JEITA、2002年度第1四半期のパソコン出荷実績を発表
~台数は前年同期比13%減

JEITA パーソナルコンピュータ事業委員会・篠崎雅継委員長

7月30日発表



2002年度第1四半期 パソコン出荷実績

 社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は、2002年度第1四半期のパソコン出荷実績を発表した。これによると、国内のパソコン出荷台数は、前年同期比13%減の254万9,000台、金額では同9%減の4,493億円となった。

 同協会パーソナルコンピュータ事業委員会・篠崎雅継委員長(=日立製作所ユビキタスプラットフォームグループCOO)は、「とくに6月の失速が目立つ。ワールドカップによりテレビに需要が移行したことが影響している」とパソコン需要の低迷がワールドカップによるものと分析した。

●実売価格が上昇

 5月以降に発売された新製品が軒並み値上げになったことでの影響に関しては、「7月に入ってストリートプライスが低下しているが、それが需要増大に結びついていないことを踏まえると、第1四半期の低迷は価格による影響だとは思っていない」と否定した。

 しかし、実売価格の上昇は、同協会のデータでも明らかだ。第1四半期の平均単価はノートパソコンが18万3,000円と、2001年度第4四半期(1-3月)に比べると1万4,000円も上昇、デスクトップパソコンでも16万8,000円と8,000円の上昇となっている。パソコン全体では、17万7,000円と前四半期に比べて1万2,000円の上昇となった。

 これに関し、「液晶、メモリの値上がりが影響したものだが、それとともに売れ筋製品の構成が変化していることが影響している」とした。

 具体的な動きとして、オールインワン型パソコンのうち、CRTを搭載したモデルの構成比が21%に留まっているのに対して、液晶ディスプレイ搭載モデルが79%を占めたことを明らかにし、高価格モデルの人気が高まっていることも単価上昇に影響していると話した。

 だが、今後の単価推移については、「円高やDRAMの価格が下落していることも影響して、第2四半期は、もう少し下がった価格になるだろう」と話した。

四半期ごとの平均単価推移。今期は急激に上昇 オールインワン型パソコンでは液晶ディスプレイモデルが大半を占める

●ノートの構成比が過去最高に

ノートパソコンの比率の変化

 ノートパソコンの構成比が過去最高の比率となったことも、第1四半期のトピックスのひとつ。国内出荷のうちノートパソコンの出荷台数は142万1,000台(前年同期比10%減)となり、全体の59%を占めた。これに対して、デスクトップパソコンは、100万8,000台で構成比は41%。前年同期比でも17%減となった。

 ノートパソコンの構成比が高まった要因として同協会では、日本特有の省スペースニーズの影響や、ノートパソコンのプライスパフォーマンスの向上、モバイル利用の増加、2~3台目需要の拡大などをあげており、「今後もこの傾向は続き、ノートパソコンの比率はさらに高まることになる」としている。

 なお、デスクトップパソコンのうち、オールインワン型は前年同期比15%減の63万台、単体は同20%減の37万8,000台。ノートパソコンでは、モバイルノート型が13%減の25万台、A4ノート型/その他が9%減の117万1,000台となった。

●今後も厳しい見通し、需要喚起のアピールも

需要喚起が期待される事項

 今後のパソコン需要の行方に関しても、同協会では厳しい見方をしている。

 「7月の動向を見る限り、需要が回復しているとはいえず、第2四半期(7-9月)も、第1四半期と同様の推移になるのでは」(篠崎委員長)と、10%前後のマイナス成長を見込んでいる。

 「米国での需要低迷が長引いていることや、エンロンの破綻などの問題も大きく影響している。国内の景気は年末にはやや上向くと予想しているが、秋の通常国会で小泉内閣がIT減税措置などを打ち出せば、IT需要の回復にも拍車をかけることになると期待している」と話した。

 同協会では、今後の需要喚起のキーワードとして、企業向けには、1)大・中規模企業でのリプレース、2)電子政府・電子自治体関連需要の拡大、3)中小規模企業でのIT投資意欲の掘り起こしをあげる。

 「4~5年前に企業に導入されたCRTを搭載したパソコンが400~450万台あると想定されるが、これがリプレース期に入っており、液晶モニタ搭載モデルへの置き換えが期待される。省電力などにより、トータルでのコストを安く抑えられることを訴えたい。また、中小企業に対しては、電子入札の推進や、IT化によって企業の生産性が向上することを繰り返し訴え続ける必要がある」と、これらの業界側としてのアピールが需要喚起につながると話している。

 また、個人向けには、家庭での2~3台目需要の拡大が見込めるとして、3,000万人の60歳以上のシニア層への需要喚起、1,150万人の小中学生をターゲットとしたアピールを行なう考え。

 さらに、個人、企業の需要拡大に向けた共通キーワードとして、モバイル/ワイヤレスのブロードバンド化の拡大、新コンセプトマシンへの期待をあげている。

 新コンセプトマシンとしては、今年秋以降に発売が予定されているTablet PCなどを引き合いに出し、「年末商戦ですぐに需要に結びつくわけではないが、地道に用途提案などに力を注ぐことが重要」とした。

 2002年度の出荷見通しとしては、前年比4%増の1,100万台を見込んでいるが、現段階では、「下方修正することは考えていない」としている。

□JEITAのホームページ
http://www.jeita.or.jp/
□ニュースリリース
http://it.jeita.or.jp/statistics/pc/h14_1q/index.html
□関連記事
【4月24日】年末にはパソコンの価格が下がる?
~JEITAのパソコン出荷需要予測、2002年度4%増へ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0424/jeita.htm
【2月5日】JEITA、2001年の国内パソコン出荷は前年割れと発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0205/jeita.htm

(2002年7月30日)

[Reported by 大河原克行]

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