2003年1月レンタル開始

人が手で指し示したところに移動できるようになった

　本田技研工業株式会社は、人型ロボット「ASIMO」の新型を発表した。2003年1月より日本国内でレンタルが開始される。

　新型ASIMOは、顔やジェスチャなどの認識機能やネットワーク接続機能を新たに備えた。従来のASIMOが基本的に操縦者による操作で行動していたのに対し、新型では「人が手で指し示したところに移動」「人が手を差し出すと握手をする」などの動作を自律的に行なえるようになった。

●各種認識機能でよりインテリジェントに

移動体抽出では複数の移動体を認識

　新型ASIMOに搭載された認識機能は「移動体抽出」「ポスチャ・ジェスチャ認識」「環境認識」「音源識別」「顔認識」の5つ。移動体抽出機能は、カメラの画像から複数の移動体を検出、その距離と方向を認識する。これにより、人の動きをカメラで追う、人に追従して歩行、人の接近を検知して挨拶、などの行動が可能になった。

　ポスチャ・ジェスチャ認識は、カメラの画像から人の手の位置や動きを検出、ポスチャ(姿勢)とジェスチャ(動作)を認識する。これにより人が手で示した場所に移動、人が手を差し出すと握手、人が手を振ると手を振り返す、などの行動が可能になった。

　環境認識は、障害物などの位置を認識し、衝突を回避する。これにより、歩行中に人などが目の前に現れたときに停止し、立ち去ったらまた歩行する、障害物を迂回する、などの行動が可能になった。

　音源識別は音源位置を特定する能力が向上、また、音声とそれ以外の音を識別できる。これにより、名前を呼んだ人の方向を向く、落下音などを検知してその方向を向く、などの行動が可能になった。

　顔認識は、人やASIMOが動きながらでも顔を認識できる。これにより、登録された人の顔を認識し、その名前を呼んだり案内することが可能になった。10名程度を識別できるという。

ポスチャ認識で指し示された場所を推定	ジェスチャ認識でバイバイの動作を認識	顔認識

●新機能でASIMOもいよいよ“実用ロボット”に

　認識機能のほか、ネットワーク接続機能も搭載。ユーザーが持つ既存のネットワークシステムと接続し、データーベースを活用して個別に適切な対応をとることが可能になった。また、音声による指示でインターネットからニュースや天気などの情報を取得することも可能。これらにより、顧客を所定の場所に誘導する、などの受付業務が可能になる。

　これまでのASIMOは「人型で二足歩行できること」が最大の特技で、良く言えば技術デモンストレーション、悪く言えば「人寄せパンダ」的存在になることがほとんどだった。新型ASIMOの認識機能とデータベース連携を組み合わせることで、万能とはいえないものの、企業などでASIMOが活躍できる場を広げ、同時に同社のロボットビジネスをより現実的なものにする可能性がある。外観の変更は無いが、新型はより実用的で、「使える人型ロボット」に近づいたといえるだろう。

□ホンダのホームページ
http://www.honda.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.honda.co.jp/news/2002/c021205-asimo.html
□「ホンダ・ヒューマノイドロボット」のページ
http://www.honda.co.jp/robot/
□関連記事
【2000年12月21日】ホンダ、二足歩行ロボット「ASIMO」のレンタル事業を開始
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20001221/honda.htm
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http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20001120/honda.htm
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http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0802/ibm.htm
【1月15日】【やじうま】日本科学未来館にASIMOが就職
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/yajiuma/2002_01.htm#asimo

(2002年12月5日)

[Reported by tanak-sh@impress.co.jp]