TECHXNY前日レポート【モバイルPC編】
~Intel、AMDなどの最新モバイルCPUを搭載したマシンが展示

会期:6月25~28日
会場:Jacob K. Javits Convention Center



 明日からニューヨークのJacob K. Javits Convention Centerにおいて、TECHXNY/PC EXPOが開催される。

 それに先だって本日はプレス向けにPC EXPOの注目製品を先行して公開するDigital Focus & Mobile Focusがニューヨーク市内の別会場において開催された。本レポートでは、Digital Focus & Mobile Focusにおいて展示された注目製品の中からPC系の話題を中心にお伝えする。

■NECがモバイルPentium III搭載反射型液晶採用ノートPCを展示

 NECの現地子会社であるNEC Solutions Americaは、低電圧版モバイルPentium III-M 800MHzを搭載したサブノートPCであるVersa E120を展示した。Versa E120は日本でも販売されているVersa Pro V80J/BHに非常によく似たスペックなのだが、大きな違いはV80J/BHが通常の12.1型のTFT液晶を採用しているのに対して、Versa E120が反射型の12.1型TFT液晶を採用していることだ。

NECのVersa E120。重量は3.1ポンド(約1.4kg)。反射型液晶を採用し、サイドライトのオン、オフがスイッチで可能になっている。チップセットはVIA TechnologiesのPL133で、グラフィックスは内蔵コアを利用

 反射型液晶とはバックライトを内蔵せず、自然光など光を反射させることにより画面を見やすくする液晶のことで、バックライトを内蔵している通常の液晶に比べて非常に省電力であるのが特徴だ。昨今、モバイル向けのCPUは省電力が進み、本体全体の消費電力のわずか10%以下の消費電力となっている。これに対して液晶は30~50%程度は消費していると言われており、液晶を反射型液晶にすることはバッテリ持続時間の向上につながる。

 NECは、以前Crusoeを搭載した反射型液晶搭載モデルをラインナップしていたが、現在ではコンシューマ、ビジネス向けともにラインナップから消えている。今回、モバイルPentium III-Mに仕様を変更して再スタートというわけだ。なお、本製品は完全な反射型というわけではなく、スイッチでサイドライトのオンオフが可能なタイプとなっている。このため、光が明るいところではライトのスイッチをオフにして外部光だけで利用し、飛行機の機内など暗いところではライトをオンにして利用するという使い方が可能だ。

 なお、それ以外のスペックはV80Jと似通っている。低電圧版モバイルPentium III-M 800MHz、256MBメモリ(PC133 SDRAM)、20GB HDD、PCカードスロットとCFスロット、IEEE 1394、USB×3、外部ディスプレイ出力、RJ11/RJ45というスペックになっている。バッテリは標準で4セル、追加のセカンドバッテリが8セルになっており、ライトオンの状態で7~8時間程度の駆動が可能であるという。

 価格はセカンドバッテリ抜きで、USB CD-ROMとFDドライブがついて2,199ドル(日本円で約26万5千円程度)となっており、米国では既に出荷を開始しているという。なお、日本での発売は未定ということだ。

ライトのスイッチ ライトをオフにした状態 ライトをオンにした状態。明るさが違うことがわかる

□NEC Solutions America
http://www.neccomp.com/v2/products/Versa/E120_DayLite/



■各社がモバイルPentium 4-M 2GHzを搭載したノートPCを展示

 日本でもモバイルPentium 4-Mの2GHzと1.90GHzが発表されたが、それを受けて本日のDigital Focus & Mobile Focusでは各OEMメーカーがモバイルPentium 4-Mを搭載したノートPCを展示した。

 Intelブースでは、DELLのPrecision Workstation M50が展示された。M50はデルのモバイルワークステーションで、NVIDIAのQuadro4 500 GO(64MBビデオメモリ)という非常に強力な3Dグラフィックスチップを搭載しているのが特徴となっている。また、DELLのブースでもInspiron 8200が展示され、こちらもモバイルPentium 4-M 2GHzが展示されていた。なお、これらは既に日本でも発表されており、明日より受注が開始される。このほか、東芝、Gatewayなども同様にモバイルPentium 4-M 2GHzを搭載したマシンを展示した。

 また、HPと合併したCompaqは、新たにHPとして展示を行なったが、いくつかの新製品を発表した。その中でも注目はEvo Notebook N610cだ。N610Cは、モバイルPentium III-Mを搭載していた2スピンドルのN600cの後継製品で、今回新たにモバイルPentium 4-M 1.60GHz搭載製品として生まれ変わった。

