|
ソニー、増収減益の第2四半期決算を発表 |
徳中暉久CFO |
10月25日発表
ソニーは、2001年度第2四半期連結決算が増収減益になったと発表した。今年9月の下方修正で予測した内容とほぼ近い内容となっている。
第2四半期の売上高は、対前年同期比5.7%増の1兆7,870億円、営業損失はマイナス33億9,100万円、税引き前利益は対前年同期比99%減の6億円、当期純利益はマイナス132億円。
一方、上期連結決算では、売上高で前年同期比5.2%増の3兆4,247億円、営業損失はマイナス3億8,800万円となった。修正の範囲内であったことから、通期の業績修正は行わない予定。
徳中暉久CFOは、「今回の売上高は第2四半期としては過去最大の結果となった」ことを強調、ゲーム、映画、金融分野での成長が貢献したという。
とくに、ゲーム分野では前年同期比83%増という大幅な伸びを見せているのが特筆できる。なかでも、日米欧のすべての地域において、プレイステーション2のハード、ソフトの売上伸張が大きく影響、プレイステーション2の生産台数は、前年同期の98万台に対して、462万台と大幅に拡大、プレイステーション2の累計出荷台数は1,957万台となった。また、プレイステーション2用のソフトは、前年同期の340万本に対して、2,270万本となり、累計出荷本数は7,250万本となった。
ゲーム事業に関しては、「7四半期ぶりの黒字化を達成、累積赤字の解消も、遅くとも来年春には実現したい」(徳中CFO)と、強気の姿勢を見せている。
一方、減益の原因となったのは、同社の基幹事業であるエレクトロクス事業の低迷が影響している。第2四半期のエレクトロニクス部門の営業損益はマイナス249億900万円の赤字。売上高でも7%の減収となった。
エレクトロニクス部門の不振は、米国、欧州、日本、アジアなど主要市場での価格競争の激化、ディスプレイ向けブラウン管生産設備の評価損の計上、エリクソンとの合弁会社の設立による、事業移管前の携帯電話の在庫評価損を計上したこと、さらにアイワなどでの退職関連費用を計上したことなどが影響しているとした。
また、パソコン、ディスプレイ、半導体などの分野での収益減少のほか、OEM向けのコンポーネント製品の不振が大きく響いた。
パソコンを含む情報・通信分野はマイナス221億円の赤字、コンポーネント製品はマイナス267億円の赤字となっている。
「ソニーブランドが前面に出ていないビジネスが不振に陥る一方、携帯型オーディオ、ビデオカメラ、テレビなどのソニーブランドを出したコンシューマ向け製品が堅調だった。ブランドの重要さと強さを痛感し、今後もこの部分は重要視していく。一方、OEMビジネスの建て直しについても、社内活用を増やしていくことが、コンポーネント事業の収益改善のひとつの方向だと考えている」(徳中CFO)とした。
また、パソコンについては、「第1四半期に比べて、第2四半期の利益は落ちている。対前年同期比で比較しても、第2四半期は1桁台の減収となっている。新製品への切り替えがあったことなどが影響している」としたものの、「全世界390万台の通期計画は変更しない」として、こちらも、依然として強気な姿勢で事業を推進していく考えを示した。
「世界的にパソコンを取り巻く市況は厳しいといわれるが、コンシューマユースのビデオ、オーディオに親和性がある商品の特徴と、ソニーのブランドを生かすことでをこの数字を達成したい。また、Windows XPの登場、製品の買い換えサイクルの短期化などの動きもあり、下半期の需要拡大に結びつけたい」とした。
山本泉二 SCN社長 |
これによると、ジャストネットの買収によるコスト増によって、業績見通しの修正を実施、売上高は345億円(修正前330億円)とする一方で、営業利益はマイナス13億円(同マイナス8億円)、経常利益はマイナス18億円(同マイナス13億円)、当期純利益はマイナス16億円(同マイナス13億円)と、下方修正することになった。
ネットワーク関係およびブロードバンドに対応したコンテンツへの投資の増加により人件費、業務委託費などの増加が見込まれるのが原因としている。
また、同社の第2四半期の連結決算は、売上高で前年同期比16.8%増の79億8,200万円、マイナス4億2,300万円の営業損失となった。
増収の要因はブロードバンド会員の増加で、「8MbpsによるADSLユーザーの申し込みが75,000人に達し、そのうち約半分が開通している。また、フレッツADSLユーザーも25,000人の申し込みに達しており、あわせて10万人のブロードバンド会員を獲得できた。パソコンの売れ行き低迷などが影響しているが、ADSLによって、9月の実績は今年前半の水準にまで戻っている。ブロードバンドは急速に拡大するので、この波に乗りながら業績拡大を果たしたい」(山本社長)と抱負を述べた。
また、当初、接続会員で150万人、コンテンツ会員で55万人としていた今年度末の目標を、ジャストネットの買収によって、接続会員165万人、コンテンツ会員59万人とした。なお、9月末時点で接続会員は127万人、コンテンツ会員は47万人に達している。
今回の発表では、ソニーの基幹事業であるエレクトロニクス部門の不振が気になるところだ。また、シェア拡大を続けてきたパソコン事業にもブレーキがかかりはじめた感がある。ソニーブランドの強みを生かした事業展開に強力にシフトすることで、いかにこの状況から脱却できるかがカギといえよう。
□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200110/01-1025/
□関連記事
【9月28日】ソニー、業績見通しを下方修正
~米国テロ事件以後の環境変化が大きく影響
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010928/sony1.htm
(2001年10月25日)
[Reported by 大河原克行]
|