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Microsoft Conference 2002/fall開幕
~Windows .NET Server 2003が本邦初公開

会期:11月5日~7日
会場:東京国際フォーラム



 東京国際フォーラムにて5日、マイクロソフト株式会社主催の企業ユーザー向けカンファレンス「Microsoft Conference 2002/fall」が開幕した。今回はリリースを来年に控えた「Windows .NET Server 2003」を中心に93のセッションが用意。また、システム設計やソリューション導入について相談を受けられるコンサルティングコーナーも設けられている。

 開催初日の本日は「新たなシステム価値を創造する“.NET”」と題した基調講演が行なわれ、Tablet PCや、本日初めて一般に公開されるWindows .NET Server 2003など、クライアントからサーバーまで数多くの新製品がデモを交えながら紹介された。


■「8月からTablet PCを仕事に活用している」と阿多社長

Tablet PCを手に取りデモを行なう阿多社長

 同社代表取締役社長 阿多親市氏は冒頭、「前回は“.NETが現実のものとなった”と述べたが、今回は.NETに対応したアプリケーションやサービスを紹介する」と述べ、.NET対応製品が具体的な形で利用可能な段階に入ったことを告げた。

 まず阿多氏は、Tablet PCを紹介。阿多氏は8月からTablet PCを自ら仕事に利用しているといい、壇上でTablet PCを手にとってデモを実演。ExcelシートをJournalに変換して手書きメモを添えたり、Tablet PCで受信したファックスにメモを書いてそのまま返信したりと、手書き入力のビジネスシーンでのメリットを示した。

 また、「Windows Media 9 Series」も紹介。Windows Media 9のプレーヤーには、音声を再生しながら声のトーンを変えずに再生速度を調整する機能が搭載。英語のプレゼンテーションなど、ゆっくり聞きたい部分を低速再生することができ、ビジネスにも有用なツールであるとされた。

「Windows Journal」の手書きメモはそのままWebページとして保存できるので、Tablet PCを持たないユーザーにもメモを渡せる ExcelデータもJournalとして保存し、手書きメモを加えることができる
言葉での説明が難しいWindowsの操作手順なども、Windows Media 9を使うことで、デスクトップをストリーミングで表示し、視覚的に説明することができるというデモ Windows Media 9プレーヤーは音声のトーンを変えずに、再生速度を調整できる


■ブラウザから編集できるWebコンテンツ管理ソフト「CMS 2002」

 「Content Management Server 2002 (CMS2002)」は、Webコンテンツの管理/作成を行なうサーバーアプリケーション。.NET Enterprise Serversファミリーとして4番目にリリースされる製品。発売は11月25日。

 ブラウザ上から直接コンテンツの作成や編集が可能なのが大きな特徴。編集モードにすると、Webページの画像やテキストを直接編集することができるため、デザイナーなどコンテンツ作成者は、HTMLやWebサイトについての知識がなくても容易にコンテンツを更新できる。

 Wordとも連携可能で、Wordで作成した文書をCMS 2002にWebページとして直接発行できる。発行の際はコンテンツの有効期限も指定できる。XML Web Servicesにも対応する。

Content Management Server 2002の製品特徴 CMS 2002はブラウザ上から直接コンテンツを編集できる。ブラウザ画面には、コンテンツ画面とCMS 2002のメニュー(右側)が同時に表示される Word文書もCMS 2002にWebページとして発行できる。その際にコンテンツの有効期限なども指定できる。有効期限が切れたコンテンツは自動的に表示されなくなり、リンクも消去される


■UNIXソフトの移行/拡張が可能な「SFU 3.0」

 「Windows Services for UNIX Version 3.0 (SFU 3.0)」は、12月6日発売予定のUNIXとWindowsの統合ソフト。

 新バージョンではUNIXアプリケーション/スクリプトのWindowsプラットフォームへの移行機能や、UNIXの開発環境をWindows上で実現する機能などが追加された。

 ステージではUNIXマシンからソースコードをWindowsマシンにコピーし、Windows上でコンパイルして実行するデモが行なわれた。

 SFU 3.0はUNIXアプリケーションにWindows独自の拡張を施す機能を搭載しており、先ほどWindowsに移植されたアプリケーションのデータをExcelで読み出し、グラフを作成するデモも行なわれた。

Services for UNIX 3.0を用いて、UNIXのアプリケーション(左)をWindowsに移行(右)させるデモ 一度Windowsに移行させれば、.NETなどWindows独自の拡張を施すことができる。


■企業内PCのセキュリティを一括管理可能な「SMS 2.0」用アドオン

 同社が最近もっとも注力しているセキュリティへの取り組みについては、まずシステム管理ソフト「System Management Server 2.0 (SMS 2.0)」のアドオンとして今冬リリース予定の「Software Update Services Feature Pack」が紹介された。

 SMS 2.0は、企業内のPCを一括管理するソフトで、ハードウェア構成/ソフトウェア構成/OS構成/資産情報を管理したり、アプリケーションを一括同時配布したりできる。

