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NEC、再度の下方修正。当初の黒字予想から赤字へ転落
今回下方修正した2002年3月期決算予想では、売上高5兆3,400億円(今年4月の発表に比べて5,100億円の下方修正)、税引き前損益でマイナス2,200億円(同3,300億円の下方修正)、当期純損益でマイナス1,500億円(同2,150億円の下方修正)となる。当初の黒字予想から赤字への転落となる。 また、9月末付の連結中間期決算についても売上高で1,000億円下方修正の2兆5,000億円、税引前損益で450億円下方修正の350億円、当期純損益で330億円下方修正の300億円の赤字決算の見通しとした。 今回の下方修正は、半導体部門を担当するエレクトロンデバイスの業績悪化が大きく影響している。 7月時点で発表した構造改革でも半導体部門のリストラは最重点課題だったが、「DRAM価格のさらなる下落、パソコン、通信機器などの需要悪化によるデバイス需要の停滞、EMSでも在庫調整がすすまなかったことに加え、米国テロ事件の影響も出ている。7月に提示したプログラムを具体的なアクションプランとして展開し、2002年度にはV字型の回復を目指す」(西垣浩司社長)との姿勢を示した。 半導体部門の構造改革として、生産ラインの適正化を目指し、「ゼロ成長でも一定の利益を確保できるラインを逆算して」(同)、半導体生産ラインの生産能力を15%削減。さらに、当初発表していた4,000人の人員削減に加えて、他のカンパニーへの大量の人員シフトを実施することで、固定費を14%削減する。これらの構造改革に伴う特別損失として1000億円を計上する。そのほか、コスト競争力強化のための海外展開としてアジア生産を最優先するほか、半導体製造に関する国内生産基地の統廃合などを行なう。 一方、コンピュータ事業を担当するNECソリューションズについては、ソフト・サービス事業が堅調な伸びを見せていることから、「この分野では、今後数年間は2桁の成長を見込む」(西垣社長)とし、ソフト・サービス要員は6万人体制を目指す考えを示した。 カンパニー別では、2002年3月期売上高でNECソリューションズが前年比0.1%増、NECネットワークスが同15.8%増に対して、NECエレクトロンデバイスが同28.4%減を見込んでいる。 なお、パソコン事業について同社・西垣浩司社長は、「パソコンは、10月1日から新体制で臨み、収益改善に取り組むが、全般的に収益が低下しているのに加え、下期も市況の回復が見込めないと判断、前年比10%台半ば程度の縮小となる。黒字化は来年度には確実に達成したい」とコメント、当初、見込んでいた下期からの黒字転換にも暗雲が立ちこめ始めたようだ。
□NECのホームページ (2001年9月28日)
[Reported by 大河原 克行] |
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