平澤寿康の周辺機器レビュー

QNAP「NMP-1000」
〜NASとしても活用できる高機能ネットワークメディアプレーヤー



QNAP「NMP-1000」

 高性能NASキットを多数送り出していることでおなじみのQNAPから、ネットワークメディアプレーヤー「NMP-1000」が登場。NASメーカーが作るネットワークメディアプレーヤーは、通常のネットワークメディアプレーヤーとどう違うのか、実際に使って検証してみた。

●HDMI経由でフルHD出力が可能

 本体の外観は、AV機器をイメージしてか、黒を基調としていて、基本的にかなり落ち着いた印象だ。正面には電源ボタンと操作用のボタンがあるが、それらも目立たないように配慮されており、AVラックに設置しても周囲のAV機器の中で浮いてしまうといったことはないだろう。だが、電源を投入すると、本体正面下部が青く光り、存在感が高まる。

 本体中央部にはメッセージ表示用ディスプレイが用意されており、動作の状態や再生させているメディアファイルのファイル名、再生時間などが表示される。ただし、このディスプレイでの日本語表示には対応していない。

 本体サイズは、204×176.4×62mm(幅×奥行き×高さ)。飛び抜けて小さいというわけではないが、十分コンパクトで、大画面TVの周辺などで置き場所に困ることなはいはずだ。

 本体左側面にはフタがあり、このフタを開けるとHDD内蔵用のベイが現れる。HDDを搭載せずとも、PCやNASなどに保存しているメディアファイルにネットワーク経由でアクセスし、再生できるが、HDDを内蔵することで、動画や音楽ファイルなどを本体に蓄積できるようになる。また、HDDを搭載すれば、メディアファイルを保存するだけでなくPCなどからNASとしても利用できるようになる。対応するHDDは、3.5インチのSATA HDDで、2TBまでサポートする。

 接続端子類は、本体背面にまとめられている。HDMI(HDMI 1.3a対応)、コンポーネント、Sビデオ、コンポジットビデオの4種類の映像出力と、アナログステレオ、コアキシャルおよび光デジタルの3種類の音声出力を用意。HDMIおよびコンポーネント出力ではフルHD解像度(1,920×1,080ドット)での映像出力が可能。

 映像/音声出力端子以外には、ネットワーク接続用の有線LANポートと、外付けHDDなどのストレージデバイスを接続するUSB 2.0ポートを2系統用意。有線LANはGigabit Ethernet対応だ。

 また、背面左側にUSB 2.0のBコネクタとeSATAコネクタが用意されている。これは、ストレージデバイスを接続するために用意されているのではなく、PCとの接続用として用意されているもの。これらを利用して、NMP-1000をPCの外付けストレージとして動作できるようになる。大容量の動画ファイルをネットワーク経由で転送しようとすると、かなり時間がかかってしまうが、これなら短時間でファイルが転送できる。ちょっとした工夫だが、ユーザーの利便性を高めるという意味でポイントが高い。

 付属品は、操作用のリモコンと、HDMIケーブルやAVケーブル、LANケーブル、PC接続用のUSBケーブルなど。HDMIケーブルが標準で添付されている点は、買ってすぐに接続して利用できるという点でも嬉しい配慮だ。

本体正面。黒が基調で、ボタンも目立たず、AV機器っぽい非常に落ち着いたデザインだ 3.5インチHDDとのサイズ比較。十分にコンパクトで、AVラックなどにも余裕で収納できる 電源を投入すると、正面下部や電源ボタン、操作ボタン部が青く光る。また、中央にはメッセージ表示用ディスプレイも用意されている
メッセージウィンドウでは、動作状態やファイル名、再生時間などが表示されるが、日本語には対応しておらず、日本語文字は「###」と表示される 左側面。中央のフタを開けるとHDDベイが現れる HDDは、専用トレイに取り付けて収納する。対応HDDは、SATAの3.5インチ
HDDの取り付けや交換は非常に簡単に行なえる 本体背面。接続端子類は全て背面にまとめられている。4cmの空冷ファンは、ファンコントロール機能が働き静かだが、搭載HDDによっては発熱が増えうるさくなる場合も HDMI、コンポーネント、Sビデオ、コンポジットビデオの4種類の映像出力、アナログステレオ、コアキシャルおよび光デジタルの3種類の音声出力を用意。有線LANはGigabit Ethernet対応。2ポートあるUSB 2.0ポートには、外付けHDDなどのストレージデバイスを接続して利用できる
USB 2.0 BコネクタとeSATAコネクタを利用してPCと接続すれば、NMP-1000がストレージデバイスとして認識され、USBやeSATA経由で高速にファイルを転送できる 基本的な操作は、付属のリモコンを利用して行なう USBケーブルやLANケーブル、AVケーブルに加えHDMIケーブルも標準で添付されている
電源はAVアダプタを利用する

