平澤寿康の周辺機器レビュー

Intel「Intel SSD 320」シリーズ
〜X25-Mの後継モデルとなる第3世代SSD



Intel「Intel SSD 320」シリーズ



 SATA 6Gbpsに対応し、シーケンシャルリード最大500MB/secを誇る最新SSD「Intel SSD 510」シリーズを投入したばかりのIntelから新モデルがさらに登場した。現在でも非常に人気の高い「X25-M Mainstream SATA SSD」シリーズの後継モデルとして位置付けられる「Intel SSD 320」シリーズだ。今回、2.5インチ300GBモデルの「SSDSA2CW300G310」をいち早く試用する機会を得たので、製品仕様やパフォーマンスなどを紹介していこう。

●X25-Mの正統後継モデル

 Intel製SSDと言えば、X25-M Mainstream SATA SSD(以下、X25-M)シリーズを思い浮かべる人が多いと思う。2008年9月に発売されてからというもの、シーケンシャルアクセス性能のみならず、ランダムアクセス性能の高さから、体感上の快適度が非常に高く、現在でも人気を保っている。

 そのX25-Mの正統な後継モデルとなるのが、「Intel SSD 320」シリーズだ。X25-Mは、初代が製造プロセス50nmのMLC NANDフラッシュメモリを、第2世代が製造プロセス34nmのMLC NANDフラッシュメモリをそれぞれ採用していたが、それに対しIntel SSD 320シリーズでは、製造プロセス25nmのMLC NANDフラッシュメモリを採用しており、第3世代SSDとされている。

 本体形状を見ると、本体自体は約7mmほどで、上部に厚さ約2.5mmのプラスチック製スペーサーが取り付けられており、見た目はX25-Mシリーズとほとんど同じとなっている。接続インターフェイスもX25-Mと同じ、SATA 3Gbpsを採用。そのため、アクセス速度は、シーケンシャルリードが270MB/sec、シーケンシャルライトが最大220MB/sec(どちらも600GBモデルの数値)と、2月末に発売開始となったIntel SSD 510シリーズよりかなり低くなっている。X25-Mはシーケンシャルリード最大250MB/sec、シーケンシャルライト最大100MB/secなので、それと比べると速度は向上しており、特にライト速度の向上はかなり大きいものとなっている。

 X25-Mの特徴であった、ランダムアクセス性能の高さは、Intel SSD 320シリーズにも受け継がれている。X25-Mでは、4KBランダムリードは最大35,000IOPS、4KBランダムライトは最大8,600IOPSだったのに対し、Intel SSD 320シリーズでは、4KBランダムリードは最大39,500IOPS、4KBランダムライトは最大23,000IOPS(どちらも600GBモデルの数値)と、X25-Mの値を大きく上回っている。このとおりなら、実利用時の快適度もX25-Mを上回ると考えて良さそうだ。

 Intel SSD 320シリーズには、2.5インチサイズと1.8インチサイズの2種類が用意され、2.5インチサイズの製品としては、容量40GBから600GBまで、全部で6種類が用意される。また、表にまとめたように、容量ごとにアクセス性能が若干異なっている。リード性能に関しては、容量ごとの差はそれほど大きくないが、ライト性能には比較的大きな差が見られる。このあたりは従来モデルと同様で、容量の大きな製品ほどアクセス性能が高い。

【Intel SSD 320シリーズアクセス性能】
  40GB 80GB 120GB 160GB 300GB 600GB
シーケンシャルリード 200MB/sec 270MB/sec 270MB/sec 270MB/sec 270MB/sec 270MB/sec
シーケンシャルライト 45MB/sec 90MB/sec 130MB/sec 165MB/sec 205MB/sec 220MB/sec
4KBランダムリード 30,000IOPS 38,000IOPS 38,000IOPS 39,000IOPS 39,500IOPS 39,500IOPS
4KBランダムライト 3,700IOPS 10,000IOPS 14,000IOPS 21,000IOPS 23,000IOPS 23,000IOPS