 重量は4.8ポンド(約2.2kg)で、サイズ的にはシン&ライトに属する製品と言えるだろう。これまでシン&ライトのモバイルPentium 4搭載ノートPCは、IBMのThinkPad T30とサムスンのP10シリーズぐらいだったが、今回さらに選択肢が増えたことになる。価格は2,199ドル(日本円で26万5千円前後)から用意されるという。

 また、Evo Notebook N1000vは、デスクトップPC用のCPUを搭載したフルサイズノートだ。N1000vでは、2.20GHz、2A GHzなどのPentium 4プロセッサを採用し、14.1型ないしは15型のディスプレイを採用している。主にコンシューマユーザー向けとして販売されるという。これに対して、N1000cはモバイルPentium 4 1.70GHz-Mを採用しており、こちらは企業向けに販売されるという。価格は1,600ドル(日本円で19万5千円前後)から用意されている。

 いずれの製品も日本市場に投入される予定は未定だが、検討はされているということだ。

DELLのPrecision Workstation M50 Gatewayの600シリーズ CompaqのEvo Notebook N610c。モバイルPentium 4-Mを搭載したA4シン&ライトの2スピンドルノートPC

□HPプレスリリース
http://www.hp.com/hpinfo/newsroom/press/24jun02b.htm



■富士通がTablet PCの試作版を展示

富士通のStylictic ST4000。下のドッキングステーションにはドライブベイが用意されており、CD-RW/DVD-ROMコンボドライブなどが内蔵可能

 今回のTECHXNY/PC EXPOの見所の1つは、Microsoftが今年秋に導入を予定しているWindows XP Tablet PC Editionに対応したTablet PCだ。

 Tablet PCはペンによる操作が可能になるPCのことで、MicrosoftのWindows XP Tablet PC Editionリリースに向けて各社の準備が進んでいる。既に日本で行なわれた発表会でもソーテックやNECの製品が展示されていたが、今回のDigital Focus & Mobile Focusでも富士通の“Stylictic ST4000”というTablet PCが公開された。

 Stylictic ST4000は、CPUとして低電圧版モバイルPentium III-Mを採用し(展示されていたマシンは800MHzだった)、チップセットにはIntel 830Mで、グラフィックスはIntel 830M内蔵。10.4型のTFT液晶、IEEE 802.11b準拠の無線LANというスペックになっている。液晶はもちろんデジタイザをかねており、ペンによる操作が可能になっている。

 “Tablet DOC”という名前のドッキングステーションが用意されており、充電やベイに内蔵されているCD-RW/DVD-ROMコンボドライブなどが利用可能になる。

 なお、リリース時期に関しては第4四半期を予定しており、価格などについては未定ということだ。日本市場に投入されるかは、まだ未定であるということだ。




■AMDはμPGAのモバイルAthlon XPの実働デモを実施

 AMDはモバイルAthlon XP/Athlon 4/Duronを搭載したノートPCの展示を行なったほか、μPGAパッケージのモバイルAthlon XPの実働デモを行なった。AMDは今年の後半に、モバイルAthlon XPをシン&ライト市場にも普及させようとしているが、現在のモバイルAthlon XPのパッケージは、デスクトップPCと同等のやや大きなものとなっており、省スペースが重要視されるシン&ライトの市場に参入する障壁となっていた。そこで、AMDが明らかにしたのが、IntelのμFCPGAと同じような小型のμPGAパッケージで、パッケージ自体は1月に行なわれたプレスカンファレンスで公開されていた。

 今回は、それがリファレンスマザーボード上で実際に動作するデモが行われたというわけだ。これで一歩出荷に近づいたと言え、シン&ライトの市場にもAMDが参入する日が近くなってきた。ただ、現時点ではまだリファレンスシステムで、実際のノートPCに搭載されたわけではない。そうした意味では、早いうちに実際の製品に搭載された姿を期待したいものだ。

μPGAパッケージのモバイルAthlon XPのライブデモ。Kirinという名前のリファレンスマザーボード上で動作していた μPGAパッケージのモバイルAthlon XP。熱設計消費電力が20Wを切るような低消費電力版もリリースされる予定 内部の様子。CPUファンの下にμPGAパッケージが装着されている

(2002年6月25日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]

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