オリンパス、デジタルカメラなどの生産・販売体制を統合
~4/3インチCCD一眼レフ構想への影響はなし

オリンパス光学工業株式会社
菊川剛 社長
1月7日発表



 オリンパス光学工業株式会社は7日、国内の生産4拠点を統合し、また、販売会社の映像情報部門をオリンパス光学工業へ統合することで、デジタルカメラを含む映像・情報機器のコスト削減、および市場への迅速で柔軟な対応を図ると発表した。これらの再編は今年4月1日付けで行なわれる予定。

小宮弘
映像システムカンパニー長

 同社の小宮弘 映像システムカンパニー長の発表によれば、今回の統合・再編は、10%以上のコスト削減を目標とした製造分野での統合と、市場動向に柔軟かつ迅速に対応するための製造/販売の一体化の2本柱となっている。

 第1の製造分野での統合では、国内の4生産拠点(辰野事業場、オリンパス光電子株式会社 東京事業場、大町オリンパス株式会社、坂城オリンパス株式会社)を1つの組織にし、さらに光学技術開発機能と生産技術開発機能を取り込むことになる。

 統合後の組織が新会社となるか、オリンパス光学工業の1部門となるかは未定だが、生産拠点の閉鎖や人員整理の予定は現在のところない。今期(2001年度)下期から準備にかかり、2003年度下期には統合作業を終えるとしている。

 この生産体制の再編により、日本国内の生産拠点と中国工場の棲み分けを明確にし、コスト削減を図る。具体的には国内拠点が生産ラインの立ち上げなどを担当し、中国工場は国内で立ち上げられた生産ラインを使った量産を担当する(前者が「創」を、後者が「造」を担う、と表現された)。これにより、国内拠点の技術力、製造力の空洞化も回避できるとしている。なお、こうした棲み分け体制はすでに同社銀塩カメラにおいて成功しているとのこと。また、中国でのデジタルカメラの本格生産は今年4月からとしている。

 第2の製造/販売の一体化は、現在国内での販売を担当しているオリンパス プロマーケティング株式会社の映像情報部門を、オリンパス光学工業 映像システムカンパニーに営業譲渡することで実現する。やはり人員整理の予定はなく、オリンパス プロマーケティングはコンシューマ向け以外で好調な医療・工業分野に特化する。この一体化により、オリンパス プロマーケティングでの意思決定プロセスを省き、市場への対応スピードを上げる、としている。

 映像システムカンパニーは2000年度から赤字化しており、2001年度通期見通し業績も78億円の赤字と予想されている。今回の統合によりV字型の回復を果たし、2002年度末(2003年3月)には50億の黒字を目指すとしている。

2000年度から低落し続ける業績だが、2002年度には50億円の黒字を目指す 統合後の生産体制のイメージ。左上の「造」を担当する「OHC」は中国工場を担当する「OLYMPUS HONG KONG AND CHINA LIMITED.」のこと
現状の販売体制(左)と統合後の販売体制

小島佑介
映像営業本部長

 なお、同社が2001年4月に発表した「4/3インチCCDによるデジタル一眼レフのマウント標準化構想」は、「今回の再編に折り込み済みで、影響はない」と同社の小島佑介映像営業本部長は述べている。ただし、当初予定されていた「今年2月のPMAで発表」は、遅れる可能性がある、とのことだった。

 同氏によれば、同社は技術的にもコスト的にも「レンズこそデジタルカメラのコア」であるととらえており、デジタルカメラにおけるレンズ交換システムの普及は、同社の理想とする収益構造にとって重要な位置を占めると推察される。

□オリンパスのホームページ
http://www.olympus.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.olympus.co.jp/Profile/Info/n020107.html
□関連記事
【2001年11月21日】オリンパス、中間決算でデジタルカメラの事業戦略を発表
~デジタル一眼レフ標準化フォーラムを来春設立
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20011121/olympus.htm

(2002年1月7日)

[Reported by tanak-sh@impress.co.jp]

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