Hothotレビュー

タフでIP68防水、なのにデュアル画面のスマホ「Unihertz TickTock」

TickTock

 数々のユニークな端末を送り出している中国・上海Unihertz。その最新作が「TickTock」だ。IP68防水でタフな筐体でありながら5Gに対応し、なおかつ背面に円形の1.3型サブディスプレイを備えている点が最大の特徴となっている。まもなくクラウドファンディングサイトでKickstarter出資を募るとしている(8日にクラウドファンディング開始)が、事前にサンプルを入手したので、簡単に試用レポートをお届けする。

サブディスプレイの意味

 Unihertzと言えば「Jelly」や「Atom」シリーズを始めとした小型モデル、「Titan」シリーズのようなキーボード付きモデルなど、異色のスマートフォンをリリースするメーカーとして名を馳せているのだが、「TickTock」はこれまでの製品とは異なり、背面に円形の1.3型サブディスプレイを備えた、同社のこれまでにない新しいラインナップとなる。

 小型モデルやキーボード付きモデルは、いずれも実用面から、これらを必要とする一定層がいるのに対し、2画面付きは正直なところそこまで実用性はなく、飾りとしての要素が強い。そういう意味で新興のUnihertzにしてはかなり思い切った製品投入だと思う。

 「サブ画面を備えた携帯電話」というくくりでは、過去に日本の携帯電話各社からさまざまな端末がリリースされてきたが、折りたたみではなくスレート型が主流のスマートフォンであえて2画面を備えるのは少数。比較的大型のサブ画面を備えているのは「nubia X」や「YotaPhone」あたりが有名で、おまけとして備わっているのは「Cosmo Communicator」や「Mi 11 Ultra」、「ROG Phone 5 Ultimate」ぐらいだろうか。本機は1.3型なので後者である。

 ではこの1.3型の円形ディスプレイで何ができるかだが、いまのところ「通知」、「時計」、「音楽」、「カメラ」の4つの機能がメインとなっている。通知はカレンダーに登録された予定や着信などが表示されるもの。時計は円形というメリットを最大限に活かして、アナログ時計を表示させる。一方音楽は再生や前の曲/次の曲といった操作が可能で、カメラは背面カメラを使ってプレビューを見ながらシャッターが切れるというものだ。

TickTockのセカンドディスプレイ
時計表示機能
カメラ撮影機能
音楽コントロール
通知表示

 このうち通知と音楽についてあまり語るものもないので省くが、時計についてはなかなかのこだわりようで、標準で16種類の文字盤が用意されているほか、7種類の表示と好みの画像を背景の組み合わせにもできるのでカスタマイズ性は高い。ちなみに文字盤の切り替えは設定から行なえるほか、時計表示時にダブルタップすると切り替えられるので、日や気分によって変えるのは容易だ。

「サブスクリーンの設定」の「文字盤の選択」設定。標準で16種類の文字盤が用意されている
背景を指定して、7種類の表示方法と組み合わせることもできる

 カメラはその名の通り、背面ディスプレイを使って撮影するというもの。こちらを使って撮影すると背面カメラを前面カメラ、前面カメラを背面カメラとして利用できる。なお、標準では画面に合わせて360×360ドットの低解像度画像が出力されてしまうので、高解像度で撮影したい場合はあらかじめ設定しておく必要がある。当然、背面カメラを前面カメラとして自撮りした場合はかなり高精細な写真が出てくる。一方で前面カメラは固定フォーカスなので、遠景撮影には向かない。必要に応じて使い分けるといい。

 なお、本体側面には2つ機能を自由に割当可能なファンクションボタンを備えているが、このうち下の方は標準ではサブディスプレイ点灯が割り当てられている。一応オプションではダブルタップで点灯といった設定も可能だが、使いやすさという意味ではこの標準設定をおすすめしたい。

 現時点ではサブディスプレイは機能は限定的だが、継続的にソフトウェアアップデートにより機能追加していくとのことだ。とは言え、実用面よりもアクセサリとしての意味合いが強い。