 アドオンはSMS 2.0にセキュリティアップデート機能を追加するもので、全PCのService Packやセキュリティモジュールの適用状況を調べたり、特定のモジュールが適用されていないPCだけをリストアップし、その場で一括して適用させることが可能。Webレポート機能も備える。

 また、セキュリティに関連して阿多氏は、Windows 2000がソフトウェアセキュリティのもっとも権威ある国際標準規格であるISO 15408の「セキュリティ評価共通基準認定(CC認定)」を10月30日に取得したことをアピール。

 CC認定は、ソースコードレベルにおける徹底的なテストを行なっているといい、商用OSとしてはWindows 2000が初の取得となる。

 阿多氏は、「CC認定取得は、Windows 2000が豊富な機能と高い信頼性を両立したことの証であり、“信頼できるコンピューティング”を目指し、今後も最高レベルのセキュリティを提供する」とコメントした。

System Management Server 2.0のアドオンSoftware Update Services Feature Packを使うと、特定のセキュリティモジュール未適用PCだけをリストアップさせたりできるようになる 未適用のPCにはSMSから一括してモジュールを適用できる 抽出内容はWebページとしてレポート表示可能。レポートはブラウザ内でソートできる


■新ストレージ機能などを搭載した「.NET Server 2003」

 基調講演の最後は、本邦初公開となるWindows .NET Server 2003 (.NET Server 2003)の紹介/デモが行なわれた。

 .NET Server 2003は、Windows 2000 Serverを基盤として.NETに対応した最新サーバーOS。.NET対応ということ以外にも、ストレージやシステムリソースをより柔軟かつスマートに管理/設定する機能の搭載や、マルチプロセッサ環境への最適化などがなされている。

 ストレージ関連では「ボリュームシャドウコピーサービス(VSS)」や「仮想ディスクサービス(VDS)」といった機能が搭載。

 デモでは、VSSの機能を利用して、トランザクション実行中のSQL Serverマシンのスナップショット(特定時間のHDDの構成内容)を一時停止することなくバックアップサーバーにバックアップ。バックアップデータは、単なるファイルのコピーではなく、スナップショットとして渡されるため、バックアップサーバーは、SQLデータベースも含めて、スナップショット撮影時のメインサーバーとまったく同じ内容となる。

 また、VSSはクライアントPCにも便利な機能を提供する。.NET Server 2003側で定期的にスナップショットを作成するよう設定しておくと、サーバー上の共有フォルダ/ファイルは更新されるたびにそれぞれ個別にバックアップがとられる。そのため、クライアントから間違って上書きしたり削除しても、簡単に特定のバージョンのファイルを呼び出すことができる。

 VSSは.NET Server 2003のストレージバックアップの共通インターフェイスとして提供されるため、これまではサーバーアプリケーションごとに異なるバックアップツールが必要、といった相互運用性や管理コストの問題を軽減することができるとした。

 マルチプロセッサについては、Itanium 2を32個搭載したNECのサーバー上で、4CPUのマシンと28CPUのマシンを仮想的に作り、データベースの実行パフォーマンスを比較。4CPUマシンでは処理に55秒かかるところが、28CPUでは9秒で終了。プロセッサの追加に応じてリニアに性能が向上している点が確認された。

 そのほか、システムリソースを有効活用するための「Windows System Resource Manager」や「Internet Information Services 6」の障害発生時自動復旧機能などがデモされた。

 なお、基調講演で紹介された製品は、セッションでより詳しく解説されている。

.NET Server 2003はストレージ関連の新機能としてVSSやVDSを搭載 VSSのデモではデータベースサーバーを動かしながら、スナップショットを作成してバックアップサーバーにコピー。バックアップサーバーはコピーされたSQLのデータをそっくりそのまま利用できる Windows System Resource Managerはアプリケーション/アプリケーショングループ単位で、CPU、メモリ、ページファイルサイズの制限を指定。スケジュールを設定することで、CPUリソースを昼間はWebサービスに夜間はバッチ処理に多く割り当てるといったことができる
NECのItanium 2 32-Wayサーバーによるデモ。デモではCPUを4個と28個に分けて、仮想的に2台のPCを用意。写真は28CPUマシンのタスクマネージャの様子 7倍のCPU数(デモ機ではメモリも7倍)で6倍のパフォーマンスということで、ほぼリニアに性能が向上していることが分かる。ちなみにこのデモでは.NET Server 2003の64bit版が用いられた IIS 6はセキュリティと運用性が向上。特定のプロセスが一定以上のリソースを消費したらそのプロセスを自動的に再起動させられる。写真左のグラフの赤いラインはプロセスの消費メモリ量で、しきい値を超えると自動的に再起動、消費量が減っていることが分かる

□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/
□Microsoft Conference 2002/fallのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/msc/
□関連記事
【5月13日】The Microsoft Conference + Expo 2002/Spring開幕
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0513/ms.htm

(2002年11月5日)

[Reported by wakasugi@impress.co.jp]


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