オンキヨー「SOTEC DC204」
〜960gの軽さを実現したスリムネットブック



オンキョー「SOTEC DC204」

発売中

価格:49,800円



 オンキヨーがSOTECブランドで発売した「SOTEC DC204」は、約960gの軽さを実現した、軽量薄型のネットブックだ。厚みも23mmしかなく、見た目もかなり薄い。現在、ネットブックを販売しているメーカーの間では、10型前後の液晶を搭載する薄型ネットブックが流行しており、このSOTEC DC204もスペック面ではそれらのモデルとほぼ同じ構成となっている。ただし、後発ということで良く作り込んであり、2009年5月22日時点の10型〜10.2型ネットブックの中では最薄最軽量を実現している。今回は、量産品の試作機を使用してレビューをお届けする。製品版ではないので、その点は注意してほしい。

●スペックはネットブックそのもの

 SOTEC DC204は、直販WebサイトのSOTECダイレクトで販売される直販モデルだ。このモデル以外に、店頭販売のみの「SOTEC C204A3」と、同様に店頭販売のみでOffice Personal 2007が付属する「SOTEC C204A3B」がラインナップされている。ここで紹介する直販モデルのSOTEC DC204は、購入時にOfficeの有無と種類や、外付けDVDドライブの有無などを選択できるところが店頭販売モデルとは異なる。ハードウェアは3モデル共通なので、3ラインナップと言っても、ソフトと付属品の違いということになる。

 SOTEC DC204のスペックは、CPUにAtom N270(1.60GHz)、メモリは1GB、ストレージには32GBのSSDを搭載し、液晶は10.1型ワイドで解像度は1,024×600ドットと、ネットブックそのもののスペックである。きちんとネットブックの制限内に収められており、ほかのネットブックとスペックにおける優劣はない。あっても、ストレージがHDDかSSDかという違いくらいだ。ネットブックの場合はスペックがほぼ固定なので、各メーカーはスペック以外の部分で差別化を行なうしかなく、この製品の場合は最薄最軽量ということと、日本受けするスタイリッシュなデザインで差別化を図っている。

□スペック表
モデル SOTEC DC204
価格 49,800円
OS Windows XP Home Edition SP3
CPU Atom N270(1.6GHz)
チップセット Intel 945 GSE+ICH7-M
グラフィックス機能 Graphics Media Accelerator 950
メモリ DDR2-533 1GB
SSD 32GB
液晶 10.1型ワイド 1024×600ドット
ネットワーク IEEE802.11b/g/n(Draft 2.0)、100BASE-TX
Webカメラ 30万画素
バッテリー駆動時間 約4時間
サイズ(突起部含まず) 横257×奥行き180×高さ23mm
重量(バッテリー搭載時) 約960g

 最新製品なので、CPUにはAtom N270ではなくAtom N280を採用してほしかったとも思うが、この2つのCPUの性能はそれほど変わらないので、Atom N270を選んだことで49,800円という競争力のある価格を実現できたのであれば、そのことは特にデメリットとはならない。実際のところ、Atom N280はAtom N270と比較して、FSBクロックを533MHzから667MHzに上げ、コアクロックを1.60GHzから1.66GHzに上げただけのCPUだ。ベンチマークテストを行なえばクロック分の差は出てくるが、それが実際の使用環境で体感できるかというと、それほどの差は出ない。同じ価格なら、もちろんAtom N280を載せてほしいが、価格を上げてまで採用してほしいCPUでもないということだ。

 ユニークなのは、ストレージにHDDを選ばずにSSDを採用していることだ。現在のネットブック市場では、SSD搭載モデルよりもHDD搭載モデルのほうが人気があり、最近ではSSDを搭載する新製品は少なくなってきている。これは、多くのユーザーが、ネットブックにノートPCと同じ性能を求めている結果だろう。SOTEC DC204が搭載する32GBのSSDは、メインで使用するノートPCのストレージと考えると少々心許ない。しかし、モバイル用途やサブノートのストレージと考えると十分な容量だ。搭載しているSSDはメーカーは不明だが、型番はPS3007SSDというモデルで、接続はUltra ATA/100となっている。

