OS X El Capitanカウントダウン

第1回

El Capitanのパブリックベータに参加する

Appleのサイト内から申し込める「Apple Beta Software Program」。MacあるいはiOSデバイスで利用しているApple IDを使って登録する

 既報の通り、Appleは7月10日より、「OS X El Capitan」および「iOS 9」のパブリックベータテストの「Apple Beta Software Program」を開始した。2つのOSは、MacおよびiOSデバイス向けに今秋の正規リリースを予定している。

 現時点でリリース日は明らかにされていないが、今回からリリースの直前まで「El Capitanカウントダウン」として、El Capitanの特徴や新しい機能などを毎週1つずつピックアップしていく。製品自体がベータ段階ということで、機能レビューではなく概要を把握するファーストインプレッションとして捉えていただきたい。第1回目は予習的にApple Beta Software Programの概要について紹介する。

 なお、パブリックベータソフトウェアはAppleの機密情報となるため、スクリーンショットを公開または投稿すること、パブリックベータソフトウェアに関する情報をTwitterなどのサービスで公開すること、本プログラムの参加者以外の人にパブリックベータソフトウェアの話をしたりその画面を見せたりすることなどは禁止されているが、PC WatchではAppleより許諾を受けてこの記事を掲載している。同社がパブリックベータソフトウェアに関する技術情報を公開した場合、その情報は機密扱いではなくなる。

一般ユーザーも参加可能なパブリックベータ

 Apple Beta Software Programは、以前までは契約開発者に対してのみ開示及び提供されてきた開発途上のOSをエンドユーザー向けにも提供することで、OSに対してのフィードバックやバグレポートなどを広く求めることを目的にしている。Mac向けのOS Xでは、2014年にリリースされた「OS X 10.10 Yosemite」のプレビューリリースから実施されており、iOSではiOS 8の正規リリース後、マイナーバージョンアップにあたる「iOS 8.x」がパブリックベータ版として同プログラムの対象となり現在も継続している。

 契約デベロッパ向けには6月のWWDC 2015直後より「OS X El Capitan」、「iOS 9」に加えて「Watch OS 2」の開発者向けリリースが提供されている。その後数回の更新を経て機能の実装や安定化が進んだことで、今回のパブリックベータ版リリースを迎えた。

 Apple IDを所有し、パブリックベータプログラムへの参加を希望するユーザーは、同社サイトのApple Beta Software Programのページから利用登録を行なう。OS Xの場合は登録コードが発行され、このコードをMac App Storeに登録することで、Mac App StoreからEl Capitanのインストールプログラムを入手できる。言うまでもなくベータ段階ということで、インストールは業務などに利用するメインマシンではなく、サブマシンやあるいはHDD/SSDの別パーテーションへ行なうことが推奨されている。既存環境のバックアップもTimeMachineなどを使って作っておいた方がいい。これらの諸注意はインストール時にも表示される。

 El Capitanへのアップグレードが可能なMacについては、現時点でAppleとしては公式な発表を行なっていない。パブリックベータプログラムがインストール可能なMacはYosemiteのスペック基準に準じるものと推測されるが、環境によってはインストールアプリケーションが起動できない可能性もある。

インストールされた「El Capitan」。ルック&フィールは現行のYosemiteと大きく変わることはない。「写真」アプリが標準化されたほか、「iTunes」もApple Musicに対応する12.2が最初からインストールされている

 さて、こうしてインストールされた「OS X El Capitan」だが、今回のバージョンアップではルック&フィールには大きな変更点は少ない。デフォルトの壁紙がEl Capitanの構図へと更新されているが、ヨセミテ国立公園内(El Capitanは、ヨセミテ公園内の巨大岩のこと)ということで、Yosemite風のイメージはあまり変わらない(Yosemiteの標準壁紙はハーフドームだった)。

 インストール過程で最初に気が付く違いは、レインボーカーソルのデザインがフラット化した点だろう。もう1つはWWDCの基調講演でも紹介されたポインタの大型化だ。何かしらの作業の開始前にマウスポインタを探すべく、マウスやトラックパッドを細かく振ってポインタを探すという動作を自然に行なう人も多いだろう。El Capitanでこの動作を行なうと、一時的にマウスポインタが巨大化して、より見つけやすくなる。とりあえず最初はこれを試してみよう。

 また、ベータプログラムのフィードバックを受け付けるための「フィードバックアシスタント」のアプリケーションが搭載されている。Apple Beta Software Programに登録したApple IDでサインインすると、フィードバックが送信できる。フィードバックの内容は日本語でも受け付けるとしている。

Apple Beta Software Program向けの「フィードバックアシスタント」。Apple IDを使ってサインインする
メールに近いインターフェイスでフィードバックを送信できる。日本語にも対応する

 もう1つ、Appleに送信される情報として重要なのはクラッシュレポートだ。実際に利用する上でクラッシュは起こらない方が良いのは当然だが、ベータ版、正規版のいずれにおいてもクラッシュは避けられない。クラッシュレポートは機械的、統計的にも処理され、より同一性のある(報告の多い)クラッシュから対策が進みやすい。クラッシュ自体もベータプログラムにおける重要な情報の1つと考えよう。

(矢作 晃)