 ちなみにディスプレイは液晶なのだが、発色がよくかなり見栄えがするほか、腕時計のベゼルのような形の金属パーツでディスプレイを囲んでいるので、デザインとしてのアクセントはなかなかパンチが効いている。セキュリティなどの観点から常時画面を下向きにして机において置くユーザーが、ちょっと時計や情報を確認したいという時に便利に使えるだろう。

サブスクリーンの設定。LCDで焼付きの心配はないため常時表示でもいいような気がするが、端末をひっくり返したら表示する、ダブルタップで表示するといった設定も可能なため、電力消費を抑える意味でもスクリーンタイムアウトを設定にしておいたほうがいいかもしれない
標準では下の方のファンクションボタンにサブディスプレイ点灯が割り当てられていた
ちなみにファンクションボタンの設定は「設定」→「スマートアシスト」から行なう
ショートカットなどを設定できる
1つのボタンでも、短押し、長押し、ダブルクリックでそれぞれ別々の機能を割り当てられるため、実質6つの機能が利用できる

いかにもタフそうな筐体

 そのほかの外観やデザインについて見ていこう。上下はなだらかにとんがっている形となっており、このあたりは同社のTitanシリーズに通じるものがある。中国のスマートフォンを追いかけていた人なら、かつてMeituがリリースした端末を思い出すことだろう。左右も多角形を用いていて、筐体は14.9mmと薄型のノートPC並みの厚さがあるため、かなりごつい印象だ。

 サブディスプレイ周囲の金属パーツはなかなか高級感があるほか、背面パネルもカーボン調となっている。上下はラバーのようなバンパーを備えており、タフネスを強調するものだ。本機はIP68防水が謳われているのだが、落下耐性については特に謳われていない。とはいえ、この筐体なら持つ高さから足元に落ちただけで壊れるようなことはまずないだろう。

 画面は1,080×2,340ドット表示対応の6.5型と平均的ではあるのだが、本体サイズは85.6×176×14.9mm(幅×奥行き×高さ)とかなり大柄。今やベゼルを極細にするといったデザインのほうが流行っているのだが、本機はそのトレンドを逆行するものだ。とはいえ、これによって堅牢性を確保しているのは間違いない。重量も308gと、スマートフォンを持っているというより、モバイルバッテリを持っている雰囲気だ。

TickTock本体と付属品
重厚感のある本体
本体背面。カーボン調のカバーと腕時計をモチーフとした背面ディスプレイ
重量は公称で308g。実測は309gだった
ROG Phone 5 Ultimateとの比較
同じサブディスプレイを搭載するが、ROG Phone 5 Ultimateの方はタッチ操作ができないので純粋な比較はできない

 ちなみにバッテリは6,000mAhとかなり大容量。後述するが、本機にはMediaTekのDimensity 700というミドルレンジ向けのSoCが搭載されているため、ゲームをしない通常の用途であれば2日程度は持つだろう。

 このほかUnihertzならではのユニークな機能としては、赤外線リモコン機能が挙げられる。プリインストールされているリモートコントロールアプリを使えば、TVやエアコンなどを操作できる。Jelly 2やTitan Pocketにも見られた機能だが、手元にスマートフォン1台あればほとんどの家電のリモコンを探さなくて済むようになるのは便利だ。

 なお、有線インターフェイスはUSB Type-Cのみで、ラバーのカバーがついている。3.5mmステレオミニジャックはないが、防水のため省いたと考えるのが自然だろう。

 生体認証については顔認証のほか、電源ボタンに統合された指紋センサーを搭載。この数日の試用では、指紋センサーの精度に不満を感じることはほぼなかった。

本体右側面。指紋センサー一体型の電源ボタンやボリューム調節ボタンがある
本体左側面。SIMカードスロットと、2つのファンクションボタンを装備
本体上部に赤外線トランスミッター
本体底面にUSB Type-Cを装備。コネクタはラバーで保護されている

