のモデムにできるため。加えて、USBのFOMAケーブルを忘れる可能性と、ケーブル接続の煩わしさを解消できる。WiMAXは都内ならかなりのエリアで捕まえられるし、ADSL並みの通信速度も魅力なので、無線LANモジュールに入ってればラッキーな感じ。
ここで1kg前後を条件に篩にかけると、Atom Z(Menlow)を使った国内メーカーのもの、ごく一部のネットブック、高価なモバイルノート、工人舎の小型製品ぐらいで、かなり絞り込まれる。ネットブックは1kg前後だと3セルだったりするので、バッテリ駆動時間でかなり脱落。残ったのは富士通「LOOX U」、ソニー「VAIO P」、「VAIO X」、パナソニック「Let'snote R」、東芝「dynabook SS RX2」、工人舎「SK」「PA」「PM」など。見事に国内メーカーしか残らない。
使う上で重要になるのが、違和感なく打てるキーボード。用途的に文字入力は外せないので、あまりに小さいと打てない。ここで7型以下はだいたい居なくなる。残るのはVAIOの2機種(PとX)、Let'snote R、dynabook SS RX2だ。
次は視認性。電車などの座席を始めとした、机のないところで使用する場合、つまり大腿部の上(ラップトップ、ふとももトップ)に置いたときに無理なく見えるかどうか。発表会に行って「あ、机がない」という状況はかなり多い。神宮球場の観戦席も当てはまる。その距離の使用感はとても大切なことなので、ドットピッチ0.2mm以上が欲しいところ。
ここでVAIO Pは消える。机があれば問題ないのだが、ライターゴトウ氏が検証しているように、35cm程度のチェストトップPCで、ラップトップではない。新型であれば解像度の切り替えボタンを使って1,280×600ドットにすれば見えるようになるが、縦解像度がネットブック並みになり、後述の条件を満たせない。VAIO Xは試した限りは少し文字が小さかったが、WindowsのDPI変更で無理なく見えるようになるので残す。
そしてかなり大切な条件、縦の解像度。普段使うアプリケーションが基本的に縦に長い方がありがたい。Webページにしても、掲示板用ブラウザにしても、テキストエディタにしても、縦の解像度が欲しいものばかり。残ったVAIO X、Let'snote R、dynabook SS RX2で比較すると、VAIO XはDPIを大きくした時点で縦に表示できる文字数(行数)が減ってしまうので外した。最も広いのはdynabook SS RX2の800ドット。
残った2機種はバッテリ駆動時間で大きく差が出る。しかも、Let'snote RはもうCalpellaに移行済みなのでここで終了。実際、Let'snote R9は前モデルR8からリチウムイオン充電池を3,100mAhの大容量タイプに変更したにもかかわらず、駆動時間が減ってしまっていた。
最後まで残ったdynabook SS RX2は、野球のデーゲームの直射日光の下でも視認性を確保している半透過型TFT液晶ということもあり、自分と最高の相性を持ったマシンという結論に達した。SSD搭載時は約13時間駆動と延長戦でも全く問題ない。JEITA測定法で7時間のマシンでは、無線通信を使っていると長い試合は終了まで持たないハズだ。
当初からの自分の欲望は、さまざまな条件を追求して辿り着いた結論と重なった。
このクラスのモバイルノートPCは仕事の関係上、レビュー用に借りたり、発表会の会場など、触れる機会は非常に多く、ここ5年ほどの一通りのモバイルノートは触ってきた。その中で最高だと判断したのがこのマシンだった。熱しやすく冷めやすい人間だけれども、結局、自分の用途でdynabook SS RX2を超えるマシンは出てこなかったのだから。
そんなこんながあって、4月9日に「東芝ダイレクトPC by Shop1048」で注文。もちろん、即座に使えるクーポンを使う。在庫表示は「1~3営業日で出荷」と書かれていたが、注意事項に「PCは10営業日程度で出荷」ということも書かれていた。結局、どっちつかずの5営業日で出荷メールが届き、4月17日に受け取った。
以上で購入に至るまでをほぼ語れたので、主な使い勝手などは過去のHothotレビューやSSDのベンチマークを参考にしていただいて今回の買い物山脈は終了にしたいが、実際に使ってみて分かった点を少し書いてみたい。
