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IDF 2002 Fall Japan基調講演
~Banias搭載ノートやTablet PCをデモ

基調講演冒頭で挨拶したインテル株式会社代表取締役社長ジョン・アントン氏

会期:10月22日~10月24日
会場:赤坂プリンスホテル



 インテル株式会社は23日、技術者向けイベント「Intel Developer Forum 2002 Fall Japan」(IDF)において基調講演を開催した。

 同社代表取締役社長ジョン・アントン氏の挨拶から始まった約2時間の基調講演は、9月にSan Joseで行なわれたIDFに準ずる内容となった。「コンピューティングと通信の融合」をテーマに講演は行なわれ、Banias搭載ノートやTablet PC、今冬発表予定のHyper-Threadingのデモなども実施された。

米Intel副社長兼最高技術責任者のパトリック・ゲルシンガー氏

 米Intel副社長兼最高技術責任者のパトリック・ゲルシンガー氏は、「コンピュータはメインフレームを端末から利用する時代から、パーソナルコンピュータへと進化してきたが、次の進化は通信インフラとコンピュータが融合したデバイスになる」と説明し、「Intelが目指す究極のゴールは、誰でも、どこにいてもコンピュータが利用できる環境を提供すること」などと述べた。

 同氏は、「通信とコンピューティングの融合については、'79年頃からすでに言われてきたが、ようやく現在になってそれが実現できるようになった」と語り、コンピュータが非常に安価に提供され、どこにでもあるような時代になった今こそ、PCだけでなく、PDAや携帯電話など、様々なデバイスで通信との融合が必要になっていくと説明した。

 また、同社のモバイルプラットフォーム「Banias」では、無線機能はチップセットとは別モジュールで提供されるが、最終的にはすべての通信機能をシリコンレベルで統合する「Radio Free Intel」というビジョンも紹介。いずれはBluetoothやIEEE 802.11、LANなど、あらゆる通信機能を1チップに統合するという。これにより、ネットワーク間でシームレスな接続を目指し、だれでもどこでもネットワークにアクセスできるようになることを目指すという。

Dynabook SS S4と同等の筐体のBaniasノートを片手にプレゼンテーションを行なうゲルシンガー氏

 引き続き同氏は、「Banias」を搭載したノートを披露。Baniasは同社が目指すコンピューティングと通信の融合というテーマを象徴するプラットフォームであり、Baniasを採用することで、軽量化や長時間バッテリ駆動化だけでなく、優れたパフォーマンスも発揮できることをアピールするデモを行なった。

 実際のデモに使われたのは、San Joseで開催されたIDF2002 Fallで公開された、IBM製と東芝製のノートと同様のもの。IEEE 802.11a経由で遠隔地とTV電話で会話したり、TVを見るなど、Baniasプラットフォームにおいて、ワイヤレス機能が問題なく使えることをアピールし、今後急速な普及が見込まれるホットスポットの利用には必要不可欠なものであることを強調した。

 また、11月7日の発売を控えた「Tablet PC」についても、マイクロソフト ニューメディア&デジタルデバイス本部マーケティング部の御代茂樹部長がプレゼンテーションを行なった。

 プレゼンテーションでは、途中、Tablet PC本体のトラブルもあり、満足のいくプレゼンテーションとはいかなかったようだが、Tablet PCの手書きによるメリットを強調。特にビジネス分野では、イラストを交えたメモがとれるなど、応用範囲が広いことをアピールした。また、漢字などを頻繁に使うアジア圏では特に需要が見込めると語った。

東芝のTablet PCの説明をするマイクロソフトの御代茂樹部長 実際に手書きを行なってTablet PCをアピールする御代氏

 今後のIntel CPUの進化についても、ムーアの法則に基づいた進化を続けることを再確認。今後10年以内には15GHzのPentium 4も可能であるという。

 年内に発表予定のPentium 4 3GHzで利用可能になるHyper-Threadingについては、スレッド化により同クロックでも約25%の性能向上が可能になるなるとし、アプリケーションがHyper-Threadingに最適化されることによって、さらに効果が高くなるという。

 会場では、3GHzで駆動するPentium 4マシンを2台用意し、片方のマシンのHyper-Threadingをオフにして、同時にアプリケーションを実行するデモを実施した。同クロックのCPU同士でHyper-Threadingの効果が比較されるのは今回が初めてだが、当然ながらHyper-Threadingで動作するPCは高速に動作する結果となり、3Dゲームを起動しながらMPEG-2のエンコードを実施しても、確実に動作する様子が公開された。

Hyper-Threadingのデモでは、通常の複数のアプリケーションを起動して、同クロックの通常CPUとの比較をデモ。Hyper-Threadingが動作するPCでは、ゲームを動作させながらMPEG-2のエンコードが実施できた
10年後には15GHzで駆動するCPUも可能で、組み込み機器向けの超低電圧版CPUでも5GHzに達することが可能という NECのItanium 2搭載32Wayサーバー「TX7」によるデモ。30万人の顧客データを元にデータを抽出する作業を実施した。同クラスのサーバーでは世界最高速という

 PCに新しいセキュリティ環境をもたらす「LaGrande」についても触れられ、安全なコンピューティング環境を実現するためにセキュリティ機能をハードウェアで実装することは、必須のテクノロジであることをアピール。マイクロソフトのPalladiumなどと協調して2、3年以内に実用化を目指していくと述べた。

 基調講演後に開かれた、報道関係者向けのQ&Aセッションでは、ゲルシンガー氏が記者らの質問に答えた。その中で、「Intelは日本国内で販売されているような、小型軽量のノートで使われるようなCPUに対する取り組み方が弱いのではないか?」という質問がされ、同氏は、「Baniasをより低消費電力に、より小さくすることは可能だ。現状でも他社のCPUに比べて圧倒的な性能を発揮するはずだ」と回答した。

 LaGrandeについての説明を求められると、ゲルシンガー氏は、「アプリケーションやOSがLaGrandeの機能を利用してくれないと意味が無い。2、3年後の技術を今からこうして話をしているのは、LaGrandeが実用化されたときに対応アプリケーションがきちんと揃うようにしたいからだ」と説明し、LaGrandeを投入するプラットフォームについては、「現状ではモバイルPCでの利用は視野に入れていない。当面はデスクトップ向けで展開し、業界の反応を見ながらやっていきたい」と語った。

□インテルのホームページ
http://www.intel.co.jp/
□IDF-Jのホームページ
http://www.intel.co.jp/jp/developer/idf-j/index.htm
□基調講演資料
http://www.intel.co.jp/jp/developer/idf-j/fall02/keynotes/index.htm
□関連記事
【9月10日】【IDF】Banias、LaGrande、Madisonなど盛りだくさんの内容
~Hyper-Threadeing対応Pentium 4も年内に登場
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0910/idf02.htm

(2002年10月23日)

[Reported by kiyomiya@impress.co.jp]


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