 試用したSOTEC DC204の場合、パーティションはCドライブのみで、空き容量は17.2GBだった。追加でWebブラウザやテキストエディタ、Office系ソフトなどを入れても十分余裕のある容量だ。何より、SSDなので衝撃に強く、少しばかりラフに扱っても問題ないという安心感がうれしい。こういう気軽さこそネットブックの魅力なので、流行と関係なくSSDを採用していることを高く評価したい。

 拡張性に関しては、メモリにはDDR2-533をオンボードで1GB搭載しており、追加や交換はできない。本体の裏側からアクセスできるのは無線LANカードのみで、メモリやSSDは本体を分解しなければ触れない仕様だ。かなりの数のネジと、接着剤で取り付けられているゴム足なども外す必要があり、ほかのネットブックと比べると分解の難易度は高い。

 SSDの採用も、メモリがオンボードということも本体の軽量化に貢献しているはずで、SOTEC DC204はモバイル用途を強く意識したネットブックと言える。バッテリにも薄型のリチウムイオンポリマーを採用しており、動作時間を極端に犠牲にしない範囲で軽さと薄さを実現している。なお、バッテリの仕様は1,800mAh/19.98Whで、動作時間は約4時間だ。

底面にはメモリやSSDにアクセスするためのフタはなく、スッキリしている 本体手前のパームレストの裏側に、薄型のリチウムイオンポリマーバッテリを搭載している
バッテリの容量は19.98Whで、メーカー公称の連続駆動時間は約4時間となっている 中央寄りのフタには中身がなく、右上のフタには無線LANカードが入っている

●高級感のあるスタイリッシュなデザイン

 デザインは好みによるところが大きいので一概には言えないが、SOTEC DC204のデザインはかなり良い。一目見て、今までの多くのネットブックとは一線を画していることが分かるデザインだ。UVコーティングを施しているという液晶カバーは白く輝いてとてもキレイで高級感がある。さらに、艶があるのに指紋がそれほど目立たないことがうれしい。ヒンジ部分と本体側面が黒いので、ボディの白が余計に際立って、大変スタイリッシュに見える。パッと見では見えにくいが、側面にはアクセントとなる赤い線が入っていて、さりげなくオシャレだ。

 重量は約960gということだが、薄くて持ちやすいからか、もっと軽く感じる。ほとんど凹凸がなく、本体のどこをとってもほぼ同じ厚さなので、バッグなどにも入れやすい。いろいろなネットブックを触ってきたが、SOTEC DC204のデザインは、持ちやすさや運びやすさを含めてトップレベルの出来だ。

本体を左斜め前から見たところ。白と黒のコントラストがキレイでスタイリッシュだ 写真では分かりにくいが、液晶カバーには高級感のある艶があって、光をキレイに反射する ヒンジのデザインも凝っている。本体は前も後ろもほぼ同じ厚みなのでバッグなどに入れやすい
液晶をいっぱいまで開いたところ。開く角度は、もう少し開くことができれば、なお良かった 重量は実測では928gだった。メーカースペックよりかなり軽いのは試作機だからかもしれない ACアダプタの重量は166g。実測では、本体と合わせても約1.1kgに収まる軽さだ

●標準的な使い勝手のネットブック

 実際の使い勝手だが、10型以上の液晶を搭載する多くのネットブックとほぼ同じだ。やはり、同じ大きさである以上、搭載するインターフェイスも近くなるし、使い勝手も大きくは変わらない。体感速度も、一般的なHDD搭載モデルとほぼ同じだ。SSDだからといって、凄く速いというわけではない。

 キーボードは、このサイズのネットブックとしては標準的な17mmのキーピッチを確保している。この文章を入力している今、ストレスを感じることはなく快適だ。普段フルサイズのキーボードしか使っていない人は最初は戸惑うかもしれないが、しばらく使用して慣れてくれば、特に問題なく文章を打ち込むことができるだろう。ただ、筆者のキーを打つ強さが強いためか、キーボードの中央辺りが少したわむことが気になった。これは筆者の打ち方の問題かもしれないので、気になる方は店舗などで確認してみるとよい。

 タッチパッドも標準的なもので、違和感なく使用できる。筆者としては、ボタンが前面のふちの部分にあったほうが自然に手を置くことができて、より使いやすいと思うのだが、これもキーボードと同様に人それぞれなので、実際に店舗に行って触ってみるとよいだろう。直接手に触れるインターフェイス部分は、とにかく実際に触ってみることが重要だ。