便利だったのは、BIOS起動直後の指紋認証。プリインストールされている「TOSHIBA Fingerprint Utility」を管理者で実行すると「起動認証」と「シングルサインオン」を設定できる。いわゆるワンタイムパスワードで、起動時のSSDパスワード認証、Windowsログオンまでセンサーを指で1回なぞるだけで立ち上がる。指紋がなければAuthentecの画面で止まったまま起動すらできない。TPMセキュリティチップを使ってデータの暗号化もできる。持ち運ぶPCとしては充分なセキュリティを持っているので安心感が強い。
SSD搭載で良かったことは、OSの動作やアプリケーションの起動が軽快なのは言うまでもないが、パームレスト部分が熱を持ちにくいこともメリット。2.5インチドライブはパームレスト左手側の裏に入っているが、dynabook SS RX2の主要な熱源が向かって左側に集中しているため(排気口も左側面にある)、CPUやチップセットにHDDの振動/熱が加わっていた。SSDなら振動は無く、消費電力および発熱も少ないので、HDDモデルと比べるとずいぶん快適に感じられる。
東芝SSD「HG2」シリーズに感じている良いところは、「HDDと同じように扱える」という点だ。SSDは扱いが難しいデバイスというイメージを完全に変えてくれた。2009年11月に導入したデスクトップ用のSSDN-ST64Bが、メンテナンス無しで半年以上経過しても速度低下がほとんど無く、不具合らしいものに遭遇していない。まさに速度が速いHDDという感覚。その上、駆動部分が無く衝撃に強いという半導体ならではの優位点がある。
デスクトップであればシステムをSSDにして、データをHDDと使い分けられる。しかし、基本的にストレージを1台しか積めないノートPC、まして軽量さやバッテリ駆動時間が重要なモバイルノートでは、1ドライブで速度、軽さ、容量、低消費電力、堅牢性を満たせる512GBのSSDはうってつけと言える。1ドライブで運用するためデータの書き込み速度も大切になるが、HG2シリーズは公称180MB/secと速く、一部の製品のようにリードは速いがライトが遅いということもない。正直、そこまで容量は要らないと思っていたが、長期間、幅広く使えるという意味では、512GBで良かったかもしれない。
地味に便利なのは、「Fnキー」を押すと、デスクトップにオーバーレイする形でFnキーとの組み合わせ機能が表示されること。輝度調節はどれだっけ? と、わざわざキーボードの刻印に目を凝らす必要なく使えるのは、意外とありがたい。
バッテリ駆動時間はJEITA測定法で約13時間だが、実際に無線LANなどを有効にして使ってみると、実使用で8時間程度の感触だった。BBenchを試した結果は約8時間40分になった。8時間動いてくれると、1日持ち歩いても使える。天気の良いデーゲームなら、液晶のバックライトを切って日光をうまく使える半透過型TFTが役に立つ。
通信機能は、直販モデルのみ搭載されているBluetoothが東芝スタックで、Windows 7標準のよりも扱いやすい。WiMAXのアンテナ感度も良く、USBドングルタイプのWiMAXアダプタでは微妙な場所でも、本体内蔵の高感度マルチバンドアンテナは、ちゃんとWiMAXを見つけてくれる。試験サービス時には全く入らなかった自宅でも、現在は「とても強い」と表示される。これなら、WiMAXを契約しても良いかなと思える回線状況だ。現状はFOMA端末をBluetoothモデムにしてパケホーダイ・ダブルで運用しているが、データ通信の価格、MVNOを含めたWiMAX価格、Wi-Fiアクセスポイントになるケータイへの機種変更なども含めてじっくり考えたい。
Fnキーを押すと画面上部に機能が表示される | アンテナ感度はかなり良く、WiMAXの電波も「非常に強い」 |
残念だった点は、OSが32bit版のみであること。実装メモリ容量は4GBなので、使い切れない分はもったいない。東芝はdynabookシリーズで32bitと64bitを選択できる「セレクタブルOS」を採用している機種が増えてきているが、本機はそれができない。ビジネス用途では32bitが無難な解だと思うが、64bit版にできるドライバやユーティリティを提供してもらえたらなぁという気持ちもある。いっそのこと1枚メモリモジュールを外して軽量化しようか、という変な考えも頭をよぎったが、デュアルチャネル動作でなくなることのデメリットの方が大きそうなのでやらない。
●やっぱり軽さはすごかった重量は実測で1,037g。公称スペックよりも軽い |
重量はカタログスペック上1,095gになっているが、実際に量ってみると1,037gだった。約60gがどこに消えたのかは分からないが、少しでも軽いのはありがたい。カタログスペックの時点で軽く、実際に持っても軽い。一般的な12.1型ノートが平均1.3kgだとすると、コンパクトデジタルカメラやニンテンドーDSiクラスの携帯機器をもう1台持てるぐらいの余裕がある。
