ソニー、過去最高の第1四半期決算。売上高は1兆7,218億円
~コンシューマAV製品などが好調

徳中暉久CFO

7月25日発表



 ソニーは25日、2002年度第1四半期(4~6月)の決算を発表した。売上高は第1四半期としては過去最高の1兆7,218億円(前年比5.4%増)、営業利益は519億円(同1,627.3%増)、純利益は572億円と大幅な黒字となっている。

2002年第1四半期業績

 同社では、当初第1四半期の赤字を予測をしていたが、エレクトロニクス分野のコンシューマAV製品などの好調や、携帯電話事業の移管、映画「スパイダーマン」の予測を超えるヒット、円安などにより、過去最高の売上高となった。なお、米テレムンド・コミュニケーションズ・グループの株式売却益665億円を今期に計上している。

 同社の主力事業となる、エレクトロニクス分野は、売上高が1兆2,189億円(前年同期比0.1%減)、営業利益は491億円(同3,221.6%増)となった。増収となったのは、テレビ(同27.7%)、コンポーネント(同5.9%増)、ビデオ(同5.7%増)、携帯電話をのぞいた情報・通信(同4.0%増)となっている。


 前年同期と同等の為替レートを適用した場合に売上増となった製品は、テレビシリーズ「ベガ」や「バイオ」の特にデスクトップ、Palm OS搭載PDA「クリエ」、デジタルカメラ「サイバーショット」など。減収となったのは、カーオーディオやコンピュータ用ディスプレイ、放送局用機器など。また、地域別では日本はノートPCやビデオカメラなどの要因で減収となったが、他の地域ではテレビを中心に増収となったという。

 また、同分野の営業利益も前年同期比32.2倍の491億円となっている。その理由については、昨年同期に大幅な損失を計上した携帯電話事業がソニーエリクソンに移管されたことのほか、DVやテレビなどのコンシューマーAV機器の収益性の改善、昨年より稼動している設計・生産プラットフォーム会社「EMCS」によるコストダウン効果、オーディオやブラウン管などのコンポーネント事業の不採算事業の整理/縮小や固定費の削減、円安などを上げている。

 また、在庫水準についても前年同期の約62日から約40日と大幅に改善されたという。なお、2002年より完全子会社化されるアイワ株式会社の連結業績については、引き続き減収で、損失も拡大しているという。

エレクトロニクス事業の部門別売上、営業利益 エレクトロニクス事業営業利益 増減要因 棚卸資産を圧縮

 ゲーム事業は、売上高が前年同期比1.1%減の1,532億円となったが、営業利益は26億円となり、前年の31億円の損失から収益改善された。

 売上高はプレイステーション 2(PS2)やPS oneの値下げなどにより減収となったが、ソフトウェアの出荷が特に欧州を中心に好調で、PS2ソフトの出荷本数は前年同期比1,550万本増の2,700万本に、プレイスレーション用は500万本減の1,300万本となり、収益改善に貢献したという。同社の徳中暉久CFOは、「PS2はほかを大きく引き離して、ナンバーワンプラットフォームの座を確保している。今年はPS2フォーマットの成熟期で、引き続き好循環を続けていく」と述べている。

 音楽部門については、売上高1,372億円で前年比5.6%の減少。営業損失は103億円と前年の44億円の黒字から赤字となった。

 徳中CFOは、「ディスク製造部門の売上は好調だったが、違法デジタルコピーによる著作権侵害の影響などで世界的に音楽作品の売上が減少している」と指摘した。また、FIFAワールドカップの影響により、需要が2~3割減少したという。なお、CDへのコピープロテクションの導入については、「何らかの形でそうした施策、とりくみが必要だろう。具体的なものについては検討中」との見解を明らかにした。

 映画部門は、当初第2四半期公開の「MIBII」などの大作に向け巨額のマーケティング費用を計上するため赤字予測だった。しかし、全米興行収入が6億7,500万ドル(6月末時点)を超えた「スパイダーマン」の予想以上のヒットにより、大幅な増収、増益を記録した。また、「ブラックホーク・ダウン」、「アリ」、「プロフェシー」などのDVD/VHSソフトの売上も好調だったという。

ゲーム事業の売上高/営業利益 音楽事業の売上高/営業利益 映画事業の売上高/営業利益

 金融部門については、売上高が1,296億円で前年比2.1%増、営業利益は同12.9%増の109億円となった。ソニー生命の売上増とソニー損保の損失縮小により、利益拡大を実現したという。

年間の業績見通しは売上高を下方修正

 年間の業績見通しについては、「円高が、収益を圧迫するような厳しい状況になる(徳中CFO)」とし、売上予測を4月に発表した8兆円から7兆7,000億円に修正した。そのほかは修正なく、営業利益は2,800億円、純利益は1,500億円と予測している。また、4月に想定した年間前提為替レートを1ドル130円から115円に修正したという。

 決算発表後には、質疑応答も行なわれた。“アメリカの株価下落などにより、消費マインドの落ち込みが予測されているが……” との質問に「いろいろな変化が起こりうるのではないか。注意深く見ていきたい(徳中CFO)」と回答し、今後の景気動向に不透明な部分があるとの見解を示した。

 また、先日報じられた“ソニーの会計不信疑惑”との外電についてのコメントとして「中国の新聞がアメリカで発表されたレポートを基に書いたものだが、調査した結果、当該のレポートではソニーが不正をしたとはいっていない」と報道側の誤りであるという認識を示し、「ソニーのディスクロージャーの姿勢をあの報道によって変えなければいけないとは考えていない」とコメントした。


□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200207/02-033/
□関連記事
【4月25日】ソニー、2001年度連結売上高は過去最高の7兆5,783億円
~営業利益は40%減、バイオは堅調、ゲームは「収穫期」に
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0425/sony.htm

(2002年7月25日)

[Reported by usuda@impress.co.jp]

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