●動作は軽快、メニューは日本語対応で扱いやすい

 操作は、本体のボタンで行なえるが、基本は付属のリモコンを利用する。電源ボタンを押すと起動となるが、やや時間がかかる。ただ、起動後のレスポンスは非常に軽快だ。リモコンのボタンを押すと瞬時に反応し、操作の重さに伴うイライラは一切感じない。また、動画などの再生も軽快で、再生したいファイルを選択して再生ボタンを押せば、すぐに再生が始まるし、早送りなどのコントロールのレスポンスも軽快だ。

 メディアファイルへのアクセスは、メインメニューからメニューを辿るだけ。動画ファイルを再生したい場合には、メインメニューの「動画」から、内蔵HDDまたはネットワーク上のPCやNASなどにアクセスして目的のファイルを選択すればいい。音楽ファイルや静止画ファイルの再生も同様だ。

 ちなみに、ネットワーク経由での再生時には、あらかじめPCの共有フォルダやNASなどを登録しておく必要があるが、設定メニューから検索することでLAN上の共有フォルダが一覧表示されるため、登録作業は特に難しいことはない。また、設定メニューも含め全て日本語化されているために、操作に迷うこともない。共有フォルダやNASにアクセス制限を施している場合でも、ユーザー名とパスワードを登録すれば問題なくアクセス可能だ。

起動後表示されるメインメニュー。起動にはやや時間がかかるが、それ以降の操作は軽快だ 本体正面のディスプレイは日本語表示非対応だが、メニューは標準で日本語表示に対応。こちらでは日本語ファイル名のファイルも正常に表示される
ネットワーク経由でのメディアファイル再生には、あらかじめ設定メニューからアクセスフォルダを登録しておく必要があるが、自動検索機能を利用すれば設定は簡単。また、ユーザー名とパスワードを設定すればアクセス制限フォルダにも問題なくアクセスできる メインメニューの「ビデオ」を選択し、搭載したHDDか、登録したネットワークディスクを開けば、保存されている動画ファイルが表示される。音楽や静止画ファイルも同様の手順となる

●多数の動画形式に対応、YouTubeの動画も再生可能

 筆者は、アナログのTVキャプチャカードを利用して録画したTV番組をPCやNASにため込みつつ、TVに接続した動画再生用PCを利用して視聴することが多い。本来なら、置き場所に困らない小型のネットワークメディアプレーヤーを利用して動画を再生させたいと考えたのだが、5年ほど前に導入しようとしたときには、対応する動画形式の少なさから導入を見送り、起動までの待ち時間が長かったり、置き場所に困るものの、コーデックを用意すれば基本的にほぼ全ての動画が再生できるというPCの利点を重視して、動画再生専用PCを作ったのだった。

 ただ、近年登場しているネットワークメディアプレーヤーは、非常に多くの動画形式に対応しているものが増えてきている。そして、NMP-1000も、メディアプロセッサとしてSigma Designsの「SMP8635」を採用することで、多数の動画形式に対応している点が大きな特徴となっている。

 表を見てもらうと分かる通り、対応するコーデックやコンテナの多さは特筆もので、一般的に広く利用されているコーデックはほぼ網羅されていると考えていい。対応するビットレートや解像度の上限は不明だが、筆者がため込んでいる動画(MPEG-2、DivX、WMV9、H.264など)は、フルHD解像度のものや、25Mbps程度のビットレートのものまで、全て問題なく再生可能だった。また、NMP-1000ではAVCHD形式の動画も再生できるとされているが、筆者はAVCHD形式での撮影に対応したビデオカメラは所有していない。ただ、AVCHD Light形式での動画撮影に対応したデジタルカメラ(DMC-TZ7)は所有しているので、そちらを利用して撮影した動画を用意して試してみたところ、やはり問題なく再生できた。

 ただし、対応していても再生できないデータもある。それは、地デジの録画データなど、コピーガードが施されているデータだ。実際に、地デジチューナーカードを利用して録画したTS形式のデータを再生させてみたものの、コピーガードの影響で映像は表示されなかった。110度CS放送のショッピングチャンネルなど、ノンスクランブルチャンネルの録画データは問題なく再生できたので、TS形式の再生自体は問題がない。ちなみに、初期ファームウェアでは、TS形式の動画ファイルを再生させると、再生中にNMP-1000の動作が固まってしまうという問題があったが、最新ファームウェア(v.1.10)にアップデートすると、その問題も解消され、安定して再生できるようになった。

 今回、存在する動画形式を全て試したわけではないので、他にも再生できない動画ファイルがあるとは思う。それでも、MPEG-2やMPEG-4、WMV9、H.264、DivX、AVCHDなど、PCやデジタルビデオカメラ、デジタルカメラなどで広く利用されている形式が網羅されており、手持ちの動画が再生できないケースはかなり少ないと考えていいだろう。

 また、最新ファームウェアでは、YouTube動画の再生もサポートされた。メインメニューの「YouTube」を選択すると、YouTube動画再生用のメニューが表示され、「注目度動画」や「最も再生数の多い動画」などのメニューを選択すると動画が一覧表示される。あとは再生させたい動画を選択するだけでOK。もちろん、検索機能も用意されている。ただし、日本語での検索は行えない点は少々残念。ちなみに、このYouTube再生機能はベータ扱いなので、今後のバージョンアップによる機能向上に期待したい。