実際に持ち運んで、色んなところで色んな人に持ってもらうと「軽い」と一言目に出てくる。それほど、見た目の大きさからは想像できない軽量さなのだ。東芝以外のPCメーカーの方に見せても、間違いなく評価される。ジミー大西さんのギャグではないが「お前も頑張れよ」とも思う。リップサービスかもしれないが、「これをウチで売りたいですよ」とまで言ってくださる方もいらっしゃったほど。
ある周辺機器メーカーの方は、この軽さが甚く気に入ったらしく「飽きたらください」などというトンデモなお願いをされ、お会いするたびに「いつ飽きるんですか?」と言われるが、「きっと飽きません」。各所へ持って行って「イイナ!」と言われるたび、「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」のマロマートのように「買っちゃいな~買っちゃいな~」と肩を叩いているが、「高い」と言われ誰も購入には至らない。この返答がこの製品のすべてを表しているような気がしてならない。スペック的には激安のハズなのにだ(錯覚)。
重さにまつわることでは、こだわりもある。天板にキャラクターなどを描いた“痛ノートPC”を見るようになって久しいが、ちょっとやってみたいなと思っても、羞恥心の問題ではなく、自分にそんなことはできない。たかがシールであろうと、絶対に質量を持っている(残像ではない)。各メーカーでモバイルノート開発について伺うたびに出てくる話だが、かなり軽量化に関して苦労されていて、1g減らす、2g減らすという1円玉レベルの話でも大変な思いをされている。そんな話を聞いていると、天板全体を覆うようなシールやデコレーションなんて絶対できない。メーカーの方は、購入したものだから、個人の自由で構わないと言ってくださるかもしれない。でも自分は、開発者が技術、アイデア、努力、時間を積み重ね、ようやく軽い製品になったものを、自らの手で重くするという行為がものすごく申し訳ないのだ。
痛ノートPCを否定する気持ちは全く無く、むしろアリだと思っている。やるのであれば、重さの増えないデジタルデータを使って、壁紙やアイコン、スキン、システム音声といったもので存分にできるので、それで楽しめれば良い。
話は逸れるが、自分は基本的に中身重視、モノの外観を気にしない人間なので、「こんな素敵なデザインにしました!」とアピールされも「で? っていう」状態。大型ノートなら幅広い層に訴求できるので問題ではない。一方モバイルノートでは、それによって「こんなに軽くなります、薄くなります」なら大歓迎なのだが、機能的な意味を持たないようなデザインなら要らない。見た目の美しさに拘るようなヒマがあったら、もっと機能美を磨いて欲しいと感じてしまう。dynabook SS RX2はフラットな天板で、そこに新素材や薄型の液晶パネルを使って堅牢性、軽量化、薄型化を実現した。デザインは何もなく無機質かもしれないけれど、世界一を目指して作られたモバイルノートための天板は、開発背景が充分に格好良い。
そんなdynabook SS RX2が、この2010年夏モデルのラインナップから姿を消してしまった。後継になるであろう「dynabook RX3」は、多少価格は抑えられているものの、大型化による重量増に加えて、縦の解像度が減り半透過型ではなくなった液晶ディスプレイ、Calpellaプラットフォーム採用と、自分の要求の正反対に行ってしまった。セレクタブルOSはちょっと羨ましいが、他の要素のマイナス点を勘案すると些細なことだ。
正直、無くなってしまう前のタイミングで購入できて良かった。考え方が「欲しいが高い」から「手に入らなくなる」に変わったとき、値段のハードルはあっさり越えられた。
6月21日時点では「お買得商品 2009 冬モデル」のページに登場して販売が続いている。在庫があるのは今回紹介した512GB SSDとWiMAX搭載モデルのみ。かなり在庫処分の感が強く、クーポンはOfficeモデルで120,000円、Office無しで115,000円付くので、219,800円から購入できる。512GBのSSDだけでも相当に値が張るので、ここまで完成度の高いPC本体が数万円というレベルまで下がっている計算(錯覚です)になる。このマシンが以前から気になっていた方は、ぜひとも、市場から消えてしまう前にイヤッッホォォォオオォオウ! していただきたい。
(2010年 6月 22日)
[Text by 山田 幸治]