 ほかに、タッチパッドに関しては付属ソフトが多機能なことが特徴だ。まず、タッチパッドの右端と下端がスクロールエリアになっていて、指でなぞることで縦横のスクロールを行なえる。また、一旦スクロールモードになった後に、指を円を描くように回すと、高速スクロールを行なえる。これらの操作には若干の慣れが必要だが、慣れてしまえばかなり便利に使える。スクロールエリアの反応範囲や、スクロールの量、機能のオン/オフなどは細かく設定できるので、自分に合った設定を見付けやすい。さらに、マルチタップに対応しているので、2本の指をタッチパッドの上に置いて指の間隔を広げたり狭めたりすれば、Webブラウザの表示の拡大縮小などを行なえる。これらの機能は、使い始めは必要ないと思うことが多いが、使っているうちに無くてはならなくなる機能だ。じわりじわりと便利になっていく機能である。

 液晶は表面に光沢のあるタイプで、ハッキリした表示でキレイに見える。バックライトにはLEDを使用しており、十分な明るさだ。直射日光が当たる場所など、余程明るいところでなければ明るさに不満を持つことはない。映り込みは、一般的な光沢液晶と同様にかなりあるので、気になる人は実際に現物を確認したほうがよいだろう。ただ、やはり光沢のないノングレア液晶よりも鮮やかな見え方をするのでキレイだ。

 ACアダプタは持ち運びしやすいサイズで、かつユニークなギミックを搭載している。コンセントに挿す端子部分を取り外して向きを変えることができるのだ。これにより、コンセントに対してACアダプタを縦向きと横向きのどちらでも挿すことができる。使用環境に合わせて変更できるので便利だ。

 本体にはLANポートとアナログRGB出力(ミニD-Sub15ピン)が用意されていないが、USB 2.0で接続する外付けのVGA/LANアダプタが付属しており、それ経由での出力を行なえる。なお、今回使用した試作機にはVGA/LANアダプタが付属していなかったので試すことができなかった。

 動作音はSSDを採用していることもあり、通常時は無音で動作する。少し負荷がかかると、本体の右上辺りからファンの動作音が聞こえるが、それも気になるほど大きな音ではない。薄いのにうまく排熱を行なっているようで、高い負荷をかけてもパームレスト部分はあまり熱くならない。これなら、長時間の使用も苦にはならない。キーボードの左上辺りが、ほかの場所よりも熱くなる傾向があるが、それも不快なほどの熱さではない。発熱の処理に関しては、かなり優秀だ。

10.1型の液晶は光沢のあるタイプで映り込みはあるがキレイだ。解像度は1,024×600ドット キーボードは、カーソルキーが右下に少しはみ出すタイプ。一般的な日本語配列だ キーピッチは、このクラスでは標準的な17mm。慣れれば違和感なく使用できる
タッチパッドも、このクラスでは標準的なサイズ。ボタンが少し奥まったところにある 付属のソフトで、タッチパッドのスクロールエリアの調整やオン/オフなどを行なえる 液晶の上部に搭載するWebカメラは30万画素のもの。30万画素の割には結構キレイに映る
前面には何もインターフェイスがない。液晶はロックがなく、そのまま開くタイプだ 左側面のインターフェイスは、左から電源端子、USB 2.0、メモリカードスロットとなっている 右側面のインターフェイスは、左からUSB 2.0×2、ヘッドフォン、マイクとなっている
背面にもインターフェイスはない。SOTEC DC204の場合、前面と背面はほぼ同じ厚さだ 本体の左上には、バッテリの充電状態を表示するLEDが搭載されている 本体の右上には、無線LANの動作状態を表示するLEDと、電源ボタンがある
ACアダプタは珍しい形状をしている。大きさは小型でかさばらない 端子部分をACアダプタから取り外すことができ、端子の向きを変更できる これが、端子を横向きに取り付けた状態
こちらは、端子を縦向きに取り付けた状態。意外と便利だ 液晶のヒンジ部分にステレオスピーカーが入っている。音質はネットブックの標準的な音だ メモリスロットにSDカードを挿すとはみ出てしまう。挿しっぱなしにできないので、これは残念
液晶を閉じるとパームレスト部分に線が付く。ただし、指でこすると消えるので安心してほしい キーボードと液晶の間には、SSDのアクセスLED、CapsLockのLED、NumLockのLEDがある
室温が26℃のとき、高負荷の状態で計測してもパームレストの温度は26.9℃と低かった 同じ条件でキーボードの左上部分は38.9℃と高い。しかし、気になるほどの熱さではない
箱から出した直後の画面。結構いろいろなソフトが最初から入っている

