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「パソコンの需要回復は来年以降」NEBA会長が見通し
~PC売上は20カ月連続の前年割れを更新中

岡嶋昇一会長

10月25日 開催



 日本電気大型店協会(NEBA)の岡嶋昇一会長は、10月25日、定例記者会見を行ない、「パソコンの需要回復は来年以降になるだろう」などと発言した。

 NEBAは、全国の主要大型家電量販店など40社が加盟する団体。加盟会社による自主統計によると、家電製品の売上高は、今年7月まで16カ月連続で前年割れとなり不振が続いている。8月にはわずかに前年実績を上回り、不名誉な記録を断ち切ったものの、9月には2%減と再び前年割れとなった。

 なかでも、パソコンの落ち込みが激しく、2001年2月以降、20カ月連続での前年割れを更新中。今年度上期実績も、前年同期比94.1%となった。

 岡嶋会長は、「この傾向は年末商戦でも続くことになる。2年間の低迷を経て、ようやく底をつくことになるのではないか。希望的観測としては、来年の早い時期から立ち上がってくれることを期待したい」と、回復が来年以降になることを示した。

 低迷の要因として岡嶋会長は、「パソコン業界には間違った施策があった」と指摘する。

 ひとつには、躍進するメーカーと低迷するメーカーに差異があることを示し、店頭向けに販売しているメーカーの施策を改善する必要があることに言及した。

 「上期に好調だったのはデルコンピュータと、アップルコンピュータ。とくに、デルは、サポートに力を注ぎ、24時間365日の顧客サポートを実現している。店頭販売店や店頭向けに出荷しているメーカーが、これに対抗するだけの十分な体制をもっているかというとそれは疑問」とした。

 また、「デルは、低価格での製品展開を行なっているが、国産メーカーはその点ではどうだろうか。シンプルで価格が安いモデルを用意する必要があるのに、国産メーカーは機能をたくさん盛り込み、高い価格でのラインアップを中心としている。アフターサービスと価格設定、という点で顧客のニーズを十分に捉えていない」と指摘した。

 一方、来年10月以降に開始される個人向けパソコンのリサイクル法に関しても、「我々の意見が通らないなど、介入できない部分がある」と不満を見せながら、「消費者の視点で考え直すといったことに、もう少し柔軟に対応してもらいたい」と要望した。

 岡嶋会長が指摘するのはこんな理由からだ。 

 現在決定しているパソコンリサイクルの回収方法では、パソコンを廃棄するユーザーが郵便局に出向き、リサイクル費用を支払ってから、指定の宅配業者に連絡し、回収してもらわねばならず手間がかかりすぎる。

 「家電リサイクル法の施行の際にも、郵便局での払い込みという話が出たが、NEBAではこれに強く反対した。消費者が2度手間になるからだ。小売店が徴収と回収を一度に行なえば、消費者は手間をかけずに廃棄できるようになる。事実、家電リサイクル法では初年度855万台と予想を上回る回収実績となり、今年度も1,000万台近い回収実績となるだろう。パソコンリサイクル法では小売店が介在しないため、NEBAとしては、回収する宅配業者に費用の徴収も行なえるように提言しているが、宅配業者のリスクや手間が増えること、コスト増につながることなどから実施できないという回答をメーカー側からいただいている。消費者の利便性を考え、もう少し柔軟に対応すべき」と強く訴えた。

 一方、BSデジタル受像器の需要拡大を狙って、11月1日から1月31日まで、NEBA加盟会社が協力して、「BSデジタルハイビジョンキャンペーン」を実施することを明らかにした。

 BSデジタルハイビジョン対応テレビ、同液晶テレビ、同PDPをキャンペーン対象商品として、チラシ、広告で共同訴求するなどの取り組みを行ない、期間中8万台の販売を目指す。

 「デジタル家電は、今年の年末商戦が重要な商戦。来年には3大都市で地上波デジタル放送が開始されることから、それに向けた弾みをつけたい」とした。

 また、10月18日に公正取引委員会が、「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(価格表示ガイドライン)について、一部改定の原案を提出したことについて、「公取委として大きな一歩を踏み出したことを評価したい」と語った。

 公取委が提出した原案では、新興家電量販店やカメラ量販店などが表示している「割引率」や「ポイント還元率」が、不当表示にあたる恐れがあるとして、具体的な事例をいくつか示している。

 例えば、「個々の商品の割引率を表示せずに、☆マークがついている製品は、5~20%値引きしますと表示し、かつ5%を著しく小さく表記し、20%を強調して表示することにより、あたかも多くの商品について20%の割引が適用されるかのように表示しているが、実際には20%の割引の対象となるのが、ごく一部の製品に限定されている時」が不当表示に該当する恐れがあるなどとした。

 「NEBAとしては、なにが正しいのか、正しくないのか。あるいはどこまでを表示していいのか、という点を明確にしてほしいと要望していた。NEBA加盟会社は、このガイドラインの遵守を徹底する」と岡嶋会長は話した。

 なお、この原案については、11月1日まで広く意見を求め、11月中旬にも、それらの意見が公開されることになる予定だ。

□NEBAのホームページ
(10月25日現在、この件に関する情報は掲載されていない)
http://www.neba.gr.jp/
□関連記事
【2001年12月3日】日本電気大型店協会、PCリサイクル費用の徴収に反対
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20011203/neba.htm

(2002年10月25日)

[Reported by 大河原克行]


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