ソニー「VAIO Tap 20」
〜液晶を水平まで倒せる20型液晶搭載一体型PC



VAIO Tap 20の外観。本体は、大きなタブレットのようなデザインだ

12月中旬 発売

価格:オープンプライス



 ソニーのWindows 8搭載秋冬モデルの中でも、特に注目を集めているのが、独自の「Surf Slider」機構を搭載した変形Ultrabook「VAIO Duo 11」と、液晶を水平まで倒せる液晶一体型PC「VAIO Tap 20」の2製品だ。前者についてはすでにレビューを行なっているが、今回は、後者のVAIO Tap 20を試用する機会を得たので、早速レビューしていきたい。なお、今回試用したのは試作機であり、製品版とは細部や性能などが異なる可能性がある。

●一体型PCとしてはコンパクトで軽い

 VAIO Tap 20は、20型液晶を搭載した液晶一体型PCで、最小傾斜時のサイズは504×187×304mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約5.2kgと、一体型PCとしては比較的コンパクトで軽い。前から見ると、角が丸みを帯びた長方形となっており、タブレットをそのまま大きくしたようなデザインだ。背面には大きなVAIOロゴがあるが、この部分はカバーになっており、工具を使わずに取り外すことができる。カバーを外すと、バッテリやメモリスロットカバー、HDDベイカバーが現れる。通常、液晶一体型PCは、デスクトップPCの一種として扱われており、バッテリを搭載した製品は非常に珍しい。VAIO Tap 20は、バッテリを搭載したことで、ACアダプタを接続せずに、大きなタブレットやノートPCのような感覚で、好きな場所に運んで使えることが利点だ。

 VAIO Tap 20の店頭モデルは、搭載CPUやメモリ容量の違いなどによって3モデルが用意されているが、ここでは、下位モデルのSVJ20217CJWを試用した。SVJ20217CJWは、CPUとしてCore i3-3217U(1.8GHz)を搭載し、メモリは4GB実装されている。SO-DIMMスロットは2基用意されているので、最大8GBまで増設が可能だ。ストレージとしては、1TBの2.5インチHDDが搭載されている。基本スペックは、Ultrabookの中位から下位モデルに近いと思えばよいだろう。

VAIO Tap 20の背面。VAIOロゴのカバー部分は工具を使わずに外せるようになっている 背面のカバーを外したところ。下にあるのがバッテリ、右上がメモリスロットのカバー、左上がHDDベイのカバーだ バッテリとメモリスロットカバー、HDDベイカバーを外したところ
メモリスロットとしてSO-DIMMスロットが2基用意されており、下位モデルでは、1スロット空いている HDDの換装も比較的容易だ
上面には、マイクやASSISTボタン、ローテーションロックボタン、音量調節ボタン、電源ボタンが用意されている 液晶下部中央にWindowsボタンが用意されている

●液晶ディスプレイを自由な角度で水平状態まで倒せる

 VAIO Tap 20の最大のウリが、液晶ディスプレイを水平状態まで倒せることだ。ヒンジは任意の角度で止まるようになっており、固さもちょうどいいので、画面を指でタッチしても、倒れていくようなことはない。液晶を30度程度まで倒した状態は、デスクトップスタイルと呼ばれ、通常の一体型PCと同じように利用するのに適している。液晶は10点マルチタッチに対応しており、Windows 8 UIも快適に利用できる。液晶をさらに寝かしていき、60〜70度程度まで倒した状態は、タッチ快適スタイルと呼ばれ、肘をついたり、寝そべったりして楽な姿勢でタッチ操作が行なえる。液晶を完全に寝かして水平まで倒すと、テーブルトップスタイルと呼ばれるスタイルになり、テーブルの上や床の上に置いて、複数人で本体を囲んで一緒に使うのに適している。

 なお、ヒンジを適当な角度にすれば、本体を縦にして使うことも可能だ。タブレットなどと同じく、加速度センサーやジャイロセンサー、地磁気センサーを搭載しており、本体を縦にすれば画面も縦表示に切り替わる。

スタンドのヒンジ部分のアップ。任意の角度で止まるようになっており、固さもちょうどいい このくらいの角度がデスクトップスタイルと呼ばれるスタイルになり、キーボードやマウスを使うときに適している さらに寝かすと、タッチ快適スタイルと呼ばれるスタイルになり、肘をついたり、寝そべったりして楽な姿勢でタッチ操作をおこなうのに適している
液晶を水平まで倒すと、テーブルトップスタイルと呼ばれるスタイルになり、テーブルの上や床の上に置いて、複数人で囲んで一緒に使うのに適している 縦画面にして置くこともできる