●デザインと軽さに魅力を感じる人にオススメ

 最後に、ベンチマークテストの結果を見てみよう。テストには、Futuremarkの「PCMark05 Build 1.2.0」と、HDBENCH.NETの「HDBENCH Ver3.40beta6」、スクウェア・エニックスの「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」を使用した。PCMark05のGraphics Scoreは、液晶の解像度が足りなかったことと、外部出力を行なえなかったため計測ができなかった。また、オンキョーが2008年10月に発売した「SOTEC C101W4」の値を比較用として掲載している。

  SOTEC DC204 SOTEC C101W4
CPU Intel Atom N270 1.6GHz Intel Atom N270 1.6GHz
ビデオチップ GMA950 GMA950
メモリ 1GB 1GB
OS Windows XP Home Edition SP3 Windows XP Home Edition SP3
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark Score N/A 1366
CPU Score 1489 1461
Memory Score 2392 2309
Graphics Score N/A 557
HDD Score 4877 4065
HDBENCH Ver3.40beta6
ALL 34434 34948
CPU:Integer 92443 93721
CPU:Float 64474 64466
MEMORY:Read 47684 47959
MEMORY:Write 48159 48293
MEMORY:Read&Write 84727 84830
VIDEO:Recitangle 13547 15950
VIDEO:Text 2946 8124
VIDEO:Ellipse 1553 3940
VIDEO:BitBlt 19 117
VIDEO:DirectDraw 29 29
DRIVE:Read 55501 50000
DRIVE:Write 31343 48530
DRIVE:RandomRead 34853 9442
DRIVE:RamdomWrite 7886 20868
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
High 947 N/A
Low 1312 1422

 結果は、当たり前だが標準的なネットブックの結果とほとんど変わっていない。HDBENCHのVIDEO関係の値が低いが、これは試作機のためだろう。同じスペックで、これほどの差が出ることは通常は考えられないので、製品版では解決していることを期待したい。

 1点、SOTEC DC204ならではの結果が出ているのが、HDBENCHのDRIVEの値だ。2.5インチHDDを搭載しているSOTEC C101W4と比べて、RandomReadの値が比較にならないほど速い。ランダム読み出しの速度が速いというSSDの特性がよく出ている結果だ。

 OSの起動時間は、ようこそ画面が表示されるまでが23秒、マウスカーソルの砂時計が消えて操作できるようになるまでが40秒、その後、何度か砂時計状態になり砂時計が完全に消えるまでが1分22秒だった。OSの終了時間は30秒だ。いずれも3回計測を行ない、その平均を結果とした。起動時間は体感ではかなり速いが、ウイルス対策ソフトや通信ソフトなど、いろいろとソフトが入っているためか、それらの起動に時間がかかっていた。購入後にそれらのソフトを削除するなり、より高速なものに変更すれば、もっと速くなるだろう。

 バッテリによる連続駆動時間は、テキストエディタでこの文章を書きながら、無線LANを使用してWebブラウザをときどき使いつつ、30分ほどWindows Media PlayerでMP3ファイルを再生するという使い方で計測を行なった。結果は、バッテリ残量が残り10%になって警告が表示されるまでが2時間37分、残り3%になってスタンバイになるまでが2時間51分だった。モバイルネットブックと考えると少々短い駆動時間だが、通常のネットブックと考えると標準的な結果だ。49,800円という価格で、この薄さと軽さを実現しているのだから、これでもかなり頑張っているとも言える。より長く使いたい人は、バッテリを追加で購入すればよい。

 SOTEC DC204についてまとめると、魅力的なデザインと、1kgを切る軽さに、23mmの薄さという、外見面での特徴が際立っているネットブックだ。また、HDDではなくSSDを搭載しているということも大きな特徴である。これらの特徴に魅力を感じる人なら、SOTEC DC204を選んで間違いはない。ネットブックである以上、どうせスペックはどれも同じである。同じになってしまうスペック以外の部分で完成度を高めてきたSOTEC DC204は、現時点でのネットブックの完成形の1つと言ってもよさそうだ。

バックナンバー

(2009年 6月 1日)

[Text by 小林 輪]

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