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日本電気大型店協会、PCリサイクル費用の徴収に反対 |
NEBA 岡嶋昇一会長 |
12月3日発表
大手家電量販店などで構成される日本電気大型店協会(NEBA)の岡嶋昇一会長(エイデン社長)が会見を行ない、今年の事業活動報告などを行なった。
そのなかで、岡嶋会長は、家庭向けパソコンのリサイクル費用の徴収方法について、その議論そのものの手法などに対して、反対の姿勢を示していくことを明らかにした。
家庭向けパソコンのリサイクル費用の徴収方法に関しては、環境省、経済産業省の両省が、この問題の検討のために合同作業部会を設置、制度が簡単な廃棄時徴収と、不法投棄の温床になりにくい販売時徴収とを巡って意見の調整をすすめていた。
だが、同作業部会では、先頃行なわれた会合後に、販売時徴収の方向で意見を取りまとめる方向を示しており、来年4月以降の施行段階では販売時徴収になる公算が強まっている。
今回のNEBAが打ち出した姿勢は、販売時徴収および廃棄時徴収のいずれかを支援するものではなく、「議論されつくしていない上での実施は、時期尚早。了解できるものではない」(岡嶋会長)として、議論方法の見直しと、来年度実施の先送りを求めている。
岡嶋会長は、「家電リサイクル法についても、我々の意見が反映されないまま、実施に移されたが、これが順調にテイクオフしたとは考えていない。リユースの観点がなく、すべてリサイクル化するという仕組みや、ミニマムコストでのリサイクルの仕組みができていないのも問題点だ。パソコンのリサイクルに関しても同様で、もう少し大局的な観点から議論をすることが必要」とした。
NEBAが指摘しているのは、家電は配送中心、パソコンは持ち帰り中心といった議論で制度が決められていること、家電リサイクルとパソコンリサイクルとが個別のシステムで検討されていることなど、についてだ。
「パソコンの次には、プリンタはどうするのか、ゲーム専用機はどうするのか、といった個別対応していく考え方では社会コストの観点からも無駄が多い。循環型社会のなかで、現在の討議方法はナンセンス」と疑問を投げかけた。
また、検討されている宅配便で家庭からパソコンを回収する方法についても、「トラックで回収し、CO2を排出すること自体が、環境には問題」などとした。
なお、今年度の活動として、経営問題委員会で、SCM(サプライチェーン・マネージメント)などで先行しているメーカーや会員会社の視察や勉強会を行ない、物流問題の側面から販売店の合理化の調査、検討を行なったほか、店頭における商品の盗難増加に対応して、メーカーに盗難防止に向けた働きかけを製造段階から視野に入れるよう申し入れた。また、海外視察として、韓国のブロードバンド市場の視察なども行なった。
「盗難防止に関しては、ソニーがメモリー製品に関して、ダミーの展示を行なうような仕組みを開始するなどの成果があがっている。また、韓国のブロードバンドの視察についても、テレビ番組が放映後すぐに、ネットで配信するという仕組みが出来上がっていることがブロードバンド普及のポイントであることがわかった」とした。
また、行方が注目されている社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会からの脱会問題については、「慎重に議論を重ねており、来年1月には結論を出すようにしたい」とした。
NEBAは、公正取引委員会の外郭団体である同協議会に加盟していることで、「最低価格保証」、「他店比較」といった新興家電量販店が取り組んでいる制度を、事実上、行なえないなど、足かせとなっていた。
だが、NEBA内部でも、「自主基準を守る必要はない」という脱会派と、「このまま自由競争を加速してはいけない」という慰留派とに意見が分かれており、結論は来年に持ち越すことになった。
一方、岡嶋会長は、Windows XPが需要拡大の起爆剤にならなかったことに対して、「確かに、すぐには、需要回復の起爆剤にはならなかったが、米国でも、韓国でも、来年以降の普及を期待しており、日本でも来年以降の伸びが期待できる。ブロードバンドのインフラが整うに従って、Windows XPの需要も高まってくるだろう。瞬間的に、前年割れが回避できたというだけでも、効果はあった」とコメントした。
NEBAが発表した今年1~10月のパソコン本体の販売台数は185万台(前年同期比13.5%減)、販売金額では3,360億円(16.7%減)となっており(いずれも速報値)、今年2月以降、9カ月連続で前年割れを続けていたが、11月は、やや回復基調に転じた模様だ。
□日本電気大型店協会(NEBA)のホームページ
(12月3日現在、この件に関する情報は掲載されていない)
http://www.neba.gr.jp/
(2001年12月3日)
[Reported by 大河原克行]
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