●広視野角のIPS液晶を採用

 液晶は20型で、解像度は1,600×900ドットである。視野角の広いIPS液晶を採用しているので、テーブルトップスタイルにして、家族みんなで囲んで使う場合でも見やすい。液晶上部には、有効画素数131万画素の“Exmor for PC”CMOSセンサーが用意されており、ビデオチャットなどに利用できる。光学ドライブは内蔵していないが、代わりにUSB経由で接続する外付けDVDスーパーマルチドライブが付属している(中位モデルや上位モデルではBDドライブが付属)。

 無線方式を採用したワイヤレスキーボードとワイヤレスマウスが付属する。キーボードのキーピッチは約19mmで、キーストロークは約2mmで、キー配列も標準的で使いやすい。マウスはレーザー方式で、どのような場所でも利用できる。

広視野角のIPS液晶を採用。解像度は1,600×900ドットである。光沢タイプなので鮮やかだが、映り込みがやや気になることがある 液晶上部に有効画素数131万画素の“Exmor for PC”CMOSセンサーが用意されている 本体に光学ドライブは搭載しておらず、USB経由で接続する外付けDVDスーパーマルチドライブが付属する
電波方式のワイヤレスキーボードが付属する ワイヤレスキーボードは、単3電池1本で動作する 付属のワイヤレスマウス。読み取りにはレーザー方式を採用

●バッテリ搭載で、部屋から部屋へと気軽に持ち運べる

 インターフェイスとしては、USB 3.0×2、メモリーカードスロット、有線LANなど、必要最低限のものが用意されている。ワイヤレス機能としては、IEEE 802.11a/b/g/n準拠の無線LANとBluetooth 4.0をサポートしている。また、背面にはNFCも用意されており、今後はさまざまな応用が考えられそうだ。

 VAIO Tap 20は、前述したように、バッテリを搭載していることが特徴だ。バッテリの仕様は10.8V/3,500mAhで、ノートPCに搭載されているものと似た仕様だ。もちろん、モバイルでの利用を前提とした製品ではないが、ACアダプターを繋がずに部屋から部屋へ気軽に持ち運んで、自由な場所で使えるのは便利だ。

 公称バッテリ駆動時間は約3.5時間だが、実際に、バッテリベンチマークソフトの「BBench」(海人氏作)を利用し、1分ごとに無線LAN経由でのWebアクセス、10秒ごとにキー入力を行なう設定でバッテリ駆動時間を計測したところ、2時間55分の駆動が可能であった(電源プランは「バランス」、液晶輝度は「中」)。

 通常の一体型PCやデスクトップPCでは、うっかり電源ケーブルに足をひっかけてしまって、作業中のデータが消えてしまうといったトラブルも起こりがちだが、バッテリを搭載したVAIO Tap 20なら、そうした心配はない。簡易UPS的な使い方も可能であろう。

左側面には、メモリーカードスロットとUSB 3.0×2(下側はUSB充電対応端子)、ヘッドホン出力、マイク入力が用意されている 左側面のインターフェイス部分のアップ
右側面には、有線LANとDC入力が用意されている 右側面のインターフェイス部分のアップ 背面にはNFCも用意されている
一体型PCとしては珍しく、バッテリを搭載。AC電源をつながなくても動作する バッテリは10.8V/3,500mAという仕様で、ノートPC用とあまり変わらない CDケース(左)とバッテリのサイズ比較
電源はACアダプタから供給される CDケース(左)とACアダプタのサイズ比較

●タッチで楽しめるオリジナルアプリを搭載

 VAIO Tap 20は、写真やボイスメッセージなどを登録できる伝言板「Fingertapps Organzier」や左右から同時にお絵描きできる「Family Paint」など、マルチタッチを活かしたオリジナルアプリが搭載されていることも嬉しい。さらに、オフィススイートの「Microsoft Office Home and Business 2010やDVD/BDオーサリングソフト「DVD Architect Studio 5.0」など、実用的なアプリも多数プリインストールされており、家族みんなで使うPCとして魅力的だ。

テーブルトップスタイルで二人で一緒にお絵描きをしているところ 左右から同時にお絵描きができる「Famliy Paint」。左右の画面で別のペンを利用できる

●性能はそこそこだが、使用感は十分快適

 参考のためにベンチマークテストを行なってみた。利用したベンチマークプログラムは「PCMark05」、「PCMark Vantage」、「3DMark03」、「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」、「ストリーム出力テスト for 地デジ」、「CrystalDiskMark」だ。

 比較用として、ソニー「VAIO Duo 11」や東芝「dynabook R542」、ソニー「VAIO T SVT13119FJS」、富士通の「LIFEBOOK UH75/H」の値も掲載したが、VAIO Duo 11以外の機種のOSはWindows 7なので、あくまで参考程度にしてほしい。 なお、VAIO Tap 20では、PCMark 7の計測途中でエラーが出てしまったので、PCMark 7の計測は省略している。

