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エルピーダ、坂本社長就任記者会見を開催
~2003年後半に黒字化を目指す

代表取締役社長 坂本幸雄氏

11月1日発表

 エルピーダメモリ株式会社は1日、前UMCジャパン顧問の坂本幸雄氏が代表取締役社長に就任したのに伴ない、記者会見を行なった。

 その中で坂本氏は、所有と経営の分離を明確にする観点から、新たな執行役員制度を導入することを明らかにした。なお前社長の徳山賢二氏は退任し、NECエレクトロニクス株式会社の社長に就任する。

 記者会見で坂本氏は、「この不況時に、かつ価格競争の厳しいDRAMにと思われるかもしれないが、“だからこそ”なのです。私自身海外の会社にいた期間が長く、日本企業の強みがよくわかっている。しかしDRAMに関しては、その強さを活かす組織や仕事の形態が定まっておらず、自らの手で弱くしている。すべてのエリアが有機的に繋がり、マイクロンやサムスンのように組織や仕事の形態がシンプルであることが必要だ。即断即決を行ない、スピード経営を行なう」と語った。

 坂本氏の言う“日本企業の強み”とは、従業員の定着率が高く、技術のノウハウが逃げないことにあるという。しかし、DRAM業界だけはそれを活かしきれていないと断言した。

 「従業員全員が気兼ねなく発言できる、のびのびとした会社を目指す」とし、現在のNECと日立による“たすき掛け人事”を早い段階で排除するという。「生産と開発が密接に行なわれない限りは黒字化はあり得ない。エルピーダはNECと日立を気にするあまり、三すくみ状態に陥っていた」と、問題点を明らかにした。

 坂本氏の契約期間は3年。「利益を継続的に出しつつ、世界のトップ3に入る。赤字を縮小し、2003年後半から、遅くとも2004年までに黒字の月を出し、さらに株式上場を目指す」と3年以内の目標を掲げた。

 当面予想されるキャパシティ不足や資金不足に対しては、ファウンドリーと社内生産の比率を50:50にもっていくことで対応するという。「ファウンドリーの比率が高くなることによって利益率は低くなるが、不況に対して強くなる」とした。

 さらに、「現在は価格競争の厳しいPC向けDRAMの生産が中心だが、今後はPC向け以外の比率を増やす。ここ数年で、携帯電話向けDRAMが伸びてきている。低容量のDRAMに関しては厳しいが、128MBや256MBなどの大容量ではアドバンテージがあり、安定した売り上げが見込める。PC一辺倒から、それ以外にシフトしなければならない」と、黒字化に際してのビジョンを明かした。

 「2005年からはエルピーダの資金で経営を回したい」とする坂本氏だが、同氏が自由に投資できる金額は100億円までで、それ以上の投資を行なう際は、NEC、日立、坂本氏の3者によるボードミーティングが必要になるという。

 黒字化に際しての前提として、現在のウェハあたりのメモリ採取量を製造プロセスの微細化により3,000枚から1万枚まで向上する必要があるという。「そのための設備投資には、100億円では全然足りない。ウェハ1枚あたりの利益を上げ、さらにコストを下げる。社内/社外で密接に連携することで黒字化を目指す」とした。

 また、「今後1年で明確な、目に見える改善を行なう。できなければそれが自分の実力。9月で55歳になったが、これが最後の仕事」と息巻いた。今後のエルピーダと同氏の動向に注目したい。

□エルピーダメモリのホームページ
http://www.elpida.com/ja/index.html
□社長挨拶
http://www.elpida.com/ja/news/2002-11-01a.html
□役員の異動について
http://www.elpida.com/ja/news/2002-11-01.html
□関連記事
【10月24日】エルピーダ、代表取締役社長に前UMCジャパンの坂本氏が就任
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/1024/elpida.htm
【10月3日】エルピーダ、三菱から全DRAM事業を継承
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/1003/elpida.htm

(2002年11月1日)

[Reported by yosida-s@impress.co.jp]


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