OS X El Capitanカウントダウン

第2回

Safariが「ページピン」対応で常時使うタブを固定可能に

AppleのEl Capitan特設サイトにおけるSafariの紹介。ページピン機能を中心に、使い勝手の向上を目指したバージョンアップが行なわれる

 今秋にリリースされる「OS X El Capitan」の特徴や新しい機能などを毎週1つずつ紹介するEl Capitanカウントダウン。今週は標準ブラウザの「Safari」を取り上げる。

 OS Xの標準ブラウザであるSafariは、Appleを中心にしてオープンソースで開発されているWebkitをレンダリングエンジンに採用する。Safariは2003年にベータリリースが開始され、Mac OS X 10.2以降に標準ブラウザとして搭載された。以降もバージョンアップを重ねて、El Capitanに搭載されるSafariはVersion 9.0になっている。

 SNSの普及によって、PCの操作時に常時開いているWebページは増加していると言っていいだろう。Safariを始め、GoogleのChromeやMozillaのFireFox、そしてWindows 10から搭載されるMicrosoftのEdgeなど、Webブラウザの主流はいずれもタブブラウジング対応となっている。

 1つのウィンドウの中で複数のサイトへ同時にアクセスしてタブを次々に切り替える。こうした操作の中心になるのが、やはり常時開いているWebページの存在だ。インターネットの黎明期は「ホームページ」という名称で、ブラウザを起動すると最初に表示されてポータルサイトのような役割を果たした。現在ではそれがいわゆるポータルサイトになったり、あるいはGoogleのような検索エンジンのポータル化が進んでいる。

 個人で使用するPCであれば、TwitterやFacebookなどは常時開いておいて最新状態に更新しておくWebサイトの代表格と言っていいだろう。Chromeなどはアプリケーションの終了時のタブ状態を記憶して、再起動時も同じタブを開く機能があるなど、ユーザーによってはページをクローズすることがないサイトもあるかも知れない。

 こうしたサイトのより簡単な管理を目指したのがSafariに搭載される「ページピン」機能だ。閉じる必要のないWebページをFaviconだけの小さなタブにして、ウィンドウの左上に固定しておける。ピン留めされたタブは右クリック(control+クリック)によるドラッグ&ドロップで整列順を変えることができるが、前面に出す操作では位置が変わることがないので直感的に利用頻度の多いWebページを表示させられる。Firefoxでは既に同じ機能が実装されているが、El Capitanに搭載されるSafariでも利用可能になった。

目的のサイトを表示して右クリック(control+クリック)操作を行なうと、タブのContextual Menuが表示される。「タブの固定」を選択する
ピン留めされたタブは、ウィンドウの左上に整列する。一度ピン留めしておくと、Safariの再起動時も同時にWebサイトの最新状態を取得して待機する

 タブブラウズの場合、表示しているサイトはサイト名とページ名がタブに表示される。同時表示するタブが増えれば増えるほど表示可能な文字数は減っていき、段々とタブの中身が分かりにくくなってしまう。Safariのページピン機能では、最初から決められたサイズのタブ幅でFaviconのみを表示するため、Faviconが象徴的であればあるほど、視認性が高いと言える。

 言い換えると、同じサイト内で(同一のFaviconの)複数のページをピン留めするのは区別が付きにくいため効率が良くない。掲載した写真にもある通り、TwitterやFacebookなら一目瞭然だ。一時的にFaviconが見つからなかったり、あるいは存在しない場合は、サイト名などの最初の1文字にサイトからピックアップしたカラーを用いるようだ。サイト管理者は認知度の視点から、もう一度Faviconについて考えるタイミングかも知れない。

 また、やはりタブ関連の機能として、タブ単位の音量管理機能が追加された。YouTubeやニコニコ動画を始めとする映像配信サイトはもちろんのこと、サイトによっては広告バナーにも仕掛けがしてあるなど、いわゆる音が鳴り出すWebページは決して少なくはない。しかもそうしたページの多くは、会議中など鳴って欲しくないタイミングに限って音が出る厄介者だ。

 こうしたWebページから鳴る音を、さまざまなやり方で制御できるような機能もSafariに加わった。既にChromeなどには実装されているが、タブ単位で音が出ている部分にスピーカーアイコンが表示され、そのタブを狙ってクローズしたり、ミュートしたりできるようになる。加えて、上部の検索バーの右端にもボリュームアイコンが表示され、ブラウザ全体のミュートや、現在最前面にあるページ以外全てをミュートといった操作が行なえる。

Webページから流れる音声のミュート機能。タブ単位で音声が出ているページをアイコン表示するほか、検索バーの右にあるアイコンで、全体のミュートや最前面のWebページ以外のミュートといった操作がクリック1つで行なえる

 映像関連では、ほかにもAirPlayを使った画面のApple TVへのミラーリング表示で、ブラウザ内の動画部分だけをAirPlayする機能が追加される。ただし全ての動画形式に対応するわけではなく、特定形式の動画にのみ対応してAirPlay可能な場面では、動画部分にアイコン表示が行なわれるとしている。

(矢作 晃)