 PCMark05のCPU Scoreの値は、Core i5を搭載した他機種に比べると低くなっており、HDD Scoreの値も、HDDを搭載したVAIO Tap 20は、SSDを搭載したUltrabookに比べるとかなり低いのだが、実際の使用感はそこまでの差はなく、十分快適にタッチによる操作が行なえた。

  VAIO Tap 20 VAIO Duo 11 dynabook R542 VAIO T SVT13119FJS LIFEBOOK UH75/H
CPU Core i3-3217U (1.8GHz) Core i5-3317U (1.70GHz) Core i5-3317U (1.70GHz) Core i5-3317U (1.70GHz) Core i5-3317U (1.70GHz)
ビデオチップ Intel HD Graphics 4000 Intel HD Graphics 4000 Intel HD Graphics 4000 Intel HD Graphics 4000 Intel HD Graphics 4000
PCMark05
PCMarks N/A N/A N/A N/A 6993
CPU Score 5303 7885 7228 7937 7658
Memory Score 4665 7825 8528 5940 6463
Graphics Score 2242 2527 5779 4007 4807
HDD Score 4774 48050 20204 12710 12899
PCMark Vantage 64bit
PCMark Score N/A N/A 8577 8270 9300
Memories Score 3257 7951 5591 5156 6776
TV and Movie Score Failed Failed 3814 3844 4300
Gaming Score 3775 10248 7599 6975 7224
Music Score 4765 14890 9837 10643 10739
Communications Score N/A N/A 9475 9643 9438
Productivity Score N/A N/A 9393 10298 9147
HDD Score 2782 45577 16308 18159 21564
PCMark Vantage 32bit
PCMark Score N/A N/A 8130 7961 8811
Memories Score 3213 7609 5428 4954 6773
TV and Movie Score Failed Failed 4142 3776 4328
Gaming Score 3263 9199 6754 6341 6041
Music Score 4489 14047 9528 9305 9775
Communications Score N/A N/A 9390 9173 9452
Productivity Score N/A N/A 8576 9887 8295
HDD Score 2793 45380 15478 18091 22010
3DMark03
1,024×768ドット32bitカラー(3Dmarks) 8606 12635 12607 7929 9565
CPU Score 1184 1658 1615 1468 1544
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
HIGH 3281 4206 3786 3699 3685
LOW 4965 6190 5736 5685 5688
ストリーム出力テスト for 地デジ
DP 99.9 100 100 100 99.97
HP 99.97 100 100 99.97 99.97
SP/LP 100 99.97 100 100 100
LLP 100 100 100 99.97 100
DP(CPU負荷) 29 14 17 23 20
HP(CPU負荷) 10 6 9 11 8
SP/LP(CPU負荷) 4 3 6 8 5
LLP(CPU負荷) 3 2 5 7 4
CrystalDiskMark 2.2
シーケンシャルリード 96.94MB/s 458.0MB/s 268.3MB/s 274.4MB/s 77.87MB/s
シーケンシャルライト 85.63MB/s 260.3MB/s 85.28MB/s 86.87MB/s 81.50MB/s
512Kランダムリード 36.38MB/s 315.3MB/s 239.0MB/s 244.3MB/s 41.99MB/s
512Kランダムライト 33.48MB/s 240.1MB/s 30.62MB/s 34.19MB/s 33.52MB/s
4Kランダムリード 0.469MB/s 19.67MB/s 18.22MB/s 19.32MB/s 0.635MB/s
4Kランダムライト 1.064MB/s 40.69MB/s 0.925MB/s 1.105MB/s 0.834MB/s
BBench
Sバッテリ(標準バッテリ) 2時間55分 5時間18分 6時間30分 6時間14分 6時間12分
Lバッテリ なし 8時間57分 なし なし なし

●家族みんなで使えるPCとしての完成度は高い

 VAIO Tap 20は、液晶を水平状態まで倒せるだけでなく、バッテリを搭載したことで、これまでの据え置き前提の一体型PCではできなかった、新たな活用法を提案した製品である。デザイン的にもリビングなどに置いても違和感がないので、家族みんなで使うPCが欲しいという人にお勧めだ。

 筆者の子どもたちに触らせてみたところ、すぐに操作に慣れ、大きな画面で自由にお絵描きできるので、とても喜んでいた。iPhoneなどで遊んでいるゲームも、Windowsストアアプリとして提供されているものも増えてきたので、そのあたりも気に入ったようだ。実売価格は13万円前後であり、プリインストールアプリも充実していることを考えると、コストパフォーマンスも優秀だといえるだろう。

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(2012年 11月 14日)

[Text by 石井 英男]