オリンパス、432億円の黒字もデジカメ事業は赤字
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オリンパス光学工業の菊川剛代表取締役社長 |
7月29日発表
2002年3月期決算と目標を発表する菊川社長 |
オリンパス光学工業株式会社は29日、2002年3月期決算と、今後5年間の経営基本計画を発表した。また、同社がかねてから推進している「3/4インチCCD一眼レフ構想」については、大幅に仕様が変更されることが明らかになった。
●医療システムの黒字に支えられる
2002年3月期決算は、売上高は5,284億円、営業利益は423億円の黒字となった。
だが、カンパニー別では売上高2,550億円、営業利益572億円の医療システムカンパニーと、売上高558億円、営業利益5億円の産業システムカンパニーの2カンパニーだけが黒字。デジタルカメラを扱う映像システムカンパニーが売上高2,085億円、営業利益マイナス68億円の赤字、その他も赤字となっており、医療システムが同社の黒字のほとんどを稼ぎ出している。
●5年で売上高8,700億円のメジャープレーヤーを目指す
経営基本計画では、2007年3月期に売上高8,700億円(2002年3月期の1.6倍)、営業利益1,200億円(同2.8倍)を目指すと発表。そのために、世界のトップクラス企業の体質を備え、光学デジタル技術を核に3カンパニーすべてが「世界に通用するグローバルメジャープレーヤーを目指す」とした。
2007年3月期のカンパニー別目標は、医療システムが売上高4,000億円/営業利益890億円、映像システムが3,450億円/250億円、産業システムが850億円/100億円。依然として医療システムがトップではあるものの、3カンパニーそれぞれが収益を産み出せるようになることを目標とする。
そのために、5年で200億円をつぎ込んでブランド力を強化、業績連動型報酬の導入などによる経営構造改革、ITシステムを強化し、サプライチェーンマネジメントなどの効率を向上、さらにゲノムやナノテク、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)などの新事業の創成などの施策を実施する。
●デジタル一眼レフはCCDサイズの変更も
映像システムカンパニーの戦略 |
同社売上げの30%を占めるデジタルカメラ事業では、3月に発売した「CAMEDIA C-2 Zoomなどがたいへん好評で、市場は回復しつつある」(小宮弘 取締役常務執行役員 映像システムカンパニー長)とし、2005年3月期には売上高2,950億円、営業利益180億円のV字型黒字回復を図る。
2007年には世界市場で20%のシェアを目指すとし、中国での製造でコストダウンを図り、大手販売店との連携を強化、ITシステムによりオペレーションスピードを向上させるなどの施策をとる。また、プリンタ、メディア、アクセサリなどの周辺事業も強化する。なお、銀塩カメラについても2007年に25%のシェアを目指すとしている。
また、かねてから公表されていた「4/3インチCCDデジタル一眼レフカメラ」については、「我々の悲願。来春には出したい。着々と準備を進めている」(小宮カンパニー長)とした。
なおデジタル一眼レフについては、需給関係や本体小型化などの問題から、CCDサイズ変更を含めた大幅な仕様変更が行なわれているとし、デジタル一眼レフの標準化については「まずは自社の体制を整えてから」との回答が得られた。
□オリンパス光学工業のホームページ
http://www.olympus.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.olympus.co.jp/Profile/Info/n020729a.html
□関連記事
【2001年11月21日】オリンパス、中間決算でデジタルカメラの事業戦略を発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20011121/olympus.htm
【1月7日】オリンパス、デジタルカメラなどの生産・販売体制を統合
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0107/olympus.htm
(2002年7月29日)
[Reported by tanak-sh@impress.co.jp]
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