米Microsoftのベルーゾー社長、Microsoftの未来を語る
~PC依存からの脱却を図るも、「PCは重要」

リチャード・ベルーゾー
米Microsoft社長兼COO
12月13日発表



 マイクロソフト株式会社は13日、米Microsoftのリチャード・ベルーゾー社長兼COOの来日に伴い、都内で記者会見を開いた。

 なお、同席したマイクロソフト株式会社の阿多親市社長がベルーゾー社長を紹介、ベルーゾー社長は今年2月に同社社長兼COOに就任、全世界でのセールスマーケティングや財務、人事などと、XboxやMSNなどコンシューマー向け戦略を担当しており、ビル・ゲイツ会長とスティーブ・バルマー社長兼CEOとともに、Microsoftの方向性を決定する立場にある、とした。

左から阿多親市 マイクロソフト株式会社社長、リチャード・ベルーゾー社長兼COO、大浦博久 マイクロソフト株式会社Xbox事業部長
●PC依存からの脱却を図るMicrosoft

 会見において、ベルーゾー社長は「過去25年間、我々はPCの成功に大きく依存してきた。これからもPCは進化を続けるが、Microsoftとしては(PC以外にも)新しいチャンスがあると考えている」と表明。この「新しいチャンス」を「4つの柱」として語った。

 第1の柱は「PCの再活性化」。PC依存体質からの転換を目指すとはいえ、PCは様々な技術の中核にあるデバイスである、とした。したがって、PCの信頼性を高め、革新的なものにし、魅力的にすることを第1の柱とし、Windows XPもその1過程とした。

 第2がエンタープライズ市場(サーバービジネス)で、企業とのパートナーシップを強力にし、パートナーと優れたソリューションを提供することに注力する、と述べた。

 第3が、Xbox、モバイルデバイス、セットトップボックス、MSNのようなコンシューマ向けの製品やサービス。これからの10年(デジタル・ディケイド)は、新たなデバイスやサービスの登場により、コンシューマにとって面白い時代になる、と述べ、Microsoftもより簡単に情報やアプリケーションにアクセスできる手段を提供していく、とした。

 最後が「デベロッパーミッション」とし、.NETサービスのビジョンを強化し、完全なものにすること、と述べた。

 その後の質疑応答の中で、「どの柱のプライオリティが高いか」と問われたベルーゾー社長は、「4つとも大切だが、もっともプライオリティが高く、大きな投資先はPCで、これは何があっても変わらない。リアルタイムコミュニケーションやTablet PCといった技術革新やチャンスがある分野だからだ」とした。

 第2の柱であるエンタープライズビジネスについては、4つの柱の中で最も成長率が高いとしたが、「辛い評価があるのも事実」で、営業面やパートナーシップの面での改善を図り、「エンタープライズ分野でも“A評価”をもらえるように邁進している」と述べた。

●Windows Messengerが電話を駆逐?

 Windows XPに搭載された「Windows Messenger」の一般電話への音声通話機能が、電話ユーザーを既存の通信会社から奪うのではないかという懸念についての質問があり、これについては「Windows Messengerはリアルタイム・コミュニケーションを実現するうえで重要なもの。まだ初期の段階で、通信会社などとのパートナーシップによるサービスの構築はこれから」とした。

 また、日本におけるWindows Messengerサービスの現状については阿多社長が「PC to Phoneはすでに発表したとおり、来年からイー・アクセスが提供する。ユーザーの間ではビデオ・チャットへの関心が高く、年明けには使い始めるユーザーが増えるのではないか」と述べた。

●景気は来年半ばから上向きに

 景気動向についての質問があり、「ITに対する過剰投資の調整期間が1年ほど続いてきたが、現在では安定し、上向きな局面も見えてきた」と述べ、「1~2四半期の間には悲観的なメッセージも市場から聞こえてくるだろうし、長期的な回復とは言えないだろうが、来年の6~8月には成長も見えてくる」とした。さらに「IT業界の人々は、上向きな勢いがあることなど、ポジティブなメッセージを発する責務がある」とも述べた。

●Xboxはオンラインサービスで差別化

 このほか、家庭内での重要なデバイスとして同社が期待するXboxについての質問が相次いだ。これについて、Xboxは次世代機を含む長期的な戦略として捉えていること、オンラインサービスやインターネットアクセスがXboxにとって重要であり、他のゲームプラットフォームとの差別化を図りうる付加価値となること、などを述べた。

 これに関連し、マイクロソフト株式会社の大浦博久Xbox事業部長は「オンラインサービスに関するNTTコムとのアライアンスについては、詳しい内容を詰めている。当初はゲームに特化したオンラインサービスとなる。日本でのオンラインサービスの開始時期は、米と同様に出荷から6カ月以内」と述べた。


□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/
□関連記事
【12月13日】米Microsoftベルーゾ社長来日、Xbox発売延期を明確に否定
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20011213/ms.htm

(2001年12月13日)

[Reported by tanak-sh@impress.co.jp]

I
最新ニュース
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】

【Watch記事検索】


【PC Watchホームページ】


PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp

Copyright (c) 2001 impress corporation All rights reserved.