本体形状は、従来モデルのX25-Mと同様で、上部にスペーサーが取り付けられている X25-M(上)と形状はほぼ同じ。Intel SSD 320シリーズがX25-Mの正統な後継モデルであることがよくわかる 厚さは、本体部分が約7mm、スペーサーが約2.5mmで、厚さ9.5mmの2.5インチHDD感覚で利用可能
接続インターフェイスは、従来モデル同様SATA 3Gbpsどまり。そのため、速度も300MB/secを下回っている 底面や側面のネジ穴は、2.5インチHDDのものと全く同じだ 重量は、実測で86g。こちらも従来モデルと全く同じだった

●25nm MLC NANDフラッシュメモリを採用

 では、内部の基板を見てみよう。驚いたことに、搭載されているコントローラの型番が、従来モデルと同じ「PC29AS21BA0」である。パフォーマンスが大きく異なっているため、当初はコントローラが異なっているものと考えていた。型番が同じである以上、コントローラ自体の仕様はほぼ同じで、性能差はファームウェアや採用するNANDフラッシュメモリの違いによるものと考えるのが自然だろう。

 フラッシュメモリチップは、製造プロセス25nmのIntel製MLC NANDだ。今回試用した300GBモデルでは、容量128Gbit(16GB)のMLC NANDフラッシュメモリチップ「29F16B08CCMEI」が、基板表に10個、基板裏に10個の計20個搭載されていた。また、コントローラの横には、キャッシュメモリ用となる、Hynix製の512Mbit(64MB) Mobile SDRAM「H55S5162EFR」(166MHz)が搭載されていた。キャッシュメモリ容量は従来モデルの256Mbitから倍増しており、当然この点もパフォーマンスの改善につながっているはずだ。

基板表には、X25-Mと同じIntel製コントローラ「PC29AS21BA0」と、キャッシュメモリ用のHynix製512Mbit Mobile SDRAM「H55S5162EFR」、製造プロセス25nmのIntel製128Gbit MLC NANDフラッシュメモリチップ「29F16B08CCMEI」を10個搭載している 基板裏にも、128Gbit MLC NANDフラッシュメモリチップ「29F16B08CCMEI」が10個搭載されている

●シーケンシャル速度は高速だが、ランダム速度はX25-Mにやや劣る

 では、速度をチェックしていこう。今回も、ベンチマークソフトとしてCrystalDiskMark v3.0.1a、HD Tune Pro 4.60、Iometer 2008.06.28の3種類を利用した。テスト環境は下に示す通りだ。不具合の解消されていないIntel H67 Express搭載マザーボードを利用しているが、テスト用のSSDとOS起動用のHDDのみをSATA III 6Gbps対応ポートに接続してテストを行なっているため、不具合の影響は受けない。比較用として、X25-Mの第2世代モデルである、160GBの「SSDSA2MH160G2GC」と、Intel SSD 510シリーズの250GBモデル「SSDSC2MH250A2C」の結果も加えてある。

【テスト環境】
CPU:Core i7-2600K
マザーボード:Intel DH67BL
メモリ:PC3-10600 DDR3 SDRAM 4GB×2
グラフィックカード:CPU内蔵(Intel HD Graphics 3000)
HDD:Seagate ST31000340AS(OS導入用)
OS:Windows 7 Professional 64bit

 結果を見ると、シーケンシャルリードが274MB/sec、シーケンシャルライトが225MB/secと、どちらも公称値を若干上回る速度であった。さすがにIntel SSD 510シリーズには大きく劣るものの、X25-Mとの比較では、リードで10MB/secほど、ライト速度では2倍以上に大幅に高速化されていることがわかる。HD Tune Proでもほぼ同等の結果が得られている。

 それに対し、ランダムアクセス速度に関しては、少々異なる結果となった。CrystalDiskMarkの結果では、512KBのランダムライト速度こそ、Intel SSD 320がX25-Mの結果を大きく上回っているものの、それ以外の結果は全て若干ながらX25-Mに負けている。HD Tune Proのランダムアクセステストの結果や、Iometerの結果もほぼ似た傾向となっている