4,800万画素出力可能なSamsung GM1センサー採用。性能も十分

 Unihertzのこれまでのスマートフォンは他の特徴が強かったため、カメラの性能についてはあまり強調してこなかった。これはTickTockも共通なのだが、調べてみたところ、背面のメインカメラのセンサーにSamsungのGM1(S5KGM1)が使われていた。発表は3年前なので枯れたセンサーではあるのだが、一応はプレスリリースがなされるほどのハイエンドモデルで、ソフトウェア補完により8,000×6,000ピクセルの撮影、標準では3,968×2,976ドットの出力が可能だ。

 いくつかの作例を挙げるが、屋外での撮影のクオリティは申し分ない。もう少し鮮やかに味付けしても良かったのではないかと思えるが、ほぼ素のセンサーの絵ということだろう。ただ、Jelly 2やTitan Pocketのように冷色寄りにならないし、コントラストも極端ではなく自然な仕上がりである。

標準では約1,200万画素の出力
4,800万画素出力の作例
1,200万画素作例
4,800万画素作例
黄昏時で光量不足気味の時は暗所がノイジーになりがちだが、ディテールをちゃんと残したシャープな絵作りで好感が持てる
複雑なディテールもよく写っていると思う
明暗差が激しいシーンだと白飛び傾向にある
赤の発色が特徴的。日陰にしては発色は頑張っている方だ
空の色はスッキリしている。この辺りはJelly 2の強烈な青とは対照的
歪曲収差はほとんどなく優秀だ
センサーサイズが一回り大きいため、近影では周辺は流れ気味になる

 Jelly 2やTitan Pocketに使われているOmniVision「OV16880」が1/3.06インチ、GM1は1/2インチとかなりの差があるが、実際にはTickTockは全体的にダイナミックレンジが広い印象。とは言え、TickTockは暗所を持ち上げた分ややノイジーな印象で、この辺りはどんぐりの背くらべ程度でしかない。

 背面にもう1つのカメラがあり、こちらはSamsungの「S5K4H7」だと思われるものの、カメラアプリから明示的に利用できず、ボケといった撮影機能もないので深度測定用とも思えず、用途は不明。前面カメラのセンサーはOmniVisionの「OV8865」である。

 カメラの動作はキビキビしており、書き込みに時間を要したりすることは皆無なため快適。画質や機能ではもう一声欲しいところだが、自然な写真がサクッと撮れればOKという人なら、TickTockでも十分に応えられる。

 性能については、Antutu Benchmarkを実行してみたが、314,916というスコア。CPUは94,023、GPUは69,930という結果は、ほぼアッパーミドルだと評していい。さすがに重い3Dゲームをプレイするのはやや力不足だが、カジュアルな3Dゲームならまったく問題ないレベル。一般的なWebブラウジングなどで不足を感じることはまずないだろう。

Antutu Benchmark 9.2.2は314,916というスコア。ほとんどの3Dゲームは問題なく動作する

 ちなみに、TickTockはUnihertz初の5G対応端末。対応バンドは1/2/3/5/7/8/12/20/25/28/38/40/41/66/77/78と、日本での利用に必須のn77をきっちり含んでいる(技適ももちろん取得)。ミリ波はさすがに対応していない。Unihertzにおける今後の5G端末の最初の布石だと捉えて間違いないだろう。

他人とは一味違うスマートフォンがほしいユーザーに

 これまでのUnihertzの尖った製品などと比較すると、TickTockはパンチに欠ける。先述の通り、「小型」や「ハードウェアキーボード」といったキーワードを前に、機能が限定的なセカンドディスプレイに価値を見いだせるユーザーはほんの一握りだろう。メイン端末として考えた場合、厚みや重さもネックとなってくる。

 つまりTickTockは、あえてサブディスプレイで時間や通知を確認するぐらいが楽しい、あえて重い端末を手にするからこそ満足できる、高い堅牢性で守りたいデータがあるといった価値観を持つユーザー向けなのだ。今あるスマートフォンはどれも一緒でつまらない、他人と一味違うスマートフォンを使いたいと思うユーザーにこそ、手にしてみてほしい端末だ。