対応コーデック MPEG-1、MPEG-2、MPEG-4、XVID、H.264、H.263、WMV9、VC1
対応コンテナ AVI、MPEG/MPG、VCD (ISO、MPG)、DVD (VOB、IFO、ISO)、WMV、ASF、TP、TS、TRP、M1V、M2V、M4V、M2P、M2T、M2TS、MTS、MOV、MP4、RMP4、MKV
対応フォーマット FLAC、WAV、WMA、AAC、PCM、AC3、MPA、DTS

MPEG-2やWMV9、H.264、DivXなど手持ちの動画ファイルは、フルHD解像度のものや、25Mbps程度の高ビットレートファイル、60fpsや120fpsのファイルなども含め、全て再生できた デジタルカメラで撮影したAVCHD Light形式の動画や、地デジチューナーで録画したノンスクランブルチャンネルのTS形式録画データも再生できた 音楽ファイル再生時には、タグ情報の表示に加え、フォルダにジャケット画像データがあれば、そちらも表示される
最新ファームウェアでは、YouTube再生機能が盛り込まれた このように、YouTubeの動画ファイルが一覧表示され、簡単に再生できる 検索機能もあるが、日本語入力は行えない

●NAS機能も本格的

 ネットワークドライブの登録やメディアファイルの再生などはリモコンだけでも簡単に行えるが、NAS関連などの高度な設定はブラウザ経由で行なう。

 NAS関連機能は簡易的なものではなく、ユーザーやユーザーグループの登録、ユーザーやユーザーグループごとのアクセス権の設定など、NAS専用機とほぼ同等の機能を網羅。クライアントは、WindowsやMac OS X、Linuxなどをサポート。もちろん日本語ファイル名も利用可能で、FTPサーバー機能も搭載。このあたりは、NASメーカーが作っているだけのことはある。

 そのほかに、Webブラウザ経由で保存ファイルへアクセス出来るWebファイルマネージャ機能や、BitTorrentのダウンロード機能も搭載。Webブラウザでアクセスし、「Web File Manager」を選択すれば、ブラウザ経由でファイルのアップロードやダウンロードが行なえ、「Download Station」からTorrentファイルを登録すれば、NMP-1000単体でBitTorrentのP2Pダウンロードが可能となる。これらは、ネットワークメディアプレーヤーに必要な機能というわけではないが、NAS機能を便利に活用する機能として考えると十分歓迎できる。

ブラウザ経由でNMP-1000にアクセスすると、このような管理ページが表示される ブラウザ経由の設定メニューでは、ユーザー管理やフォルダ管理など、NAS関連の高度な機能の設定が行なえる クイック設定ウィザードを利用すれば、ウィザード形式で初心者でも比較的簡単に設定が行なえる
ユーザーやグループごとにフォルダごとのアクセス権を設定するなど、NAS専用機とほぼ同じ機能が網羅されている トップメニューの「Web File Manager」を開くと、ブラウザ経由で搭載HDDにファイルを転送したり、ダウンロードが可能 同じく、トップメニューの「Download Station」を開くと、BitTorrentダウンロード機能が開き、NMP-1000単体でP2Pダウンロードが可能となる

●メディアプレーヤー、NASどちらの機能も本格的に活用したい人におすすめ

 今回NMP-1000を利用してみて、これがあれば、動画再生用のPCはもはや必要ない、と強く感じた。それは、筆者がすでに蓄積しているものだけでなく、今後蓄積していくであろう動画形式がしっかりサポートされているため、再生できないデータが増える心配が少ないからだ。しかも、本体は小型でスマート、操作は軽快、機能は充実と、欠点らしい欠点がほとんど見あたらない。

 その中であえて欠点を挙げるとすると、背面に配置されている4cm空冷ファンの騒音が若干気になる場合があるということだろう。ファンコントロール機能により、HDDを搭載せずに利用していれば、ファンの音は全く気にならないレベルに抑えられる。だが、今回テストのために搭載したHDDは発熱が多いドライブだったため、本体内部の温度が高くなり、ファンが勢いよく回って騒音がかなり大きくなってしまった。NASとしてのみ利用するのならともかく、メディアプレーヤーとして活用する場合には、ちょっとうるさいと感じるレベルで、かなり気になった。HDDの選択には気を使った方がいい。

 価格は、実売で43,800円前後。ネットワークメディアプレーヤーとして考えるとやや高価ではあるが、豊富なファイル形式に対応している点や、メディアプレーヤーとしてだけでなくNASとしても十分活用できる充実した機能面なども考えると、十分納得できる範囲内。PCやNASなどに蓄積した動画ファイルを、大画面TVなどで手軽に再生できるネットワークメディアプレーヤーを捜している人に自信を持ってオススメしたい製品だ。

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(2009年 7月 30日)

[Text by 平澤 寿康]

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