日立と松下、白物ネット家電を共同開発
~家電用通信規格「ECHONET」を採用

ネット対応洗濯機の操作パネル。「ネットコース」にサーバーからダウンロードした洗濯コースをセットできる

7月24日発表



 日立ホーム&ライフソリューション株式会社松下電器産業株式会社は24日、白物ネット家電システムとサービスの共同開発について記者会見を行なった。これによると通信規格にECHONETを採用、2003年度の商品化を目指している。

●白物家電をインターネットに接続

白物ネット家電の概念図

 今回発表された白物ネット家電構想は、家中のネット対応家電を「情報コントローラ」と呼ばれる端末に接続、集中管理するもの。情報コントローラは、インターネットと接続してホームゲートウェイとしても機能する。これにより、家の中からの家電管理だけでなく、インターネット経由で家電の遠隔制御やメンテナンス、住居の遠隔監視などのサービスを実現する。

 会見では、会場に無線で接続された情報コントローラとネット対応家電(エアコン、電子レンジ、冷蔵庫、洗濯機、ドア開閉センサー)を設置し、ネット対応家電が動作する様子を実演した。情報コントローラからエアコンを操作したり、「冷蔵庫の扉が開いている」という警告を受け取るような住居内での集中管理のほか、インターネット上のサーバーから調理メニューや洗濯メニューを電子レンジや洗濯機にダウンロードしたり、外出先では携帯電話で家への侵入があったことを知らされる様子などが実演された。

デモで使われたシステム。右から、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、開閉センサー付きドア、情報コントローラ。上にはエアコンがある。情報コントローラを操作するのは松下電器産業 電化・住設社 くらしネットワーク開発センターの前原直芳所長 情報コントローラ。4.9型タッチパネル付き液晶ディスプレイで操作する。壁や卓上に設置。24時間監視機能を持たせるため、停電しても最低限のデータバックアップや通信が保証されるようになっている 無線で情報コントローラに接続する呼び出し機。ご老人が緊急時に家族を呼び出したいときなどに使う。試作品なので大きいが、名刺入れサイズまで小さく、薄くする予定
情報コントローラでエアコンを遠隔操作 情報コントローラで冷蔵庫の様子をモニタ。扉が開きっぱなし、などの警告を受け取ることもできる 住居警戒メニュー
住居への侵入者を検知した。外出警戒モードのときは指定した携帯電話へ、侵入者を検知した旨を音声で伝える 洗濯機の洗濯コースや電子レンジのレシピをインターネット上のサーバーからダウンロードできる

●通信規格にECHONETを採用

 この構想では家電のネットワーク化に、日本生まれの通信規格「ECHONET」を採用している。ECHONETは通信速度が9,600bpsと遅いが、伝送媒体は有線/無線を選ばず、安価に信頼性の高い通信が可能で、家電向きの通信規格となっている。松下のネットワーク戦略として、各ドメイン間はIPで接続するコンセプトになっているが、ドメインの内部はそのニーズや環境に応じて最適なものを選択しており、家庭向けとしてECHONETを選択したとしている。

 各家電品を直接ネットワークに接続しないのは、セキュリティ対策でもある。たとえば、今、外出しているなどという情報が外からわかってしまっては困る。情報コントローラは、ファイアーウォールの機能も兼ねており、家庭内のネットワークへの侵入を防ぐ役目もある。

 なお、新しい冷蔵庫を買ったなど、家電品が新しいものになったときは、情報コントローラもそれに対応する必要があるが、ネットワーク経由でバージョンアップするなどの仕組みを考えているようだ。

 ECHONETでは電灯線などによる有線接続も可能になっているが、会見では無線によるECHONET接続が実演された。これは無線のほうが既築住宅への設置に有利なため。実演に使われたECHONET準拠の特定小電力無線モジュールも展示された。特定小電力無線は、100mほどのエリアをカバーできる。1チップモジュールにより、小型・省電力でローコストなモジュールとなっているという。特定省電力通信は、自動販売機などの通信用に実用化されているが、今回のユニットは小型化と省電力化を図っており、部品点数/消費電力とも約半分になっている。

 またECHONETはオープンな標準規格であるため、他社の参画によるサービス拡充も可能。これにより、白物ネット家電のデファクトスタンダードの確立を目指すとしている。

ECHONET準拠 特定小電力無線モジュール(左)。右はサイズの比較のために置いた名刺入れ 電子レンジの背後に置かれた無線モジュールの箱 日立ホーム&ライフソリューションの石井吉太郎取締役(左)と、松下電器産業 電化・住設社の石井良夫副社長

●3年後にシェア10%を目指す

 会見では「3年先には全家電の10%くらいがネット家電になるようにしたい」との目標が述べられた。ほかの家電ネットワーク構想と比較し、ECHONETや組み込みOSを採用することでコストを下げ、あえて今回はAV機器とのリンクを考慮しないなど用途を絞り込み、実現可能性を高めるよう構成されている。ハードウェアと同時に提供するサービスのコンテンツ充実に力点をおき、サービスによる収益の確保を狙っているのも現実的な姿勢の表れと見て取れる。

 今回の発表はベースとなるシステムの発表であって、コンテンツについては別途発表される模様。コンテンツについては、無償のものと有償のものを両方用意する予定で、コンテンツプロバイダーとも相談しながら課金方法などを検討している、とした。

 対応家電や情報サービスの価格は未定だが、「ネット機能があるからといって大幅な価格上昇は不可能」としている。

□日立ホーム&ライフソリューション株式会社
http://www.hitachi-hl.com/top.html
(7月24日現在、この件に関する情報は掲載されていない)
□松下電器産業のホームページ
http://www.matsushita.co.jp/
(7月24日現在、この件に関する情報は掲載されていない)
□関連記事
【2002年1月30日】やじうまPC Watch
SDメモリーカードが使えるカラー液晶搭載オーブンレンジ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/yajiuma/2002_01.htm#sharp
【2001年6月1日】やじうまPC Watch
SDメモリーカード対応電子レンジ発表! だが……?
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/yajiuma/2001_02.htm#matsushita

(2002年7月24日)

[Reported by tanak-sh@impress.co.jp]

I
最新ニュース
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】

【Watch記事検索】


【PC Watchホームページ】


PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp
個別にご回答することはいたしかねます。

Copyright (c) 2002 Impress Corporation All rights reserved.