 これは、今回試用した評価機固有の問題かもしれないが、製品版でも同じ傾向という可能性は十分に考えられる。今後ファームウェアアップデートによりランダムアクセス性能が公称値程度に向上する可能性はあるが、今回のテストで劣っていたのは事実で、この点は残念と言わざるを得ない。ただし、Intel SSD 510に比べるとランダムアクセス性能は十分に優れており、高いレベルにあることは間違いない。

SSD 320 CrystalDiskMark 1,000MB SSD 510 CrystalDiskMark 1,000MB X25-M CrystalDiskMark 1,000MB
SSD 320 CrystalDiskMark 4,000MB SSD 510 CrystalDiskMark 4,000MB X25-M CrystalDiskMark 4,000MB
SSD 320 HD Tune Pro 64KB Read SSD 510 HD Tune Pro 64KB Read X25-M HD Tune Pro 64KB Read
SSD 320 HD Tune Pro 64KB Write SSD 510 HD Tune Pro 64KB Write X25-M HD Tune Pro 64KB Write
SSD 320 HD Tune Pro 4MB Read SSD 510 HD Tune Pro 4MB Read X25-M HD Tune Pro 4MB Read
SSD 320 HD Tune Pro 4MB Write SSD 510 HD Tune Pro 4MB Write X25-M HD Tune Pro 4MB Write
SSD 320 HD Tune Pro Random Read SSD 510 HD Tune Pro Random Read X25-M HD Tune Pro Random Read
SSD 320 HD Tune Pro Random Write SSD 510 HD Tune Pro Random Write X25-M HD Tune Pro Random Write

【Iometerの結果】
Iometer 2008.06.28 Windows 7 Professional 64bit Intel SSD 320 300GB X25-M SATA SSD 160GB Intel SSD 510 250GB
Queue Depth:1 Queue Depth:32 Queue Depth:1 Queue Depth:32 Queue Depth:1 Queue Depth:32
File Server Access Pattern Read IOPS 2584.8 8327.1 2947.5 8941.3 2828.9 2878.0
Write IOPS 644.6 2081.4 737.1 2231.7 707.7 721.8
Read MB/s 28.0 90.2 31.9 96.8 30.6 31.2
Write MB/s 7.0 22.5 8.0 24.1 7.6 7.8
Average Read Response Time 0.3 2.3 0.3 2.9 32.1 32.7
Average Write Response Time 0.2 6.3 0.1 2.9 8.0 8.2
Maximum Read Response Time 5.2 38.6 5.1 283.5 0.3 10.2
Maximum Write Response Time 20.0 240.5 267.8 283.5 0.1 3.7

 SATA 6Gbpsをサポートし、シーケンシャルアクセス速度が400MB/secを上回るSSDが多数登場しているなか、Intel SSD 320シリーズはSATA 3Gbpsのサポートにとどまっており、見劣りするのは事実。また、ランダムアクセス性能が公称と違い、実際のテスト結果ではX25-Mに劣っているという点も残念だ。登場前の期待度からすると、少々肩すかしをくらったというのが率直な感想だ。デスクトップPCなど、SATA 6Gbpsをサポートするシステムで利用する、パフォーマンスを重視したSSDを探している人には、SATA 6Gbpsをサポートする他の製品の方が魅力があるかもしれない。

 しかし、ノートPCでは、Sandy Bridge搭載の最新ノートPCなどの一部を除き、内部SATAポートはSATA 3Gbpsまでのサポートとなっているものが多い。そう考えると、X25-Mにやや劣るとはいえ、十分に優れたランダムアクセス性能を有していることから、ノートPC搭載HDDの交換用途としての魅力は十分に高い。しかも、300GBや600GBの大容量モデルも用意されたことで、従来モデルより価格が安くなっている点もあわせ、容量が少ないためにSSDへの移行をためらっていた人には特にお薦めできる。

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(2011年 4月 12日)

[Text by 平澤 寿康]