日本AMD、Athlon XPを発表。モデルナンバーに質問が集中

米AMD ロブ・ハーブ上席副社長

10月10日 発表



 日本AMD株式会社は「Athlon XP」の国内発表会を開催した。質疑応答では製品本体にはほとんど触れられず、モデルナンバーについて質問が集中した。

 発表会には、同時多発テロの影響で米国法人VIPの来日中止が続くなか、米AMDの営業およびマーケティングの最高責任者であるロブ・ハーブ上席副社長が来日し、マイクロソフトの佐藤哲也マーケティング本部本部長を招くなど、AMDのこの製品にかける熱意が表われていた。

 「Athlon XPの“XP”はeXtreme Performanceの略だ。Windows XPとも親和性が高い」、 「これまでクロックの上昇は性能の上昇と比例していたが、Pentium 4によってそれがこわれてしまった。クロックあたりの性能で見ると、Pentium 4はPentium IIIより20%低い」、「クロックという古いスタンダードはもう有効ではなく、消費者の商品選択のために新しい手助けが必要である。AMDはTPI(True Performance Initiative)を設立し、実際の使用目的に添った性能を測定できるよう努力していく」とロブ・ハーブ氏は述べた。

Pentium 4に至ってクロック当たりの処理能力は低下したと主張 グラフが上に伸びているのはAthlon XPの、下に伸びているのはPentium 4がまさったテスト

各CPUの性能比較 ベンチマークの一例。左がPentium 4、右がAthlon XP

 続いてAthlon XPのハードウェアの説明とベンチマークテストが行なわれた。「Athlon MPとAthlon XPはコアは共通で、相違はデュアル動作の保証の有無のみ」(ロブ・ハーブ氏)というだけにPalominoコア共通の特徴を除けば新しい仕様はない。しかし、Pentium 4 1.8GHzとAthlon XP 1800+の比較ベンチマークでは、Athlon XPの圧勝に終わり、パフォーマンスの高さをデモンストレーションした。

 最後にマイクロソフトの佐藤本部長が、「以前“Chrome(クローム)”という3Dユーザーインターフェイスのプロジェクトがマイクロソフト内にあったが、3年前のPCの性能では実現できなかった。Athlon XPの性能があればWindows XPの能力を活かすことができるので、共同でマーケティングを行なっていきたい」とエールを送った。ちなみに、Windows XPでAthlon XP用に最適化されている部分はWindows Media、DirectX、省電力用CPUドライバなどに限定されている。

スピーチを行なったマイクロソフトの佐藤哲也マーケティング本部本部長 XP同士で共同マーケティングも予定されている

 なお、発表会場ではとくにふれられなかったが、Athlon XPの国内価格は1800+が32,760円、1700+が24,700円、1600+が20,800円、1500+が16,900円である。

真剣な表情で質疑応答に臨むロブ・ハーブ氏 会場には各メーカーのSocket Aマザーボードが展示された

 質疑応答では、モデルナンバーの意味と位置づけについて質問が集中した。ほとんどの回答は、ロブ・ハーブ上席副社長自らが行なった。

「さきほどのベンチマークでは、Athlon XP 1800+と、Pentium 4 1.8GHzを比較していたが、つまり1800という数字はMHzであって、モデルナンバーとはPentium 4レートとでもいうべき存在なのか」
→ノー。AMD内部での相対的な比較である

「以前、Pレート(同クロックのPentiumと同じ性能であるという指標)のように、実クロックを離れた指標を表示するというマーケティング手法は失敗しているが、今回はどこが異なるのか」
→ノー。今回の指標はアンダーセンの監査のもとに厳密に多数のベンチマークを行なったもので、少数のベンチマークに依拠していたPレートとは異なる

「アンダーセンが監査しているのはテストの方法や操作だけか、モデルナンバーの数字も含むのか」
→監査の対象はシステム構成やベンチマークに関わることで、モデルナンバーをどう付けるかは監査の対象ではない。

「従来のAthlon 1.4GHzはモデルナンバーでは1400+にあたるのか」
→イエス。だいたい、そのようにとらえてもらっていい。

「Athlon XP以外の他の製品シリーズにもモデルナンバーは使用されるのか」
→イエス。必要があれば導入する

「2002年とされるTPIの指標が作成された場合、その指標へ移行するのか。TPI/モデルナンバー/クロックの3つの指標が並ぶのか」
→当面はモデルナンバーを使うが、TPIの指標が成立したら移行する

などだ。

 しかし、モデルナンバーの数字が、何を表わし、どのように決められているかは最後まで明らかにされなかった。どうみてもMHz表示されたクロックを思わせる数字でありながら、AMDがそれを認めることはなかった。

 これは、Pレーティングを採用していた時期にPレーティングで表示されているPentiumよりも性能が低いという訴訟が起こされた経緯があり、これがクロックであると認めた時点でAMD(および採用したメーカー)は同様の訴訟の危険を背負い込む可能性があるからだと推定される。

 モデルナンバーの導入は、AMDにとってプロセッサの価格を高く付けられるというメリットと、プロセッサの実力をわかりやすく表示するというメリットをもたらした。しかし、この数字がクロックであるということが明記されないことによりモデルナンバーの根拠が曖昧になってしまい、すでに製品発表の時点で混乱を招いていることも間違いない。また、今後AMDがターゲットとする企業市場で、このようなマーケティング手法が受け入れられるかどうかも疑問だ。

 また、残念なのは、モデルナンバーに関心が集まることにより、クロックあたりの性能に対するAMDの主張や、Athlon XP自身のすぐれた性能が隠れてしまったことだ。発表会場でのベンチマークテストで見せた速さが印象的だっただけに、Athlon XPの性能の高さがユーザーに伝わることを願いたい。

リテール市場のシェアは順調に伸展。次は企業市場がターゲット

□日本AMDのホームページ
http://www3pub.amd.com/japan/
□ニュースリリース
http://www3pub.amd.com/japan/news/prodpr/nr21116.html
□関連記事
【10月10日】米AMD、デスクトップ用PalominoコアCPU「Athlon XP」発表
~実クロックを離れた指標「Model Number」を採用
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20011010/amd.htm

(2001月10月10日)

[Reported by date@impress.co.jp]

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